<憑依>☆600万アクセス記念☆愛の報復①

☆憑依空間600万アクセス記念作品☆!

※本日の通常更新は既に午前中に行っています!
 通常の新作はこの1個前の記事を見て下さいネ~!

親友が振られて落ち込んでいるー。
そんな親友を励ますために、親友の好きだった子に憑依した彼。

しかし、その先に二人を待ち受けている運命は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーごめんなさいー…」

その言葉に、男子高校生・矢口 恭介(やぐち きょうすけ)は
しばらく頭の中が真っ白になったー。

人は、たったの”六文字”で絶望できる。

そんなことを、思い知った瞬間だったー。

”ごめんなさい”と言い放ったのは
クラスメイトの星村 麻奈美(ほしむら まなみ)ー。

恭介がこの半年間、密かに好意を抱いていた
女子生徒だったー。

クラスの中でも中心的存在ー…と、言うわけではないが
主に大人しい子たちから信頼されている感じの
優しい女子生徒で、
見た目が可愛いだけではなく、中身も優れたものを持っているー…

そんな感じの女子生徒だったー。

そしてー
恭介は勇気を出して、今日、その想いを伝えたのだったがー、
残念ながら麻奈美には、その想いは届かなかったー

「ーその…わたし…今は彼氏とか考えられなくてー」
麻奈美が困惑した様子でそう呟くー。

恭介からの告白を断る”口実”ではなく、
麻奈美の心からの想いー。

麻奈美は今、彼氏を必要としておらず、
相手が恭介であろうと、他の男子であろうと、
その返事は”No”しかなかったのだー。

申し訳なさそうに立ち去っていく麻奈美ー。

恭介は”ごめんなさい”と言われて以降、
何も言葉を発することができないまま、
半開きの口を開けて、その場で呆然としていたー。

あまりにもみっともない結果になってしまったー…

そんな惨めな”結果”を、
翌日ー、親友である柴田 幹夫(しばた みきお)に
報告したー。

「ーーーーはぁ~~~~~……
 しかも最悪だよー
 醜態を晒しちまったー」

恭介が悔しそうに呟くー。

せめてー
せめて、麻奈美に振られた時に、
冷静に「そっかー。急に驚かせちゃってごめんね」とか
気の利いたことを言えれば良かったー

だが、現実にはー
口を半開きにしたまま、ぱくぱくと挙動不審な行動をしー、
麻奈美を困惑させた上に、
最後まで麻奈美に対して何も言うことができなかったー

完全に、醜態だー。

「ーーははは、なんだよそれー」
幹夫が、呆れ顔でそう言うと、
恭介は「告白して振られるって、ホント、キツイんだよ!」と、
悔しそうに呟くー。

「告白したことのないお前には分からないだろうけどな!」
恭介が皮肉を込めながら言うと、
幹夫は「お?お?八つ当たりか?」と笑いながら
恭介のほうを見つめたー。

結局ー
その日は1日、ずっと元気のないままー。

3時間目の数学の授業中にも
先生から「矢口、生きてるか?」などと言われてしまったー。

しかもその時に「いえー…死んでますー」と答えて
先生を困惑させてしまったー。

そんな、屍(しかばね)のような1日を終えてー
下校中している最中だったー。

ふと、幹夫がおかしな言葉を口にしたー

「ーなぁ、もしもー
 もしも、だぜ?
 星村さんから、この後、逆に告白されたら、どうする?」

幹夫のそんな言葉に、
恭介は「ははは…そんなこと、あるわけないだろ」と、
自虐的に笑うー。

麻奈美は確かに昨日、恭介を振ったのだー。

もちろんー
麻奈美のことを恨む気持ちは全くないー。

むしろー
今日も、優しい麻奈美は、チラチラと
恭介のことを気にして、心配している素振りを
見せていたー。

恭介はそんな麻奈美を見て、より申し訳ない気持ちになったー

本当は、こんな風に”屍”みたいな振る舞いを続けて
彼女に罪悪感を感じさせるようなことがあってはいけないのにー。

けれどー…

「ーー」
恭介は、自分の弱さを呪ったー

告白に対する”ごめんなさい”は、
心に向けられたショットガンだー。

ここまで引きずるとは正直、自分でも思わなかったし、
もしも、麻奈美が申し訳ないと思ってしまっているのであればー
それは、自分の落ち度だー。

「ーーーーーーー」
落ち込む恭介を横目で見つめながら、
親友の幹夫は、何かを決意したような表情を浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お前のそんな悲しそうな顔、見てられねぇよー」

