ある日、突然美少女になった男子大学生。
調子に乗ってしまった彼は、
その容姿を利用して金を稼ぎ始めた…
そしてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーありがと~~♡」
巫女服姿で動画を配信しながら、
”投げ銭”をしてくれた人に対して
嬉しそうに手を振って見せる哲哉ー
その姿は”あざとい”としか言いようがなかったもののー、
親友の耕平も認めるぐらいの、
まるでアイドルのような美少女っぷりに、
みるみると、哲哉の収入は増えて行ったー。
容姿に恵まれた悪女が、
怖いもの知らずに、それを全力で悪用しようとすれば、
ここまで金を稼ぐことができてしまうー。
それを、今の哲哉ー
女体化した哲哉は体現しているかのようだったー。
「ーーお前、いい加減やめとけってー」
呆れ顔で呟くのは、親友の耕平ー。
哲哉は既に大学を辞めているー。
女体化してから1年近くー。
女体化した直後から大学には通っておらず、
女体化してから1か月のタイミングで
大学も、元々やっていたバイトもやめたー。
”家”に関しては何とかアパートを女体化した後の自分の偽名ー…
”菜々花”で借りることに成功し、
今、こうして菜々花としてアパートに住んでいるー。
「ーーー…確かにこの1年間ー何にもなかったみたいだけどさー
今みたいなこと続けてると、絶対いつか襲われたりするぞ?」
耕平の言葉に、哲哉はにこっと笑うと
「大丈夫大丈夫ーみんなちょろいもんだぜ」と、
イスに寄りかかりながら笑ったー。
ゲーミングチェアに寄りかかりながら
足をぱたぱたとさせる哲哉ー
このゲーミングチェアも
”欲しいものリスト”から、ファンが買ってくれたものなのだと言うー。
「でもさ、やばくねー?
”俺が俺のまま”だったら、絶対今と同じことやっても
誰からも相手にしてくれてないだろうしー
だってさ、俺が言うのもなんだけど、
別に俺の配信、特別なことしてるわけじゃないし、
面白くもないじゃん?」
可愛い顔して、とんでもないことを言い始める哲哉ー
耕平はぼーっとした状態でそれを聞いているー。
「ーー面白くもねぇ俺の配信もさ、
こういうエロいの着て、可愛いを振りまくだけど、
投げ銭がポンポン届いて
挙句の果てにゲーミングチェアだぜ?
しかもほら、あれも見ろよー、
ゲーステ5!今、全然手に入らないゲーム機まで
送ってきてくれたんだぜ?
笑っちまうよな」
哲哉がゲラゲラ笑いながら、
自分の手を嬉しそうに眺めるー
「ーお前…今の言葉聞かれたら絶対刺されるぜ?」
親友の耕平が心底呆れた、と言わんばかりの表情を
浮かべながらそう呟くと、
哲哉が「刺されない刺されないー」と、笑いながら
首を横に振ったー
「お前なぁー…女になったばりの頃、俺に押し倒された時
すげぇ焦ってたじゃないかー
もう忘れたのかよ」
耕平はなおも呆れ顔で言うー
「あ~そんなこともあったなぁ~
でもほら、家には知らないやつ上げないし、大丈夫大丈夫ー」
哲哉が笑うー。
「ーはぁー」
哲哉は何を言っても言うことを聞きそうにないー。
親友の耕平はあきれ果てながら
”こいつに何を言っても無駄そうだなー”と、
心の中で諦めの言葉を呟いたー。
それからもー
哲哉は”美少女”として金稼ぎを続けたー
色々なコスプレ衣装を購入しては
配信をして、
投げ銭を貰ったりー、
メイドカフェでのバイトで金を稼いだりー、
個人的に男と会ってー…
裏垢女子のようなことまで始めるー。
その都度、親友の耕平は
「そんな生活いつまでも続けてたらやばいって!」と、
哲哉に苦言を呈したものの、それでも哲哉は
止まらなかったー
”男がどうすれば喜ぶか”知っているからだろうかー
”その容姿がとても恵まれているから”だろうかー
それともー
”元々女性として生きて来たわけではない哲哉は
怖いモノ知らずで、男性感覚で、可愛いを振りまいているから”なのかー
哲哉は、社会人になった耕平以上の収入を得てー
悠々自適と生活を続けていたー
さらに数年が経過したー。
耕平が心配したようなことは起きず、
今でも哲哉は”可愛い”を振りまいて金を稼ぎまくっていて、
最近は、高級ブランドばかり買ったりしているー。
「ーひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃくまん!?!?!?」
耕平は思わず声を上げるー
「へへへ そうそうー
”菜々花”の熱烈的なファンのキモイおっさんでさー」
哲哉がそう笑いながら言うー。
菜々花とは”女体化した姿で活動する哲哉の偽名”だー。
「ーーーー仮にも100万円投げてくれたおじさんを
キモイおっさんとかー
お前ーー美少女になってから性格まで歪んでないかー?」
困惑する耕平ー。
耕平はそわそわした様子を見せながら、
哲哉のほうを見つめているー。
哲哉は「はははー別にお前がそんな風にならなくてもいいだろ?
