とある、露出狂の男が、憑依薬を手に入れてしまったー。
その直後から、
深夜になると”謎の女”が
出没するようになったー
--------------------–
「---ーーー失礼します」
とある男の家に、怪しい風貌の男がやって来るー。
紳士的な風貌のー
綺麗な髭を蓄えたー
まるで、明治維新とか、そのあたりのところに
出てきそうな風貌な男ー
帽子を取って、紳士的に座ると、
目の前にいる全裸の男に向かって呟いたー
「--ご注文の商品、お持ち致しました」
紳士風の男が、全裸の男に向かって、何かを手渡すー
「-へへへへ、どうも」
全裸の男はーー
”露出狂”だったー。
人間は、
衣服という牢獄に囚われているー。
彼は、そう思っていたー
服を着ている時はー
自由を奪われているー
こうして、衣服を脱ぎ捨てている時だけが、
自分が真に自由になれる時間なのだと、
彼は思っているー
「---」
紳士風の男は、全裸の男を目の前にしても、
一切動じることなく、受け取ったお金を数える。
「確かに」
一切、表情を変える素振りを見えない紳士風の男に対して
露出狂の男は呟いたー
「--あんたも、脱いでみないかい?
服なんて窮屈だろ?
こうして、自分の全てをさらけ出してる瞬間こそ、
俺は自由だ!って感じられるんだ。」
露出狂男はさらに続ける。
「-ゴリラやオランウータンを見てみろよ?
服なんか着てねぇだろ?」
露出狂が嬉しそうに演説するー
だがー
「--では、私はこれで失礼いたします」
紳士風の男は、露出狂男の
とんでもない発言を耳にしても、一切表情を変えることなく、
そのまま立ち去って行ったー
”闇商社・デビル”から
憑依薬を手に入れた露出狂男は
「へっ!つまんねぇおっさんだぜ」と、呟くと、
憑依薬を見つめて笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その数日後ー
深夜の時間帯ー
上司からサービス残業を命じられて
終電ギリギリで帰宅中だった
サラリーマンの男は
信じられないものを目にしたー
「え……」
道の反対側からーーー
女が歩いてきているー
「---え…」
サラリーマンの男は唖然とするー
その女はー
服を着ていなかったー
嬉しそうに腰に手を当てて
満面の笑みで歩いているー
まるで”解放感”を味わうかのようにー
胸もー
アソコもー
何もかもを晒した危険な女ー
サラリーマンの男は、ドキッとすると同時に、
目を逸らしたー
「ふふふふふふ…夜風が気持ちいい」
女は、裸で夜の街を歩くことに
快感を感じているかのようなセリフを吐くと、
そのまま反対側の方に歩いて行ったー
唖然とするサラリーマン。
少ししてから、彼は目をこすると、
静かに呟いたー
「--裸の女の幻覚見るなんて…
俺、、そろそろ倒れるんじゃ…?」
これ以上のサービス残業はやばいな…
などと思いながら、サラリーマンの男は
自分の家へと向かって歩き始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「----ねぇねぇ、知ってる?」
大学の昼休みー
自販機コーナーでジュースを飲んでいると、
親友の松沢 美香(まつざわ みか)が
話しかけてきた。
「--あんまり聞きたくないなぁ」
美香に話しかけられた福野 梨々花(ふくの りりか)が苦笑いしながら答えるー
梨々花と美香は、大学で初めて出会った間柄だが、
お互い一人暮らしで、住んでいる場所が偶然近かったこともあり、
意気投合、今ではすっかり仲良しだったー
梨々花が”話を聞きたくないなぁ”と思ったのは、
美香はオカルト話とか都市伝説とか噂話が好きで、
ニヤニヤしながら話しかけてくるときは、たいてい、
その手の話題だからだー。
「---ふっふふふふ~
今度はすごいお話だから!」
美香の言葉に、梨々花は「ほんと~?どうせまた、変なお話でしょ?」と
飲み物を片手に呟くー
「--実はーー
わたしたちの近所で、露出狂が出てるみたいなの!」
美香が笑いながら言うー
「-----」
梨々花が”どう返事をしていいのか”戸惑ってしまうー
急に露出狂がどうこう言われてもー
「---……ふ、、ふぅん…それって捕まったの?」
梨々花がジュースを飲み終えると、
そう呟きながら美香の方を見たー
「それがね…」
美香が、梨々花に耳打ちをするー
”キレイな女の人みたいだよ”
とー
「--ふぇっ!?」
梨々花が驚いて声を上げるー
なんとなく、梨々花の中で
”露出狂と言えば男”というイメージがあったー
だからこそ、驚いてしまうー
美香は続けるー
「先週ぐらいから、何度か目撃されてるみたいなんだけどね、
綺麗な女の人が、深夜になると全裸で徘徊してるんだって」
美香の言葉に梨々花は
「変な人もいるんだね~…」と呟くー
「---なんか、すっごい嬉しそうなんだって!
