<MC>狂気の動物園②~檻~(完)

狂気の動物園”アニマル・エデン”に
洗脳されて、展示品にされてしまった彼女ー…

彼女とはぐれた彼氏と、洗脳された彼女の運命は…?

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「ーバカ野郎!」

動物園アニマル・エデンの”裏の顔”を支配し、
実質的な動物園の支配者となっている支配人・田島は
大声で叫びながら園長の福原を殴りつけたー

「ひぃっ…申し訳ございません!」
福原は表向きの園長だが、この”支配人・田島”より
立場は低いー。

首輪をはめられて、四つ足で歩き回る麻理恵ー
高校の制服を身に着けたままの麻理恵を、
少し離れた場所で”裏社会の顧客”が見つめているー。

この”裏動物園”は、裏社会の人間たちが多額の金を払って
見に来ており、この動物園の多大な資金源となっているー。

「ーーー…ったくよぉ、女子大生と女子高生を
 見間違えてんじゃねぇよ」

田島は煙草を吸いながら、園長の福原にそう言い放つー。

洗脳した麻理恵のバッグの中から
大学の学生証が見つかったため、
麻理恵が高校生ではない、と田島が気づいたのだー。

「ーーお前は、制服姿の女は全部女子高生だと判断するのか~?
 あ~?
 裏を取れよ裏を」

煙草を福原園長に押し付けながら、支配人・田島が叫ぶー。

「ーババアが制服着てても、お前はJKと思うのか?
 おっさんが制服着てても、お前の中ではJKなのか?」

煙草をぐりぐりしながらそう叫ぶ支配人・田島に対して、
福原園長は「そ…その女は大学生だったので、見分けが、つかずー!」と、
必死に謝罪を繰り返したー

「ー言い訳してんじゃねぇ!
 そんなだから、赤字で経営破綻しそうになるんだ!」

支配人・田島の言葉に、福原園長は、”申し訳ありません!と、悲鳴を上げるー。

「ーー国際組織ガルフから貰える薬の量は限られてるんだー
 注意しろ」

この動物園ーアニマル・エデンは数年前までは経営破綻直前だったー。
そんな中、園長の福原は、なんとか動物園を存続させようと、
”裏社会のネットワーク”に手を出したー。

そして、出会ったのが”経営再生人”を名乗るこの男・田島だったー。

田島はどんな手段を使ってでも”経営”を再生させる
裏社会の経営再生人だったー。

田島がやってきて、この動物園には”裏の顔”が出来たー。
だが、経営はみるみるうちに再生し、支配人の福原も、現状には満足していたー。

「ーーーーーま、いいや」
田島はそう言うと、四つ足で歩く麻理恵のほうを見て、
笑みを浮かべるー。

頭を馬鹿にするように撫でると、麻理恵は嬉しそうに
鳴き声のようなものを出すー。

「ーー俺たち人間だって、
 ホモサピエンスっていうー、1種の動物だー。
 ホモサピエンスが動物園に展示されてたって、何も問題はねぇだろ?へへ」

田島は笑いながらそう呟くと、麻理恵の胸を触りながら
「な!動物!」と、ニヤニヤしながらもう一方の胸も触り始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれから数日が経過したー。

「ーーーーー」
義博は、麻理恵に何度も連絡を取ろうとしたが、
こちらからは連絡が取れない状況が続いているー

動物園、アニマルエデンでデートしていたあの日、
麻理恵は体調不良を理由に急に姿を消したー。

それ以降、麻理恵は大学にも来なくなり、
自宅を訪れても、不在のままー。

だがー
定期的に麻理恵からは電話がかかってきており、
”ちょっと急に忙しくなっちゃって”だとか、
”心配しないで”だとか、
どうやら本人は無事らしいー。

しかし、居場所も分からないし、こちらからは連絡もつかないー。

義博は”麻理恵の身に何かあったのでは?”と、当然疑っているー。

例えばー
誰かに拉致されて、人質にされているのではないかー?とか、
そういう考えも浮かんでくるー。

「ーーー…あの動物園で麻理恵は急に姿を消したー」
義博は、そんな風に考えながら
”もう一度、あの動物園に行ってみるか”と、立ち上がるー。

もちろん、義博は動物園のことを疑っているわけではないー
今、義博が疑っているのは
”動物園で何かに巻き込まれたのではないか”と、いう部分だー。

”動物園に行って、何になるー?”
そう思いながらも、麻理恵のことが心配でたまらない義博は
もう一度動物園に行くことを決意したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー義博ってば~!大丈夫だよ~!
 え?事件に巻き込まれてるんじゃないかって?
 そんなことあるわけないでしょ~?」

