＜入れ替わり＞僕らは入れ替わり部③～鑑賞会～（完）

”入れ替わり部”に入部して
部員たちと楽しい日々を送る美奈。

そんなある日、
美奈が発案した入れ替わり鑑賞会が始まるー。

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今日は”入れ替わり鑑賞会”の日ー。

美奈以外の5人の部員が、
それぞれ美奈と入れ替わり、
”5人の美奈”のうち、誰が一番”良い感じか”を
採点していくーー

そんな、お楽しみイベントだー。

放課後に部員たちが集まるー。

それぞれ、美奈と入れ替わって10分間過ごしー、
最後に”どの美奈”が一番良かったかを採点するー。

入れ替わりを楽しむうちに
”色々なわたし”を見るのが楽しくなってきた美奈が
発案したイベントだったー。

最初に、美奈と森久保部長が入れ替わるー。

既に美奈は正樹以外の部員とは入れ替わった経験があるため、
森久保部長との入れ替わりも、これが最初ではない。

「ーーへへへ　部長も少しぐらいそのー
　せっかく女の子になったんですから、楽しめばいいのにー」
正樹がニヤニヤしながら言うと、
美奈（森久保部長）は「僕はそんなことはしないさー」と、笑ったー

普段は”明るい感じの美少女”という感じの美奈だが、
森久保部長が中身だと、何だか少し頼り甲斐があるような
理知的な雰囲気になるー。

入れ替わっている間の10分間に、
それぞれ

”自分が一番可愛いと思うポーズで写真撮影”
”ちょっとしたスピーチ”
”周囲からの質問”

などを、それぞれこなしていくー

「ーーはい撮るよ～！」
男子に憧れる女子部員・翔子がそう言うと、
美奈（森久保部長）は照れくさそうに
「こ、こうかな…」とピースをするー

美奈（森久保部長）の写真を撮り終えると、
翔子は「なんか可愛いじゃん」と笑いながら
美奈（森久保部長）と、たった今撮影した写真を確認するー

森久保部長（美奈）は
そんな様子を微笑ましく見つめながら
「部長が中身だと、なんだかわたしも頼れる存在に見えますねー」と、笑ったー。

続いて、奥手な女子生徒・紗友里と入れ替わるー。

美奈（紗友里）になった瞬間に、
美奈は奥手な雰囲気になり、
スピーチも恥ずかしそうに「え～っと」や「あ～…」を多用して
話すのが苦手な雰囲気を露呈しているー

「えへへへへ…奥手な美奈ちゃんもイイー
　抜けるぜ」

正樹がニヤニヤしながら言うと、
隣にいた太った男子生徒・五郎が「細井さんに聞こえたら嫌われるぞ」と、
口を挟んだー

「分かってるってー」
正樹が紗友里（美奈）のほうをチラチラ見ながら
様子を伺っていると、視線に気づいた紗友里（美奈）が微笑むー

「うぉぉぉ！普段、あまり笑わない奥野さんの笑顔ー
　これもまたイイ！」
一人で大声で叫びながら興奮する正樹ー

五郎は呆れ顔で「ある意味単純で羨ましいよ」と、言葉を口にしたー。

美奈（紗友里）の写真を撮影するー。
美奈になった紗友里は、恥ずかしそうに目を逸らしがちな
ポーズをしているー。

さっきの”森久保部長”が中身の美奈とは
まるで別人のように見える写真が出来上がりー、
「わぁ…なんかすごいです！」と、
紗友里（美奈）が嬉しそうに微笑んだー

”明るい紗友里”の姿にも、周囲は少しドキドキしながら、
続けて太った男子生徒・五郎が、美奈と入れ替わるー。

「ーまず、やっぱり僕以外の身体になると、身軽！」
美奈（五郎）は興奮した様子で語り出すー。

太っているせいもあってか、やはり入れ替わるとまず、
誰が相手でも身軽に感じるのだというー。

「こう…なんか、身体全体が、軽いッ！」
嬉しそうに騒ぐ美奈（五郎）ー

五郎は、美奈と入れ替わっても変なことはしないもののー
入れ替わり中は誰が相手でも
ハイテンションで、滅茶苦茶喋るー。

”自分が嫌いで”入れ替わり部に入った経歴からも、
他人の身体になることに、
ドキドキ的な意味ではなく、興奮しているのだろうー。

「ーーそれと、細井さんは髪が長いから、俺からすると
　邪魔って言うか、気になるっていうかー」

「あと、やっぱスカートは落ち着かない！エロイ意味じゃなく
　単純に落ち着かない！」

「手が小さくてビビる！」

「ついでに手が綺麗」

一人で永遠と喋り続ける美奈（五郎）ー

「めっちゃ、喋るじゃん」
男子のような容姿の翔子がそうツッコミを入れると、
「俺はいつもそうじゃないですか、先輩」と、
美奈（五郎）はそう言い放ったー

「あぁぁ…一人称が”俺”の美奈ちゃんも、イイ！」
正樹は一人興奮しているー

「ーーー」
”この人が細井さんと入れ替わって大丈夫かなー？”と、
大人しい紗友里は少し心配そうに正樹のほうを見つめるー。

やがてー
”写真撮影ー”