わたしも一度見てみたいなぁ~」
美香の言葉に、梨々花は「ちょっと!やめときなよ~!」と、声を上げるー
深夜に全裸で徘徊している…なんて
絶対に普通ではない。遭遇すれば何をされるか分からない。
「危ないから、そういう人見かけても、声を掛けたりしないほうがいいよ!」
梨々花がそう言うと、
美香は「はいはい」と笑いながら答えた
”…ぜったい、探そうとしてるじゃん”
梨々花は内心で突っ込みを入れると、
やれやれと言いたげに首を振ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
大学帰りー。
「--あ、この前はありがとう」
同じ大学に通う眼鏡の女子・本崎 彩月(もとざき さつき)に
声を掛けられるー。
「あ、彩月ちゃん!どういたしまして~!」
彩月がとある課題で困っていたのを見かけた梨々花は、
彩月の課題を手助けするために、ある書類を貸したのだったー
そのお礼を告げに来た彩月ー
大学から出て、しばらくは方向が同じため、
彩月と一緒に歩いて帰るー。
他愛のない雑談をするふたり。
彩月は大人しい性格で、控えめな感じの女子。
だが、スタイルはとても良いため、
男子から妙な人気があるー
それを理解しているのか、
それとも単なる天然なのか、
彩月はとても甘え上手だー
わざと甘えているのか、
天然なのか、
それすらも読み取れない
独特の雰囲気が、彩月にはあるー。
「---じゃ、また明日~!」
梨々花が手を振ると、彩月も手を振るー。
「このあとはバイト…と」
梨々花が時計を見つめながら
今度はバイト先に向かうー
大学生活に
バイトー
初めての一人暮らしー
色々忙しいけれど、
梨々花の大学生活は、充実していたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜-
バイト先が思った以上に忙しくて
遅くなってしまったことを嘆きながら、
コンビニで”自分へのご褒美!”と
美味しそうなスイーツを手にして
ご機嫌そうに家に向かう梨々花ー
その時だったー
「----!」
梨々花が、不気味な人影を見つけたー
「---え」
梨々花は、目を疑ったー
家に帰るためには通る必要のない道にーー
全裸の女がいたーー
背中を向けていて、梨々花が今いる方向とは
別の方向に歩いているもののー
綺麗な髪をなびかせながら、腰を振るようにしてーー
服も着ずに歩いているー
「--あ…あれが…噂の…」
梨々花は”恐怖”を感じたー
美香から話を聞いた時には、
”そんな人、本当にいるの?”ぐらいにしか
思っていなかったがー
こうして、実際に見かけるとー
後ろ姿だが、かなりスタイルもいいー。
「--(き、、気付かれないように…)」
幸い、梨々花が帰宅するには通る必要のない方向の道に
全裸の女はいるー
梨々花は足早に曲がり角を通り過ぎると、
自分の家へと帰宅したー
”あんな変な人がいるなんて…”
梨々花は、家の中に入っても
しばらく”気味悪い”感覚が消えなかったー
・・・・・・・・・・・・
「ふふふっ♡」
女が、モデルのように歩きながらほほ笑むー
服は、着ていないー
彼女はー
”露出狂”の男に憑依されていたー
先日、
闇商社・デビルから憑依薬を購入した男にー
「今のわたしは、、自由ー」
女は興奮しながら笑うー
夜風が胸に当たるー
夜風があそこに当たるー
ゾクゾクしながら
「これが開放感!」と
両手を広げて叫ぶー
深夜の公園に入ると、
女は、そのままベンチに座って、自販機で購入した
お茶を飲み始めたー
開放感を味わって、興奮しながら女は呟くー
「はぁぁぁぁ…♡ 最高だぜ」
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「ねぇ…き、、昨日、見たんだけど」
梨々花が言うと、
親友の美香が「え?」と目を輝かせるー