どうせ、何かあったとしてもその時は俺の責任なんだし、
俺は俺なりに気を付けてるからさー」と、笑うー
「ーーーーーー」
耕平は、そんな哲哉を見つめながら首を横にすると
ため息をついてから立ち上がるー
「ん?どうして?」
ニコニコしながら哲哉が言うとー、
「ー俺、これ以上、お前に付き合ってられねぇわ」
と、耕平が言葉を口にしたー
「え…?なんだよ急にー」
哲哉はそこまで言ってから、
”あぁー、そういや、耕平のやつ、給料あんま上がらなくて
嘆いてたな”と心の中で思い出すと、
「ーーまぁまぁ、俺が羨ましいのは分かるけどさー
お前は親友だから、金なら少しぐらい毎月援助してやってもいいぜ?」
と、笑いながら言うー
「ーは、はぁ!?」
耕平は突然の哲哉の言葉に困惑したー
「ーーそ、そんなんじゃねーし!
確かにお前みたいにポンポン金は入ってこないけどさ!
生活していけるぐらいはあるし!」
耕平が少しムキになって言うと、
哲哉は「じゃあ、何で急に絶縁なんて言い出すんだよ」と、
首を傾げるー
「とにかく!これ以上、お前とは一緒にいられないってんだよ!」
耕平は苛立った様子でそのまま立ち去ろうとするー
「お、おい!なんだよ!
あ、ならほら、エッチなことさせてやるよ!
ほら、親友の俺が童貞卒業させてやるよ!」
可愛らしい声でそう叫ぶ哲哉ー
「ーーーーもういいから放っておいてくれ!」
耕平が突然怒鳴り声をあげるー。
そしてー
そのまま耕平は家から立ち去ってしまったー
大学時代からの親友ー
女体化したあとも唯一関係が続いている親友ー
その親友を、怒らせてしまったー
「ケッ…なんだよ」
そう不満に思いながらも、
だんだん寂しさを感じて来た哲哉は
謝罪のメッセージを耕平に送ったー。
それでも返事が来なかったためー
慌てて電話をする哲哉ー
電話に、泣きそうな声で”俺が悪かったー”と
メッセージを入れる哲哉ー。
あざとい演技ー
そう思われてしまうかもしれないがー、
心底、今の哲哉はショックを受け、悲しんでいたー
哲哉は自分でも
”何でこんな声しか出ないんだ!”と、思いつつもー
今の自分が悲しそうな声を出すと、
どうしてもこういう感じになってしまうー。
「ーーー頼むー…頼むー…
俺が悪かったー」
その言葉を送った翌日ー
耕平から電話がかかってきたー。
”今からお前の家に行く”
とー。
哲哉は”分かった”と返事をして、
耕平が来るまでの間、今日の夜に投稿する予定の
動画の撮影を始めるー。
チャイナドレス姿でいつものように
色気を振りまくような動画を撮影すると
「これでよし」と、満足そうに頷くー。
”ーーーこれからは耕平のことはあまり揶揄わないようにしないとなー”
昨日の件で、耕平の前での振る舞いを反省した哲哉は
そんな風に呟くー。
”美少女”になった自分を使って金を稼ぐことはやめるつもりはないー。
この数年間、何もトラブルは起きていないし、
住所や個人情報を教えないように徹底していれば、
身を守ることもできるー
耕平の前では軽い振る舞いをしているもののー
女体化してすぐの頃、耕平に押し倒された際に感じた”恐怖”は忘れていないー。
だからこそ、これまで慎重にやってきたつもりだー
「ーーー…ババアになったあとはどうするか、考えとかないといけないけどー
だからこそ今のうち、金を稼ぎまくっておかないとなー」
そう呟きながら、
鏡を見つめる哲哉は
「いつ見ても可愛すぎるよなー俺…」と、笑みを浮かべるー
「ー可愛いを提供して金を貰ってるんだからー
別に俺は何も悪いことー…」
そう呟きかけたその時、ちょうど耕平が到着したー。
「ー本当に、悪かったなー」
哲哉が申し訳なさそうに言うと、
チャイナドレス姿のまま、哲哉が耕平を部屋の中に招き入れるー。
「ーーー…お前さぁ」
部屋に入って来た耕平が静かに呟くー。
「ん?」
哲哉が振り返ると、耕平は言葉を続けるー
「やっぱ、馬鹿だよー。
ずっと、そういうことすんなって、俺、言ってきたよな?