アイドルのようなポーズをとって可愛らしくウィンクした美奈（五郎）の
写真に、正樹は鼻血を噴き出しそうになりながら
「俺は断然、美奈五郎ちゃん推しだね！」と、叫んだー。

「なんだよその呼び方ー」
森久保部長が呆れ顔で笑いながら首を横に振るー。

そうこうしているうちに、目安の10分が終わりー、
美奈と五郎は水晶玉を触って身体を元に戻ったー。

続けて4人目ー…
翔子と入れ替わるー。

見た目が男子のような風貌の翔子はー、
美奈の身体になると、落ち着かない様子で、
「ーやっぱ、何か落ち着かないな」と、少しだけ笑うー。

いかにも美少女な感じの美奈の身体は
どうにも落ち着かない様子で、
恥ずかしそうにしている美奈（翔子）ー

前に入れ替わった時も、
確かにそんな反応をしていた、と翔子（美奈）は
思い出すー。

「ーーうほぉぉぉ…クールな恥じらいもいい感じです！先輩！」
翔子は3年生のため、そんな口調で正樹が叫ぶと、
美奈（翔子）はキッと、正樹を睨みつけたー

「うほぉ！？そんな目で見つめられると、俺ー　死にますぅ！」
正樹が”美奈”に睨まれて喜んでいると、
森久保部長と紗友里が呆れ顔でそんな正樹の姿を見つめるー。

写真撮影の時もクールな笑みを浮かべながら
美奈（翔子）は写真に納まったー。

「ーー先輩の身体、健康的って感じが
　入れ替わっただけでもすぐ伝わってきますしー、
　なんだかいいですよねー」

翔子（美奈）が言うと、五郎も、
「あ、俺も！確かにいつもそう感じる！」と、笑いながら言うー。

美奈（翔子）は「健康には気遣っているからね」と、だけ呟くと、
「さ、時間だよ」と、クールな感じで、
元に戻る時間であることを告げたー。

そして、最後は正樹ー。

「本当に入れ替わるの？」
翔子が腕組みをしながら呟くと、
美奈は「え…あ、はいー」と、頷くー。

正樹と入れ替わるのはこれが初めてだー。
美奈自身は、2年生ーつまり、1学年上の先輩である正樹に対して
そこまで悪いイメージは持っていないー。

確かに下心は丸出しだが、悪い人ではないようなー、
一緒にいて、そう感じたからだー。

とは言え、森久保部長をはじめ、周囲は
”まだ彼とは入れ替わらないほうがいい”という感じだったため、
入れ替わりを控えていたー。

そのため、今日が初めての入れ替わりだー。

水晶玉に手を触れて入れ替わる二人ー。

美奈になった正樹は
嬉しそうに髪のニオイを嗅いでへらへらと笑い始めるー

「あまり、やりすぎちゃダメだぞ？」
森久保部長が諭すような口調で言うと、
「分かってますって！」と、美奈（正樹）がニヤニヤしたあとに、
「あ、美奈ちゃん！嫌なことがあったらストップかけていいからな？」と、
先に確認の言葉を入れたー。

スカートに手を触れてニヤニヤする美奈（正樹）ー

「あぁ～イイ！美少女の身体でスカート！イイ！いいぞ！」
一人で嬉しそうにしている美奈（正樹）に、
正樹（美奈）は恥ずかしそうにしながらも
「ーなんだか、わたしがわたしじゃなくて、すごいですー」と、笑うー。

続けてー指を見つめてニヤニヤしたりー、
ちょっと足に触ってみたりー、
やがてー、チラッと、美奈（正樹）は、正樹（美奈）のほうを見つめたー。

どうやら、胸を揉みたいようだー。

「ーーーえ…え～～～…」
正樹（美奈）は少し恥ずかしそうにしながら困惑するとー
「ーじ、じゃあーーー…わたしも触っていいなら、少しだけー」と、
正樹（美奈）は、正樹の身体の股間のほうを見つめたー。

別に美奈は、Hなことが好きー、とか、
そういう感じの子ではないー。
けれど、好奇心旺盛な美奈は、
男の人にしかない股間のソレが、どんな感じなのかどうかー、
ということには、興味があったー

「い、いいの！？」
思わず翔子が口を挟むと、
「ーす、少しだけなら…」と、正樹（美奈）が苦笑いしたー。

美奈（正樹）は「よっしゃあ！」と言いながら
早速狂ったように美奈の両胸を揉んで
興奮した様子で何かべらべらと喋っているー。

「思ったより柔らかい！」
「うぉぉ！なんだこの感触は！？」
「毎日自分で触り放題とか凄すぎるだろ！」
「ーーなんか、すげぇ気持ちイイー」
「ーうあっ！これは、なんか病みつきにー」

