<憑依>強すぎる少女②~力~

宇宙人に憑依されてしまった少女ー。

宇宙人の”お迎え”が来るまで、
彼女はそのままの状態で過ごすことになってしまったものの…?

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自転車置き場に吹き飛ばされた忠義ー。

それを見た周囲の生徒たちが、
”豪里が急に吹っ飛んできた”と、笑っているー

絵麻に絡んでいたのを目撃していた人物は
それなりにいたが、
絵麻が、豪里忠義を吹き飛ばすことなどできるはずがない、と
みんな思っているため
”豪里が勝手に自転車置き場に吹っ飛んだ”として
ネタになってしまったー

「---さっきのは…?」
教室に到着した絵麻は戸惑っているー

忠義に腕を掴まれて、それを振り払ったらー
忠義が信じられないぐらいの吹っ飛んでいったのだー

「まさかね…」
絵麻が呟くー

自分が、あのような力を発揮したとは思えないー

やはり、周囲がネタにしている通り
”豪里が勝手に吹っ飛んだ”のだろうー

「よし。そう思うことにしよっと」
絵麻は勝手にひとり、納得して
元気を取り戻した

”あははははははっ!!
 ひひひひ、は~はははははは”
絵麻に憑依した宇宙人が、絵麻の記憶の中にある
”漫画”を読んで大爆笑しているー

「う、、うるさいってば」
小声で言う絵麻ー

”あ、、あぁぁ、ごめんなさい…つい”
宇宙人が静かになるー

教室の端の方では、打撲を痛がる忠義と、
彼と仲良しなお調子者男子二人が、
何やら話をしていたー

「---」
絵麻は、いじめを受けている満智子の方を見るー

今日も、忠義たちは満智子をいじめるかもしれないー

そう、思いながらー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2時間目の数学の授業中ー。

「---あ…へへへ」
周囲の男子の一部が笑い始めたー

「--?」
絵麻が、問題を解きながら、
周囲の男子の方を見るー

「--見ろよ」
男子同士が、数学の先生の後頭部を指さしているー

教室に入ってきた太陽の光がー
禿げている数学の先生の後頭部を照らしー
その光が反射しているー

それを指さして、男子たちが笑っているのだー

”ははははははははっ!
 はは、ひひひひひひひ、あはははははははは”

「----」
絵麻は首を振るー

男子が、数学教師の後頭部で笑っているー

そしてー
絵麻の頭の中では
絵麻に憑依した宇宙人が、絵麻の記憶の中にある
漫画を見て、大爆笑しているー

「---あは…」

ー!?

絵麻の口が勝手に動いた。

「あはっ!!あは、、、あはははははははははは!」
突然、笑いがこみあげてきて、我慢できなくなるー

大声で笑いだす絵麻ー

「--!?」
数学教師が振り返るー

「--おいおい、先生の頭でそんなに笑うなんて失礼だぞ~?」
さっき笑ってた男子が絵麻に言う。

「あはははは、あはっ、、、ち、、ちがっ」
絵麻が必死に弁明するー

”あ、、ごめんなさい、笑い過ぎて
 私の感情が、あなたにも影響しちゃったみたいです”
頭の中の宇宙人が言うー

「----あとで、職員室に来なさい」
数学の先生は、無情にもそう言い放ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「も~~~~!」
昼休みー

職員室で数学の先生に怒られた絵麻は
宇宙人に怒っていたー

「わたしに影響与えるとか、やめてよね!」
絵麻が言うと、
宇宙人は”すみませんすみません”と苦笑いしたー

宇宙人も、絵麻の身体にそんなに
ダイレクトに影響が出るとは思っていなかったのだー
乗っ取ろうとしていなくても、中にいるから
強く感情を表すと、それが表に出てしまうようだー