小さい頃からの”親友”である恭介の
今まで見たこともないような落ち込みように、
幹夫は困惑の表情を浮かべていたー

”なんとかしてやりたいー”

”少しでも、元気を出させてやりたい”

そんな風に思いながら
”失恋した友人を励ます方法”ー

と、ネット上で検索していた幹夫は、
あるワードを見つけたー。

それはー
”憑依薬”ー。

他人の身体に”憑依”して、
その身体を意のままに動かすことができる薬ー。

「ーーひょうい…やく…」
幹夫は、そんな恐ろしい薬を偶然にネット上で見つけてしまったー。

しばらく考え込む幹夫ー。

”憑依薬で失恋した親友が好きな子に憑依して、
 親友を元気づけよう!”

そんな風に書かれていたー。

その下には

”好きな子に告白して振られた親友が可愛そうー?

 お前が彼女になるんだよ!!”

とキャッチコピーのようなものが書かれているー

「なんなんだよこりゃ…」
幹夫は困惑しながらも、
値段があまり高くなかったことや
”住所を教えるのが不安な人は郵便局での受け取りもできるよ。”などと
書かれていたので、つい注文してしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー……」

数日後ー

恭介は”まだ”死んだ魚みたいな目をしていたー。

「ーおいおい、いい加減、元気出せよ」
幹夫が戸惑いながら言うと、
恭介は「ーーーははは」と、死んだ目のまま笑うだけだったー。

恭介を振った麻奈美も、心配しているのか
時々チラチラと恭介のほうを見ているー。

「ーーおいおいー…元気出してくれよー
 そんな沈んでると、俺まで心配で気が滅入っちまうー」

幹夫がそう言うと、
恭介は「全部、俺に魅力がないせいだよなーごめん」と、
何度も何度も幹夫に向かって謝ったー

この、落ち込みようは尋常ではないー

困惑しながらも、幹夫は
”あ、そういえばー”と、
あることを思い出すー。

数日前に注文した憑依薬ー

ちょうど、今日、それが届く日だー。

”お前が彼女になるんだよ”

そんなキャッチコピーを思い出すー。

スマホで郵便局に既に到着していることを確認すると、
憑依薬を郵便局で受け取り、幹夫は
そのまま帰宅したー。

本物か、偽物かー
それは、分からないー。

けれどー…

「ーーーあんなに落ち込まれてちゃー…
 俺まで落ち込んじまうからなー」

と、幹夫は”麻奈美に憑依して恭介を元気づける”ことを
決意して、憑依薬を静かに握りしめたー。

もちろんー
どんな理由であれ、クラスの女子の身体をー
麻奈美の身体を勝手に使うことなんて、
許されることではないー。

けれどーー…
少なからず”他人に憑依できる”ということに
ドキドキしていたことー

そして、数日ぐらいなら、そんなに大事には
ならないだろうー…
と、軽い気持ちでー

その日の夜ー
幹夫は憑依薬を飲み干したー

「ーーーー」

”マジかよー”

本当に幽体離脱できたことに驚きながらー
麻奈美の家にやってきていた幹夫ー。

麻奈美の家を知っている理由はー
些細な理由で、別におかしなことをしたわけでも
悪いことをしたわけでもないー

「ーーー…ほ、ホントに見えてないんだよなー?」
自分が壁をすり抜けたことに驚きつつー
麻奈美の部屋に侵入した幹夫は不安そうに
麻奈美の周囲を浮遊するー。

だがー、
少し眠そうに本を読んでいた麻奈美は
特に何も反応を示さずー。

”ウトウトしているからー”ではなく、
目の前で、身体を激しく動かしてみても
何の反応も示さないことから
幹夫の姿が見えていないのは確実だったー。

”えっとー”
幹夫は心の中で考えるー

今日は木曜日でー
明日が金曜日ー
明日、学校で”今週末だけ付き合う”と、恭介に言ってー、
土曜日にデートをしてー…
それで、日曜日の朝に解放するー

麻奈美の”おそよ3日間”を奪うことになってしまうことに
少し罪悪感を感じー、
迷いの表情を浮かべたもののー
幹夫はようやく意を決して
「ほ、星村さんー…お、お邪魔しますー」と、
そう呟いてからー
麻奈美の身体に、自分の霊体を重ねたー