「ま、、まさか、、深夜の痴女を見かけたの!?」
美香が、興奮した様子で梨々花に迫るー
梨々花は「ちょ、ちょ!おちついて!」と、美香を
落ち着かせると、昨日目撃した「謎の全裸女」について
説明したー
「え~~~!」
美香が不満そうに呟くー
「どうして、声をかけなかったのよ~!」
その言葉に、梨々花は「ちょ、、!?声かけるわけないでしょ!」と
反論するー
「--だいたい、夜中に裸で歩き回ってるなんて
さすがに普通じゃないでしょ?」
と、梨々花は付け加えた
「--う~ん…でも、勿体ないなぁ…」
都市伝説やオカルトが好きな美香は、
心底”損をした”という感じで、がっかりしているー。
「-もしかしたらその人、幽霊に憑りつかれていたり
してるのかもよ~!」
おばけー!みたいなポーズをしながら笑う美香。
「--そ、そんな~!やめてよ!」
梨々花が、気味悪そうに呟くと、
美香は「わたしも見たいな~!」と楽しそうに呟いたー
美香と梨々花の家は、そんなに近くない。
”ご近所”レベルだ。
梨々花が帰宅中に全裸の女を見かけたのであれば、
美香にも見かけるチャンスはあるかもしれないー
「ふっふっふ 今夜探してみようかな~」
美香の言葉に、
梨々花は「ちょっとやめなよ~!」と、あきれ顔で
言い放つのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お昼の時間ー
親友の美香、そして友人の彩月と共に、昼食を食べるー
眼鏡をかけたおとなしい女子大生の彩月が、
少しだけ食欲なさそうにしているー。
「大丈夫?」
梨々花が心配そうに尋ねると
彩月は「うん…大丈夫」と、弱弱しく微笑んだー
彩月は、身体があまり強くないー。
そういったところも、男子たちから”守ってあげたい”と
思わせるような雰囲気だー。
「それでさ~!さっきの話だけど」
美香が、まだ”徘徊する女”の話で盛り上がっている。
「またその話ぃ~?」
梨々花はさすがに呆れながら美香の方を見つめると、
美香は”今日の夜、一緒に探してみない~?”と笑いながら言うー。
「ほら、ふたりなら、その人が頭おかしかったとしても
逃げられるし、助けも呼べるでしょ!」
美香が”ナイスアイデア!”と自分で言いながら、
梨々花に迫るー
「却下!」
梨々花は即答したー
そんな危ない真似するべきではないー
とー。
「ちぇ~」
美香が不貞腐れた様子で呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「ふふふふ…開放感…最高だぜ」
全裸の女が、笑いながら夜の街を歩いていたー
「俺はいま自由だ…って、感じ…くくく
いや、今はわたしかぁ… ははははは」
憑依薬で、身体を乗っ取った露出狂の男は、
乗っ取った身体で、全裸になり、徘徊していたー
「ちょ…!きみ!」
パトロール中の警察官に声を掛けられるー。
「--ふふふふ」
女は、目を赤く光らせると、
警察官が、「あ…」と呟いて、そのまま立ち去っていくー
”わたしのことはかまうな”
露出狂の男は
闇商社デビルから、”人の思考を操る香水”も
手に入れていたー
”気休め”程度のもので、洗脳と呼べるようなものではないが、
それにより、警察に逮捕されずー
女は、夜の住宅街を、徘徊していたー
「開放感…くく…ふふふふふ♡」
女は今日も、乗っ取られたまま、最高の開放感を
味わい、夜の住宅街を歩いていたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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とんでもない人が、憑依薬を手に入れてしまいましたネ!
続きはまた明日デス!
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