「も~~~~~~…」

やれやれという様子の絵麻ー

そのまま5時間目の授業が始まるー

5時間目の授業は、体育ー
ちょうど、前にやっていた授業との区切りでー
久しぶりにドッジボールを行うことになっていたー

「ドッジボールなんて久しぶりだなぁ~」
絵麻が言うと、
いじめられっ子の満智子も頷くー

「--へへへ」
お調子者男子のリーダー格・忠義が
絵麻の方を見ているー

朝ー
”自転車置き場に吹っ飛んだ豪里”として
笑い物にされた雪辱を果たそうとしていたー

「---顔面に当ててやるぜ!」
叫ぶ忠義ー

男女混合でのドッジボールが始まったー

忠義が、絵麻の顔面目掛けてボールを投げるー

「きゃっ!?」
絵麻が寸前のところでそれを避けるー

「---おいおい、豪里!女子にそんなボール投げるなって!」
他の男子が、忠義に向かって言うー

「わりぃわりぃ~手が滑った~」
忠義がニヤニヤしながら絵麻を睨むー

”次も狙ってやるぜ”と言わんばかりの表情ー

「--ほら!パス!」
絵麻のチームの男子生徒が絵麻にボールをパスしてきたー

「え?」
絵麻が戸惑っていると、その男子は笑ったー

「ほら、豪里のやつにやられっぱなしじゃ、いやだろ~?
 豪里のやつをアウトにしてやれよ」

男子が笑うー

正直、絵麻は別に運動が得意ではないー
絵麻がボールを投げても、忠義は簡単にボールを取るだろう。

「---へへ。やる気か?」
忠義が、堂々と腕を組んで真ん中に立つー

「-お前がどんなボールを投げようとも、俺は片手で
 受け止めてやるぜ」

忠義の言葉に、
負けず嫌いの絵麻は「バカにしないでー」と叫んだー

そして、クラスメイトたちが注目する中ー
絵麻はボールを投げたー

「-----!」

周囲が唖然とするー

絵麻が投げたボールは、まるで炎を纏うかのようにー
ものすごい勢いで忠義の方に向かったー

「---!」
忠義が目を見開くー

「---ぐっおぉぉぉおおおおおおお!?!?!?」
余裕をかまして片手でボールを受け止めようとした忠義は、
ドッジボールのコートの線からはみ出して、
遥か彼方に飛ばされーー
体育館の倉庫の扉に激突したー

「ぐごぉ!?」
忠義がその場に崩れ落ちるー

「--お????おおおおおお????」
周囲の生徒たちが、唖然とするー

場外にまで吹き飛ばされた忠義ー
他の生徒たちがゲラゲラ笑っているー

「え…???え…????」
戸惑う絵麻ー

自分はいつの間にこんなボールを投げれるようになったのかーー
とーー。

”お見事です”
宇宙人が脳内で拍手したー

「--あ、、え、、うん???」
絵麻は戸惑っていたー

なんかー
”力”が溢れて来るような、そんな感じがするー

放課後ー

「--くそっ!面白くねぇことばかりだぜ!」
忠義はー
イライラしていたー

朝から
自転車置き場に吹き飛ばされて
自転車置き場の豪里、とあだ名をつけられてしまい、
ドッジボールでは、絵麻の投げたボールで
場外まで吹き飛ばされてしまったことで、
”場外野郎”とあだ名をつけられてしまったー

