幼馴染の提案で、
好きな子の友達に変身して、その子のフリをして、
好きな子と遊園地に行くことになった彼…。
しかし、その先で…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”が、学校でのイメージとやっぱり大分違うなぁ…”
久雄は、同じ図書委員所属で、
”好きな子”である、白石 天音の方を見つめるー。
短い赤いスカートの方に視線を向けながら
続けて全体像を見るー。
学校では、いつも制服で
大人しい雰囲気だから、あまり分からないけれどー、
好きな子の”いつもと違うギャップ”を見ると、
ドキドキするー。
思ったより可愛さを意識しているかのような
そんな格好を見つめながら照れ臭そうにしていると、
やがて、天音が振り返ったー。
「ーーどうしたのー?なんか、顔、赤くない?」
天音の言葉に、
天音の友人・沼岡 美香に変身している久雄は
「そ、そ、そんなことないよ~!」と、そう言葉を口にするー。
「ーーふふー、そっかー。ならよかったー。」
天音が微笑むー。
学校で本を読んでいる時の天音と違って、
何だか表情も生き生きとしていて、
自信に満ち溢れているような、そんな気がするー。
好きな子の普段学校では見せてくれない
プライベートな姿にドキドキする美香姿の久雄ー。
もちろん、自分が”美香”になっていることにも
ドキドキしていたけれど、
”自分には見せてくれない姿”に、対するドキドキの方が
それを上回っていたー。
「ーーまずは何に乗る~?」
天音が歩きながらそう言葉を口にすると、
「え、え、えっとー観覧車ー」と、咄嗟に答えてしまった
美香に変身している久雄ー。
がーーー
「~~~~~~~~~~~~」
観覧車に乗った美香(久雄)は、
”好きな子と観覧車で二人きり”という状況に陥ってしまい、
ドキドキして心臓が爆発しそうになってしまったー
「ーー大丈夫ー?やっぱ顔赤くない?」
天音が、そう心配しながら
”熱”を確認するためか、突然手を触れて来るー。
その場で心臓が爆発しそうなぐらいにドキドキしてしまう美香(久雄)ー。
”ぐ…観覧車なんて選ぶんじゃなかったー
いきなりハードルが高すぎるー”
心臓がバクバクするのを感じながら
”ーし、白石さんの友達ってポジションになると
こんなご褒美が日常茶飯事になるのかー…”と、
過呼吸になってしまいそうなのを、美香の姿のまま我慢する久雄ー。
「ーーそうえいばさ~、美香って好きな男子とかいるの?」
天音がそんな言葉を口にするー。
”あぁ~…友達に話しかけるモードの白石さんもイイ…!”
いつもとは違い、親し気な話し方に、
さらにドキドキしてしまう美香(久雄)ー
”久雄”に話しかける時の天音とは大分イメージが違うー。
裏を返せば、それは
”天音が自分には心を開いてくれていない”と、
いうことなのかもしれないけれど、
”いつもと違う白石さん”が見れることにはやっぱりドキドキしたー。
「ーーえ…えっー」
美香(久雄)は戸惑うー。
”い…いや、沼岡さんの好きな男子とか知らないぞー?”
