とある高校ー
そこには”入れ替わり”を毎日のように楽しんでいる
”入れ替わり部”が、存在したー。
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今年入学したばかりの
細井 美奈(ほそい みな)は、
どの部活に入部しようか、頭を悩ませていたー。
同じ中学出身の茉莉花(まりか)と
部活の一覧を見つめながら二人で色々と話をするー
「ーわたしはテニス部にしようかな~」
茉莉花がそんな言葉を口にするー
茉莉花はスポーツが好きで中学時代も
テニス部に所属していたー。
「ーーあははー、やっぱりー」
そんな茉莉花に対して、笑いながらそう答える美奈ー。
「ー美奈はやっぱりー、運動以外の部活だよね?」
茉莉花の言葉に、美奈は頷きながら「そうだね~」と、
部活の一覧を見つめるー
美奈は小さい頃から、身体が弱く、
時々体調を崩すー。
明るい性格故に、そのことを悲観するようなことはなく、
それが原因でいじめを受けるようなことはなかったものの、
体質的に運動部に所属するのは難しいー
「ーーーでも、美奈の好きそうな部活、たくさんあるじゃん」
茉莉花が笑いながら言うー。
この高校は部活が妙に豊富だー。
ルール違反には厳しいものの、その他の部分は”自由な校風”が売りの
高校で、その通り、部活もバラエティ豊かだ。
「ーーこれとか、これとか、これとか!」
茉莉花が楽しそうに色々な部活を指さしていくー
”ゲーム研究部”
”宇宙の果てには何があるのかを追求する会”
”ファッション部”
”カップラーメン同好会”
”お金の研究会”
”カブトムシ同好会”
”入れ替わり部”
”チャーハン部”
”台風50号同好会”
”非常口の人を崇める会”
怪しげな部活がたくさん並んでいるー。
”自由すぎるでしょ”と、思いながらも、
美奈は「この中なら”ファッション部”とか”入れ替わり部”かなぁ」と、
笑いながらそう答えるー
「ーまぁ、美奈なら可愛いし、どこの部活でも歓迎されるでしょ」
そんな茉莉花の言葉に、
美奈は「そ、そ、そんなことないでしょ?」と少し照れくさそうに笑うー。
美奈は、とても可愛いー。
本人は昔からあまり自覚していないようだったが
茉莉花から見ればすごくかわいかったし、
実際に中学時代も男子生徒たちが”一番可愛いのは細井さん”とか、
よく、そんな言葉を口にしていたー。
気を取り直して、部活の一覧を再び見つめるー。
「ー入れ替わり部って、要するに演劇だよね?たぶんー」
茉莉花が説明を読みながらそう呟くー。
説明によれば、3年生の男子生徒・森久保(もりくぼ)部長が、
祖父の蔵を整理している最中に発見したという”入れ替わり薬”を
使って毎日”入れ替わり”を楽しむ部活、とされているー。
「ーーーう~ん…どうなんだろうー」
美奈は苦笑いするー。
まぁ、実際に入れ替わりなどあるはずがないー。
十中八九、茉莉花の言う通り
”入れ替わった気分”になりながら色々楽しく過ごす
部活なのだとは思うー。
「この台風とかチャーハンとか非常口はそもそもヤバくない?