「--お~!場外自転車置き場の豪里!じゃあな!」
クラスの男子たちが笑いながら手を振るー

「--くっそぉおおおおおおおおおお!」
忠義が机をたたくー

「ぷっ」
忠義と仲良しな他の二人も忠義を見て笑っているー

忠義はーー
怒りのあまりー
いじめられっ子の満智子を襲撃したー

「--お前は、俺のサンドバックだ!」
校舎裏で、怯える満智子に対して
言い放つ忠義ー。

「-俺のストレス発散台になれ!!!!!」
忠義の言葉に、校舎裏に連れてこられた満智子がおびえるー。

「--や、、やめて…」
弱弱しい満智子を見て、
忠義と、取り巻きの二人が笑うー

「--たっぷり、可愛がってやるぜ!」
悪人面で笑う忠義ー

そこにーー

「やめなさい!!!!」
絵麻が駆けつけたー

偶然、満智子が校舎裏に連れていかれるのを
目撃していたのだー

「--この野郎!またお前か!」
忠義が叫ぶー

「--今日という今日は許さねぇ!
 少し痛い目を見せてやる!」
忠義がそう叫ぶと、
忠義と取り巻きの二人が
絵麻に襲い掛かってきたー

絵麻は「え!?ちょ!?暴力反対!!」と叫ぶー

「うっせぇ!
 今は男女平等の時代だぜ!」
忠義はそう叫ぶと、
「女と語り合うときも、拳だぜ!」とつけ加えたー

しかしー

「きゃああああああああ!」
絵麻が、殴られるのを防ごうと手を出すとーー

「ぐおおおおおおおおおおおおおおぁぁあああ!?!?!?」
忠義の悲鳴が響き渡ったー

忠義が校舎の壁に激突して、
人型の穴が校舎の壁に開くー。

「--え?」
驚く絵麻ー。

「---ひっ!?!?」
忠義の取り巻き二人が化け物を見るような目で
絵麻を見つめる。

「--え…??あ、、こ、これは…?」

吹っ飛ばされた忠義ー
校舎の壁の表面には、人型の穴が出来てしまったー。

「---ご、、ごりら女…!」

「誰がゴリラよ!」

取り巻き二人に絵麻が言い返すと、
絵麻は「どういうこと…?」と呟くー

「---あ…」
いじめられている満智子が不安そうに
絵麻の方を見つめているのに
絵麻が気付いて、手を差し伸べる。

「--満智子…もう大丈夫だよ」

「---うん」

忠義を吹っ飛ばしてしまった件はあとで処理するとして、
まずは満智子を安心させてあげたかったー。

満智子の手を掴む絵麻ー

しかしー

ぼきっー

「--!?」
絵麻が表情を歪めるー

「--う…うあああああああ…」
満智子が絵麻に掴まれていた腕を
押さえて苦しみ出すー。

あまりの”力の強さ”に
満智子の腕に大きな負担がかかってしまったー

「え??満智子!?大丈夫!?」
絵麻は訳が分からず満智子に寄り添うー。

「ゴ…ゴリラ女やべぇ…」
「逃げろ!」
取り巻き二人が慌てて逃げ出すー

「--満智子!ねぇ?しっかりして!」
絵麻が、満智子の肩に手を触れるとー

「-ぎゃああああああああああああ!!!」
満智子が悲鳴を上げたー

満智子の肩の骨が、砕けたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----そんな…」
絵麻は”停学処分”になってしまったー。

忠義も満智子も病院に運ばれて、
特に満智子の両親は怒り、
”何らかの対応をする”とまで言い出しているー

”すみません”
宇宙人が突然謝ってきた。

「---」
絵麻も”そうなんじゃないか”と思っていたー

この”強すぎる力”は
宇宙人に憑依されたことによるものではないか、と。

”私が憑依していることで、
 あなたの身体のエネルギーも強まってるみたいで…
 テヘペロってやつですね”

「--なにがテヘペロよ!」
絵麻が不機嫌そうに叫ぶー

両親からも叱られてー
部屋の中で落ち込む絵麻ー

「--あんたのせいで、滅茶苦茶」
絵麻が涙を流しながら呟いたー

”す、、すみません”
宇宙人に害意はないー。

そのことは絵麻にもわかっているー
だがー宇宙人のせいで、
こんなことになっているのも、また事実ー

”……あ、、あの停学の1週間以内には
 仲間が私を迎えに来てくれると思いますので…
 出来る限り部屋にいたほうが…”

「わかってるわよ!」
絵麻はそう叫ぶと、そのままふさぎ込んでしまったー

”……”
宇宙人は落ち込むー

自分のせいで、この人間は悲しんでいるー。

”(あ…)”
宇宙人はあることを思いついたー

”私がこの人の代わりに問題を解決してあげれば…
 この人も元気を出すかもしれないー”

そう思った宇宙人は呟いたー

”ちょっと身体、お借りします”
とー。

「--は!?!?え??? ひっ!?」
絵麻が、拒否する間もなく、宇宙人は絵麻を乗っ取ったー

「--私が、あなたのトラブル、全部解決させておきますから、
 少し眠っててください」

絵麻の身体を乗っ取った宇宙人は、そう呟くと、
部屋の外へと歩き出したー

③へ続く

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宇宙人に乗っ取られてしまった絵麻の運命は…?

次回が最終回デス~!

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