動物園でデートを楽しんでいた大学生カップルー。
しかし、二人は
そんな動物園の”裏”を知ってしまうー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーー…」
首輪をつけられたメイド服の女やー
首輪をつけられたホスト風のイケメンが、
呆然と虚空を見つめているー
そこに、小汚い格好の男が入ってくるー
歯も何本か欠けたその男は笑みを浮かべると、
バケツを檻の中へと入れると、
「餌だよ」と、呟いたー
メイド服の女が寄ってきて、それを嬉しそうに食べ始めるー。
ホスト風のイケメンも、それを食べるー。
いくつもの檻が並んだその場所に展示されているのは
”動物”ではなくー
”人間”だったー。
檻の並ぶ中を歩く小汚い風貌の男は、
笑みを浮かべるー
チャイナドレスの女ー
王子様のような格好の男ー
ライダースーツ姿の女ー
渋さがにじみ出ている男ー
色々な人間が、
まるで”動物園の動物”のような扱いを受けているー。
「ーーークククー」
そう、ここは動物園ー。
その、”裏側”
この動物園には”表の顔”と”裏の顔”が存在するー。
ここは、その”裏側”ー
”洗脳された人々”が、
まるで動物のように飼いならされている狂気の世界ー
「ーーー…素晴らしい」
スーツ姿の男が笑みを浮かべるー。
「ーーーーあぅぅぅぅぅ♡ ぅぅぅぅぅぁ♡」
裸体の女が、四つん這いで、スーツ姿の男が牢屋の外から
差し出した肉を食べているー。
「ーこの”雌”はー?」
スーツ姿の男が言うと、
「へへへ…それは、一人暮らしをしていたJDでございますー」と、
ニヤニヤしながら言うー。
「ーーくくくー。”我々が提供した薬”の力は素晴らしいだろう?」
スーツ姿の男の言葉に、小汚い男は笑みを浮かべると、
「ーあなたたち”ガルフ”のおかげでございますー」と頭を下げたー
「ーークククー
今後もしっかりと頼むぞー」
国際犯罪組織・ガルフ 日本支部責任者のカナハラは、
そう呟くと、笑みを浮かべながら、”動物”にされた
少年を撫でると、「では、私はこれで失礼するよー」と、
そのまま”狂気の動物園”から立ち去って行ったー
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動物たちの楽園ー
”アニマル・エデン”ー
最近話題の動物園で、
数年前までは経営難に陥っていたものの、
去年ぐらいから急速に経営を持ち直し、
今では世界各地の珍しい動物なども展示している
人気の動物園だー
「ーアニマル・エデンへようこそー」
園長の福原(ふくはら)が、動物園へと来園客を出迎えるー。
「ーーへ~…ここがアニマルエデンかー…
思っていたより凄いなー」
男子大学生の高濱 義博(たかはま よしひろ)が、
そう呟きながらアニマルエデンの入口から園内を見つめるー
「ーーでしょ?すっごい動物いっぱいいるんだから!」
隣にいた女子大生ー
彼女の綾野 麻理恵(あやの まりえ)が、嬉しそうに笑うー
「ーーーーー」
「ーーーーー」
義博は苦笑いしながら、麻理恵のほうを見つめるー。
「ーーえ…な、何ー?」
麻理恵が戸惑いながら言うと、義博は
「いやー…な、なんで制服ー?」と、笑うー。
「ーーえ~?なんとなく~!ほら、制服デートって憧れてて!」
大学生なのに、高校時代の制服を着てきた麻理恵を見て
義博は顔を赤くして目を逸らすと
「あ!目を逸らした!そんな照れなくたっていいじゃん~!」と
笑いながら、近付いてくるー。
「ーしかも、いつもポニーテールなのに、ツインテールだしー」
義博はさらに恥ずかしそうに顔を背けると、
「ツインテールで叩いちゃうぞ!」と、訳の分からないことを
麻理恵は言い放ったー
「ーーーーほら、わたし、中学も高校も女子だけしか
いないところだったからー…
彼氏とかも全然できなくてー」
麻理恵が少しだけ恥ずかしそうにそう呟くー