意味が分かんないしー」
茉莉花が笑いながら言うと、
美奈は「う~ん…チャーハンはチャーハン食べるんじゃない?」と、
少しだけ笑いながら、部活選びを続けたー。
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中学時代に演劇部に所属していた美奈は、
なんとなく”入れ替わり部”なる部活に興味を惹かれたー。
この学校には”演劇部”もあるのだが、
”入れ替わり部”というとんでもない部活に
好奇心が湧いて来たのだー。
そしてーー
美奈は今日ー、入れ替わり部の見学にやってきていたー
「ーーあの…」
美奈が緊張した様子で部室の中に入っていくと、
整った顔立ちの男子生徒が「え」と、不思議そうな表情を浮かべたー
「ーーあ…い、いえ…ここ、入れ替わり部の部室ですよね?」
美奈がそう言うと、
「そ、そうだけど?」と、男子生徒が少し首を傾げたー。
「あ、はいー…
そのーなんて言うかー…
”見学”しに来ましたー」
美奈がそう言うと、
「えぇっ!?見学!?」と、その男子生徒は
美奈のほうを見て目を輝かせたー。
「ーーダメ、ですかー?」
あまり歓迎されていない反応に感じた美奈が不安そうにそう言うと、
その男子生徒は「いや、いや、ダメなんてことないよー」と、
急にハイテンションになると、
「ー”入れ替わり部”なんて怪しげな名前の部活だからねー
ほとんど誰も見学なんか来ないし、びっくりしちゃって」と、
微妙な反応をした理由を弁明したー。
そして、その整った顔立ちの男子生徒は笑みを浮かべたー
「部長の森久保(もりくぼ)ですー。
初めましてー歓迎するよ」
さわやかな雰囲気でそう言い放った部長の森久保 勝彦は、
笑みを浮かべながら
美奈を部室の中に案内したー。
「ーお邪魔しますー」
美奈がそう言うと、入口からは死角になっていた場所に
髪がボサボサの太った男子生徒と、暗そうな眼鏡の女子生徒、
それに短い髪の男子生徒がいるのが見えたー。
「ーーあぁ、ちょうどいま、話し合いをしていた最中でねー」
森久保部長がそう言うと、
美奈は「話し合い…ですか?」と首を傾げるー。
「あぁ、僕らは入れ替わり部だからねー。
今日は、どの組み合わせで入れ替わって、何をするか、
と、いうことを話していたのさ」
森久保部長がそう言うと、
髪がボサボサの太った男子生徒が、
「俺たち、毎日こうして入れ替わりを楽しんでいるんだよー」と、
ニヤニヤしながら呟いたー。
「ーあぁ、彼は立山(たてやま)君だー
見た目はちょっと威圧感があるかもしれないけど、
優しいやつだから、怖がらなくていいー。」
森久保部長のそんな言葉に、美奈は立山 五郎に対して
頭を下げるー
五郎は美奈の可愛さにドキッとしたのか
少し照れくさそうに頭を下げたー。
眼鏡の女子生徒はオドオドした様子で
美奈が視線を向けると目を逸らしてしまうー。
「ーーあの…入れ替わりってー
こんなこと聞いちゃだめなのかもしれないですけど、
”演劇”みたいなものってことですよねー?」
美奈の言葉に、森久保部長は「あははー」と、笑うと、
「みんな、最初はそう言うよー」と、笑みを浮かべながら口にするー。
「最初はー…と、いうか、まぁ
顧問の先生は今でもそう思ってるー」
森久保部長の言葉をそこまで聞くと、
美奈は「えっ……まさか本当に入れ替わりできるんですか?」と、
首を傾げながら呟くー。
昔から好奇心の強い美奈は、
”もしかしたら本当に入れ替わりができるかもしれない”ということに
興味津々だったー。
そんな美奈を見て、
森久保部長は笑うー
「それが、”入れ替わり部”だからね」
とー
「僕たちはこの部室で毎日のように
”入れ替わり”を楽しんでいるー」
森久保部長は言うー。
”他人の身体に興味がある者”
”自分のことが嫌いな者”
”なんとなく好奇心で集まった者”
そういったものが、この入れ替わり部に
集まっているのだとー。
「ーー部活の案内にも書いたけどー
祖父の蔵を整理している時に
偶然”他人と身体を入れ替えることのできる水晶玉のようなもの”を見つけてねー
これを使って、僕たちは入れ替わりを楽しんでいるのさー」
森久保部長の優しい口調でそう語るー
とても、ふざけて言っているようには思えないー。
美奈が、そんな話を真剣に聞いていると、
森久保部長は少しだけ笑ったー
「君はどうやらー、笑わないようだね」
とー。
「ーーえ?」
美奈が聞き返すー。
「ーいやー
大抵、この話をすると
笑うか、馬鹿にするか、僕たちを”頭のおかしなやつだと”
決めつけるかー
そんな反応をする人ばかりだからさ」
森久保部長の言葉に、
美奈は少しだけ照れくさそうにしながら
「部長が、嘘をついているようには見えなかったのでー」と、
言葉を返すー
「はははー、嬉しいねー。
よし、特別に”入れ替わり”を実際に見せてあげよう」
森久保部長がそう言うと、
