常軌を逸した元カノ・由愛菜の愛ー。
彼氏の竜輝は、なんとかこの状況を
抜け出そうとするも…?
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「---」
竜輝はスマホを見つめるー。
彼女の智恵から、何度も何度も
LINEやメール、電話、あらゆるものが届いているー
”どうして由愛菜に返事をくれないの?”
”由愛菜、さみしい”
”由愛菜、ずっとずっと頑張って来たんだよ”
智恵は”由愛菜”を名乗っているー。
竜輝はスマホを握りしめるー。
彼女の智恵は、元カノ・由愛菜に憑依されてしまったのだー。
”憑依”などということは、ありえないー
だが、智恵の振る舞いを見ていると
智恵が由愛菜に乗っ取られてしまったー
ということを認めざるを得ないー。
由愛菜本人の状況を確認しようにも、
由愛菜は少し前に自殺しておりー、
確認することも出来ないー。
”自分の身体を捨てて、竜輝くんが好きなこの女の身体に
なったんだよ?
褒めて褒めて~”
メッセージが鬼のように送られてくるー。
そのメッセージは、止まることがないー。
くそっ…
竜輝は戸惑うー。
由愛菜の常軌を逸した愛情から、
竜輝は由愛菜に別れを告げたー。
由愛菜は、別れをつげた時、
”妙にあっさり”と引き下がったー。
由愛菜の性格をよく理解していた竜輝は、
当時、由愛菜が暴れ出すことも覚悟して
別れの言葉を告げたー。
だが、結果的に、由愛菜はあっさりと引き下がり、
それからおよそ半年、何事も起きていなかったのだー
けれどー
今、起きている事態を前に、
竜輝は理解したー。
恐らくー
由愛菜は半年間ずっとー
”他人に憑依する方法”を
探していたのだとー。
”寂しいよぉ…返事は~?”
智恵からのメッセージは止まらないー
智恵は、完全に由愛菜に乗っ取られてしまっているー。
”由愛菜…死んじゃおっかな”
そのメッセージと共に、
カッターと智恵の手首の写真が送られてくるー
「おい!!!やめろ!!」
竜輝は思わず返事を送ってしまうー。
「その身体は、智恵の身体だろ!」
とー。
”智恵なんて呼ばないで。
由愛菜は由愛菜だよ♡”
返事が戻って来るー。
竜輝は”早く智恵を助けないと…”と
焦りを感じ始めていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--竜輝くん、大好き!」
翌日ー
智恵が竜輝の腕にしがみついているー
竜輝は、”由愛菜に乗っ取られた智恵”を
避けるのは危険だと判断したー。
リストカットなんてされたら、智恵の身体が
キズついてしまうし、
こうして、近くにいないと、
智恵を乗っ取った由愛菜が何をするか分からないー。
だからー
こうして、一緒にいたほうが、安全と判断したのだー
智恵が身体を密着させて来るー。
智恵ではありえなかった密着具合だー。
智恵の異変は、すぐに周囲の学生も気づいたー
”まるで由愛菜のようー”
と、噂し始めるものまでー。
お姫様のような服装で、ツインテール姿の智恵が
「竜輝くん~♡」と嬉しそうに、竜輝にくっついているー。
だが、竜輝は、元気のない表情ー。
「-ーー智恵は今、どうなっているんだ?」
竜輝が不安そうな表情で尋ねるー。
このまま、由愛菜に乗っ取られ続けるのであれば
智恵は、死んでいるも同然だー
”身体”は生きていても
”心”が殺されてしまっていては、
それは、智恵とは言えない。
「---由愛菜は由愛菜だよ♡
智恵なんて女、どうでもいいじゃん!」
智恵が笑うー
「よくない!」
竜輝が、智恵の肩を掴んで、まっすぐと智恵を見つめるー。
「智恵はどうなっているんだ…?答えろ!」
竜輝が言うと、
智恵は答えたー
「--由愛菜、そんなことし~らない♡」
とー。
「--…お、、お前…自分が何してるか分かってるのか!?」
竜輝は言うー
しかし、智恵に憑依している由愛菜は笑うだけー。
”話にならない”
そう思った竜輝は叫ぶー。
「おい!智恵!目を覚ませ!智恵!」
智恵の意識が戻ってくれればー
由愛菜を撃退することも出来るかもしれないー。
だがーーー
「-ーーー…ねぇ、そんな女のことじゃなくて
由愛菜を見て!」
智恵が怒りの形相で叫ぶー
「--由愛菜、竜輝くんのこと、こ~んなに大好きなのに、
どうして、竜輝くんは振り向いてくれないの?
