乗っ取られたまま、深夜に徘徊する謎の女…。
その”都市伝説”に興味を示す女子大生たち…
事件の行方末は…?
--------------------—
「---はぁぁぁ…♡」
帰宅した女は、
興奮した様子で自分を抱きしめたー
「はぁ…♡ はぁ…♡ はぁ…♡」
”解放感”
たまらないー
露出狂男に憑依された女はー
全裸で徘徊することに、激しい興奮を感じていたー
もちろん、乗っ取られている女に
そのような趣味は、ないー
だが-
今、女は、身体も心も完全に露出狂男に
支配されているー
それ故にー
男の意志に従って露出し、
そのまま外を歩いて、激しく興奮していたー。
身体中がゾクゾクするー
たまらないー
女は帰宅してからも興奮したままー
自分の身体を抱きしめていたー
やがてー
そのままソファーに座ると、
嬉しそうに、自分の身体の色々な部分を
触り始めるー
”意志を操る香水”で
警察に職務質問された時には
”無関心”にさせるように仕向けて
それをやり過ごしているー
だがー
万が一逮捕されることになってしまってもー
万が一、近所の人に見られて
騒動になってしまったとしてもー
”別に構わない”
「どうせ…」
女は胸を触りながら笑うー
「どうせ、わたしの身体じゃないんだしぃ~?
くくくっ!あははははははっ♡」
女はー
一夜をたっぷり楽しむと、
そのまま、気絶するようにして倒れたー。
”へへへ、また来るぜ”
女から抜け出した露出狂男は、そう呟いて、
自分の身体へと戻っていくー
自分の身体は、他人に憑依している間、
抜け殻、の状態だー
空腹にもなるし、ずっと放置しているわけにはいかないー
だから、男は、夜の間だけ女を乗っ取り、
昼間は自分の身体で行動しているー
女が寝落ちしたタイミングで乗っ取っているため、
女は”憑依されている自覚”すらない。
まぁ、いずれー…
近所の人に見られるなりして、
イヤでも”自分が全裸で徘徊していること”を
知ることになるだろうが、
そんなことは関係ない。
乗っ取られている側は
”誰に乗っ取られているのか”認識することはできないー
あの女が、
”自分”にたどり着くことはあり得ないー
「憑依は、最高だな」
露出狂男は、笑みを浮かべながら、そう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・
「--おはよ~!」
美香が、嬉しそうに、梨々花に声を掛けて来るー
「ど、どうしたの!?妙にハイテンションだけど!」
梨々花はそう聞きながらも、
イヤな予感を覚えていたー
”美香が妙にハイテンション”なのは、
オカルトや都市伝説が絡むときが多いー
「--ふっふっふっふっふ」
美香が不気味な笑みを浮かべると、
スマホを手に「じゃ~ん!」と叫んだー
スマホの画面には、ツイッターの画面が
表示されている。
「昨日も!出たんだって!全裸女!」
美香が叫ぶー。
ツイッター上に”やべぇのがいた”と、
謎の徘徊女の後ろ姿の写真が
ツイートされていたー
「-ー写真を見る限り、これ、わたしの家の近くなんだよね~」
美香がニコニコしながら言う。
「あ~~!寝ないで、夜の住宅街探検すればよかった~~!」
美香が悔しそうに叫ぶー
「いや!しなくていいし!」
梨々花が突っ込むと、美香は「え~~!しようよ~!」と
梨々花に甘えるようにして呟いたー
「あぶないってば~!絶対その人、おかしいよ~!」
深夜に全裸で徘徊している目的は
よく分からないがー
とにかく”まともな人じゃない”ことは
梨々花にもよく理解できていた。
絶対に、おかしいー。
♪~~
梨々花のスマホが鳴る。
スマホを確認する梨々花。
友人・彩月からのLINEだ。
大人しい眼鏡女子の彩月は、
今日は大学に来ていなかった。
心配した梨々花がLINEで確認し、
その返事がやってきたのだ。
”体調不良で今日はお休みしたの”と
彩月から返事が来ているのを確認すると、
梨々花は「心配だなぁ…」と呟くー
「え?なにが?」
オカルト話に花を咲かせていた美香が、反応するー
梨々花は、「彩月ちゃんが体調崩したって」と、美香に伝える。
すると美香は、「あの子、いつも体調崩してるよね~!」と
苦笑いしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
女が眠りについたタイミングで、
露出狂男は、再び女に憑依したー
穏やかな寝息を立てていた女が「うっ」と、一瞬ビクンと震えるー
そして、女がニヤニヤしながら起き上がったー
早速服を脱ぎ始める女ー
脱いだ上下の服を放り投げると、
嬉しそうに鼻歌を歌いながら、
下着に手を掛けるー
「開放感 開放感~」
女がブラを放り投げ、
下着を放り投げー
鏡の前で万歳をするー。
「-やった~~!!ひゃははははは!」
全てをさらけ出した女が笑うー
そして、そのまま歩き出すと、
「今日も綺麗だねぇ~」とニヤニヤしながら
鏡の前で身体を見つめたー
躊躇なく、そのまま玄関の外に出る女ー
玄関の外に出て、夜の空気を
自分の裸体で味わうと、女は、にっこりとほほ笑んで
夜の街を歩きだしたー
彼女は、自分が乗っ取られて徘徊しているなどと
夢にも思っていないー
乗っ取られているなどと、夢にも思っていないし、
今、この瞬間、彼女の意識は完全に封印されていて、
自分が何をしているのかもわからないー
「--♪~~~~」
鼻歌を歌いながら、全裸でモデル歩きをする女ー
途中、公園に立ち寄ると、
裸のまま公園のベンチに座り、
足を広げながら、自販機で購入した
コーラを飲み始めたー
「---!」
そんな女と、ホームレスらしき男の目が合うー。
「---ははっ!どうも~~!」
女が手を振ると、
ホームレスらしき男は、怯えた様子で女を見つめたー
深夜の公園に全裸の女が
ベンチに座っていて、コーラを飲んでいるー
あまりにも異様な光景ー
深夜に、公園を徘徊しているホームレス…
というのも、一般人から見たら不気味な存在かもしれないー
だが、そのホームレスがおびえてしまうほどに、
異様な女が、そこにはいたー
「--ひっ!?!?何しとるんじゃ!?」
ホームレスの男が叫ぶー
「なにって?