ー男の時のままの感覚でいると、痛い目を見るってー」
再び説教が始まったと感じて、哲哉は
「ーー分かってるよーやりすぎなところは気を付けるー。
それに俺だってネットで住所とかは教えてないし、
気を付けるべきところは気を付けてるんだぜ?」と、
少し戸惑いながら言葉を口にするー
「ーだからこそ、今まで何も起きなかったし、
これからもー」
そこまで言うと、耕平が突然、女体化した哲哉の腕を乱暴に
掴んで、そのままキスをしたー
「ーー!?」
哲哉が驚いていると、
耕平は「ダメだー…もう我慢できねぇ」と、
突然、哲哉を無理やり床に押し倒したー
「お、おいっ!?はっ!?なんだよー?!やめろって!」
じたばたする哲哉ー
しかし、”前”と同じように
女体化した華奢な身体では耕平の力に抵抗することができないー
「おい!ちょっと待て!えっ!?やめろ!おいっ!」
慌てて耕平を振り払おうとするー。
前のようにー
また”調子に乗ってるとこうなるぞ?”という忠告だと思い、
「分かったから!」と叫ぶ哲哉ー
しかし、耕平は止まらず、哲哉のチャイナドレスの上から無理やり
胸を触ったり、身体中を弄び始めるー
「ーーえっ!? ひっ!?」
耕平の顔が獣のような顔に見えてー
哲哉は悲鳴を上げたー。
「ーー俺ー、お前が女体化したあとから
ずっとずっと必死にこうならないように我慢してきたのにー
お前のこと、親友だからーそういう目で見ないようにしてきたのにー
お前ーーー
”女体化した親友”と一緒にいる男のこと、何も考えてねぇだろ?」
そう言うと、耕平は
最初からずっと、女体化した哲哉を前に理性を失わないように
我慢してきたのだと語ったー。
女体化した直後の哲哉を押し倒した時もー
あれは”本気”だったのだと言うー。
だが、あの時は直前で理性を取り戻して
咄嗟に”こうなったら怖いだろ?”と、演技のフリをして、その場をやり過ごしたー
昨日、けんか別れしようとしたのも
”これ以上一緒にいたら”頭がおかしくなってしまいー、
女体化した哲哉を襲ってしまいそうだったからー…
「ーーー…なのにお前は、俺を誘惑したり、
女になった自覚がない振る舞いばっかりしてー!」
耕平がそう叫ぶー。
哲哉は涙目で「待て!待てってば!男同士ヤッてどうするんだよ!」
と、必死に叫んだー
しかしー
耕平は恐ろしい顔で哲哉を見つめたー
「お前は女だろうが!」
とー。
「ーひっ!?」
哲哉は泣きながら、耕平に散々乱暴を受けてー
身も心もズタボロにされて、放心状態で天井を見つめていたー。
”こうなる前に”
ーーお前には男に戻ってほしかったー
俺が理性で抑えられているうちにー、
お前と離れたかったー
親友の耕平はそう思いながらも、
すっかり弱弱しい雰囲気で泣いている乱れ切った哲哉を見て、
”もう、後戻りはできないー”
と、静かに呟いたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
①と②のサブタイトルがどっちも”親友の暴走”であることに
気付いた方はいたでしょうか~?
①は「耕平から見た親友(哲哉)」の暴走、
②は「女体化した哲哉から見た親友(耕平)」の暴走を示しています~☆!
同じタイトルでも意味が違った…☆というサブタイトルでした~!
お読み下さりありがとうございました!
コメント