竜輝くんが大好きな身体になれるように、って
由愛菜、がんばってきたんだよ!」
智恵の言葉に、竜輝は困惑しながら、呟くー
「だから……俺は由愛菜の見た目とかじゃなくて…
中身…!性格に耐えられなかったんだよ…!
分かってくれよ…!
そうやって、他の子を巻き込んで、勝手に乗っ取ったりして…!
そういうところだよ…!」
竜輝が涙ぐみながら言うと、
智恵は呟くー
「---竜輝くん…泣かないで…!
由愛菜が気持ちよくしてあげるから…!」
智恵の言葉に、
竜輝は
”由愛菜は何を言っても自分の都合の良いようにしか解釈しない”
ということを、改めて、悟るー。
このまま適当に由愛菜に話を合わせていれば、
少なくとも”智恵の身体が傷つけられる”
ことは、ないとは思う。
しかしー
それではー
恐らく智恵は、永遠に解放されないー
ここで引いたら、同じことの繰り返しー。
竜輝は、深呼吸してから智恵の方を見るー
「--はっきり言うぞ、由愛菜ー」
竜輝の言葉に、智恵は、きゅんとしながら竜輝の方を見つめるー。
「--由愛菜がどんな姿になろうとー
”中身が由愛菜”である以上ー
一緒にはなれないー。
智恵は”外”と”中”両方が揃って智恵なんだー。
今の智恵のことは好きにはなれないしー、
由愛菜、お前がそういう性格である限り、
俺は、”絶対に”お前のことは好きにならない…!!!
永遠にーーー!!!」
竜輝は、言葉を振り絞るようにして、
そう言い放ったー。
「--だから、智恵を開放しろ!!!!
誰を乗っ取っても、俺は由愛菜とは2度と付き合わない!
--頼むから、分ってくれ!」
竜輝の言葉に、智恵はにっこりとほほ笑んだー
「---そっか ごめんね」
とー。
”竜輝くんの気持ちはよくわかったからー。
一晩だけ、考える時間を、由愛菜にちょうだい”
そう囁くと、智恵はそのまま立ち去って行ったー。
「--由愛菜…」
由愛菜は分かってくれたのだろうかーー。
そんな不安が竜輝の頭の中で強まるー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---竜輝くん…竜輝くん♡ 竜輝くん…」
智恵が、裸になって、竜輝の写真を貼り付けた
マネキンに抱き着いているー。
「うぁ…♡ あっ…♡ だいすき…だいすき…」
乗っ取られた智恵は、由愛菜の部屋と同じような
部屋に模様替えして、
マネキンに竜輝の写真を貼り付けて抱き着いていたー
「--由愛菜を抱いて… 由愛菜を愛して…♡」
智恵がうっとりとした表情で言うー
何度も何度も、竜輝の写真に激しいキスを繰り返すー
はぁはぁ言いながら興奮している智恵ー
”させられている”智恵ー
「---竜輝くぅん…♡」
智恵はそう呟くと
裸にツインテールの状態で、「由愛菜…だいすきだよ」と、
竜輝の台詞を、勝手に妄想して、智恵の身体で呟くー
「んあぁぁあああ~~~竜輝くぅぅぅぅぅ~~~ん」
身体をくねらせながら智恵は、狂った笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
大学から帰ろうとしていると、
智恵に声を掛けられたー
”一晩考えさせて”
昨日、由愛菜はそう言っていたー。
竜輝は戸惑いながらも、それに応じ、
大学の空き部屋の中で、
智恵と対峙したー。
「---それで…?
智恵の身体を返してくれるつもりになったのか?」
しかしー
智恵の行動は”想定外”と言える行動だったー。
智恵が突然ー
服を脱ぎ始めたのだー
「--由愛菜、決めたの!
自分に正直になる!」
智恵が下着姿になると、
「由愛菜、竜輝くんの子供が欲しいの!」と
顔を真っ赤にしながら襲い掛かって来たー
「おい!ふざけんな!」
竜輝が由愛菜を振り払うー
そして、叫ぶー
「いい加減にしろ!!!
その身体は智恵の身体だぞ!」
とー。
「---ちえ?????
