<憑依>元カノの怨念②~由愛菜~

常軌を逸した元カノ・由愛菜の愛ー。

彼氏の竜輝は、なんとかこの状況を
抜け出そうとするも…?

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「---」
竜輝はスマホを見つめるー。

彼女の智恵から、何度も何度も
LINEやメール、電話、あらゆるものが届いているー

”どうして由愛菜に返事をくれないの?”
”由愛菜、さみしい”
”由愛菜、ずっとずっと頑張って来たんだよ”

智恵は”由愛菜”を名乗っているー。

竜輝はスマホを握りしめるー。
彼女の智恵は、元カノ・由愛菜に憑依されてしまったのだー。

”憑依”などということは、ありえないー
だが、智恵の振る舞いを見ていると
智恵が由愛菜に乗っ取られてしまったー
ということを認めざるを得ないー。

由愛菜本人の状況を確認しようにも、
由愛菜は少し前に自殺しておりー、
確認することも出来ないー。

”自分の身体を捨てて、竜輝くんが好きなこの女の身体に
 なったんだよ?
 褒めて褒めて~”

メッセージが鬼のように送られてくるー。
そのメッセージは、止まることがないー。

くそっ…
竜輝は戸惑うー。

由愛菜の常軌を逸した愛情から、
竜輝は由愛菜に別れを告げたー。

由愛菜は、別れをつげた時、
”妙にあっさり”と引き下がったー。

由愛菜の性格をよく理解していた竜輝は、
当時、由愛菜が暴れ出すことも覚悟して
別れの言葉を告げたー。

だが、結果的に、由愛菜はあっさりと引き下がり、
それからおよそ半年、何事も起きていなかったのだー

けれどー
今、起きている事態を前に、
竜輝は理解したー。

恐らくー
由愛菜は半年間ずっとー
”他人に憑依する方法”を
探していたのだとー。

”寂しいよぉ…返事は~?”
智恵からのメッセージは止まらないー

智恵は、完全に由愛菜に乗っ取られてしまっているー。

”由愛菜…死んじゃおっかな”

そのメッセージと共に、
カッターと智恵の手首の写真が送られてくるー

「おい!!!やめろ!!」
竜輝は思わず返事を送ってしまうー。

「その身体は、智恵の身体だろ!」
とー。

”智恵なんて呼ばないで。
 由愛菜は由愛菜だよ♡”

返事が戻って来るー。

竜輝は”早く智恵を助けないと…”と
焦りを感じ始めていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--竜輝くん、大好き!」

翌日ー
智恵が竜輝の腕にしがみついているー

竜輝は、”由愛菜に乗っ取られた智恵”を
避けるのは危険だと判断したー。

リストカットなんてされたら、智恵の身体が
キズついてしまうし、
こうして、近くにいないと、
智恵を乗っ取った由愛菜が何をするか分からないー。

だからー
こうして、一緒にいたほうが、安全と判断したのだー

智恵が身体を密着させて来るー。
智恵ではありえなかった密着具合だー。

智恵の異変は、すぐに周囲の学生も気づいたー

”まるで由愛菜のようー”
と、噂し始めるものまでー。

お姫様のような服装で、ツインテール姿の智恵が
「竜輝くん~♡」と嬉しそうに、竜輝にくっついているー。

だが、竜輝は、元気のない表情ー。

「-ーー智恵は今、どうなっているんだ?」
竜輝が不安そうな表情で尋ねるー。

このまま、由愛菜に乗っ取られ続けるのであれば
智恵は、死んでいるも同然だー

”身体”は生きていても
”心”が殺されてしまっていては、
それは、智恵とは言えない。

「---由愛菜は由愛菜だよ♡
 智恵なんて女、どうでもいいじゃん!」

智恵が笑うー

「よくない!」
竜輝が、智恵の肩を掴んで、まっすぐと智恵を見つめるー。

「智恵はどうなっているんだ…?答えろ!」
竜輝が言うと、
智恵は答えたー

「--由愛菜、そんなことし~らない♡」
とー。

「--…お、、お前…自分が何してるか分かってるのか!?」
竜輝は言うー
しかし、智恵に憑依している由愛菜は笑うだけー。

”話にならない”

そう思った竜輝は叫ぶー。

「おい!智恵!目を覚ませ!智恵!」
智恵の意識が戻ってくれればー
由愛菜を撃退することも出来るかもしれないー。

だがーーー

「-ーーー…ねぇ、そんな女のことじゃなくて
 由愛菜を見て!」

智恵が怒りの形相で叫ぶー

「--由愛菜、竜輝くんのこと、こ~んなに大好きなのに、
 どうして、竜輝くんは振り向いてくれないの?

