<入れ替わり>そんなこと言ってません③~通報~(完)

”そんなこと言ってません”

昨夜、自分から入れ替わりを持ちかけて来たOLの女は、
その一点張りー。

犯人扱いされて困惑する彼は、
昨日、二人が飲んでいたお店を訪れるも…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーあぁ、昨日のー」

昨夜、二人が偶然居合わせた居酒屋に行くと、
居酒屋の店主のおじさんが苦笑いしながら
話に応じてくれたー

「そ、それで、お、俺たー…
 い、いえ、わたしたち、どんな話をしてたか、
 覚えてませんかー?」

紗友里(俊介)がそう言葉を口にするー。

流石に”入れ替わっちゃったんです”と、店の人に言っても
信じてくれないだろうし、
頭のおかしなやつだと思われてしまうことを避けるために、
お店に来るまでに事前に二人で相談しておいて
”相手のフリ”をすることに決めていたー。

がー…
俊介(紗友里)の方は
”俊介の身体で、俊介のフリをして喋ること”すら
イヤなのか、居酒屋についてからは口を閉ざして、
不機嫌そうに腕組みをしたままだー。

仕方がなく、紗友里(俊介)が中心となって
居酒屋の店主に話を聞くー。

「あ~~なんか、色々話をしてたねー。
 だから、俺も結構印象に残っててさー」

店主のおじさんがそう言葉を口にするー。

どうやら、紗友里と俊介が色々話をしていたおかげで、
この店主も二人のことを覚えていたようだったー。

「ーーーそれで、”入れ替わり”とか、
 わたしか、ーお…じゃない…え、っと、あっちの人が
 言ってませんでしたかー?」

紗友里(俊介)はぎこちなく紗友里のフリをしながら
店主のおじさんに確認するー。

「ーーーあぁ、言ってたねぇ
 随分変な話してるなぁ、って思ってさー
 よく覚えてるよ」

店主のおじさんが笑いながら言うー。

その言葉を聞いた瞬間、紗友里(俊介)は、
安堵の表情を浮かべたー。

昨日ー、酔っ払っていた紗友里は
大声で”入れ替わりがどうこう”と叫んでいたー。

賑わう店の中でも、さすがにあんなに大声で喋っていれば
店主の耳にも入ったのだろうー。

だが、いずれにせよこれで、
疑いを晴らすことができるー。
残る問題は”元に戻る方法”だろうかー。

「ーそれで、”どっち”が入れ替わりしよう!って言いだしたの!?」
それまで黙っていた俊介(紗友里)が会話に割り込んでくるー

「え…」
紗友里(俊介)は”相手のフリしようって言いだしたの、そっちじゃんー”と
心の中でツッコミながら、平気で女のような話し方をする
俊介(紗友里)のほうを見つめるー。

そんな視線をお構いなしに店主のおじさんに
”最初にどっちが話をし始めたのか”を確認する俊介(紗友里)ー

「あぁ、たしかー。
 そっちの女性の方から、お客さんに声をかけてた気がするねー。
 最初は知り合いなのかなぁ、って思って見てたんだけどー」

店主のおじさんはそう呟くー。

おじさんはしっかり覚えていたのだー。

”紗友里”から”俊介”に声をかけたことをー。

「ーそれで、確か入れ替わりの飲み物が何だとか、
 話を始めて…
 お客さんの方が戸惑ってた感じだった気がするよ」

店主のおじさんは、俊介(紗友里)のほうを見つめながら
そう言い放つー。

つまり、”紗友里”から”俊介”に声をかけて
入れ替わりを持ち掛けたのを見た、と
おじさんはそう言ってるのだー

「ーーー…あはは!そうですよね!ありがとうございます!」
紗友里(俊介)は思わず”ざまあみろ!”と思いながら
嬉しそうに笑顔で、店主のおじさんにそう声をかける。

しょんぼりした様子の俊介(紗友里)ー。

自分がいかに思い込みの激しい女であるか、
これでよく理解できたことだろうー。

紗友里(俊介)はそう思いながら
「ーすみません。お昼の営業中にー。」と、
改めてお礼の言葉を口にすると、
店主のおじさんは「ちょうどお客さんも切れてる時だったし、全然いいよ」と、
気さくに応じてくれたー。

