掃除が出来ない女子大生ー。
そんな彼女に、
彼氏が「代わりにどうにかしてあげようか?」と
提案した…!
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女子大生・月田 香保子(つきた かほこ)は、
掃除が大の苦手だったー
今年もー
散らかった部屋を前に苦笑いする
香保子と、その彼氏の伊勢谷 大輔(いせや だいすけ)-。
「---香保子…本当に…掃除苦手だよな」
思わず、絶句する大輔ー。
本当に、掃除が苦手なことが分かる
悲惨な光景ー。
香保子は去年からずっと「大掃除で綺麗にするもん!」ばかりだか、
去年も結局、大掃除をすることなく
そのまま年越しをして、お正月も終わったー。
そして、今年もそうだ。
既に年末。
そんな状況なのに、香保子の家は、さらに悲惨な状況になっていたー
「--大掃除で綺麗にするもん!」
香保子は笑いながら言うー
「去年もそれ、言ってたじゃないか…」
大輔が苦笑いしながら言うと、
香保子が「だ、、だってぇ~…掃除苦手だし」と、
ついに本音を吐露した。
「------」
ふぅ、と大輔がため息をつくー。
「じゃあ…俺が代わりにどうにかしてあげようか?」
「--え?」
大輔の予期せぬ提案に、香保子は思わず
変な声を出してしまったー
彼氏の大輔が、代わりに掃除をしてくれる、と言うのか。
「---え、、で、、でも…?」
香保子は戸惑うー
「-……実は俺の友達にさ、掃除が大好きな奴がいてさー
頼めば、掃除してくれると思うんだ」
大輔の言葉に
香保子は「え、、へ~…?」と首を傾げるー。
「ちょっと変わった掃除方法するやつでさ…」
大輔が、目を逸らしながら言う。
「え…え???
変わった掃除方法…?どんなの?」
香保子が聞くと、
大輔は少しだけ戸惑ってから「実はー」と呟くー
「-あ、でも、いいや!お願い!」
香保子は、答えを聞く前に両手を合わせてお願いのポーズを取る。
手段なんてどうでもいいー
掃除してくれるならー
そう思ったのだ。
「--はは、いいのか?」
大輔の言葉に
香保子は「うん!」と答えるー
香保子は以前、掃除の業者に頼もうとしていたこともあったが
生活に余裕があるわけじゃないし…と
お金の問題からも諦めていたー
だが、”あいつ”なら、きっと綺麗にしてくれるー。
大輔はそう思いながら、
香保子に提案したのだったー。
「それで…そいつに頼む条件なんだけど」
大輔は、そう呟くと、”条件”を香保子に伝え始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌週ー
土曜日ー
大輔の友人”誠也”が掃除しに来てくれる当日ー。
香保子は、部屋の布団に横たわっていたー
「---……条件が”わたしが家で寝てること”
っていうのは、よくわかんないんだけど…」
香保子がそう呟くと、
大輔も「まぁ…色々な」と呟くー
「--寝てる間に掃除が終わってるって…ことだよね?」
香保子の言葉に大輔は
「まぁ…うん、そうだな」と頷くー
「--なんか不安だなぁ~」
香保子は苦笑いしながらも、大輔は
「まぁ、あいつの腕前は確かだし、ちゃんと”本当に必要なモノ”は
取っておくエキスパートだからさ」と、苦笑いしたー
「--わかった。信じるー
”お願いします”って伝えておいて!」
香保子の言葉に、大輔は「ああ」と頷いたー
香保子が「おやすみ」と、目を閉じる
「-----」
香保子は内心で笑みを浮かべたー
”どんな風に掃除するのか、寝たふりをしながら見ちゃおーっと”
とー。
だがー
次の瞬間、香保子の意識は、眠りについたー
・・・・・・・・・・・・・・・
「----じゃあ…頼むよ」
大輔の言葉に、
笑みを浮かべたのはー
たった今、眠ったはずの香保子だったー。
「へへへへ…
任せろって」
香保子が、まるで男のような口調で言う。
大輔は苦笑いしながら香保子のほうを見る。
香保子が寝てすぐに起きたことも、
男言葉で話していることも、特に気にするような
素振りは見られない。
「----…まさかこのかわいい子も自分が
掃除することになるなんて思わないよなぁ~」
笑みを浮かべる香保子。
大輔は「いいから早く掃除してくれ」と
苦笑いするー
香保子はーー
”憑依”されたのだー。
大輔の言っていた「変わった掃除方法」とは、
”憑依”を用いた掃除だー。
大輔の親友・誠也は、
”頼まれれば”どんな汚い部屋でも掃除して見せるー。
誠也自身も大学生だから、
あくまでも”副業”的な活動ではあるが、
今までにも何回か、他人に憑依して、掃除をしているー
「-っかし、よくやるよな」
大輔が、スカートが見えることも気にせず、
掃除をしている香保子に向かって声を掛けるー。
「---はは、報酬目当てだからな」
香保子が、ゴミを整理しながら、順調に片づけていくー。
誠也はー
”お金”は一切要求しないー
その代わりにー
”ちょっと”身体で遊ぶー。
そしてー
「--女子のさ、部屋を片付けてると
その女子の内側…?