美奈（正樹）が、ニヤニヤしながら
普段絶対に見せない、”欲望に満ちた美奈の顔”を見せているー

「ーほどほどにしておくんだぞー？」
森久保部長が呆れ顔で笑うと、
美奈（正樹）は「部長！ルールは守りますから大丈夫ですよ」と、
ニヤニヤしながら叫んだー。

確かに相手の同意はあるしー、
相手の身体を傷つけることはしないというルールも、
部室の外に出ないというルールも守っているーー。

森久保部長は少し苦笑いしながらも、
それ以上は何も言わなかったー

正樹（美奈）は、ズボンの上からそれを触っていたら
勃起してしまったのか「な、な、なんですかこれ！？」と、
戸惑っているー。

そういうことが起きるのは知っていたけれど、
実際に経験すると、戸惑うし、どうすればいいのか分からない。

「うわっ！岡島！変態！」
翔子がイヤそうに叫ぶー。

「ーえぇっ！？俺ですか！？」
美奈（正樹）が、自分の名を呼ばれたことに、そう反応すると、
翔子は「あんたの身体が変態だから、あんな風になっちゃうんでしょ！」と、
イヤそうに叫んだー。

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やがてー、美奈と正樹は元に戻り
”5つの美奈”の写真が黒板に掲示されたー。

ピースしている美奈（森久保部長）の写真ー
恥ずかしそうにしている美奈（紗友里）の写真ー
クールな雰囲気の美奈（翔子）の写真ー
アイドルのように可愛さを振りまく美奈（五郎）の写真ー
ニヤニヤしながら蟹股で笑っている美奈（正樹）の写真ー

「ーー岡島モードの細井さん、最悪だろー」
五郎が思わず突っ込むと、
「ーあのタイミングで撮影されるとは思わなかったんだよ！」と、
正樹が笑いながら言い返すー。

美奈を含む6人は、それぞれの美奈に100点満点で採点していくー。
最大で600点ー。
一番点数を獲得できた人が今回のイベントの優勝だー。

6人の部員はワイワイガヤガヤと色々騒ぎながらー
採点を終えてー、
今回は可愛さを振りまく五郎の写真が575点を獲得して優勝したのだったー

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どうして、”入れ替わり部”を始めたのかー

どうして、”入れ替わり部”には、
色々なルールがあるのかー。

それはーー

”戒め”ー。

己が、どういう存在であるか、ということを
忘れないようにするためー

部員たちが帰り、
部室の片づけをしながら
森久保部長は、2年前のことを思い出していたー

「ーーーー…」
ベッドに横たわる自分ー。

余命あとわずかの自分ー。
看護師にも手伝ってもらってネットで見つけた
”水晶玉”を購入したー。

その”効果”を隠しながらー。

何とかして、彼は”死を回避する方法”を探していたー。

そしてー、
見つけてしまったのだー。

”おじいちゃんー”

意識が薄れていく中ー、
高校に入学したばかりの孫がやってきたー。

彼は、朦朧とする意識の中で、
必死に頼み込んだー

”一緒に、その水晶玉を触って欲しいー”
とー。

孫は、何も疑わずに応じてくれたー

そしてー
彼は、孫の身体と自分の身体を入れ替えて、
孫の人生と身体を奪ったー。

程なくして、”既に意識が朦朧としていた身体”になった孫は
意識を失い、苦しそうにしながら、
数日後に息を引き取ったー。

孫である森久保　勝彦と入れ替わった”おじいちゃん”は、
”自分の代わりに苦しみながら死んでいく孫”を見てー
死ぬほど後悔したー

”死にたくない”と思う気持ちばかりが膨らみ、
孫の身体を盗み、孫を殺してしまったー。

入れ替わり部で使っている水晶玉は
その時の水晶玉。

祖父の蔵から見つけたのではない。
祖父であった自分自身がネットで注文しー、
みんなが部長と慕うこの身体を奪ったのだー。

森久保勝彦としてー
孫の身体で大学生として過ごしているとー
つい”そのこと”を忘れそうになるー。

自分は、孫の身体と人生を奪った邪悪なる老人であることをー

だから、入れ替わり部を結成したー。
毎日、入れ替わり部として活動していればー
イヤでも”己がどんな存在であるか”を忘れることはないし、
思い出すー。

孫の身体を奪った自分は永遠にこのことを忘れるわけにはいかないー。
永遠に、己の罪に苦しみながら生きていくー

ルールをしっかり定めているのも、
”ルールがないと、自分のように他人の身体を奪う選択をするものが
　出て来るかもしれない”という危惧からだー。

人は、過ぎたる力を手に入れれば、悪魔になってしまうー。

「でもー」
森久保部長（祖父）は、少しだけ穏やかな表情で呟くー

楽しそうにしている部員たちと一緒にいる時間はー
彼自身も楽しんでいるー。

これからもー、
”入れ替わり部”での時間は大切にしていきたい。

そう思いながら、森久保部長（祖父）は、
水晶玉を鞄にしまい、部室を後にするのだったー

おわり

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コメント

「僕らは入れ替わり部」の最終回でした～！★

新入部員がやってくる編や、
初めての外での入れ替わり編、
親友が見学に来ちゃいました編…
色々、やろうと思えばできそうな気もしますネ～！笑
（やるかどうかは未定デス～）

お読み下さりありがとうございました～！