夜な夜な徘徊する謎の女ー
その正体はー?
そして、ついに対面の時がやってくる…。
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「----くくくくくくく」
露出狂の男は、自宅で笑みを浮かべていたー
もちろん、男は自分の身体でいる時も
室内では、服を着ないー。
外でも何度か出していたことはあるが、
やはり、リスクが高すぎるー
人間も、法律も、
”洋服”という名前の牢獄に完全に囚われてしまっているー。
だから、男も仕方が無く
外出するときは服を着ていたー
「さてさて…今日も”解放感”を味わうかー」
男は、今まで”我慢”することしかできなかったー。
衣類など脱ぎ捨てて、全てを解放するべきだ。
猿も
オランウータンも
ゴリラも、
チンパンジーも
服など着ていないだろう?
おかしいのは、人間だ。
「おかしい」ルールの上にあぐらをかいて、
自分たちのおかしさに気付かない。
無知は、罪だー。
彼はそう思っている。
だが、世間は冷たい。
「衣類という呪縛から解放されるべきだ!」と、
以前SNSで叫んだことがあるが、
誰にも相手にされなかったー
だからー
男は、憑依薬を使い、
霊体になるー
連日憑依している女のもとへと向かうー
憑依されてー
連日、そのスタイルの良いボディを
夜の住宅街で晒しているー
なんて、本人は夢にも思っていないだろうー。
”ありがたく思うがいい”
男は笑みを浮かべたー
女の身体にズブズブと入っていくー
「うぅ…」
寝ている女が苦しそうにうめくー。
「--ーーーう」
そして、目を開くー
女は既に露出狂男に乗っ取られていたー。
迷うことなく衣類を脱ぎ捨てて、
下着をごみのように放り投げー
全てをさらけ出して、玄関から、外へと向かうー
「この女は、人類が衣類から解放される第1歩だー」
乗っ取られた女は、低い声で呟くー。
だんだんと、噂になり始めているー。
捕まってしまったら終わりだから、
警察だけは、特殊な香水を使って撃退するが、
それ以外の人間には、どんどん自分の姿を見てもらいたいー
裸で歩く開放感ー
それを、人類に知らしめて、
”あるべき姿”へと戻るのだー
人間だって、ほ乳類ー
「ゴリラたちと、同じであるべきだ」
女は不気味な笑みを浮かべると、
今日も全裸で夜の街を歩き始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「それにしても…
なんでこの前はいなかったんだろうね~?」
大学で昼食を食べながら、美香が呟くー
数日前、梨々花と美香は、夜、”全裸の女”が
毎晩のように目撃されている地域を
徹底的に探したー
だがー
その日に限って、その女は現れなかったー
「やっぱり、幽霊なのかなぁ~」
都市伝説好きな、美香が興味深そうに呟くー
「--う~ん」
梨々花も考えるー
そもそも梨々花は”全裸の女”のことなんて
調べたくなかったし、
ただの露出狂に関わりたくもない。
変なトラブルに巻き込まれてしまうのはごめんだ。
けれどー
少しだけ、ある事が気になっていたー
それはーー
”なんで、自分たちが調べた日だけ、出てこなかったのかー”
ということー。
確かに、毎晩のように、都市伝説的に目撃情報が
最近では挙げられているー
だが、警察に逮捕されている様子もないし、
あくまでも”都市伝説”としての扱いを受けているー
その点も、解せないー
「ーーーお待たせ~」
お昼の待ち合わせをしていた友人の彩月もやってくるー
彩月は大人しい子だが、
スタイルはとても良い。
ちょっと天然な部分もある子だー。
先日は、体調不良で大学を休んでいたが
こうして、無事に大学に復帰していたー。
「--あ、そうだ!彩月ちゃん!最近、話題のアレ、知ってる?」
美香が笑いながら、彩月にも、”全裸の女”の都市伝説を
楽しそうに話すー
彩月は恥ずかしそうに
「そ、、そんな人いるの…?」と呟くー。
「いるみたいだよ~!
