宇宙人に憑依されてしまった少女ー。
宇宙人の”お迎え”が来るまで、
彼女はそのままの状態で過ごすことになってしまったものの…?
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自転車置き場に吹き飛ばされた忠義ー。
それを見た周囲の生徒たちが、
”豪里が急に吹っ飛んできた”と、笑っているー
絵麻に絡んでいたのを目撃していた人物は
それなりにいたが、
絵麻が、豪里忠義を吹き飛ばすことなどできるはずがない、と
みんな思っているため
”豪里が勝手に自転車置き場に吹っ飛んだ”として
ネタになってしまったー
「---さっきのは…?」
教室に到着した絵麻は戸惑っているー
忠義に腕を掴まれて、それを振り払ったらー
忠義が信じられないぐらいの吹っ飛んでいったのだー
「まさかね…」
絵麻が呟くー
自分が、あのような力を発揮したとは思えないー
やはり、周囲がネタにしている通り
”豪里が勝手に吹っ飛んだ”のだろうー
「よし。そう思うことにしよっと」
絵麻は勝手にひとり、納得して
元気を取り戻した
”あははははははっ!!
ひひひひ、は~はははははは”
絵麻に憑依した宇宙人が、絵麻の記憶の中にある
”漫画”を読んで大爆笑しているー
「う、、うるさいってば」
小声で言う絵麻ー
”あ、、あぁぁ、ごめんなさい…つい”
宇宙人が静かになるー
教室の端の方では、打撲を痛がる忠義と、
彼と仲良しなお調子者男子二人が、
何やら話をしていたー
「---」
絵麻は、いじめを受けている満智子の方を見るー
今日も、忠義たちは満智子をいじめるかもしれないー
そう、思いながらー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2時間目の数学の授業中ー。
「---あ…へへへ」
周囲の男子の一部が笑い始めたー
「--?」
絵麻が、問題を解きながら、
周囲の男子の方を見るー
「--見ろよ」
男子同士が、数学の先生の後頭部を指さしているー
教室に入ってきた太陽の光がー
禿げている数学の先生の後頭部を照らしー
その光が反射しているー
それを指さして、男子たちが笑っているのだー
”ははははははははっ!
はは、ひひひひひひひ、あはははははははは”
「----」
絵麻は首を振るー
男子が、数学教師の後頭部で笑っているー
そしてー
絵麻の頭の中では
絵麻に憑依した宇宙人が、絵麻の記憶の中にある
漫画を見て、大爆笑しているー
「---あは…」
ー!?
絵麻の口が勝手に動いた。
「あはっ!!あは、、、あはははははははははは!」
突然、笑いがこみあげてきて、我慢できなくなるー
大声で笑いだす絵麻ー
「--!?」
数学教師が振り返るー
「--おいおい、先生の頭でそんなに笑うなんて失礼だぞ~?」
さっき笑ってた男子が絵麻に言う。
「あはははは、あはっ、、、ち、、ちがっ」
絵麻が必死に弁明するー
”あ、、ごめんなさい、笑い過ぎて
私の感情が、あなたにも影響しちゃったみたいです”
頭の中の宇宙人が言うー
「----あとで、職員室に来なさい」
数学の先生は、無情にもそう言い放ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「も~~~~!」
昼休みー
職員室で数学の先生に怒られた絵麻は
宇宙人に怒っていたー
「わたしに影響与えるとか、やめてよね!」
絵麻が言うと、
宇宙人は”すみませんすみません”と苦笑いしたー
宇宙人も、絵麻の身体にそんなに
ダイレクトに影響が出るとは思っていなかったのだー
乗っ取ろうとしていなくても、中にいるから
強く感情を表すと、それが表に出てしまうようだー
「も~~~~~~…」
やれやれという様子の絵麻ー
そのまま5時間目の授業が始まるー
5時間目の授業は、体育ー
ちょうど、前にやっていた授業との区切りでー
久しぶりにドッジボールを行うことになっていたー
「ドッジボールなんて久しぶりだなぁ~」
絵麻が言うと、
いじめられっ子の満智子も頷くー
「--へへへ」
お調子者男子のリーダー格・忠義が
絵麻の方を見ているー
朝ー
”自転車置き場に吹っ飛んだ豪里”として
笑い物にされた雪辱を果たそうとしていたー
「---顔面に当ててやるぜ!」
叫ぶ忠義ー
男女混合でのドッジボールが始まったー
忠義が、絵麻の顔面目掛けてボールを投げるー
「きゃっ!?」
絵麻が寸前のところでそれを避けるー
「---おいおい、豪里!女子にそんなボール投げるなって!」
他の男子が、忠義に向かって言うー
「わりぃわりぃ~手が滑った~」
忠義がニヤニヤしながら絵麻を睨むー
”次も狙ってやるぜ”と言わんばかりの表情ー
「--ほら!パス!」
絵麻のチームの男子生徒が絵麻にボールをパスしてきたー
「え?」
絵麻が戸惑っていると、その男子は笑ったー
「ほら、豪里のやつにやられっぱなしじゃ、いやだろ~?