 竜輝くんが大好きな身体になれるように、って
 由愛菜、がんばってきたんだよ!」

智恵の言葉に、竜輝は困惑しながら、呟くー

「だから……俺は由愛菜の見た目とかじゃなくて…
 中身…!性格に耐えられなかったんだよ…!

 分かってくれよ…!

 そうやって、他の子を巻き込んで、勝手に乗っ取ったりして…!

 そういうところだよ…!」

竜輝が涙ぐみながら言うと、
智恵は呟くー

「---竜輝くん…泣かないで…!
 由愛菜が気持ちよくしてあげるから…!」

智恵の言葉に、
竜輝は
”由愛菜は何を言っても自分の都合の良いようにしか解釈しない”
ということを、改めて、悟るー。

このまま適当に由愛菜に話を合わせていれば、
少なくとも”智恵の身体が傷つけられる”

ことは、ないとは思う。

しかしー
それではー
恐らく智恵は、永遠に解放されないー

ここで引いたら、同じことの繰り返しー。

竜輝は、深呼吸してから智恵の方を見るー

「--はっきり言うぞ、由愛菜ー」
竜輝の言葉に、智恵は、きゅんとしながら竜輝の方を見つめるー。

「--由愛菜がどんな姿になろうとー
 ”中身が由愛菜”である以上ー
 一緒にはなれないー。

 智恵は”外”と”中”両方が揃って智恵なんだー。
 今の智恵のことは好きにはなれないしー、
 由愛菜、お前がそういう性格である限り、
 俺は、”絶対に”お前のことは好きにならない…!!!

 永遠にーーー!!!」

竜輝は、言葉を振り絞るようにして、
そう言い放ったー。

「--だから、智恵を開放しろ!!!! 
 誰を乗っ取っても、俺は由愛菜とは2度と付き合わない!

 --頼むから、分ってくれ!」

竜輝の言葉に、智恵はにっこりとほほ笑んだー

「---そっか ごめんね」
とー。

”竜輝くんの気持ちはよくわかったからー。
 一晩だけ、考える時間を、由愛菜にちょうだい”

そう囁くと、智恵はそのまま立ち去って行ったー。

「--由愛菜…」

由愛菜は分かってくれたのだろうかーー。
そんな不安が竜輝の頭の中で強まるー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---竜輝くん…竜輝くん♡ 竜輝くん…」

智恵が、裸になって、竜輝の写真を貼り付けた
マネキンに抱き着いているー。

「うぁ…♡ あっ…♡ だいすき…だいすき…」
乗っ取られた智恵は、由愛菜の部屋と同じような
部屋に模様替えして、
マネキンに竜輝の写真を貼り付けて抱き着いていたー

「--由愛菜を抱いて… 由愛菜を愛して…♡」
智恵がうっとりとした表情で言うー

何度も何度も、竜輝の写真に激しいキスを繰り返すー

はぁはぁ言いながら興奮している智恵ー
”させられている”智恵ー

「---竜輝くぅん…♡」
智恵はそう呟くと
裸にツインテールの状態で、「由愛菜…だいすきだよ」と、
竜輝の台詞を、勝手に妄想して、智恵の身体で呟くー

「んあぁぁあああ~~~竜輝くぅぅぅぅぅ~~~ん」
身体をくねらせながら智恵は、狂った笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

大学から帰ろうとしていると、
智恵に声を掛けられたー

”一晩考えさせて”

昨日、由愛菜はそう言っていたー。

竜輝は戸惑いながらも、それに応じ、
大学の空き部屋の中で、
智恵と対峙したー。

「---それで…?
 智恵の身体を返してくれるつもりになったのか?」

しかしー
智恵の行動は”想定外”と言える行動だったー。

智恵が突然ー
服を脱ぎ始めたのだー

「--由愛菜、決めたの!
 自分に正直になる!」

智恵が下着姿になると、
「由愛菜、竜輝くんの子供が欲しいの!」と
顔を真っ赤にしながら襲い掛かって来たー

「おい!ふざけんな!」
竜輝が由愛菜を振り払うー

そして、叫ぶー

「いい加減にしろ!!!
 その身体は智恵の身体だぞ!」

とー。

「---ちえ?????
 由愛菜が竜輝君に愛してもらえないのは…
 この身体に魅力がないから…!