もしかしたら幽霊かもしれないし、何としても
正体!暴きたいんだよね!」
美香がニヤニヤしながら言うー。
梨々花は呆れた様子で
「彩月まで巻き込んじゃだめだよ!」と呟くー
その言葉に、美香は「はいは~い!」と
苦笑いしながら首を振ったー。
毎晩ー
梨々花や美香の家の側ばかりを徘徊しているー
と、いうことはーーー
”実は近所に住んでいるのではないか”
梨々花は、そんな風に、不安を感じていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
梨々花が、スマホで、美香や彩月に
LINEを送るー
大学行事関連の、相談があったためだー。
だがー
美香の方は、既読がつかず、
彩月の方は、既読がついたが、返事がなかったー。
二人とも、返事が比較的早いタイプだけに
梨々花は”珍しいなぁ…”などと、
思いながら、晩御飯を済ませるー
そして、本を読んだり、他の友達とLINEをしたり、
部屋の整理整頓をしたりー
いつも通りの時間を過ごしていたー
その時だったー
♪~~~~!
「--?」
”こんな夜に誰だろう?”
そんな風に思いながらー
梨々花は、インターホンを確認するー
インターホンのカメラに写っていたのは、
梨々花と同じアパートに住んでいる
専門学校に通っている一人暮らしの女子だったー。
「---あの~、親からたくさん果物が
送られてきちゃったんで、よければと思って
持ってきました!」
名前は確かー
角崎 史菜(すみざき ふみな)だったはずー
「あ、は~い!」
梨々花が返事をして
玄関の扉を開けるー
「---!」
玄関の扉を開けた瞬間ー
梨々花は表情を歪めたー
史菜はーーー
全裸だったー
「!?!?!?!?」
インターホンには、顔しか映ってなかったため
史菜の格好は分からなかったが、
史菜は、服を着ていないー
「---え…」
何が起きているのか、理解できない梨々花ー
史菜が笑みを浮かべて強引に玄関に入り込んできて、
そのまま玄関の扉を勝手に閉めるー
「---ふふふふふふふ
どう???
この開放感…最高でしょ?」
史菜が笑うー
「--え…え…す、、角崎さん…何を…?」
梨々花がおびえながら言うと、
史菜は笑ったー
「--この前、わたしのこと、探してたよね?
”都市伝説”になっている全裸女ーーー
そう、つまりわたしのことを」
史菜がにやりと笑うー
「---!!」
梨々花が表情を歪めたー
全裸で夜の住宅街を徘徊する女ー
それはー
同じアパートに住んでいた、専門学生・角崎 史菜だったー
梨々花はーー
正直、最近”美香と”彩月”のどちらかが、
実はそうなのではないかと疑っていたー
美香は、
近所に住んでいるし、
美香と一緒に探した時に、全裸女は出現しなかったー
彩月はー
体調を崩していたし、スタイルがとても良いー、というところから
なんとなく疑っていたー
だがー
全裸女はー
梨々花が全く予想していなかったー
ほとんど接点のない女だったー
「--わたしのこと探してたみたいだから~
あの日は、隠れてたの。ふふふふ」
史菜が全裸のまま笑うー
「ど、、ど、、ど、、どうして…
どうして、、そんな格好で…」
梨々花は、自分の方が恥ずかしくなって
顔を赤くして目を逸らすー
「どうしてって?
ゴリラとかチンパンジーは服を着てる?
着てないでしょ?
