<皮>姉さんがあの家に干されてる①~発見~

”数年前に行方不明になった姉”ー

しかしある日、
男子大学生になった弟は
”姉さんが知らない家に干されてる”のを発見しー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーククククー」

昼間から、ニヤニヤと自分の胸を揉んでいた女が笑みを
浮かべながら立ち上がるー。

バニーガールのような姿をして、
自分の身体を、イヤらしい手つきで触ると
満足そうに笑みを浮かべるー。

「ーそろそろ蒸れて来たなー」
そんなことを呟いた彼女はー
次の瞬間、自分の後頭部のあたりを掴みー

そしてー
”自分自身を”脱いだー。

突然ペリッと、頭がめくれてー
着ぐるみのように、彼女は脱ぎ捨てられていくー

そして、中から出て来たのは、整えられていない髭が
目立つ、お世辞にも清潔感は見られない男ー。

女性の”皮”を脱いだ男は「へへへ」と笑うと、
そのまま脱ぎ捨てた”皮”を、
庭に出て干し始めたー。

「ーーー……この位置なら、外から見えねぇからなー」

彼の自宅の庭は、塀に囲まれているため、
外からは見えないー

そのため、何を干しても問題ないー。

たとえ、干すものがー
”皮にした人間”であったとしてもー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーもう、姉さんと同じぐらいの年齢になっちゃったなー」

男子大学生の今澤 海斗(いまざわ かいと)は、
自分の部屋の机に飾ってある”姉”の写真を見つめながら
静かにそう呟いたー。

今澤 亜香音(いまざわ あかね)ー

弟である海斗のこともとても可愛がってくれていた
優しい姉だったー。

いつも一生懸命でー
友達からも慕われていてー
そんな、立派な姉も、海斗自身も
心の底から”尊敬”していたー。

しかしー
その姉はー
数年前ー…
海斗が高校生だった頃に、突然姿を消したのだー。

”これから帰るね”と、
いつものようにメッセージが送られてきたのを最後にー
亜香音からの連絡は無くなりー、
亜香音が帰ってくることもなかったー。

当然、警察に届けを出して、
必死の捜索が行われたー。

しかし、見つかったのは”亜香音のスマホ”のみで、
亜香音が見つかることはないままー
数年間が経過したー。

両親も、弟である海斗も、
もちろん”諦めて”はいないー。

亜香音の遺体が見つかったわけではないし、
まだどこかで生きているー

と、そう信じたいー

けれどー
心のどこかでは、分かってしまっているー

”何もないのに、数年間も姉さんが帰ってこないなんてことはあり得ない”
と、いうことぐらいはー。

そして、
”高い確率で、姉さんは既にこの世にいないー”
と、いうことも、
認めたくはないけれどー
姉の無事を信じたいけれどー
どこかで、そう思わざるを得ないぐらいに、
月日は流れてしまっていたー。

「ーーー…姉さんー…今、どこにいるんだよー」
亜香音の写真を見つめながら呟く海斗ー。

既に、亜香音が失踪した当時、高校生だった海斗は
大学生になっているー

図らずも、失踪した当時の亜香音と同じぐらいの年齢だー。

「ーーー姉さんがいつ帰って来てもいいようにー
 俺ももっともっと、頑張らないとなー」

そんなことを呟きながら、海斗は机に向かって
大学の課題に取り組み始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

休日の今日ー、
海斗は、今日は大学から少し離れた
寂れた住宅街にやってきたー。

あまりお店もなく、
コンビニを見つけるのにも苦労するような
寂れた住宅街ー。

海斗は、そんな住宅街を歩きながら、
アパートの一室を訪れるー。

”お、来たか”

海斗が尋ねたのは、大学の友人・茂(しげる)の部屋ー。

茂が海斗を招き入れると、
「ーいつもロクなもてなしできなくて悪いな」と、
少量のお菓子と飲み物を机に並べるー

「いやいや、俺の方こそ、いつもジャマしちゃって悪いな」
海斗が言うー。

海斗と茂は大学で知り合った”ゲーム仲間”で
こうしてよく一緒に遊んでいるー。
ゲーム…と言っても、主にボードゲームやカードゲームを
中心に遊んでいる仲間で、
大学のサークルでも、いつもよく対戦を楽しんでいるー。

「はは、いいんだよー。
 お前は実家暮らしだし、あんま邪魔するわけにはいかないだろ?

