<憑依>☆600万アクセス記念☆愛の報復③

☆憑依空間600万アクセス記念作品☆!

※本日の通常更新は既に午前中に行っています!
 通常の新作はこの1個前の記事を見て下さいネ~!

”親友に憑依された麻奈美”と
付き合い始めた恭介。
しかしー、そこに”すれ違い”が生まれていくー。

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「ーーいやぁ…しかしまさか、わたしたちが
 こんな風に付き合うことになるなんてね~」

麻奈美がハンバーガーを食べながら微笑むー。

親友・幹夫が憑依していると知ってから数か月ー。

恭介は戸惑いながらも、麻奈美と正式に付き合うことを決断ー

幹夫は、普段は麻奈美として振る舞いながらも、
恭介と二人きりだけの時はこうして、
幹夫としての素を出していたー

「いや、ホントに驚いたよー
 まさか、お前が憑依してるなんてー」

恭介は、最初は拒んだー

”星村さん本人の意思じゃないのに付き合うことはできない”
とー。

だが、麻奈美に憑依した幹夫側が積極的に
アプローチを仕掛けてきたことや、
数か月が経過しても、”元に戻らない”という状況に
ついに恭介の方が折れて、付き合い始めたのだったー

二人とも、数か月も経過すればー
”もう、幹夫が麻奈美の身体から抜け出すのは無理なんじゃないか”
という気持ちになって来るし、
お互いに”星村さんの人生を壊してしまった”ことに強い罪悪感を
感じながらも、今に至っていたー。

ただしー
付き合う前に”本当の彼女として見ることはできないかもしれないし、
時間がかかるかもしれないけど、それでもいいか?”と、
恭介は、麻奈美に条件を付きつけているー

”どうしても、中身が幹夫だってことはこの先もずっと、
 忘れることはできないだろうし、
 星村さん本人には振られてるからー”

とー。

麻奈美に憑依した幹夫は、その時、こう答えているー。

”いいよいいよ!半分彼女で半分親友みたいな感じでさ!”
とー。

そんな時のことも思い出しながらー

「ー俺があんな風に落ち込まなきゃー
 お前が星村さんに憑依することもなかっただろうからー
 全部、俺のせいなんだよなー」

ポテトを口にしながら落ち込んだ表情を浮かべる恭介ー

「そんなそんな~いいのいいの。恭介は気にしない」
麻奈美が笑うー

「ってかお前ー…どんどん、本当に星村さんになってきてないか?
 大丈夫だよなー?
 ちゃんと自分が幹夫だって覚えてるよな?」

恭介が心配になってそう言うと、麻奈美は
「もちろん、覚えてるさー」とだけ呟くー。

少しため息をつきながらも
「でも、ずっと星村麻奈美として生きていくならー
 自然と女子の振る舞いができなきゃだめだろ?」と、
言葉を口にするー

「ま…まぁなー」
恭介はそう言うと、
麻奈美は「まぁ…でも、女の子の身体になったからかなー
恭介に対する友情はー、”好き”に変わっちゃったけどー」と笑うー。

「ーーや、やっぱ侵食されてないかー?」
恭介が顔を赤らめながらそう言うと、
麻奈美は舌を出して、舌を指さしながら
「味覚も違うしー、身体が違うから、その影響だろ?」と、言い放つー

「ーま、まぁ…そうなのかなー」
恭介は戸惑いながら、コーラを少し口にすると、
「ーまぁ、俺が俺の身体だった時には、恭介のこと”好き”ってー
 思ったことはなかったからなー
 星村さんになって、やっぱ、身体の中のー…いや、脳かな?
 何かが違うんだろ」と、麻奈美が補足したー。

「ーーま、恭介もわたしのこと、”中身”も含めて好きに
 なってくれると嬉しいな~」

にこっと笑う麻奈美ー

麻奈美に憑依した幹夫はー
恭介のことを”恭介”とは普段呼んでいなかったー。

本人が”意識して”やっているのかー
それともー……

そんな不安を感じながらも、
みるみる中身も女の子らしくなっていく麻奈美と
過ごしているうちに、
恭介も、本当に”星村さん”と付き合っているような
気持ちになり、
高校を卒業するころには、
すっかり恋人同士になっていたー。

高校を卒業しー
麻奈美は、別の大学に進んだー。

麻奈美はさらにおしゃれになりー、
高校時代よりももっと可愛さを増しているー。

幹夫が女子の身体で過ごすことに慣れてー
今はおしゃれを楽しんでいるー
そんな、感じだー。

けれど、大学に入学してからも、
麻奈美は恭介一筋で、
恭介とは毎週必ず会う機会を設けていたー。

だがーーー

恭介の側に”心境の変化”が訪れたー。

身体は”星村 麻奈美”でも、
中身は”親友の幹夫”