だったら、人間だって着る必要ないじゃない。
人間は、服と言う呪縛に囚われているのよ」
史菜が顔を赤くしながら興奮した様子で語るー
「どうしたの?見とれちゃった?」
史菜がポーズを決めるー
梨々花は戸惑うー
「で…で、、出てってください…
警察を呼びますよ!」
スマホを手にする梨々花ー。
だが、史菜は笑ったー
「--ふふふふ…わたしは、
いや、”この女”は、俺が開放感を教えてやったんだよ
へへへへへへ
乗っ取って、無理やり解放させてる」
史菜の様子がおかしいー
梨々花も違和感を覚えるー
”この女”
”俺”
一体、何を言って…
梨々花は恐怖を感じながらも
「ど、、どういう意味ですか…?」と史菜の方を見るー
史菜は笑ったー
「--おめでとう。あなたは、第2号ー」
とー。
「--!?」
梨々花が表情を歪めるー
”衣類からの解放”
そのためには、いろいろな人間に快感を
覚えさせる必要があるー
この史菜という女には、既に
脱ぐことの開放感を刻み付けたー
もう、憑依しなくても、自分から喜んで脱ぎだすだろうー
そして、
次はー
「--お前も、開放感を味わうんだよ」
史菜が狂気的な笑みを浮かべたー
「--い、、言ってることの意味が分かりません!」
梨々花が声を荒げたー
「---だからぁ~~~~」
史菜がクスクスと笑うー
「この女と同じように、お前も服を脱いで、
夜の街を歩き回るんだよ…!
開放感を味わいながら!
ひひひひひひひひっ
スタイルもよさそうだし、
夜の街に映えるぜ~?へへ」
史菜の目を見て、
梨々花は狂気を感じたー
”正気じゃない?”
史菜を乗っ取った露出狂男が”乗っ取った”と言っているのにも関わらず
梨々花が、そのことをなかなか理解できないのはー
”憑依”などということが、あまりにも非現実的すぎて、
そこに考えが及ばないー
この専門学生の頭がおかしいのかー
それとも二重人格か何かなのかー
梨々花はそう思いながらも、警察を呼ぼうとー
「---心配すんなよ」
史菜が、スマホを手にした梨々花を無理やりつかんで、キスをしたー
「ーーー俺が乗っ取ってる間のことは、忘れさせてやるからー…
それでーー
俺が”次”の身体に移動するころにはー
お前は、自分で脱ぎたくなるだろうさ」
「----むぐっ…!」
もがく梨々花ー
史菜が抜け殻のようになって、その場に倒れてー
梨々花が不気味な笑みを浮かべたー
梨々花は迷わず服を脱ぎ捨てて、
下着を放り投げー
そのまま、躊躇することなく、玄関の外へと歩みを進めたー
開放感を、味わうためにー
・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
梨々花は、昼間は”ふつう”だー。
男に乗っ取られて、夜になると自分が全裸で徘徊しているなどと
夢にも思っていないー
だがー
「---今日こそ、見つけてみせる!」
オカルトや都市伝説好きの親友・美香は、
今日も、夜な夜な住宅街を探索していたー
”都市伝説”になっている全裸の徘徊者を見つけるためにー
梨々花は乗り気じゃないし、
病弱な彩月を、夜に振り回すわけにはいかないー
今日も、彩月は風邪で休んでいたー
だったらここはー
一人で探すしかないー
「----!!!!あ!!!!!!!!!」
美香は、見つけたー
全裸で徘徊する、その女をー
後ろ姿を見つけて、美香はダッシュしたー
”いったい、どんな顔してるのか、拝んじゃお!!”
「--幽霊だったりして!」
そんな風に思いながら、美香は、徘徊している女の正面に
回り込んで、その顔を見たー
「---え」
美香は唖然とするー
「---ふふふふふふふ…♡ こんばんは」
服も着ずに徘徊していたその女はー
美香がよく知るーー
梨々花だったーーー
唖然として言葉も出ない美香ーーーー
「---り、、、り、、、梨々花…だったの…?」
美香の言葉に、
梨々花は「ふふふ…わたし、開放感の虜なの」と、乗っ取られたまま
満面の笑みで答えたー
”最初”は別の女だったのだが
美香が、そんなことを知る由は、なかったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
闇夜の徘徊者の完結編でした~!
遠からず、美香も乗っ取られてしまうの…かも?
お読み下さりありがとうございました!!
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