美香(久雄)は、困惑するー。
美香の姿に変身しているだけで、美香の記憶を読み取ったりだとか
そういったことはできないー。
それ故に、こんな会話をされても、勝手に答える
ことはできなかったー
「ーーう、う~ん、今は特にー」
美香(久雄)が苦笑いしながらそう答えると、
「そっか~」と、天音はそう言葉を口にしたー。
外の景色を見つめる天音ー。
美香(久雄)はせっかくだしー、と、天音に何か話しかけようとするも、
ドキドキしてしまってそれどころではないー。
自分自身が、女子の姿になっていることもそうだしー、
自分の口から出る声が”美香”のものであることもそうだしー、
何より、”好きな子と観覧車で二人きり”という状況は、
やはり、心臓が止まってしまいそうだったー。
「ーーあ、あのーす、好きな食べものはー?」
やっと振り絞った言葉が、それだったー。
「は…?」
天音が少し表情を歪めるー。
「ーーえ…あ、いやー、え、えっとー、そのー
好きな食べ物は何かな~って」
観覧車でいきなりそんなことを聞き出すのは
確かに変な気がするー、と
そう思いつつも、一度口にしてしまった以上、
それを押し通すしかなく、そう言葉を口にすると、
天音は少しだけ戸惑った様子を見せながらー、
「ち、チョコとかー?」と、そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コーヒーカップに乗りー、
思った以上に激しく回転させてくる天音を前に、
ぐるぐるしてしまう美香(久雄)ー
メリーゴーランドでちょっと一休みして、
続けてジェットコースターに乗るー。
てっきり、イメージ的に天音はこういうものを
怖がりそうだと思っていたものの、
「わたしは全然平気だから!ほら!乗るよ!」などと
半分強引にジェットコースターに引っ張られてしまい、
久雄自身は”正直あまり得意ではない”
ジェットコースターに乗ることになってしまったー。
がー、
せっかくだから、”女子っぽく悲鳴を上げて見ようー”と、
「きゃああああああああ!」などと叫んで、
ちょっぴり楽しい思いを味わったー。
「ーーふ~~…」
ジェットコースターの後にゴーカートにも足を運び、
一旦一休みする二人ー。
「あ、わたし、トイレに行ってくるねー
ここで待ってて」
天音の言葉に、美香(久雄)は「う、うんー」と
返事をするー。
トイレの方に向かう可愛らしい雰囲気の天音を見つめながら
”学校で会う時とはオーラが違うなー”と、ニヤニヤしながら
ため息をつくー。
”「ーこれで、沼岡さんに変身して、
沼岡さんのフリをして、白石さんと一緒に
土曜日、遊園地に行くのー。
普段見れない白石さんの一面とかー、
あとはホラ、”久雄のことどう思ってるか”とか、聞けるんじゃない?」”
先日、幼馴染の愛唯から変身飴のことを見せられた際に
言われた言葉を思い出すー。
がー、結局”今のところ何もできていない”し、聞けていないー。
そんな状況にため息をついてしまう。
”「ーーはははー、お前もいい加減あきらめろよ~」”
親友の高藤 俊に揶揄われたことも思い出すー。
いつも、諦めろ~!と、揶揄ってくる俊ー。
俊のことを見返してやりたい気持ちもあるー。
そんな風に思っていると、愛唯から連絡が入ったー。
”やっほ~!お昼だね!今、大丈夫ー?”
愛唯の言葉に、美香(久雄)は「あ、あぁ、大丈夫だよー」と、
天音が戻ってこないことを確認してから呟くー。
”あははー、すごいねー。本当に女子の声じゃんー
で、白石さんに”俺のことどう思ってる?”とか聞けた?”
愛唯がそう言うと、
美香(久雄)は「い、いや、まだー」と、呟くー。
”も~!せっかくの機会なんだし、ちゃんと聞きなよ!?
その姿なら、”図書委員で一緒に栗本くんのこと、どう思ってる?”とか
聞けるでしょ?”
愛唯にそう言われた
美香(久雄)は「わ、分かってるよーでも心の準備が!」と、
そう言葉を口にすると、
「そろそろ、白石さん戻ってくると思うから、切るぞ!」と、
それだけ言って、電話を切ったー。
「ふ~~~…」
ため息を今一度つく美香(久雄)ー。
正直なところ、”憧れの白石さん”のいつもと違う一面を
見れただけでも大分満足ではあったものの
やっぱり、こんな機会は滅多にないー。
ちゃんと聞けることは聞いておこうかと、
そんな風に改めて思うー。
「ーーー…美香!お待たせ~!」
そんなことを思っていると、ようやく天音が戻ってきて、
「トイレ行く途中に面白そうなの見つけたの!」と、
そんな言葉を口にして、美香(久雄)を”お化け屋敷”の方に
引っ張っていく天音ー。
「ーーえ…!ま、待って白石さん!
前にオバケとか苦手って言ってなかったっけ!?」
美香(久雄)がそう叫ぶー。
図書室でホラーモノの本を返却された際に
「ーわたし、怖いのは苦手でー」と、照れ臭そうに
話していたのを覚えているし、
期末試験が終わり、残りの授業でやることがなくなった時に
ちょっと怖い映画を先生が見せて来たことがあって、
天音が震えていた…なんて出来事も覚えているー。
「ーーーあ~~~…
ふふー
だって、その方がなんか可愛く見えるでしょ?