由愛菜が竜輝君に愛してもらえないのは…
この身体に魅力がないから…!
そう…
そうだったのね!」
智恵が鬼のような形相で叫ぶー。
「--な、、何を言ってるんだ!おい!」
竜輝は困惑することしかできず、叫ぶー。
なおも竜輝に向かってくる智恵ー
「--竜輝くんの、、由愛菜の中にいれて!!!
ぶちまけて!!!」
智恵がはぁはぁ言いながら襲い掛かって来るー
たまらず部屋から飛び出す竜輝ー
”人目のつく場所”なら、
変なことはできないだろうー、
と、いう判断だー。
しかしーー
「--!」
竜輝は振り返って唖然としたー
智恵が、下着姿のまま、部屋から飛び出して
大学内を追いかけてきているー
ざわめく周囲ー
その光景を見て、竜輝は
死ぬほど後悔したー
”周囲の人目がつくような場所でおかしな真似はしないだろう”
との判断で、
竜輝は、智恵と会った部屋から飛び出したー。
しかしー
智恵に憑依している由愛菜は、そんな甘い人間ではなかったー。
”周囲の人目など気にせず、激しい束縛を繰り広げる”
そんな子だったー
しかも今はー
”他人”の身体ー。
「--おい!やめろ!!やめろってば!」
竜輝が叫ぶー
既に手遅れー
周囲が、下着姿で大学構内を走る智恵を目撃してしまっているー。
「--おい…ふざけんなよ!おい!」
竜輝が、やり場のない怒りを智恵に憑依した由愛菜にぶつけるー。
「--ふふふふ…由愛菜と竜輝くんのこども…!つくろ!」
智恵がはぁはぁ言いながら、竜輝を、人前で押し倒そうとするー。
竜輝は慌てて智恵を振り払う。
「くそっ!くそっ!くそっ!どうにかしないと…!」
由愛菜を止めないと、大変なことになるー
智恵が滅茶苦茶にされてしまうー。
竜輝は、慌てて大学から飛び出すー。
さすがに、大学の外ではーーー
「--!」
竜輝は表情を歪めたー
下着姿のまま、智恵が大学からも飛び出してくるー
”由愛菜の異常な愛”
「----!」
竜輝は「おい!!!!!!!人の身体でそんなことして、、ふざけんなよお前!」と
大声で怒りをぶちまけるー。
智恵のことを見て、既に周囲の通行人がどよめき、
スマホで警察に通報してると思われる人間までいるー。
「--竜輝くんが大好きなんだもん!」
智恵が叫ぶー。
そしてー
なおも、竜輝を追いかけて来るー
「--くそっ!」
竜輝は警察署の位置を頭の中で思い浮かべるー
ここから10分ぐらいの場所に警察があったはずー
これ以上、智恵の身体を好き放題されてしまう前に、
智恵を警察まで誘導すればーー
なんとかーーーー
ドォン!!!!!!!
「--!?」
背後から物凄い音が聞こえたー
「----え」
竜輝が振り返るとー
そこには、トラックと乗用車が追突していてー
すぐ側には、トラックにはねられて、横たわる智恵の姿があったー
「お、、おい、、、嘘だろ!?」
竜輝が慌てて駆け寄るー。
赤信号を無視して飛び出した智恵ー。
トラックと乗用車がそれを避けようとして追突ー。
しかも、智恵もはねられてしまったのだったー
「ーーーお、、おい!智恵!しっかりしろ!」
竜輝が叫ぶー。
仰向けにぐったりした智恵が、目を開くー
「----あ、、、れ…竜輝…?」
智恵が竜輝の方を見るー
「--ち、、智恵!?」
竜輝はその表情と言葉から、
由愛菜ではなく、智恵だと確信するー
「--なんか、、、、今日、、、寒く…ない…?」
智恵が、現状を理解してない状況で呟くー
「----」
竜輝は、首を振りながら、
「-ーー智恵…!」と、必死に名前を呼ぶー。
そのまま智恵は意識を失うー
すぐに竜輝が救急車を呼び、
智恵は救急車で搬送されたー。
助かるだろうかー。
そんな風に思いながら、竜輝は拳を握りしめたー。
「---由愛菜…
俺は…お前を許さない」
そんな風に呟くと、
竜輝は怒りの形相で、智恵が運ばれた病院の方に向かって
歩き出したー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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元カノの狂気的な行動…!
逃れることはできるのでしょうか~!
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