<女体化>俺の銀髪美少女デビュー③~暗雲~

突如の女体化に困惑する中
”怪しい者たち”が迫るー…

彼らの、運命は…!?

※果実夢想様(@fruitsfantasia)との
 リレー形式合作デス。
 内容は一切打ち合わせなしで、
 数百文字程度ずつで交代交代で書いた作品になります!
(※誰が書いているか、担当箇所ごとに表記しています (例 ②無名 など)

※本日の通常の小説は、既に更新済みデス
(この1個前にあります)


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㉑【果実】

「ん……んぅ」

 目が覚めると、見慣れた天井が視界に広がっていた。
 あれから、何があったんだっけ。
 俺、何で寝てたんだっけ。
 記憶が曖昧で怪訝に思いながら上体を起こすと、傍らに優姫が心配そうにこちらを覗き込んでいた。

「だ、大丈夫? お兄ちゃん!」

「あ、ああ……どれくらい寝てたんだ?」

「丸一日だよ! なかなか目を覚まさないから心配で……学校は休みにしてもらったよ」

「一日……そんなに……って、お前はどうしたんだよ」

「えへへー、私も休んじゃったあ」

「……お前は休む必要なかっただろ」

 徐々に記憶が戻ってきた。
 そうだ。突然胸の痛みに襲われたかと思えば、凄まじい立ちくらみにより気を失ってしまったのだ。

 やっぱり、あれは普通じゃない。
 女体化したことと関係があるかは分からないけど。
 女体化したことといい、俺の体に何か異変のようなものが起きていることは間違いないだろう。

 と。そんな思考を掻き消すかのように。
 突然、インターホンの音が鳴り響いた。

「誰だろ……ちょっと出てくるね」

「……分かった」

 答えながら、何だか気になってしまい玄関へ向かう優姫をこっそり追う。
 そして壁の陰に隠れ、じっと玄関を眺める。

「はーい」

 優姫が、扉を開けた――。

㉒【無名】

「---新聞の無料お試し、いかがですか?」

扉を開けると、そこにはーー
新聞のセールスがいたー

「---あ、ごめんなさい、今お父さんとお母さんがいないので」
優姫はため息をつきながらそう口にするー

無料からスタートさせて
新聞契約をさせるよくある手口だー

「---そこをなんとかー
 ほら、タダだし」

そう言いながら、新聞を指さすうさん臭そうなおじさんー

「--今、忙しいので」
優姫が扉を閉めようとすると、
新聞勧誘の男が「ちょーーっと待ってください!」と
扉に足を挟んできたー

「警察呼びますよ」
しつこいセールスを前に、優姫は
負けん気を発揮して、臆することなく言うー

逆に新聞のセールスが、臆したような表情を浮かべているとーーーー

「--おぅ」

背後から図太い声がしたー

「--!?!?!?!?」
優姫も新聞勧誘の男も驚くー

やってきたのはー
シルクハットを被った大柄の、怪しい男だったー。

新聞勧誘の男が逃げ去っていくー。

優姫は怯えた様子で「あ、、あなたは…?」と
呟いたー。

シルクハットの男は、優姫の問いに答えることなく、微笑んだー。

「旭(あさひ)くんはいるかな?」
とー。

㉓【果実】

 誰だ、あいつは。
 壁の後ろに隠れたまま、玄関に訪れた男を眺める。

 今、あいつは俺の名を呼んだか。
 でも生憎とあんな知り合いはいないし、いかにも怪しすぎる。

「……何の用ですか?」

 優姫も、警戒心を隠そうともせずにそう問いかける。
 しかし、警戒されていることに気づいているのかいないのか、あくまで穏やかな口調で言う。

「君のお兄さんに、ちょっと話したいことがあってね。いや――」

 そこで一拍あけ、更に続ける。
 優姫を、否。奥にいる俺を、射竦めるように見ながら。

「――今は、お姉さんだったかな」

「な、何でそれを……?」

「ふふ、やはり図星か」

 そう呟いた男は。
 ニィっと、不気味に口角を上げて嗤った。

「まだ、家の中にいるよね? 失礼するよ」

「あっ、ちょっと……!」

 優姫が止めようとするも、全く意に介さず。
 半ば強引に、家の中に入ってきた。

 何だ。何なんだ、あの男は。
 見つかったらヤバい。そんな嫌な予感で、冷や汗が吹き出す。

 部屋の中を見回し、慌ててクローゼットの中に隠れる。
 どうにか、見つからずに帰ってくれと強く願って。

㉔【無名】

「--お姉さん~~?どこだ~~~?」

シルクハットを被った男が、
家の中を探し回っているー

「ちょ…!何なの!?」
優姫が叫んでいるー。

男は、全く優姫を気にする様子もなく、笑うー。

イスを放り投げて、
戸棚を乱暴に開けるー。

やばいー
やばいーー
やばいーーー

なんだよこれ…?
なんだよあいつは…

俺が女になったことと、何か関係はあるのか…?