 そう…
 そうだったのね!」

智恵が鬼のような形相で叫ぶー。

「--な、、何を言ってるんだ!おい!」
竜輝は困惑することしかできず、叫ぶー。

なおも竜輝に向かってくる智恵ー

「--竜輝くんの、、由愛菜の中にいれて!!!
 ぶちまけて!!!」

智恵がはぁはぁ言いながら襲い掛かって来るー

たまらず部屋から飛び出す竜輝ー

”人目のつく場所”なら、
変なことはできないだろうー、
と、いう判断だー。

しかしーー

「--!」
竜輝は振り返って唖然としたー

智恵が、下着姿のまま、部屋から飛び出して
大学内を追いかけてきているー

ざわめく周囲ー

その光景を見て、竜輝は
死ぬほど後悔したー

”周囲の人目がつくような場所でおかしな真似はしないだろう”
との判断で、
竜輝は、智恵と会った部屋から飛び出したー。

しかしー
智恵に憑依している由愛菜は、そんな甘い人間ではなかったー。

”周囲の人目など気にせず、激しい束縛を繰り広げる”
そんな子だったー

しかも今はー
”他人”の身体ー。

「--おい!やめろ!!やめろってば!」
竜輝が叫ぶー

既に手遅れー
周囲が、下着姿で大学構内を走る智恵を目撃してしまっているー。

「--おい…ふざけんなよ!おい!」
竜輝が、やり場のない怒りを智恵に憑依した由愛菜にぶつけるー。

「--ふふふふ…由愛菜と竜輝くんのこども…!つくろ!」
智恵がはぁはぁ言いながら、竜輝を、人前で押し倒そうとするー。

竜輝は慌てて智恵を振り払う。

「くそっ!くそっ!くそっ!どうにかしないと…!」
由愛菜を止めないと、大変なことになるー

智恵が滅茶苦茶にされてしまうー。

竜輝は、慌てて大学から飛び出すー。

さすがに、大学の外ではーーー

「--!」
竜輝は表情を歪めたー

下着姿のまま、智恵が大学からも飛び出してくるー

”由愛菜の異常な愛”

「----!」
竜輝は「おい!!!!!!!人の身体でそんなことして、、ふざけんなよお前!」と
大声で怒りをぶちまけるー。

智恵のことを見て、既に周囲の通行人がどよめき、
スマホで警察に通報してると思われる人間までいるー。

「--竜輝くんが大好きなんだもん!」
智恵が叫ぶー。
そしてー
なおも、竜輝を追いかけて来るー

「--くそっ!」
竜輝は警察署の位置を頭の中で思い浮かべるー

ここから10分ぐらいの場所に警察があったはずー

これ以上、智恵の身体を好き放題されてしまう前に、
智恵を警察まで誘導すればーー

なんとかーーーー

ドォン!!!!!!!

「--!?」
背後から物凄い音が聞こえたー

「----え」
竜輝が振り返るとー
そこには、トラックと乗用車が追突していてー
すぐ側には、トラックにはねられて、横たわる智恵の姿があったー

「お、、おい、、、嘘だろ!?」
竜輝が慌てて駆け寄るー。

赤信号を無視して飛び出した智恵ー。
トラックと乗用車がそれを避けようとして追突ー。
しかも、智恵もはねられてしまったのだったー

「ーーーお、、おい!智恵!しっかりしろ!」
竜輝が叫ぶー。

仰向けにぐったりした智恵が、目を開くー

「----あ、、、れ…竜輝…?」
智恵が竜輝の方を見るー

「--ち、、智恵!?」
竜輝はその表情と言葉から、
由愛菜ではなく、智恵だと確信するー

「--なんか、、、、今日、、、寒く…ない…?」
智恵が、現状を理解してない状況で呟くー

「----」
竜輝は、首を振りながら、
「-ーー智恵…!」と、必死に名前を呼ぶー。

そのまま智恵は意識を失うー
すぐに竜輝が救急車を呼び、
智恵は救急車で搬送されたー。

助かるだろうかー。
そんな風に思いながら、竜輝は拳を握りしめたー。

「---由愛菜…
 俺は…お前を許さない」

そんな風に呟くと、
竜輝は怒りの形相で、智恵が運ばれた病院の方に向かって
歩き出したー。

③へ続く

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元カノの狂気的な行動…!
逃れることはできるのでしょうか~!

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