なんつーのかな、
深層心理の深い部分まで見えて来る気がするってかさ、
まぁ、こう、すっげぇ興奮するんだよ」
香保子が言うー。
「---香保子の声でそういうことあんま言うなよ」
大輔が苦笑いすると、
香保子は「へへ、その分掃除はしっかりやるさ」と笑みを浮かべるー
身体目的ー
そして、快感目的ー
それらを満たすために、
誠也は”憑依”での掃除を続けていたー。
「---でもさぁ、憑依能力って、不思議だよなぁ」
大輔が言うと、
香保子は「まぁな、俺も最初はびっくりしたぜ」と呟くー
誠也は小さいころから”憑依能力”を持っていたー
気づいたのは、子供の頃ー。
おそらくは生まれつき、そういう能力を持っていたのだろう。
何故だかは、分からない。
だがー
生物の突然変異とは、こういう、”理由の分からない変化”から
生まれるのかもしれないー。
「----でもさ、”俺”でよかったよ」
香保子は言う。
「ん?」
大輔は掃除している香保子を見ながら、首を傾げる。
「いや、そりゃ俺だってさ、下心はあるし、
見返りにちょっとエッチなことはするけどさ、
それ以上、ひどいことはしないだろ?」
香保子が、大輔のほうを見て呟くー
「--まぁな…」
大輔がうなずく。
「--これがもし、理性のない変態とか犯罪者がだったらー
大変だぜ?
だってさ、その気になれば、憑依って、その人自身の人生
壊したりすることだってできちゃうだろ?」
香保子の言葉に、大輔は「それもそうだな」と頷くー。
誠也は、”憑依して掃除をして、
見返りにちょっぴりエッチなことを求める”ぐらいで、
乗っ取った身体の人生に影響が及ぶようなことは
絶対にしないー。
憑依も、掃除のとき限定だー。
それにー
「-憑依してるとさ、その子の記憶も流れて来るんだよー。
だから”これは必要なのか”
”これは捨ててもいいのか”客観的に判断できるのも
強みだぜ」
香保子はそう呟いたー
誠也は香保子の記憶を読み取り
「これが何なのか」を知ることが出来る。
そして、その上で香保子にとって本当に必要なのかどうかを
判断し、残しておくか、捨てるかを判断できるー
憑依能力自体が、掃除に役立っているのだー
「-俺の身体で、掃除手伝ってあげてもいいんだけど
そうすると「これはどうする?」っていちいち聞かないといけないし
この子が全部「ダメ!」って言ったら何も捨てられないからな」
と、香保子は呟いたー
そうこうしているうちに、掃除はどんどん進んでいきー
「---へへへっ♡」
香保子は嬉しそうに胸を触っているー
「----…自分の彼女が、乗っ取られて
胸を揉んでる…って光景は気持ちのいいもんじゃないな」
大輔が苦笑いしながら言うと、
香保子は「へへ、、まぁ、、そうなのかもな」と笑みを浮かべたー
「でも、俺にだって見返りが必要だろ?」
香保子はそう言いながら胸を触るー。
「--まぁ…あんまりやりすぎるなよ」
大輔は、そう呟くと、
香保子のほうを心配そうに見つめたー
誠也が”度を越した行為”をしないことは
大輔も良く知っているし、
強く信頼しているー。
憑依能力の悪用も、おそらくはしていないー。
だが、それでも、
やっぱり、自分の大好きな彼女が
乗っ取られている、という状況は
あんまり気持ちのよいものではなかったー
「---はぁ~…♡」
姿見に向かってキスをする香保子ー
普段の香保子とは違う
色っぽい雰囲気にドキドキしてしまう大輔ー。
「--さて、と」
香保子はそう言うと、自分の身体で持参した
”あるもの”を取り出したー
「約束通り、ファッションショーさせてもらうぜ」
とー。
香保子の言葉に、
大輔は「はいはい…」と呟いたー
香保子の部屋は嘘のように綺麗になっているー
香保子もきっと喜ぶだろうー
だがー
自分が憑依されて掃除しているなんて、
思わないだろうなー
と、大輔は苦笑いしたー。
香保子にも当然、このことは伝えた上で、と
思っていたが、香保子が「なんでもいいからお願い!」と