 俺の部屋はー
 ほら、何もねぇから、ちょうどいいんだよ」

茂はそう言いながら笑うと、海斗は
「ー俺も一人暮らしを考えたこともあるけど、姉さんの件がなぁ…」と、
呟くー。

「ー分かってる分かってる」
茂はそう言うと、二人がいつも遊んでるカードゲームの
デッキを手に、「まずは1戦ー。挨拶代わりにやるか」と、笑みを浮かべたー。

カードゲームで対戦しながら雑談する二人ー。

海斗も、大学入学時に一人暮らしを
始めようと思ったことがあったー。

しかし、姉の亜香音が消息を絶ったことで、
数年が経過した今でも両親…特に母親がショックを受けており、
その親を置いていくことは不安だったことー、

そして、姉・亜香音がいつ帰ってくるか分からないことー
何か進展があったときにすぐに動きたいことー

などからー
海斗は実家での生活を続けていたー。

「ーお姉さんは、やっぱ見つからないのかー?」
茂がカードを見つめながら言うと、

「ーまぁな…」
と、海斗は相手のフィールドに出ているカードを
見つめながら呟くー。

「ーー…俺も分かってるんだー。
 もう何年も経ってるしー
 きっと、もう…無駄なんだろうなって」

海斗が少し寂しそうに言うと、
茂は「そんなこと言うなよ」と、呟くー

「遺体が見つかってないってことは
 少なくともまだ可能性が0パーセントになったわけじゃないだろ?」

茂がそう言うと、
海斗は「まぁ、そうなんだけどなー」と、頷くー

とは言えー、
やっぱり何年も消息を絶っているとなると、
亜香里が急に帰ってくるとは、なかなか考えられにくいし、
もしも存命であっても、もしかしたら
家族に嫌気がさした、とか、そういう理由で
ある可能性も否定はできないー。

「ーーーーーま、奇跡を信じるよー」

海斗はそう言うと、
「それとー」と、言葉を続けるー

「ー俺の勝ち」
話し込みながらも、しっかりとカードの方にも
集中していた海斗がそう言い放つと、
茂は「うぉっ!?油断してた!?」と、
笑いながら悔しそうに叫んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カードゲームやボードゲームで、
散々盛り上がった二人ー。