首輪に繋がれたまま、麻理恵が笑顔で
電話を手に、会話を続けているー。

「ーーえ?この電話?
 あ~友達から借りてる電話だよ~!
 わたしのスマホ、壊れちゃって」

”洗脳された麻理恵”が
彼氏の義博に安心するよう、電話で伝えているー。

その様子を見つめながら支配人の田島は
「こいつの彼氏、なかなかしつこいなー」と、笑みを浮かべるー。

まぁ、今までも”展示品”にしてきた人間の
家族やら友達やら恋人やらが、しつこく迫ってきたことはあったー。

大抵の人間は洗脳された本人の言葉でうまく言いくるめることができるが、
ごく一部、しつこいやつもいるー。

そんな時はー

「ーーーー」
田島は、ヒョウ柄の全身タイツを身に着けた男女が展示されている
檻を見つめるー

これは、洗脳した姉妹だー。
妹のほうを先に洗脳して展示していたところ、
兄がしつこく動物園に「妹はどこだ!」と迫ってきたため、
兄の方も洗脳したー

今は、豹柄のタイツを身に着けた展示品として、
兄妹の絆も完全に忘れて、二人で暮らしているー。

「ーーーあのさ!」
麻理恵が怒りの声をあげるー

「いい加減しつこいんだけど!
 わたしは平気って言ってるでしょ?
 なに?彼女の言うこと、信じられないのー?」

麻理恵は”命令通り”、
”とにかく彼氏を安心させろ それがダメなら絶縁しろ”を
実行しているー

「ーもういい!義博なんて知らない!
 もう連絡しないから!」

麻理恵はそう言うと、スマホを切ってから、
再び、動物のように四つ足に戻ると、
そのまま無表情で檻の中を歩き始めたー。

だがーーー

「ーーー支配人!」
福原園長の悲鳴に似た声が聞こえたー。

「ーーー!」
田島が振り返ると、”裏・動物園”がある室内に、
”人質”状態にされた福原園長と、義博が入ってきていたー

「ーーここに、麻理恵がいるんだなー」
義博が言うー。

動物園を再び訪れていた義博ー。
そんな中、偶然麻理恵から電話がかかってきて、
義博は麻理恵と会話をしていたー。

その最中に、義博は、
”ある音”を聞いたのだー。

それはー
動物園内で偶然起きた”トラブル”の音ー。

ちょうど、麻理恵との電話中に
園内には”ご来園ありがとうございます”というアナウンスが
放送されていたー

そのアナウンスの最中にー
機器のトラブルでもあったのだろうかー。
突然、ブォン、ピ~~~という雑音が一瞬入り、
園内の来園者たちが、耳を塞ぐほどの雑音が、
響き渡ったー

それがー
”電話の向こう”からも聞こえたのだー

”麻理恵は動物園にいるー”
そう感じた義博は、福原園長を問い詰め、
とぼけた福原園長を、無理やり脅して、
麻理恵のいる場所に案内させたのだー。

福原園長は「す…すみません…!」と悲鳴を上げるー。

「ーーーーどういうことかな?」
小汚い風貌の田島は笑みを浮かべながら言うー。

その言葉と同時に、義博は
檻の中に入れられている人間たちに気付くー。

「ーーー…こ…これは…何なんだー…」
義博が唖然としているー

「ーーー…」
田島は舌打ちをしながらも”見られてしまったなら仕方ない”と、
開き直るー

「ーホモサピエンスを展示しているのだよー」
とー。

「ーーなんだってー…?」
義博は表情を歪めながら、奥の檻の一つに視線を合わせたー。

「ーー見たまえー」
支配人の田島は、ポケットに”犯罪組織ガルフ”から受け取った
注射器を手にしながら、奥の牢屋にいる、
制服姿のまま四つん這いで歩き回るー、
首輪に繋がれた麻理恵の姿を見せつけたー。