「ーーひっ!?」
ビクンと震えて、麻奈美が声を上げるー

思った以上に反応が激しかったため
幹夫も一瞬驚いてしまったもののー
すぐに、霊体になっている状態では消えていた
生身の身体の感触を感じ、
笑みを浮かべたー

「ーほ、ほ、ホントにー…憑依できてるー」
そう呟く麻奈美ー

両手を交互に見つめながら、
自分の口から出ている声が麻奈美のものになっていることにも
驚きながらー
顔を赤らめるー。

ふと、部屋にあった鏡を見つめると、
そこには驚いたような顔をした麻奈美が写っていたー。

驚いたような顔をしているのは、
憑依した幹夫が驚いたからで、別に麻奈美の意思は関係なかったのだが、
”鏡に映る麻奈美”が、まるで憑依されたことに驚いて
責めるような視線を送ってきているような気がしてしまった幹夫は、
麻奈美の身体で突然申し訳なさそうに言葉を呟き始めるー。

「ーー……あ、あのー……
 み、三日だけー…その…目的を果たしたら身体を返すからー」

そんな、確認の言葉を口にしてもー
今、幹夫は麻奈美の身体を乗っ取っているのだから、
麻奈美から返事が返ってくるはずなどないー。

「ーーーーう…… ぅん…」
なんだか気まずくなってしまったのか、麻奈美に
無理矢理返事を口にさせると、
麻奈美を支配した幹夫は、”明日に備えて、少し身体に慣れておかないと”と、
麻奈美の身体を色々と動かし始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

翌日になっても、恭介は相変わらず元気のないままー

死んだ目をしているー、とでも言えば良いのだろうかー。

ふと、恭介が麻奈美の座席のほうを見つめるー。

”ごめんなさい”
あの日の言葉が、未だに自分の中にグサグサと、
何度も何度も突き刺さるー。

「ーーーあれ」

だが、恭介はふと
”いつもは自分よりも必ず先に登校している麻奈美”が
登校していないことに気付き、少し違和感を感じるー

”ーーーー…”

一瞬、俺のせいかな…と、不安に思う恭介ー。

優しい麻奈美は、恭介がこんな態度をとっているせいで、
気まずい思いをしているのかもしれないー。

そんな風に思い、恭介は
”あぁ…せめて普通に振る舞えよ俺ー…
 星村さんに気まずい思いをさせるなんて、最低すぎる…”と、
さらにマイナス思考に陥っていくー。

けれどー、
そんな不安は杞憂だったのかー
麻奈美が教室に到着したー。

”なんだー…少し遅れただけかー”と
心の中で安堵しながらも、
麻奈美がいつもより少し遅れただけで
さっきのようなネガティブ思考に陥ってしまう自分に
更に嫌気が差してしまうという
ネガティブの悪循環に陥ってしまう恭介ー。

”ふ、振られただけでこんなんじゃ
 将来、社会人になった時、絶対メンタルが持たねぇぞ、俺!”

そんなことを心の中で叫んでいるとー
突然、麻奈美が近くにやってきたー

「えっ…!?!?えっ!?!?!?」

思わず変な声を出してしまう恭介ー。

”何を言われるのだろうかー”
そんな風に思っていると、
麻奈美は何故かがちがちに緊張した様子で
「あ…あのー…き、今日の放課後ー…す、少し話がー」と、
麻奈美が言い放ったー

いつものような自然な感じではなく、
何故かー”台本を棒読み”しているかのような
不自然な口調ー

「え…あ…は…はい?」
恭介は困惑しながらもそう答えると、
麻奈美は「や…約束したからな」と、変な口調で言うと、
そのまま座席の方に戻って行ったー

”あぁぁぁ…やべぇ…想像以上にやべぇー”
麻奈美はバクバクする心臓あたりに手を当てながら
心の中でそう呟いていたー。

麻奈美は昨夜ー
恭介の友人、”幹夫”に憑依されているー。

だがー
自然に振る舞えると自信があった幹夫も、
いざ”女子の身体”で学校に来てみると
緊張で心臓がバクバクしてどうしようもなかったー。

「ーー”あぁぁぁ…スカートも落ち着かねぇし…
 ってか、座り方変じゃないよなー?”」

一人、ソワソワモジモジと不自然な動きをしながら
麻奈美は周囲をキョロキョロと見つめては
恥ずかしそうに教室の壁の方に視線をずらしたー

”女の子の身体で登校するの、恥ずかしすぎるー…!”