そんな状況がー
恭介の中で、いつも、どこかに、わずかに引っかかっていたー。

「ーーえ~?ホントに~楽しんでくれたみたいで良かった」

大学で出会った
天坂 美里(てんさか みさと)ー

共通の趣味を持ち、気配りも出来て、
麻奈美とはまた違う方向で可愛い、そんな同級生の女子と、
恭介はいつしか親しくなっていたー。

「ーーー天坂さんがオススメしてくれるやつは、
 いつも本当にアタリばっかりだしー」

恭介は、大学内で美里と食事を食べながらそう呟くー。

最近はー
”麻奈美”といるよりも”美里”といる方が楽しいー

もちろん、恭介は浮気がいけないことだということは分かっているー

だから、美里と1対1で遊びに行ったりすることもないし、
当然、告白をすることもないー。

しかしー
美里と一緒にいればいるほど、
揺らいでしまうー

今の”星村 麻奈美”は、
身体が女性であることは間違いないがー
中身はそもそも星村麻奈美ではないし、幹夫だー

がー
この天坂 美里は正真正銘の女子大生だし、
やっぱり、”麻奈美”とはどこか違うような、
そんな感じがするー

”男が憑依して操っている女性”と
”正真正銘の女性”では、
言動に決定的な違いがあるー…

と、でも言えば良いのだろうか。

数か月間、美里とどんどん親しくなっていきー、
ついには恭介は、美里から”告白”されたー

「ーーー…」
本当は、すぐにでも返事をしたかったー

でも、それは、”浮気”でしかないー。
例えば”ふつう”ではない相手であっても、
けじめはちゃんとつけないといけないー。

そのことを隠して”保留”にして、
麻奈美と別れてもよかったー。

だが、恭介は、憑依される前の麻奈美に振られて
ずっと落ち込むぐらいに、純粋な一面も持っていて
恭介にそんなことはできなかったー。

麻奈美と、美里ー
両方に本当のことを話した上で、
可能であれば今度こそ、”本当の彼女”を作りたいー、

そう思っていたー

麻奈美が、”中身も星村 麻奈美”なら、
恭介はこの道を選ぶことはなかったー。

どんなに美里と親しくなっても、
絶対に麻奈美のほうを選ぶー。

でもー
麻奈美はー
麻奈美であって、麻奈美ではないー

そのことが、どうしても恭介の中でずっとずっと
引っかかり続けているー。

”本当の麻奈美”には振られているのだからー
ずっとこのままじゃいけない、と
どこかでそう思い続けて来たー。

考え方末にー恭介は「ーごめん。来週まで待ってもらえないかなー」
と、言葉を口にするー

「来週?」
美里が首を傾げるー

「ーーあぁ… 
 聞かれなかったからずっと言わなかったけどー」

とー、
麻奈美の存在を打ち明けてー
”憑依”のことは流石に言わなかったけれど、
麻奈美とは”恋人同士であって本当の恋人ではない”
微妙な関係であることを伝えー、
麻奈美と話し合った上で、麻奈美との関係を解消してから
美里に返事をしたい、と伝えたー。

「ーーーー…」
美里は少し迷いながらも、
これまでの恭介との付き合いから、
恭介が”平気で浮気をするような人間”ではなく
”キープするような人間”でもないことを理解し、
「わかった」と頷くー。

「ーーーー……ごめん」
恭介は、美里に頭を下げるー。

今、この場で「OKだけど、星村さんと別れるまで待って」と
言いたくもなったが、
この場でOKかNOか、その返事はしなかったー

何となく”OKだから”とキープするような真似は
したくない、と恭介は思ったー

来週までに
美里の気が変わってしまいー
結果的に麻奈美も美里も失うことになってしまった場合ー
それはそれで、恭介は運命として受け入れるつもりでいたー。

今度こそー
”本当に彼女ができる”ー

そう思った恭介は
恭介からしてみれば”本当の彼女”とは少し違う存在ー、
という認識の麻奈美を週末に呼び出して、話し合うことにしたー

「ーーーそっかー……」

土曜日ー
麻奈美に”好きな人が出来た”ことを伝え、
”今度こそ、本当の彼女を自分の力で作りたいから”と
伝えると、麻奈美は少し考えたあとに笑みを浮かべて
「うんー。わかったー」と、頷くー。

