<憑依>暗黒のショータイム③~地獄~(完)

乗っ取られた彼女の身体を利用して
地獄のような光景を見せていく男たちー。

彼女を救い出し、脱出することはできるのか。

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ふれあいエンジョイホールー

人通りのほとんどない地帯にひっそり存在するそのホールは、
謎の”憑依劇団”も根城となっていたー

そして、そこで今ー
男子大学生の忠治は、地獄のような状況にいたー

ホールの観客席に鎖で拘束されー
目の前には、憑依されて乗っ取られてしまった彼女の由愛がー
ラバースーツ姿で立っているー

パチン!
パチン!

パチン!
パチン!

由愛が笑いながら、忠治の頬を何度も何度もビンタしているー

「ふははははっ!お前は変態かぁ~~~?」

パチン!
パチン!

「彼女にビンタされて、喜んでるのかぁ~~~~???」
由愛が興奮した様子で、凶悪な笑みを浮かべながら
何度も何度も忠治をビンタするー

忠治は、ただ、ひたすらに耐えているー。
唇から血を流しながらー
それでも”決して折れない闘志”を見せつけているー

折れない心を見せつけることで、
相手が諦めるのを、忠治は待っているー。

”協力する”と嘘をついて
解放された隙に由愛を捕えて…というのも考えたー

だが”憑依劇団”には少なくとも、他に3人のメンバーがいるー

先ほど殺されてしまったおじさんの娘で
女子高生の香帆ー。
ギャルのような風貌にされてしまった彼女も、
由愛と同じように乗っ取られているー

他に、柄の悪い男ふたりー
おそらくは下っ端だとは思うが、由愛を乗っ取っている男と合わせると
少なくとも、4人はいるー。

忠治は、そこそこ運動できるほうではあるがー
さすがに乗っ取られた由愛のことを気にしつつ、
4人を相手にするのは無理だー。

こういう、危ない感じのやつらを相手に
そもそも1VS1であったとしても、勝てるかどうかは、怪しいー

普通に生きて来た忠治は、運動神経が良い方とは言え
”実戦”の経験はないー。

そこには”差”があって、当然なのだー。

パチン!

パチン!

由愛にビンタされながらー
忠治はさらに考えるー

仮に心から協力したとしてもーーー

さっきの”おじさん”と同じようになるだけだー。

おじさんは乗っ取られた娘・香帆の目の前で殺されたー
おそらく、自分と同じように、大事な人を人質に取られー
あのおじさんは協力する道を選んだのだろうー

だが、結果はさっき見た通りだー

だったらーーー

「--由愛を開放しろー。
 俺は絶対に、お前たちに屈したりはしないー」

決して屈しない心を見せつけてーーーー
そしてーーーーー

「----チッ」
由愛が舌打ちをしたー

「いい加減うぜぇな」
由愛はそう言うと、突然ラバースーツを脱ぎ始めたー

「な、、なにを…!」
忠治が叫ぶー

由愛のスタイルの良い身体が晒されるー

ラバースーツ姿の由愛は
ノーパンノーブラの状態でラバースーツを着ていたようで、
下着も身に着けていない由愛の身体が晒されたー

「--貴様…!ふざけるな!これ以上由愛を弄ぶな!」
忠治が必死に拘束を解き放とうと、もがくー。

「----へへへへへ お前の彼女の身体は、俺のものなんだよ!」
由愛が笑いながら、忠治が拘束されている座席の前の座席の背もたれの部分に
座ると、クスクスと笑ったー