豪里のやつをアウトにしてやれよ」
男子が笑うー
正直、絵麻は別に運動が得意ではないー
絵麻がボールを投げても、忠義は簡単にボールを取るだろう。
「---へへ。やる気か?」
忠義が、堂々と腕を組んで真ん中に立つー
「-お前がどんなボールを投げようとも、俺は片手で
受け止めてやるぜ」
忠義の言葉に、
負けず嫌いの絵麻は「バカにしないでー」と叫んだー
そして、クラスメイトたちが注目する中ー
絵麻はボールを投げたー
「-----!」
周囲が唖然とするー
絵麻が投げたボールは、まるで炎を纏うかのようにー
ものすごい勢いで忠義の方に向かったー
「---!」
忠義が目を見開くー
「---ぐっおぉぉぉおおおおおおお!?!?!?」
余裕をかまして片手でボールを受け止めようとした忠義は、
ドッジボールのコートの線からはみ出して、
遥か彼方に飛ばされーー
体育館の倉庫の扉に激突したー
「ぐごぉ!?」
忠義がその場に崩れ落ちるー
「--お????おおおおおお????」
周囲の生徒たちが、唖然とするー
場外にまで吹き飛ばされた忠義ー
他の生徒たちがゲラゲラ笑っているー
「え…???え…????」
戸惑う絵麻ー
自分はいつの間にこんなボールを投げれるようになったのかーー
とーー。
”お見事です”
宇宙人が脳内で拍手したー
「--あ、、え、、うん???」
絵麻は戸惑っていたー
なんかー
”力”が溢れて来るような、そんな感じがするー
放課後ー
「--くそっ!面白くねぇことばかりだぜ!」
忠義はー
イライラしていたー
朝から
自転車置き場に吹き飛ばされて
自転車置き場の豪里、とあだ名をつけられてしまい、
ドッジボールでは、絵麻の投げたボールで
場外まで吹き飛ばされてしまったことで、
”場外野郎”とあだ名をつけられてしまったー
「--お~!場外自転車置き場の豪里!じゃあな!」
クラスの男子たちが笑いながら手を振るー
「--くっそぉおおおおおおおおおお!」
忠義が机をたたくー
「ぷっ」
忠義と仲良しな他の二人も忠義を見て笑っているー
忠義はーー
怒りのあまりー
いじめられっ子の満智子を襲撃したー
「--お前は、俺のサンドバックだ!」
校舎裏で、怯える満智子に対して
言い放つ忠義ー。
「-俺のストレス発散台になれ!!!!!」
忠義の言葉に、校舎裏に連れてこられた満智子がおびえるー。
「--や、、やめて…」
弱弱しい満智子を見て、
忠義と、取り巻きの二人が笑うー
「--たっぷり、可愛がってやるぜ!」
悪人面で笑う忠義ー
そこにーー
「やめなさい!!!!」
絵麻が駆けつけたー
偶然、満智子が校舎裏に連れていかれるのを
目撃していたのだー
「--この野郎!またお前か!」
忠義が叫ぶー
「--今日という今日は許さねぇ!