「他の子は、別の学校の子と付き合ったりもしてたけど、
わたしはそういうのなかったしー…
1回ぐらい、高校生気分でー…そのー ね?」
麻理恵が恥ずかしそうに言うと、
義博も恥ずかしそうにしながら
「わ、わかった!わかったよ!」と、麻理恵のほうを見つめて笑ったー。
「ー就活も始まればどんどん忙しくなるしー
年齢的にもJKモード!できるのは、もう限界があるし…」
麻理恵の言葉に、義博は「に、似合ってる。まだ全然いけるよ」と、
照れくさそうに呟いたー
「ーありがと!今日は楽しもうね…! せ~んぱい♡」
同年齢だが、ふざけて”後輩”みたく振る舞う麻理恵
「ーや、やめろ!鼻血が出そうになる!」
義博はそう言いながら突っ込むと、「ほら!動物!動物見に来たんだろ?」と、
近くのライオンを指さすー。
「ーーわ!ライオン!」
動物や植物が好きな麻理恵は嬉しそうに、展示されている
ライオンを見つめるー。
ライオンから始まりー
象
トラ
チーター
豹ー
ハイエナー
オウムー
猿ー
キリンー
パンダー
色々な動物を順番に見て回るー。
「ーーーーーはぁ~~~…疲れたぁ ちょっと休憩~」
麻理恵が休憩スペースで座ってひと息つくと、
義博は「だいぶハイペースで回ったからなぁ~」と笑うー。
休憩しながら談笑する二人ー。
「ーな~んか、麻理恵が高校の制服姿で
その髪型だと、ホントに高校生と一緒に居るみたい…っていうか、
不思議な気持になるなー」
義博が言うと、麻理恵は「え~ほんと~ですか~?せんぱい♡」!と、
ふざけて再び後輩モードで言葉を発したー
照れくさそうに「そんな先輩、高校時代はいなかったよ!」と笑う義博ー。
少し間を置いてからー。
「ーーーあ、ちょっとトイレに行って来ようかな」
義博がそう言うと、麻理恵は「あ、うん!じゃあここで待ってる」と
微笑むー。
「ーーーもしかして~~~」
去り際の義博に、麻理恵は、ニヤニヤしながら義博に言い放つー
「ーわたしに興奮しちゃったとか?」
「ーぶっ!ちげーよ!」
義博はそう言い返すと「さっきからトイレ行きたかっただけで、
外ではそんなことしないよ!」と、笑いながら麻理恵を見て、
そのままトイレに向かうー
「ーーーふぅ~…」
一人残された麻理恵は楽しそうに笑みを浮かべながら、
先ほど買ったジュースを飲みながら義博の帰りを待つー。
そんな、麻理恵の姿を見つめる男の姿があったー。
”ーーーーー…”
動物園の園長・福原は麻理恵を見つめながら
”ちょうど良さそうな女子高生だな”と、笑みを浮かべるー。
麻理恵は、高校時代の制服を着ているだけで
女子大生なのだが、そんな麻理恵を女子高生と勘違いした
福原園長は、笑みを浮かべながら麻理恵に近付いたー
「ーーこんにちは。」
急に声を掛けられて、麻理恵は一瞬ドキッとしたものの、
「あ…園長さんー」と、名札を見て、
ここの動物園の園長であると理解するー。
「ーーーあ、急に話しかけて驚かせちゃいましたねー。
私はこうして、アニマル・エデンをより良い動物園にするために
こうして来園者の皆さんと時々お話しているんですよー」
福原園長の言葉に「え~…すごいですね~」と、麻理恵は笑うー。
福原園長にアニマルエデンの感想を聞かれて
正直に答える麻理恵ー。
”さてー…あまり時間をかけるわけにもいかないー”
福原園長はそう呟くとー、
「ーーーではーーあなたに特別なものを見せて差し上げましょう」と、
笑みを浮かべるー
「特別なもの…?」
麻理恵が首をかしげると、
福原園長は「人数限定でしかご案内していない、アニマルエデンの
”特別な展示スペース”です」と、笑うー。
麻理恵はそんな言葉に、
「あ、今、彼がトイレに行ってるんでー、戻ってきたらー」と、
笑いながら言いかけるー。
しかしー
「ーーいいやー”君ひとり”だー」
福原園長が目を光らせると、麻理恵がビクッと震えてー
虚ろな目になるー。
「ーーふふふ…
さぁ、ついてきてー」