そしてー

「--!?」
忠治の身体に、変な感触がー…

何が起こったのか、忠治は理解できなかったー

唖然としながらもー
抵抗できない忠治ー。

「へへへへへっ!へへへへへへっ!
 おら!!協力しろよ!」
由愛がかわいい声で笑いながらーーーー

忠治に向かってー”放尿”していたー

忠治は由愛の尿に晒されながら、
ようやく、何が起きているのかを理解すると
怒りの形相で怒鳴り声をあげたー

「うああああああああああああああああああ!!!!」
忠治の、天井を突き破りそうなほどの怒声ー

由愛は放尿を終えると、
忠治の服をトイレットペーパー代わりに
挑発的にアソコを拭くー

「くくくくく…お前さぁ」
由愛が、笑いながら忠治を睨むー

「--耐えてりゃ俺が、この女を開放するって
 思ってんだろ?」
友達に語り掛けるかのように、ニヤニヤしながら由愛が忠治を見つめるー

そしてー
突然笑顔を消して、冷たい口調で呟いたー

「調子こいてんじゃねぇぞ?」
由愛の脅すような口調に、忠治は、唾すら飲み込むことができないままー
震えたー。

「--協力しぇねと、どんどん大変なことになっていくぞ」
由愛が忠治を睨むー。

忠治は「なんで…なんで…俺たちに…」と、悔しそうにつぶやくー

由愛は、裸のまま忠治から離れると
「さっき言っただろうがー」と、笑うー。

「たまたまエロそうな身体を見つけたから、憑依劇団の”道具”として
 使わせてもらってるだけさー」

由愛が自分の身体を触りながら笑うー。

「--で、お前みたいな”大事な人”もいるー
 最高じゃねぇか。
 大事な人間を人質に取られた男はー
 よ~~~~~~く、働いてくれる。
 雑用でも、犯罪行為でも、何でも、、な」

由愛の言葉に、忠治は戦慄するー。

女性の身体を奪いー
その女性の大切な人間には、”人質”として、
雑用や、犯罪行為をさせるー。

やつらは、”ふたつ”の道具を一気に手に入れるー。

由愛の身体は、”ショー”とやらに使われて
裏社会の人間たちを相手に道具として使われるー

忠治は、”由愛を人質に取られた状態”で
働かされて、時に憑依劇団の人間たちのために
犯罪行為までさせられるー。

憑依劇団は直接手を汚さずー
あらゆる悪事を働くことができるー

さっき、”おじさん”を殺したのもーーー

「---そう。この女だ」
由愛が笑うー

「--憑依されてました?
 そんなこと、この国の法律で成立すると思うか?

 いや、しないね。福沢諭吉を1000人かけてもいい

 この女は犯罪者さ。
 鉄パイプでおっさんをぶち殺したなぁ!」

由愛がげらげらと笑うー

「くそっ…くそっ」
忠治は目から涙をあふれさせるー

必死に耐えてきた忠治の”心”は、もう、折れそうだったー。
もう、限界だったー

「さぁどうする?俺たちに協力するか?
 ”憑依劇団”の一員として頑張ればさぁ、
 この女に飽きたら、いつか返してやるぜ!

 お前、さっきのおっさんみたいになるって、怯えてんだろ?
 安心しろよ。
 あのおっさんは俺らを裏切ろうとしたからああなっただけだ。

 大人しく
 俺らの言う通り、
 いい~子にしてれば、この女は解放してやるぜ!」

由愛が両手を広げながら舞台の上で叫ぶー。

「----ふざけるな…!ふざけるな…!」
それでもー
忠治の心は折れなかったー

「---は~~~~~頑固だなぁ」
由愛はイライラした様子で髪をかきむしると、
「--目の前でおっきいほう出す彼女の姿も見たいのかぁ?」
と、由愛はお尻のあたりを指さしながら笑うー

「--ふざけるな!クソ野郎!」
忠治が叫ぶー

「----」
由愛の表情から笑顔が消えたー

「---おい!」
由愛が舞台裏の方に向かって叫ぶと、
バニーガール姿の香帆が現れたー

「はぁ~い」
香帆がふざけた様子で由愛のほうを見ると、
由愛が「例のセットを持ってこい」と笑みを浮かべたー。

「--は~い」
香帆は笑いながら舞台裏に下がっていくー

「何をするつもりだ!」
忠治が叫ぶー。
由愛は「お前のせいだぜ?」と笑うとーーー
香帆から何かを受け取ったー。

受け取ったものはーーーー
ナイフだったー

「--なにを…」
忠治は”俺、殺されるのか?”と一瞬不安に思うー

しかしー
由愛は、自分の指にナイフを刺したー

「ひひひひひひひひひっ!
 ほらほらぁ~!お前に”最高のショー”見せてやるぜ」

由愛が血を流しながら笑うー

「--マグロの解体ショーーー
 いいや、由愛ちゃんの解体ショーだ!ひひひひひひひ!

 ははっ!
 法律上は、”自殺”になるのかなぁ!?!?!?