とにかく、見つかったらやばいー。

俺は慌てて部屋の窓から逃げ出そうとするー。

だがーー
優姫を一人、置いていったらどうなる?

優姫がーー
何かされないだろうかー

「--旭くん~~~
 君のお母さんはねぇ~実家が借金まみれでさぁ、
 連帯保証人になっていたから、
 借金まみれなんだ。

 君のお父さんにも、君にも、優姫ちゃんにも
 黙っていたみたいだけどね」

男の声が聞こえるー

階段を上って来る音ー。

やばいー。

「--でもさぁ、君のお母さん、私に泣きついてきたんだよ。
 勘弁してほしい、って。

 だから、条件を出したんだー

 ”男を女にする性転換薬”の実験に付き合ってほしい、ってな」

男の声ー

何を言ってるんだ?
母さんに借金…?

「--きみが女になったのは、君のお母さんが、君が寝ている間に
 私が送った性転換薬を注射したからだー

 君はお母さんに、裏切られたんだー。
 借金を帳消しするために、な」

俺は震えたー
嘘だー
そんなーーー

窓から飛び出そうとする俺ー

けれどー

「---君が出てこないならー
 妹の優姫ちゃんを貰うことになるな」

男はそう呟いたー

その言葉に、
俺の心は折れたー。

銀の髪を揺らしながらー
俺は部屋から出てー
男の前に、立ったー。

㉕【果実】

 ――妹の優姫ちゃんを貰うことになる。
 男が言った言葉を心の中で反芻する度、言葉では表しきれないほどの怒りが湧き起こる。

 母さんに借金があったこととか、そのせいで今の俺がこんなことになっているとか。
 もちろん知らなかったし、母さんのせいだと知って悲しいやら怒りやら色んな感情に支配されておかしくなりそうだ。

 だけど、それ以上に。
 そんなことで、優姫まで危険な目に遭わせたくはない。
 だから、考えるより先に体が動いた。
 ここで逃げるなんて、できるわけがない。

「……やぁっと出てきてくれたね。はははっ、理想通りの美少女になってくれたようで感激だ」

 気持ちが悪い。
 ただただ、男の発言そして表情が、不快極まりなかった。

「悪いけど、あんたの言いなりにはならない」

「……そう、か。それなら仕方ないな」

 男は諦めたように呟き――懐から、黒い物体を取り出す。
 実際に目にしたのは初めてだが、あれは間違いない。
 黒い、拳銃だった。

「じゃあまずは、君を抵抗できないようにしてあげようか」

 そう言って、俺に銃口を向け。
 近くにいた優姫の肩を抱いた。
 まるで、人質かのように。

㉖【無名】

優姫を人質のように抱きかかえながら、
俺に銃を向ける男ー

俺は両手をあげるー。

考えろー

俺ー

これまでの人生で一番頭をフル回転させたかもしれないー。

その時だったー

「---うがああああああああああ!」

ー!?

俺でもー
優姫でもー
シルクハットの男でもない声ー

「--父さん!」

たまたま仕事が休みで家にい父さんが
シルクハットの男にタックルを食らわせたー

シルクハットごと吹き飛ぶ男ー

俺はすかさず優姫の元に駆け寄るー。

そしてー
優姫を助け出すと、
優姫は安心した様子で頷いたー。

俺は、シルクハットの男が持っていた銃を拾い、
遠くに投げ飛ばしたー

これで、もうこの男は抵抗できないー

「くそっ!函館と鹿児島の”やつら”からは、データを収集できたのにー」

男は言うー。

俺以外にも同じように、
女体化の薬のテストと称して女体化させられた人がいるのかもしれないー

その時だったー

「---間に合ったー」

スマホを持った”見た目は”中学生ぐらいの可愛らしい少女が
家の中に入ってきたー。

俺も、優姫も、父さんも、首を傾げたー

㉗【果実】

「き、君は……?」

 突然家の中に入ってきた、見た目は中学生の少女に、父さんは怪訝そうにそう訊ねる。
 すると、少女はこほんと咳払いをしたあと、静かに名乗った。

「私は、相生(あいおい)命(みこと)。彼と同じように、性に関する研究をしてる者よ。これでも成人してるから。子供とか言ったら怒るから」

 途中から半眼となってそう言ってきたが、説明されても中学生くらいにしか見えない。

「ま、同じようにっていうのはちょっと違うかもね。私の場合は――」

 そこまで言ってから一拍あけ、ポケットから小さな瓶を取り出す。
 その中には、何やら透明な液体が入っていた。

「――ちゃんと、元に戻れる薬も作ってあるから。それを、あなたに渡しに来たの」

 元に、戻れる薬。
 つまり、俺が男に戻れる……?
 見た目だけだと全く分からないが、もし本当にそうなのだとしたら。
 この姿とお別れできるということに、昂ぶりを隠しきれない。