学校ではわたし、猫被ってるからー、ね?」
天音がそう言葉を口にすると、
「さ、いこ」と、お化け屋敷に美香(久雄)を引っ張っていくー。
”し、白石さんって学校とプライベートで大分違うんだなぁ…”
大人しいキャラも作られたキャラなのかもしれないー。
そんな、”白石さんが、プライベートの時間に友達の前だけで見せる顔”を
知ることができた、と、久雄はそう思いながら
少しだけ笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
天音は、恋愛話が好きなのか、
カーペットのアトラクションを乗り終えると、
再び、恋愛に関する話をし始めたー。
そもそも、”白石さん”に彼氏はいるのだろうかー。
それも気になるー。
「ーーーーね、ねぇー、白石さんって
か、彼氏とかいるんだっけー?」
美香に変身している久雄がドキドキしながら
そう言葉を口にすると、
天音は「ーーわたし?」と、クスッと笑ったー。
「ー彼氏は、いないよー?」
天音がそう言うと、
美香の姿をした久雄はドキドキしながら
ついに意を決して、ある言葉を口にしたー。
「ーと、と、図書委員のー
く、く、栗本くんと仲良さそうに見えたからー
ひょっとしたらー…って、お、思ってたんだけどー」
美香(久雄)が、
”自分”の名前を出すー。
他人の姿で自分の名前を出す、というのは
何とも表現しがたい新鮮な経験だったー。
「ーーーーーー」
少し間が空くー。
”自分のことをどう思っているのか”
直接聞くことはなかなか難しいし、
天音のようにプライベートと学校での態度をガラリと
変えるような子の場合、例え、久雄が直接聞いたとしても
本音を答えてくれるとは限らないー。
がー、親友である”美香”の姿ならー。
「ーーー”あいつ”ねー」
天音がそう言葉を口にしたー。
その言葉だけでビクッとしてしまうー。
”アイツ”呼ばわりされたことに、
イヤな予感を覚えるー。
「ーーわたしが背、あまり高くないからってさー
高いところの本”俺が片付けてやるよ~”みたいな感じで
正直、むかつくんだよねー」
天音がそう言い放つー。
「ーーえ…」
美香(久雄)は、表情を曇らせるー。
確かに、そうしてはいるー。
けれど、”俺が片付けてやるよ~”なんて偉そうな振る舞いをしたことは
ないつもりだったし、
馬鹿にするような意図は、本当に何もなかったー。
「ーー絶対、わたしのこと見下してるよねー。
いつも、にこにこしてやってるけど
マジでムカつくー」
天音が吐き捨てるようにして言うー。
「ーそれとさ、わたしのこと好きなのか知らないけど、
な~んかチラチラ視線感じる気がして
キモいんだよねー。
できるだけ話しかけてほしくないし、関わらないでほしいって
感じかなー」
天音の言葉は止まらなかったー。
心底、苛立っている様子だー。
あの大人しい”白石さん”にここまで言われるとは思わなかったー
いや、これが素なのだろうけれどー、と
思いつつ、美香の姿をした久雄は思わず、
「ご…ごめんー」と、そう言葉を吐き出してしまうー。
「え?あはー…なんで美香ちゃんが謝るの?」
天音の言葉に、美香(久雄)は
「あ、ううんーそのー、嫌な話させちゃったみたいだからー」と、
咄嗟にそう言葉を口にすると、
天音は”好みのタイプ”の話もし始めたー。
だがーー
天音の言う好みのタイプは”久雄”とはかけ離れたことばかりで、
”久雄”に脈など全くないー、ということを
イヤでも美香(久雄)は感じることしかできなかったー。
「ーーー…あ、ごめんねー
次は何に乗る?」
天音の言葉に、
美香の姿をした久雄は、その場でがっくり座り込んでしまいそうに
なりながらも、何とか意識を保って、
「ーーえ…えっとー、な、なんでもいいよー!」と
そう言葉を振り絞るのだったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
とんでもないことを聞かされてしまった久雄くん…!
次回が最終回デス~!
今日も暑いので、気を付けて過ごしてくださいネ~!
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