 ははっ!!!」

由愛が腕をナイフで刺すー

忠治は青ざめたー

「ひひひひひひっ!忠治~~わたし、自殺しちゃう~~!
 ははっ!あはははははっ!」

由愛が笑いながら、自らの命を絶とうとしているー

「やめろ!やめろ!!やめてくれ!!!」

由愛の命が奪われてしまうー
そう思った瞬間ー
忠治の中の色々なものが、折れたー

「--分かりました…!!協力します!協力しますからぁ!!!!」
忠治が泣き叫びながら言うー。

協力してーーー
協力してーーーー
隙を見ながら、こいつらが由愛の身体に飽きるまでーーー
なんとかー

「---ふん」
由愛はナイフを放り投げると、
「最初からそう言えよバカがよ!」
と、縛られた忠治の腹を乱暴に蹴りつけたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

忠治はーーー
”憑依劇団”の雑用係として、
働かされ始めたー。

”犯罪行為”も全て押し付けられる忠治ー
密輸まがいのことまでさせられているー。

「--逃げたら、分かってるよね?
 わたし、死んじゃうよ?」
由愛がクスクス笑いながら忠治を脅すー。

妖艶なチャイナドレス姿の由愛がまるで
女王のように、忠治を従えているー。

今までー
由愛の姿を見ると、
嬉しい気持ちや暖かい気持ちになっていた忠治。

けれど、今は、
由愛の姿を見るだけで「怖い」と感じるようになってしまった。

それでもー
忠治はあきらめなかった。
由愛を、なんとか助け出すためにー。

やがてー
そんな状況が半年も続いたー

由愛を助け出そうと思いつつも、どうすることもできなかったー。
男が、由愛の身体を乗っ取っている以上、
”人質であり”
”敵でもある”
状態の由愛を、どうすることもできなかったー

あいつらは、躊躇なく、由愛を処分するだろうー。

やがてー
”香帆”が処分されたー
バニーガールのギャル女だー。

ガスルームのような部屋に入れられて、
憑依から解放された香帆はー
その部屋で、始末されたー。

まるで、モルモットのように、苦しむ香帆を
男たちは、由愛は笑いながら見つめていたー

「--由愛も、、由愛もこんな風に処分するつもりなのか!」
と、忠治は泣きながら叫んだー。

だがー
由愛は笑った。

「--こいつの父親は”裏切った”から、こうなったんだよー
 お前が、ちゃんと、わたしの言うこと聞いて
 働きアリとして働いてりゃ、わたしも解放されるから、さ」

由愛はそう呟くと、忠治の肩をポンポン、と
バカにした笑みを浮かべながら叩いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからさらに時が流れたー

”俺がバカだったー”

忠治は、そう思ったー
あの時、”裏切者”として始末された気の弱そうなおじさんー
香帆の父親と、同じ立場に今、自分はいるー。

バニーガール姿の由愛が叫ぶー

「今から”裏切者”の処刑ショーを行いまぁーす!」

ふれあいエンジョイホールー。
好青年な雰囲気の青年が、舞台に縛り付けられているー

あの時の、忠治のようにー
彼はきっと、”俺と同じ”忠治はそう思ったー

そしてー
壇上に鉄パイプを持ったラバースーツ姿の女がやってくるー

あの時の”由愛と同じ”ようにー
眼鏡をかけた可愛らしい子が、見た目とは不釣り合いな不気味な笑みを浮かべるー。

「ーーー雫!!!」
縛られた青年は叫んだー

雫と呼ばれたラバースーツの女はほほ笑むー

「わたしが今から、この”裏切者”を殺すの」
とー。

忠治は悟ったー
あのおじさんも、裏切ってなんかいなかったー

そして、忠治もそうー。
由愛を助けるため、必死に憑依劇団のために働いてきたー

なのにー
”裏切ってないのに、裏切者として処刑されるー”

あのおじさんも、きっと、そうだったんだー

こいつらに、協力しても、解放なんかされないー
用済みになったら裏切者扱いされてー
やがて、由愛も処分されるー

忠治は、叫んだー

観客席にいる青年に向かってー

「--な、なんとかしてここから逃げるんだ!
 彼女のことは諦めてー!
 君の彼女はーーー」

あの時の、おじさんのようにーーーー

助けようとしても、無駄ーーー
忠治には、それがよく理解できたからー

逃げて、逃げて、警察にでも伝えたほうが、まだ可能性があるー

「逃げるんだ!!!!!!!!!!!!!」

忠治は
”自分と同じ末路”をたどりそうな青年に向かって、
舞台の上から、必死に叫んだー

おわり

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コメント

とことんダークなお話でした~!

いつか、憑依劇団を蹴散らすお話も、あるかも…?しれないですネ~!

今日もお読み下さりありがとうございました!!!

今年の更新もあと3回☆!
最後まで少しでもお楽しみいただけると、嬉しいデス!

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