こうしてー、”入れ替わりで強引に身体を奪った変態野郎”
という汚名を晴らすことができたのだったー。

ーーと、そう思っていたー。

紗友里の家に戻り、
紗友里(俊介)が「それで、ごめんなさいは?」と、言葉を口にするー。

家に戻って来るまでの間、俊介(紗友里)は一言も
言葉を発しなかったー。
相当、自分の言っていることが間違っていたという現実に
ショックを受けたのだろうかー。

そう思っていると、ようやく俊介(紗友里)が、
不満そうに言葉を口にしたー。

「ーーあのお店の人もグルだったんですねー」
とー。

「ーーは?」
紗友里(俊介)は表情を歪めるー。

「ーホント、失望しましたー
 そうやって女の人を騙して、傷つけてそれで満足ですかー?
 お店の人と組んで、わたしを陥れようとするなんて、最低!」

俊介(紗友里)の言葉に、
紗友里(俊介)は「は?おいおいおいおいー…え?何でそうなるの?」と、
あまりの言われように、困惑の表情で言葉を吐き出すー。

「ーだって、そうに決まってるじゃないですかー
 わたしは”入れ替わりましょ”なんて絶対に言ってないし、
 そもそもあの店に確認しに行こうって言いだしたのもそっちですよねー。

 最初からあの店の人とそうやって打ち合わせしてたから
 そういうこと言ったんでしょ?

 二人でわたしを陥れて、わたしの身体を奪ってー、
 それで満足? この変態!」

俊介(紗友里)は、そう吐き捨てるように言葉を口にするー。

「ーーい、いやー…そ、そんなことするわけないだろ!
 何でそんな考えにたどり着くんだよ!」

紗友里(俊介)が、思わず声を荒げるー。

「ーーー早くわたしの身体を返してください!」
俊介(紗友里)が涙目で腕を乱暴に掴んでくるー

「は、離せよ!人を犯人扱いしてー…一体何なんだよ!」
紗友里(俊介)も、もう冷静ではいられなかったー。
声を荒げながらそう言い放つと、
俊介(紗友里)は「もう、通報しますからー」と、
うんざりした様子でスマホを操作し始めるー

「おい…!やめろって!
 お前が入れ替わりたいって言って来たんだろ!?」

怒りを爆発させる紗友里(俊介)ー

「しかも何度も何度も断ってる俺に
 無理矢理ー…
 一体何のつもりなんだよ!?おいっ!」

紗友里(俊介)が、怒りの形相で叫ぶー。

それでも、俊介(紗友里)は止まらず、
「警察に通報されないようにって、必死ですねー。
 そんなに慌てるのは、自分が犯人だと言ってるようなものですよ?」と、
苛立ちを隠さずにそう言葉を口にしながら
スマホで、警察に電話をし始めるー

「いい加減にしろよ!!!くそ!!!」
紗友里(俊介)が叫ぶー。

がーー
ついに、俊介(紗友里)は警察に通報してしまったー。

”身体を男に奪われた”と、説明する俊介(紗友里)ー。
しばらく警察と話をしていたー。

入れ替わりドリンクで身体を奪われたなどと説明しー、
居酒屋で飲んでいたところ、”勝手に”俊介に身体を奪われた風で、
話を進めているー。

やがて、警察が来てくれることになったのか、
電話を終えると、
「じきに警察の人がここに来るんで」と、
俊介(紗友里)はそう言葉を口にしたー。

「ーー入れ替わりドリンクとかいう変なもの持ってたのは
 そっちじゃないかー」

紗友里(俊介)は大きくため息をつきながらそう言うと、
俊介(紗友里)は「あれは、いつかイケメンの彼氏が出来たら
入れ替わろうと思ってたの!あんたみたいな奴と入れ替わるわけないでしょ!」と、
声を荒げたー。

紗友里はー、昔から思い込みの激しい性格だったー。
しかも、酒癖も最悪で、そんな性格から会社でも孤立していたー。
しかし、彼女の性格上”悪いのは周囲”と、紗友里自身は思い込んでいて
ストレスをためて”可哀想なわたし”の息抜きとして
海外旅行に行った際に、”入れ替わりドリンク”を手に入れたのだー。