大輔の説明を遮ったために、
憑依のことも教えることができないままだったー
「へへ、安心しろって。
香保子ちゃんに記憶は残らないからさ」
「--わかってるよ」
大輔はそう答えたー。
誠也が持ち込んだコスプレ衣装を身に着けて
ポーズを決め、一人で楽しんでいる香保子ー。
そんな香保子を大輔は少し離れた場所から
見つめながらドキドキしていたー。
普段絶対に香保子が身に着けないような衣装の
数々で、セクシーポーズを取ったりー
甘い言葉をささやいたりして、
香保子を乗っ取っている誠也は楽しそうだー。
「---」
香保子の彼氏でもある大輔はドキドキしながらも
複雑な気持ちも感じながら、
香保子の一人ファッションショーを見つめ続けるー
バニーガール
メイド服ー
セーラー服
ゴスロリファッションー
誠也の趣味だろうか。
色々な香保子の姿を見つめながら
大輔が、苦笑いしていると
巫女服姿の香保子が近づいてきたー
「へへへ、大輔、お前もドキドキしてるんじゃねぇの?
彼女のこういう姿にさ」
香保子が自分の巫女服を手で掴みながら笑う。
「し、、してねぇよ」
大輔は顔を赤らめながら目を逸らすと、
香保子は「へへへ」と、いつもとはまるで違う笑みを浮かべたー。
そして時計を見つめる香保子。
「--さ~て、俺は満足したし、そろそろこの子から抜けるかな」
巫女服から着替えて、元々香保子が着ていた服に
着替えると、持ってきた服を、鞄に入れて、
香保子は「ふぅ」と一息ついたー。
香保子の片づけの全く出来ていない部屋はー
まるで、別の部屋かのように、綺麗になっていたー。
「--ありがとな」
大輔が言うと、
香保子は甘い笑みを浮かべた。
「大輔~~ わたしとエッチしちゃう???」
誘惑するような香保子の声ー
「--や、やめろよ」
顔を真っ赤にしながら大輔が言うと、
香保子は「へへ、冗談だよ」と笑ったー。
「--」
香保子がベットに横たわるー
誠也は、香保子の身体から抜ける直前に、
少しだけ表情を歪めたー
だがー
”香保子の気持ち”と
”大輔の気持ち”を考えてー
”何も”言わなかったー
「----」
目を閉じて、香保子の身体から抜けるー
香保子が目を覚ますまでは、おそらく10分程度ー
いつも、憑依された人が目を覚ますのに
そのぐらいかかっているー。
「--じゃあな」
誠也が、大輔と簡単に言葉を交わし、
立ち去っていくー
「---」
目を覚ました香保子が周囲を見渡して驚くー
「わ!!!!こんなにきれいに!!すごい!」
喜ぶ香保子ー
大輔は、そんな香保子を見て、
「ははは」と嬉しそうに笑うのだったー
自分が憑依されて、その間に掃除していたことを知らない香保子は
とても嬉しそうに、
綺麗になった自分の部屋を見つめるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
誠也は歩きながら思うー。
「------そっか」
誠也は、一人頷くー
香保子に憑依して
香保子の部屋にあるものが必要かどうか探るために
記憶を読み取っている最中にー
偶然”強い光を発する記憶”も読み取れてしまったー
香保子が四六時中、そのことを考えているー
だから、”記憶が強く”
掃除の最中に”これが必要かどうか”を知ろうとした誠也が
”読み取れてしまった”記憶ー
「-------------」
大輔に伝えようかどうか、迷ったがー
誠也は言わなかったー
大輔は知らない様子だったしー
香保子が黙っていたのには、きっと、理由があるのだろうー
「------」
誠也は、少しだけため息をついて、
冬の冷たい空を見つめるのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
「大掃除」をテーマにした憑依モノでした!
皆様は大掃除、終わりましたか~?
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