福原園長が言うと、麻理恵は「ーーはい…」と虚ろな目のまま答えるー。
「ーーーふ~~~…」
義博がトイレから出てくるとー
既に、麻理恵の姿は消えていたー。
「ーー麻理恵ー?」
義博は不安そうに周囲を見渡すー
「ーあれ?麻理恵ー?」
”どこに行っちゃったんだ?”そんな風に思いながらも、
まさか麻理恵が”洗脳”されて連れ去られたなどということは
夢にも思わずー、
そのまま周囲を見渡すー。
「ーー…麻理恵もトイレかなー?」
そう思いながら、スマホを手に、
元々麻理恵と一緒にいた休憩スペースに座るー。
しばらく待っていれば戻ってくるだろうー。
そう考えながら、スマホで一応
”さっきいた場所で待ってる”と、連絡だけ入れるー。
そんな連絡、麻理恵本人には届かない、とは
夢にも思わずにー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーー」
虚ろな目のまま歩く麻理恵ー。
「ーーー」
横を歩く福原園長は
”支配人も、お喜びになるだろうー”と、
そう笑みを浮かべるー。
”新しいJKを展示したい”
そう、支配人から言われた福原園長は、制服姿の麻理恵を
見つけて、女子高生だと勘違いしたまま、
ここに麻理恵を連れて来てしまったー
「ーーへへへ…福原ーいい女を持ってきたじゃねぇか」
奥にいた小汚い風貌の男が、笑みを浮かべるー。
”アニマルエデン”の真の支配者・田島(たじま)の言葉に
表向きの園長である福原は「はっ」と頭を下げるー。
「ーーさてさてー」
汚らしい雰囲気の田島が虚ろな目のままの麻理恵に突然キスをするー。
下品なキスー、
と、でも言えばいいのだろうかー。
音を立てながら、麻理恵の唇をしゃぶるようにキスを繰り返すー。
麻理恵はそんなことをされながらも、無反応だったー
「ーーへへへへへ…」
田島が何かを手にするー。
”国際犯罪組織ガルフ”から、手に入れた”特殊な洗脳薬ー”
「ー今日からお前も、動物園の動物だー」
田島はそう言うと、麻理恵に”洗脳薬”を注入するー
「ぁ…ぅぅぅぅ…ぁ」
麻理恵が苦しそうにうめくー。
「ーーーーーぁ…が…うぅぅぅぅぁ」
麻理恵は四つん這いになって、持っていたバッグを落として
そこからスマホが転がり落ちるー。
「ーーがぁぁ…!」
麻理恵の姿に、支配人の田島と園長の福原が面白そうに笑みを浮かべるー。
♪~~
♪~~~
♪~~~~
スマホが鳴り響くー。
スマホの画面には”義博”と書かれているー。
「ーーーー…そういや、この女、彼氏と一緒に来てる、って言ってましたね」
福原園長が言うと、支配人の田島は、麻理恵のほうを見て
「でろ」と、命令するー。
「ーーーはい」
麻理恵はそう呟くと、そのまま立ち上がりー
虚ろな目のまま、義博と会話を始めるー
「あ、もしもし、義博?ごめん!急に体調悪くなっちゃって!
うん!うん!今日はこのまま帰るね!
うん!心配かけてごめんね!
うん!うん!じゃ、うん!わかった!ばいばい!」
麻理恵はそう呟くと、通話を終えて、そのままスマホを落とすー。
無表情のままスマホを踏みつぶすと、
再び四つん這いの姿勢になって、雄たけびのような声をあげるー
「ーーいい子だー。
さぁ、その中に入れー」
支配人の田島がそう命じると、
麻理恵は動物のように四足で歩きながら、
そのまま檻の中へと入って行ったー。
「ーーーーククク」
狂気の動物園ー…
支配人の田島と、園長の福原は、笑いながら
”展示物”にされてしまった麻理恵のほうを見つめたー。
②へ続く
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コメント
狂気を感じる洗脳モノ…!
この狂気に立ち向かうことはできるのでしょうか~?
続きはまた明日デス~!
今日もありがとうございました~!
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