少し痛い目を見せてやる!」
忠義がそう叫ぶと、
忠義と取り巻きの二人が
絵麻に襲い掛かってきたー
絵麻は「え!?ちょ!?暴力反対!!」と叫ぶー
「うっせぇ!
今は男女平等の時代だぜ!」
忠義はそう叫ぶと、
「女と語り合うときも、拳だぜ!」とつけ加えたー
しかしー
「きゃああああああああ!」
絵麻が、殴られるのを防ごうと手を出すとーー
「ぐおおおおおおおおおおおおおおぁぁあああ!?!?!?」
忠義の悲鳴が響き渡ったー
忠義が校舎の壁に激突して、
人型の穴が校舎の壁に開くー。
「--え?」
驚く絵麻ー。
「---ひっ!?!?」
忠義の取り巻き二人が化け物を見るような目で
絵麻を見つめる。
「--え…??あ、、こ、これは…?」
吹っ飛ばされた忠義ー
校舎の壁の表面には、人型の穴が出来てしまったー。
「---ご、、ごりら女…!」
「誰がゴリラよ!」
取り巻き二人に絵麻が言い返すと、
絵麻は「どういうこと…?」と呟くー
「---あ…」
いじめられている満智子が不安そうに
絵麻の方を見つめているのに
絵麻が気付いて、手を差し伸べる。
「--満智子…もう大丈夫だよ」
「---うん」
忠義を吹っ飛ばしてしまった件はあとで処理するとして、
まずは満智子を安心させてあげたかったー。
満智子の手を掴む絵麻ー
しかしー
ぼきっー
「--!?」
絵麻が表情を歪めるー
「--う…うあああああああ…」
満智子が絵麻に掴まれていた腕を
押さえて苦しみ出すー。
あまりの”力の強さ”に
満智子の腕に大きな負担がかかってしまったー
「え??満智子!?大丈夫!?」
絵麻は訳が分からず満智子に寄り添うー。
「ゴ…ゴリラ女やべぇ…」
「逃げろ!」
取り巻き二人が慌てて逃げ出すー
「--満智子!ねぇ?しっかりして!」
絵麻が、満智子の肩に手を触れるとー
「-ぎゃああああああああああああ!!!」
満智子が悲鳴を上げたー
満智子の肩の骨が、砕けたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----そんな…」
絵麻は”停学処分”になってしまったー。
忠義も満智子も病院に運ばれて、
特に満智子の両親は怒り、
”何らかの対応をする”とまで言い出しているー
”すみません”
宇宙人が突然謝ってきた。
「---」
絵麻も”そうなんじゃないか”と思っていたー
この”強すぎる力”は
宇宙人に憑依されたことによるものではないか、と。
”私が憑依していることで、
あなたの身体のエネルギーも強まってるみたいで…
テヘペロってやつですね”
「--なにがテヘペロよ!」
絵麻が不機嫌そうに叫ぶー
両親からも叱られてー
部屋の中で落ち込む絵麻ー
「--あんたのせいで、滅茶苦茶」
絵麻が涙を流しながら呟いたー
”す、、すみません”
宇宙人に害意はないー。
そのことは絵麻にもわかっているー
だがー宇宙人のせいで、
こんなことになっているのも、また事実ー
”……あ、、あの停学の1週間以内には
仲間が私を迎えに来てくれると思いますので…
出来る限り部屋にいたほうが…”
「わかってるわよ!」
絵麻はそう叫ぶと、そのままふさぎ込んでしまったー
”……”
宇宙人は落ち込むー
自分のせいで、この人間は悲しんでいるー。
”(あ…)”
宇宙人はあることを思いついたー
”私がこの人の代わりに問題を解決してあげれば…
この人も元気を出すかもしれないー”
そう思った宇宙人は呟いたー
”ちょっと身体、お借りします”
とー。
「--は!?!?え??? ひっ!?」
絵麻が、拒否する間もなく、宇宙人は絵麻を乗っ取ったー
「--私が、あなたのトラブル、全部解決させておきますから、
少し眠っててください」
絵麻の身体を乗っ取った宇宙人は、そう呟くと、
部屋の外へと歩き出したー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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宇宙人に乗っ取られてしまった絵麻の運命は…?
次回が最終回デス~!
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