「それと同時に、彼のような悪用する者を探し出して捕まえるってのも私の役目なわけ。ここに来たのは、その二つが理由ね」

 なるほど、そうだったのか。
 何はともあれ、これで俺は助かるわけだ。
 と、安堵に胸を撫で下ろした――瞬間。

「く、くく……そうか。ならば、目的は変更だ――相生命ッ!」

 ほんの、目を離していた隙に。
 さっきまで倒れていたシルクハットの男が立ち上がり、勢いよく命さんに肉薄。
 そして――。

「……絶対に、元の姿に戻してなどやるものか。こんなところで、終わりになんかさせないッ!」

 そんなことを叫びながら、困惑する命さんを抱きかかえたまま外に飛び出す。
 黒塗りの車に乗り込み、そのままどこかへ逃げていってしまった。

 俺は、俺たちは。
 何もできず、ただ走り去っていく車を見送ることしかできなかった。

㉘【無名】

「---これより、全人類女体化計画を開始するッ!」

金色のシルクハットを被った男が叫ぶー。

「-ーーNo,012が、函館と鹿児島、東京でのテストを終えたッ!
 女体化薬の効果は抜群だッ!」

金色のシルクハットを被った男の言葉に、
綺麗に整列したシルクハットの男たちが、直立不動で立ちながら
話を聞いているー

「今よりッ、我々は、全人類女体化計画を!!!
 実行に移すッ!」

金色のシルクハットの男は、そう叫ぶと、笑みを浮かべたー。

「--012はどうしますか?」
青色のシルクハットの男が頭を下げるー

「やつはもうダメだ、相生(あいおい)に見つかった」
金色のシルクハットの男はそれだけ言うと、
叫んだー

「性の統合ッ!!!!!!
 我らの宿願は、もう、目の前だ!」

格納庫のような場所に用意された100機近いジェット機ー。
その一つ一つに女体化薬を粉末状にしたものが
搭載されているー

「---今夜ー
 人類の歴史の新たな1ページが開かれるー」

金色のシルクハットの男は、笑みを浮かべたー

㉙【果実】

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 息を乱れさせながら、その少女は地面に這いつくばる。
 そしてちらっと後方に視線をやり、腕を押さえながら立ち上がった。

 少女――否。
 見た目は中学生くらいだが、既に成人している女性――相生命。

 彼女の背後にあるのは、一台の車。
 しかし、その車体はボロボロになり、真っ赤な炎を纏っていた。
 運転席には、あのシルクハットの男がうつ伏せで倒れていた。

「……なるほど。仲間の男もろとも、私を始末しようとしたってことね」

 全てを察し、壁にもたれかかる相生命。
 相生命とともに車で逃亡を謀っていたシルクハットの男だったが、運転中に突然車が爆発を起こしたのである。
 明らかに、自然現象ではない。

「だとしたら、こっちも急がなきゃ……ぐっ」

 再び歩き出そうとする命だが、途中で痛みに顔を顰めながら膝をつく。
 乗っていた車が爆発したのだ。
 当然、命は生きているだけで奇跡と言えるだろう。

「向こうが、そう来るなら……私にだって、考えがあるんだから」

 命は、地面を這いながら。
 そう呟いて、スマートフォンを取り出した。

㉚【無名】

俺は走っていたー

優姫を助けてもらって、訳も分からないまま、
引き下がれるかよー。

あの小さな子ー
”元に戻れる薬”を持っていると言っていたー

あの子が連れ去られた方向ー
黒い車ー
あのシルクハットの男が走り去って行った方向に
俺は走るー

「---!」
俺は、炎上している車を発見したー

あの男が、相生さんを連れ去っていった車…
そして、その傍にはー
あのシルクハットの男が、倒れていたー

「これは…?」

俺が戸惑っているとーーー
背後に、緑色のシルクハットを被った男が立っていたー。

「え…」

「---ふへっ…可愛いねぇ…おじちゃんと一緒に行こうか」

緑色のシルクハットの裏側にNo.006と書かれているのが見えるー

訳が分からないー
そう思いながらも「こいつは危険だ」と感じた俺は、
緑色のシルクハットの男の言葉を聞き終える前に、
男の反対側に向かって走り出していたー

④へ続く

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コメント

突如として出現した
謎のシルクハット集団…!
(最初から一人だけいましたケド…笑)

だんだん、打ち合わせナシならではの
カオスな感じになってきましたネ~!

続きはまた明日デス!

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