そして、いつの日にか”わたしを迎えに来てくれる白馬の王子様”と
入れ替わることを夢見て、それをいつも大切に持ち歩いていたー。

…がー、酔っ払った彼女は昨日、それを使って俊介と入れ替わったのだったー。

「ーーーー…」
紗友里(俊介)は表情を歪めるー。

とんでもない女に捕まってしまった、と、思わずにはいられないー。

「ーー何であんたが”被害者”みたいな顔してるの?」
俊介(紗友里)が不愉快そうに言葉を口にするー。

「ー職場で仲間外れにされて、疲れて飲んでただけなのに、
 せっかく手に入れた入れ替わりドリンクを盗まれて勝手に使われて、
 身体まで奪われて!
 何なの!?ねぇ、何なの!?」

俊介(紗友里)の不満が爆発するー。

が、紗友里(俊介)は、
もはや呆れて反論する気力もなくしてしまったー。

「ーーそんなんだからー…孤立するんだろ」
ボソッと呟くー。

”紗友里”が、どうして孤立しているのかは知らないー
”職場で孤立している”というのも思い込みかもしれないし、
本当かもしれないー。

”こんな性格だから”孤立したのかもしれないしー、
”孤立してイヤな思いをしたから”こんな性格になったのかもしれないー。

でも、いずれにせよー、
”俊介”からしてみれば、この状況は災難以外の何物でもないー。

「ーーはぁ???? もう、絶対に許せない!」
俊介(紗友里)が怒りの形相で紗友里(俊介)の腕を思いっきり引っ張り、
暴力を振るうー。

”男”の力を振るいー、”女”になった紗友里(俊介)を傷めつけるー。

がー、やがて警察が到着すると、
途端に暴力をやめて、
「ーあいつが勝手にわたしの身体を!」と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーーーーーー長嶋 俊介さんですね?」
警察官が、紗友里(俊介)のほうを見つめるー。

「ーーー…そ、そうですけど…お、俺はー
 俺はその人に無理矢理ー…!」

紗友里(俊介)が怒りを込めてそう言葉を口にするー。

するとー…
警察官は手錠を取り出したー

「ー違う!違うんですよ!俺はー!」
紗友里(俊介)がそう叫ぶのも空しくー
警察官は”現行犯逮捕”として手錠をかけたー。

「ーーーーえ」

紗友里(俊介)ではなく、俊介(紗友里)にー。

「ーーーーは…はぁ!?!?!?何これ!?!?
 はぁ!?!?!?!?!?」
俊介(紗友里)の表情がみるみるうちに赤く染まっていくー。

紗友里の入手した”入れ替わりドリンク”はー、
国内で禁止されている成分も含まれている”違法”の代物ー。
それを勝手に輸入した紗友里は、既に”マーク”されていたのだー。

だがーまだ紗友里が所有者であると警察は確証を持てず、
調査を続けていたー。

がーーー…
紗友里は見張られていた。
昨日の、居酒屋でもー。

昨日の居酒屋の帰り際に俊介が目撃した
”深刻そうな表情で話をしている男二人”は、
紗友里をマークしていた警察官ー。

紗友里はそうとは知らず、自ら入れ替わりドリンクを使った場面を
既に見られてしまっていたのだー。

しかし、その場では入れ替わりの効果が出なかったため
入れ替わりドリンクを使った確証も持てず、
警察は今日まで、紗友里を泳がせていたー。

が、居酒屋の店主の証言や、
紗友里が俊介の身体で自ら通報したことにより、
紗友里は、自滅したー

「ーーちょっと!!わたしは、わたしはあいつに身体を奪われたの!!」
俊介(紗友里)が叫ぶー。

警察官は「あんたから、入れ替わりをしつこく迫ったのも店の防犯カメラで
確認が取れてるんだー」と、呆れ顔で言うー。

がー、それでも俊介(紗友里)は認めないー。

「ーはぁ!?!?あんた!警察とも組んでたのね!
 そうやって人をはめて嬉しいの!?楽しいの!?