「ーーがぅぁぁぁぅぅぅぅ」
涎を垂らしながら獣のような声を出す麻理恵ー

「ーーーー!!!!!!!!!」
義博の目に怒りの炎が宿るー。

「ーーー君の彼女は、動物園にいるライオンやトラたちと同じだー」
小汚い風貌の田島は笑みを浮かべるー。

「ーー…ま…ま…麻理恵に…何をした…?」
義博は、唖然とした様子で、やっと声を振り絞るー。

他の”洗脳された人々”が、獣のような声をそれぞれ上げる中ー
田島は笑みを浮かべたー

「ーー”洗脳”ー
 ここは、裏社会の要人たちが、利用する”裏”の動物園でねー。
 経営破綻寸前だったこの”アニマル・エデン”を救ったのも、
 この”裏”のおかげだー。」

田島はペラペラと、この場所の秘密を明かすー。
それはー、
義博を逃がすつもりなどなかったからー。

「ーーさて」
田島が指をパチンとはじくと、洗脳された人々の牢屋が、4つほど開くー。

麻理恵も四つ足で歩きながら、
義博の方に近付いてくるー

「ま…麻理恵…!目を覚ませ!」
そう叫ぶと同時にー
牢屋から出てきた男女が、獣のように襲い掛かってくるー

「ぐあっ!」
義博は”人間でも、何も恐れずに襲い掛かってくると、まるで獣のようだー”と、
恐怖を感じながら、なんとか4人の男女を払いのけようとするー。

「がぁぁぁぅぅぅあ!」
麻理恵が、義博の手に噛みついてくるー

「くっ…くそっ!」
義博は、激しい怒りを感じたー

田島は、襲われている義博を見つめながら、ゆっくりと
義博の方に近付くー

”お前も、展示品になるんだー”
田島が笑みを浮かべながら、義博に近付こうとした瞬間ー

「ーーーうあああああああああああああっ!」
怒りの雄たけびをあげた義博が、麻理恵たち4人を押しのけて、
田島に突進してきたー。

田島が手に持っていた注射器が床に転がり落ちるー。

田島が必死にそれを拾って義博に向けるー。

だがー
義博は咄嗟に、その注射器を奪い取って、
田島に突き刺したー

「ぐあああああああっ」
悲鳴を上げる田島ー

義博は、動きの止まった4人を見て
「麻理恵!」と叫ぶと、
虚ろな目のままの麻理恵の手を引いてー
その場から逃げ出そうとするー。

”自分の力”でこの場の人間をどうにかすることはできないー。
一度、麻理恵だけでも助け出して、どうにかー

「ーーひっ!?」
出口付近にいた園長の福原は、義博の予期せぬ反撃に怯えてー
尻餅をついて、そのまま義博を逃がしてしまうー。

義博は、麻理恵を救出して、脱出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間後ー

あれから、麻理恵は入院が続いているー。

”正気”には戻らずー
麻理恵は、獣のように奇声を上げたり、
まともに会話ができない状態ー

”洗脳”が解けないー。

義博は、そんな麻理恵を見つめながら決意するー。

”必ず…元に戻すからなー”
とー。

どんなに時間がかかったとしても、
また、麻理恵の笑顔を見るためにー

義博は、麻理恵を正気に戻すためなら
どんなことでもするー、と決意するのだったー。

そしてー
今日は、義博からの訴えを聞きー、
警察が、アニマルエデンの立ち入り調査を行っていたー

園長の福原は逮捕ー、
だが、”裏”動物園のあった奥の場所には、
”空っぽの牢屋”と、”支配人・田島の死体”が転がっているだけでー
他には何も残されていなかったー。

「ーーゴミは、すぐに”処分”しないとなー」
少し離れた場所から、警察に立ち入りを受けているアニマルエデンを
双眼鏡で見つめていた
国際犯罪組織ガルフの日本支部責任者・カナハラは、
静かにそう呟くと、田島を始末した特殊な毒物を手に、
そのまま、静かに姿を消したー。

おわり

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コメント

狂気に染まった動物園を舞台としたお話でした~!☆
なんとか無事に救出できましたが、
彼女を正気に戻すには、時間がかかりそうですネ~!

☆小ネタ☆
「国際犯罪組織ガルフ」は、
過去作品の”裏社会の脳移植”や”潜入刑事”にも登場していました~!☆
特に両作品と直接的な繋がりはありませんが(知らなくても全く問題ないデス~!)
憑依空間では、
たまに過去作品を知っていれば、懐かしい…な要素を盛り込んでいるので、
探してみてくださいネ~笑

今日もありがとうございました~!

PR
MC<狂気の動物園>
憑依空間NEO

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