太った男子生徒の五郎が「部長が入れ替わりを披露するなんて
珍しいなぁ」と、隣にいた眼鏡の女子に喋りかけるー。
「ーうん」
眼鏡の女子が頷くと、
部長は「よし、川森(かわもり)さんー入れ替わろう」と、
髪の短い男子生徒に声をかけたー。
「ーーオッケ」
川森さん、と呼ばれた生徒がそう返事をして、
美奈はあることに気付くー
てっきり、男子だと思っていたがよく見ると女子のようだー。
男子のような風貌で、ジャージ姿のため気付かなかったー。
「ーーあぁ、彼女は、川森 翔子(かわもり しょうこ)さんー。
”男子になりたい”って夢を叶えるためにこの部活に入ったんだー」
森久保部長がそう紹介すると、
翔子は「よろしく」と、美奈に対して少しだけ笑ったー
「ーよ、宜しくお願いしますー」
なんだか、イケメンと話しているような気がして、
少しドキッとしながらそう言うと、
翔子は部長と共に、不思議な水晶玉のようなものを見つめるー。
「入れ替わる方法は簡単さー。
入れ替わる二人が、この水晶玉に手を触れる」
そう言いながら、森久保部長が翔子と共に
水晶玉のようなものに手を触れるー。
すると、その瞬間ー
二人はびくっと震えてー…、
すぐに翔子の方が笑みを浮かべたー
「ーどうだいー?ご覧の通り、僕が川森さんの身体になったよー」
翔子(森久保部長)がそう言い放つー
「ーー部長」
森久保部長(翔子)が、少しだけ表情を歪めながら言うと、
「ー彼女からしたら、演技してるようにしか見えないんじゃないかな?」
とー、ツッコミを冷静に入れるー。
「ーーん」
翔子(森久保部長)は少し照れくさそうに髪を掻きむしりながら、
「ーあぁ、確かにそれもそうだねー」と、笑うー。
美奈は「ーい、今、本当に入れ替わってるんですか?」と、
少し不思議そうに確認すると、
太った男子生徒・五郎が
「俺も最初は”絶対嘘だろ!”って思いましたよー」と、
部長のほうを見て笑うー。
「ーははは、そう言えば立山くんもそう言ってたねー」
翔子(森久保部長)がそう言うと、
森久保部長(翔子)に対して
”とりあえず一旦戻ろう”と、言葉を口にしー、
再び水晶玉に触れて元の身体に戻ったー。
「ーまぁ、こうして僕たちは毎日入れ替わりを楽しんでいるんだけどー、
どうだい?細井さんも、体験してみないかい?
これが、演技じゃないと知るには
体験するのが一番手っ取り早いー」
森久保部長からそう言われて、
少し恥ずかしそうにしていると、
森久保部長はそれを察したのか、
「ーいきなり男子と入れ替わるのはハードルも高いだろうから、
奥野(おくの)さんと入れ替わるといい」
と、眼鏡の大人しそうな女子生徒、奥野 紗友里(おくの さゆり)に
声をかけたー
「あ、はいー…よろしくお願いします」
紗友里のそんな言葉に、美奈は少し緊張を解いて、
「じ、じゃあー、せっかくなので、宜しくお願いしますー」と
笑顔で返事をして、
そのまま”初の入れ替わり”を体験することになったー。
水晶玉に手を触れるー。
するとーーー
「ーー!!」
一瞬、感じたことのない、魂が抜けるような感覚がして
驚くと同時にー
”自分が立っていた位置とは違う位置”に
一瞬で移動したー。
最初は、瞬間移動したのかと思ったけれど
”手”を見て、すぐにそれは違うと理解したー。
同性の手だろうと、
人それぞれ、手の形も肌の感じも違うー
「ーー…!」
紗友里になった美奈は、目の前に”自分”がいることに驚きー
「あ…!!!わ、わたしが…目の前に!」と、思わず声を上げるー。
しかも、その声は”自分”の声ではなく、紗友里の声ー
驚きながらも「すごい…!」と、声を上げる
紗友里(美奈)の様子を見て、
森久保部長たちは、”入れ替わり初体験”の初々しい美奈の様子に
笑みを浮かべたー。
「ーー…わ、わたしも…この部活に入部していいですか?」
紗友里(美奈)が、目をキラキラ輝かせながら言うと、
「もちろんー。歓迎するよ」
と、森久保部長は笑みを浮かべたー。
こうして、美奈の”入れ替わり部”での楽しい日常が
始まったのだったー。
②へ続く
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コメント
”入れ替わり部”がもしも学校にあったら?
そんなテーマで考えた作品デス~!
次回以降も、入れ替わり部の日常を
楽しんでくださいネ~!
コメント
入れ替わり部すぐ入部します笑
その水晶使って
ちむちゃんのカラダと入れ替わりたいです笑
ちむちゃんのJKの制服姿もいいですね♥️
スカート短くして大きめのカーディガン着てルーズソックス履いてギャルカワ系に着こなしたいです笑
早速入部届を書いて提出するのデス~!笑☆
早速入部届けを書いて提出します!笑
ちむちゃんのカラダと入れ替わってそのまま退部届け出すのです\(^o^)/!笑
持ち逃げ部員…★!
大変なことになりそうデス…!