そんな風に思いながらも、
親友の恭介を励ますためだー、と、
1日中、口数少なく、ソワソワした様子で
放課後が訪れるのを待ったー

当然ー
女子トイレに入るのも初めてで、
少し鼻血が出そうになってしまったが
なんとかそれを抑えて1日を乗り越えた
麻奈美に憑依した幹夫は、
恭介に”今週末だけ付き合う”ことを告白しようと、
呼び出した空き教室へと向かって歩き始めたー

”あぁ…昨日のうちに女子としてのトイレ練習しておいてよかった…”

心の中でそんなことを思いながら安堵する幹夫ー。
最初は、麻奈美が乗っ取られている時間を少しでも減らしてあげようと
”今日の朝”憑依する案も考えていたのだが、
結果的に昨日、憑依しておいてよかったー

ぶっつけ本番で麻奈美の身体になっていたら
学校内で醜態を晒してしまっていたかもしれないー。

昨日、トイレの練習をしたり、色々しておいたことでー
何とかー
周囲からおかしな目で見られなくて済んだー。

”とりあえず学校を乗り切ったしー…
 あとは、恭介に告白すればー
 明日は土曜だからどうにでもなるからなー”

麻奈美はそんなことを思いながら、
恭介の待っている空き教室へとたどり着くと、
既に恭介は緊張した様子で、一人、空き教室で麻奈美の到着を待っていたー

「あ…ほ、星村さんー…は、は、話ってー?」
恭介が、困惑しながらそう呟くー

数日前に”自分を振った女子”が再び自分を呼び出したー…
恭介からすればそんな状態であり、
すぐに状況を飲み込めないのも無理はなかったー。

「ーーーそ…そのー…」
麻奈美が顔を真っ赤にしているのを見て、
恭介は「ほ、星村さんー?」と、困惑した様子を浮かべるー

「ーあ…明日…明日だけー…」

「え?」
恭介は、麻奈美が何を言いたいのか分からずに困惑するー。

そんな恭介の意思を感じ取ったのか、
麻奈美はひと思いに続きを口にしたー。

「ー明日だけ、デートしてあげる!」
とー。

麻奈美が顔を真っ赤にしてそう言い放つー。

恭介は、さらに混乱して
「え…?え?」と、呟くとー
「色々訳があって、明日しか付き合えないけど、
 1日だけ、1日だけ付き合ってあげる!」
と、麻奈美は勢いよく言い放ったー

「ーーーーー」

「ーーーーー」

麻奈美の言葉に、沈黙する二人ー

”ど…どういうことだー?
 星村さんに俺、気を遣わせちゃってるのかー…?
 い、いったいどうすればー?

 星村さんー
 彼氏とか考えられないって言ってたしー
 それを無理に強要するのは…”

恭介は頭の中でまとまらない考えを
ぐるぐると回転させるー

麻奈美に振られて以降、
ずっと落ち込んだような振る舞いを繰り返してしまっていたために、
麻奈美を気遣わせてしまったのではないか、と、
強い不安を覚える恭介ー

「ーーー」

しかし、一方の麻奈美も焦っていたー

”お、女の子ってどうやって告白するんだー?

 し、しかもよく考えたら1日だけ付き合ってあげるとか
 何様なんだ俺はー…”

麻奈美に憑依した幹夫はそんな風に思いー
慌ててフォローの言葉を口にしようとするー。

しかも、1日だけ付き合うとか、
よく考えたら意味が分からないー

そう思って、言葉を口にしようとしたその時だったー

「じ…じゃあ…よろしく…お願い…します?」

恭介が、どう答えたら良いのか分からないー、という様子で
そう言葉を口にすると、
麻奈美も混乱した様子で
「あ、え、えっと、ハイー…」と、意味不明な返事をしたー

こうしてー、
好きな子に振られて、落ち込んでしまった親友のために、
親友の好きな子に憑依した幹夫は、
麻奈美の身体で1日だけ、恭介とデートすることになったのだったー。

しかしまだーー
彼らは知らないー

この先、自分たちがどのような運命を辿ることになるのか、をー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

憑依空間600万アクセス達成☆!
ありがとうございます~!

今回も、100万アクセスごとにご用意している
記念小説を皆様にお送りしていきたいと思います~!

今のところは穏やかな雰囲気の二人…
けれど、タイトルがタイトルだけに、この先が少し心配ですネ…笑

続きはまた明日デス~!

明日も通常の更新と一緒に2本立てでお送りしていきます☆!

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憑依<愛の報復>

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