 絶対!絶対に許さない!絶対に!!」

引きずられていく俊介(紗友里)ー。

そんな光景を呆然と見つめていた紗友里(俊介)は、
別の警察官に声を掛けられ、色々事情を聞かれることになったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間後ー。

「ー健康状態に問題はないようですねー」
警察官が、そう言葉を口にするー。

「色々ありがとうございますー」
紗友里(俊介)がそう言葉を口にすると、
警察官は「いや、大したことはできてませんよ。それにー」と、
言いながら紗友里のほうを見つめるー。

「ーー”そのまま”の姿で生活していただくことになってしまってー」
警察官が申し訳なさそうに言うー。

”入れ替わりドリンク”は、海外の組織を中心に作られている代物で、
入手は困難ー。
元に戻る方法も分からず、警察は
俊介に”紗友里の身体のまま”過ごせるよう、色々手配してくれたものの、
元の身体に戻ることはできない様子だったー。

「それで、この人はー?」
紗友里(俊介)が自分の身体となった紗友里の身体を指差しながら
そう言うと、
警察官は首を横に振ったー

「ーなんか、これはあの男の陰謀だー、とかずっと叫んでますよー
 反省の色は全くないですねー。
 入れ替わりドリンクの使用は”重罪”ですのでー、
 当分、外には出られないでしょう」

警察官のそんな言葉に、紗友里(俊介)は少し安堵しながら
「色々、お世話になりましたー」と、丁寧に頭を下げたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーはぁ…」

世間はお正月ムードで盛り上がる中ー、
紗友里(俊介)は自虐的に笑うー。

「まさかー、新年を女として迎えることになるとは
 思わなかったなー」

紗友里(俊介)はそう呟きながらため息を吐くとー、
「まぁ…前向きに考えるしかないかー」と、
この身体で生きていくことを、嫌々ながら、決意するのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最終回でした~!☆★

昨日の②を公開したあとに頂いたコメントで、
「紗友里は、店で証人を見つけても、グルだと騒ぎ始めそう」と、
頂いたのですが、
その通り、コメントを下さった方の予想的中でした~★笑
(※書き始めた作品の内容は事前に決まっているので、皆様のコメントや感想で
 変わることはないので安心してくださいネ~★!)
的中おめでとうございます~★(?)!

最後まで元に戻ることはできませんでしたが、
とりあえず疑いが晴れたので、そこは俊介にとって良かったですネ…!

お読み下さりありがとうございました~~!☆!

コメント

  1. 匿名 より:

    紗友里が証人の証言を認めずに逆ギレするとこまでは予想通りでしたが、その後逮捕されるとこまでは読めませんでした。まさに自滅ですね(笑)

    元に戻れなくなったとはいえ、俊介が理不尽な冤罪を着せられることなく、ちゃんと紗友里に裁きが下ったので安心しました。

    それにしても、紗友里は入れ替わりドリンクが重罪になることは知らなかったんですかね?

    あと、取り敢えずは丸く治まってますけど、紗友里が刑務所から出てきた後が心配ですよね。

    重罪とはいえ、まさか死刑や無期懲役になる程ではないでしょうから、いずれ必ず出てきそうですし。

    きっと、被害者意識を募らせて、身体を奪われたと逆恨みした紗友里によって、俊介が新たな災難に巻き込まれる可能性大な気がします。

    妄想ですが、紗友里が釈放された頃に俊介がの紗友里の身体に馴染んで心身ともに女性化していて、恋人(男)がいたり、あるいは結婚してたりとかしたら面白い展開になりそうな気がしますね☆

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      最後は自滅エンドでした~~!☆!

      紗友里は入れ替わりドリンクが違法なことははっきりとは
      知りませんでしたが、”堂々と手に入れていいモノではない”ぐらいには
      認識していた設定デス~!

      でも、あんな性格なので”わたしをいじめる社会が悪い”
      ”これだけ毎日頑張ってるんだから、イケメンと入れ替わるぐらい許される”と、
      思い込んでいました~笑

      …もちろん、紗友里はいつかは釈放されます~!
      その時が…怖いですネ~★!

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