海斗が「もうこんな時間かー」
と、夕方になったのを確認しながら、
茂の住むアパートのベランダに出て、
外を眺めるー。

「少し雨も降りそうな感じだし、
 そろそろ帰るかなー」

海斗がそう呟くと、茂は「そうした方がいいかもな」と
言いながら、部屋の中を片付け始めるー。

アパートの3階に位置している茂の部屋ー。

「ーーーーー」
何となくー
海斗が周囲を見渡していると、
ベランダから見える、少し離れた場所の古びた民家の庭にー
”何かが干されている”のが、見えたー。

その民家は塀に囲まれていて、外からは見えないのだが、
茂の住むこのアパートのベランダの、この部屋だけからはー
わずかに庭が見える角度になっていたー。

「ーーーーーーーなんだあれ?」
ふと、そんな言葉を口にするー。

その家に”干されている”着ぐるみのような物体は、
普段、”あまり洗濯物としては見慣れない”ものだったー。

「ーーー着ぐるみか何かでも干してるのかなー」

そんな風に呟きながら、
その干されたものを何となく見つめていたその時だったー

「ーーーーーえ」
海斗は、表情を歪めたー

どう見ても”着ぐるみ”にしか見えないがー
その姿はー
数年前に行方不明になった”姉さん”の姿にそっくりだったのだー

「ーーーーね、姉さんー?」
海斗が表情を歪めるー。

「ーーえ?な、なんだって?」
部屋の中にいた茂が、ベランダでそう呟いた海斗の言葉を聞いて、
ベランダの方にやってくるー。

「ーい、いや、ほ、ほらーあれ…
 ね、姉さんがあの家に干されてるー」

少し離れた場所の民家に”干されている”
ペラペラな、姉によく似た雰囲気の洗濯物を指さすー。

「ーん??ど、どれだよー?
 遠くてよく見えねぇけどー…」

茂は混乱した様子でそんな言葉を呟くー。

「ーーい、いやーあれだよ!」
海斗がそう言いながら、指を指すと、
茂は「ーーーいやいやいやいやいや」と首を横に振ったー

「ーあれ、着ぐるみか何かだろ?人間そっくりのー
 お前の姉さんは、人間だろ?
 気のせいだって」

茂はそれだけ言うと、
海斗はもう一度、”アパートのベランダから見える民家の庭”を見つめるー。

「ーーーー」

確かに、茂の言う通り”ペラペラとした皮”のような感じだー。

だが、わずかに見える顔やー
その雰囲気が、”姉さん”にどうしても見えるー。

しかしー
”数年前に消息不明になった姉が、知らない民家に干されている”
なんてことは、確かにあり得ない話だー。

「いったん落ち着けよ」
茂にそう言われて、海斗は「そ、そうだなー」と、
何度か深呼吸をするとー
「悪い。姉さんに雰囲気が似てる気がして」と、
落ち着きを取り戻して、茂にそう言い放ったー

「ーーまぁー…もし俺がお前の立場なら
 同じ反応をするかもしれないし、気にするなー」

茂は”俺には姉もいないし、行方不明になった家族もいないから、
大した言葉、掛けてやれなくて悪いな”と、苦笑いしながら
そのまま台所の方に向かったー。

「ーーー…姉さんー」

”亜香音が消息不明になって、数年ー”

心のどこかでは、もう諦めもついたー…

そんな風に思っていたー
けれど、やっぱりまだー
自分は”姉さん”のことを諦めることができていないのかもしれないー。

だってー
たった一人の尊敬する姉さんなのだからー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「へっへっへっへー…」
男が、”干していた”女の皮を手にすると、
そのままそれを部屋の中に入れるー。

そして、その皮をニヤニヤしながら
着始めるー。

お世辞にも清潔感を感じられないその男がー
その皮を着終えるとー
見違えるような美人になって、笑みを浮かべるー

同じ”下品な笑み”を浮かべているはずなのにー
見違えるほど、妖艶な雰囲気を漂わせているー

「へへへへー…」

女の皮を着た男は、ソファーにだらしなく座って
胸を揉みながら、ニヤニヤと笑みを浮かべるー。

数年前ー

男は、同居していた母親が死亡しー、
一人、無気力な人生を送っていたー。

友達もいないし、恋人もいないー
仕事もロクなことをしておらず、
途方に暮れていたー。

だが、そんなある日ー
男は”人間を皮にできる薬”を入手したのだー。

サプリメントのような小さな錠剤ー。
それを相手に飲ませるだけで、
その相手は”皮”になり、
それを着ることで、自分がその人間に成りきることができるー

そんな、夢のような代物を、ネットで手に入れたのだー。

もちろん、本物である確証もなかったー。

しかし、彼には、失うものは何もなかったー。
友達も、恋人も、家族も、仕事も、財産も、名誉も
何もなかったのだからー。

そしてあの日ー

夜道を歩いていた女子大生に背後から近づきー

「ーーひっ!?!?」

「ーへへへへへ…俺の洋服になってほしいなァ…」

ニヤニヤしながら、男は、その子に”人を皮にする薬”を
無理矢理飲ませたー…

「あ… ぁ…  ぁぁぁ…」
苦しそうにしながらー
その場でペラペラになって、地面に崩れ落ちる女子大生ー。

その子が持っていた鞄が、地面に落ちて、
中に入っていたスマホが路上に飛び出すー。

「ーーー…」
男が、そのスマホの画面を見つめると、
そのスマホには”これから帰るね”と、家族に送ったらしき
メッセージが表示されていたー。

「ーへへへへ」
男は、”位置を特定されないように”そのスマホを
その場所にそのまま放置しー…
皮にした女子大生を自分の持っていたリュックに詰め込むと、
そのまま立ち去って行ったー。

それが、数年前の出来事ー

「ーへへへへ…やっぱちゃんと干すと、しっくりくるなぁ」

そう呟くと、彼はーーー

”亜香音”の皮を着こんだ彼は
亜香音の身体で角オナを楽しもうと、机の方に向かって
ニヤニヤしながら歩き始めたー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

お姉ちゃんの身に起きていることに
ちゃんと気付くことはできるのでしょうか~?

続きはまた明日デス~!

コメント