人間って、服という呪縛に囚われていて、愚かだと思いませんか?」
女が興奮した様子でほほ笑むー
「--な、、な、、何を言っとるんじゃ!?」
ホームレスの男が叫ぶー
「-わからないかなぁ?開放感!開放感ですよ!」
女が興奮した様子で立ち上がり、
ニヤニヤと笑うー
「ゴリラやオランウータンが服を着てますか?
着てないでしょう?????
わたしだって、ほ乳類の一員なの。
ゴリラやオランウータンみたいな開放感、
味わったっていいでしょぉ???」
女はそう言いながら、ゴリラの真似をして
自分の胴体を叩いて見せたー
ホームレスの男は、女に狂気を感じて
尻餅をつくと、そのまま走り去って行ってしまったー
「--ふん。この開放感を理解できないなんて、馬鹿なやつ」
女は綺麗な声でそう呟くと、
そのまま深夜の女子トイレに全裸のまま入って行ったー
トイレを済ませると、女は公園から外に向かって
静かに歩き出した…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日の夕方ー
梨々花は嫌々、美香の家にやってきていたー
梨々花と美香は、共に一人暮らしで
たまたま近所だったことから、急接近した間柄だ。
一人暮らしを始めたばかりの者同士、
なんとなく、寂しかった、という感情もあるのかもしれないー。
「---ふっふっふ」
美香が笑うー。
梨々花が”嫌々”美香の家に来たのは
美香が嫌いだからではない。
”あること”をしよう、と美香が誘って来たからだったー
「---謎の全裸女、調査隊を結成します!」
美香がふざけた様子で言う。
「---」
梨々花は苦笑いしているー
「---梨々花隊員!準備はOKですか!?」
美香がふざけた様子で言う。
「-----はぁ」
梨々花がため息をつくー
「---ってこら~~~!ノリが悪い!」
美香が梨々花をぺしっ!と叩く。
梨々花は、苦笑いしながら
「だって…露出狂を探す、なんて危ないよぉ」と
呟くー
「大丈夫大丈夫、ただ徘徊してるだけみたいだし、
”どうして”か、聞いてみたいし!
そもそも幽霊かもだし!」
美香の言葉に、
梨々花は”いったい何がだいじょうぶなの…?”と突っ込みを
心の中で入れながら、”親友”だから、と、いやいや
謎の全裸女の調査を二人で行うことになったー
”調査”と、言っても、別に大それたものではなく、
単純に梨々花と美香が、夜の街をうろうろするだけなのだがー。
夜になり、二人は、住宅街を歩くー。
「----いないな~」
美香がザンネンそうに、周囲を見渡す。
梨々花は、ちょっと怖がりながら周囲を見渡していたものの、
特に怪しい人影はいない。
「ほんと~に見たんだよね?」
美香が確認する。
梨々花は「あっちの通りに確かにいたんだよ!」と、美香に伝えるー
だがー
その通りを確認しても、謎の全裸女の姿はなかったー
「は~~~~」
一旦、夜のファミレスに入るふたりー
美香と梨々花は、軽食やスイーツを食べながら
雑談をするー
美香は「会いたいなぁ~」と
まるで、恋人に会いたい、と言わんばかりの表情で
ファミレスの中から、外を見つめているー。
「----美香も、本当に好きだよね…そういう話題」
梨々花が言うと、美香は「うん!好きだよ!」と答えたー。
美香には、恋人もいないー
何故なら”都市伝説が恋人”だから。
本人も、普段からそう豪語しているー。
梨々花は”そこまで一生懸命になれるなんてすごいなぁ…”と
いつも美香に対してある種の憧れを持っていた。
「---さ、そろそろいこっか!」
休憩を終えた美香が立ち上がるー
再び”調査”を続けるふたりー。
だが、結局、この日は、謎の女は、見つからなかったー。
「--なぁんだ…ざんねん!
都市伝説も、わたしから逃げてるのかな!」
美香はそう言いながらも
”夜遅く”まで付き合ってくれた梨々花に「付き合ってくれてありがと!」と
嬉しそうにほほ笑んだー
「うん!どういたしまして」
別れる梨々花と美香ー。
この日ー
”謎の女”は、現れなかったー
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「--ふっふふふふふふ♡」
深夜ー
女は、いつものように、露出狂男に乗っ取られて、
服を脱ぎ捨て、家の中で全てをさらけ出していたー
「---は~~~…わたしを探してる子がいるなんて…」
女はニヤニヤ笑みを浮かべながら鏡を見つめるー
服という呪縛から逃れた女は美しいー
自分の身体をうっとりとした表情で抱きしめるー。
「はぁ…♡ はぁ…♡
興奮しちゃう…」
女は甘い声で呟くと、静かにほほ笑んだー
”そんなにわたしに会いたいなら…
わたしから、会いに行ってあげようかな…?”
とー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス!
開放感を味わう男に乗っ取られた彼女の運命は…?
ぜひお楽しみくださいネ~
コメント