「ーよかったぁ…星村さんに分かって貰えてー」

恭介がそう言うと、麻奈美は「そりゃそうだろー」と、
久しぶりに男口調で喋りながら「で、その好きな人って?」と
笑いながら「星村さんと似てる子か?」と
自分を指さしながら言うー。

恭介は、美里のことをついつい素直に話してしまうー

そして、その日は何気ない雑談をかわしてー
久しぶりの時間はあっという間に過ぎたー。

別れ際ー、恭介はそう呟くー。

「ーやっぱ幹夫は”親友”じゃないとなー」
恭介がそう言うと、麻奈美は笑いながら頷いたー。

これからも親友としてー。
そんな言葉で締めくくり、別れる二人ー。

だがー

”あくまでも麻奈美と付き合っているのは、”本当の彼女”とは少し違う状態”
と、考えている恭介とは対照的にー

麻奈美に憑依した幹夫はー
”本当に、彼女として過ごしてきた”
つもりだったー。

もう、身も心も、ほとんど女子になっていると、自分でも感じるー

それなのにー

「ーーー”親友”」
遠くに離れた恭介の後ろ姿を見つめながら麻奈美は呟くー

「ーわたし、親友じゃないもんー…彼女だもんー」
麻奈美はギリギリと歯ぎしりをしながら、そう呟くと、
「ー天坂…美里ー」
と、恭介と大学で仲良くなったという女子の名前を
怒りの形相で呟いたー。

”わたしはーーー
 恭介のために、星村麻奈美になったのにー”

今でも”幹夫”として見ている恭平はー
既に”幹夫”が”麻奈美”として見てほしがっていることにー
気付いていなかったー

そして、その”愛”の深さにもー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌週ー
恭介は、美里にしっかりと麻奈美との関係を
解消したことを伝えー、
”星村さんはーーちょっと説明しにくい事情があるけど、
 彼女じゃなくて、親友だからー”と、伝えたー

不思議そうな顔をしていたものの、
流石に”星村さんは親友に憑依されてるから”とは言えないー。

その後ー
”本当の彼女”と初めて付き合い始めた恭介は、
毎日本当に楽しそうに、
そして幸せそうに過ごしたー

「ー美里~!お待たせ!」
恭介が嬉しそうに、大学の門の側で
美里と合流するー。

「ーーあ、恭介!」
美里も手を振って恭介と合流しー、
二人で歩き出すー。

”初めての本当の彼女”の存在に
恭介はとても喜び、
そして美里のことを本当に大事にしていたー

これからもずっと、
美里に嫌われない限り、美里のことを
大事にしていくつもりだー

だがーーー

「ーーーみ さ と ??」
その様子を、少し離れた場所から”監視”していた
麻奈美が不愉快そうに呟いたー

「ーわたしのことは”星村さん”とか、
 ”幹夫”としか呼ばないのにー

 み さ と ーーー」

瞳を震わせながら、麻奈美はそう呟くと、
不愉快そうな表情で呟いたー

「ーー許せないー
 ー恭介のために、わたし、麻奈美になったのにー」

喋っているのは
”麻奈美”なのかー
それとも”幹夫”なのかー
二人は混じってしまったのかー

それすらも分からないほどに
麻奈美に憑依してからー
今ではすっかり女子になり果てた幹夫はー
麻奈美の身体でそう呟くと、
ブツブツブツブツと何かを呟きながら
クスクスと笑い始めたー

そしてーー
恭介の彼女、美里が”拉致”されたのは
それから数日後のことだったー。

「ーー美里…どうしちゃったんだー…?」
大学にも来ず、連絡がつかない美里の身を案じる恭平ー。

そこにー
”麻奈美”から電話がかかってきたー

「ー幹夫ーどうしたんだ?」
”電話”では、相手が誰だか周囲には分からないため、
基本的に、恭介は麻奈美のことを幹夫と呼んでいるー

しかしー

”幹夫じゃないー…”まなみ” ”
麻奈美が怒りの口調で言い放つー

「おいおい、急にどうしたんだよー
 幹夫は幹ーーー」

”幹夫は幹夫だろ?”と言い放とうとした恭介は
それよりも前に麻奈美が言い放った言葉に恐怖し、
言葉を止めたー

”ーーわたし、嫉妬を押さえられないー
 恭介の彼女、拉致しちゃったー”

麻奈美のそんな言葉に、
恭介は「お…おい…嘘だろー?」と、
呆然とした表情を浮かべたー

④へ続く

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コメント

次回が最終回の予定デス~!
高校生から大学生まで、比較的長い期間を描いているので、
少し駆け足な部分もありますが、
ぜひ最後まで楽しんでくださいネ~!☆

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憑依<愛の報復>

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