宇宙人に憑依された影響で「強すぎ」になってしまった少女ー
宇宙人の迎えが来るまで、
無事に過ごすことはできるのか…。
-------------------------–
「---本当に、申し訳ありませんでした!」
絵麻が何度も何度も何度も、謝罪しているー
「----」
満智子の父親が、病室の入り口で土下座をしている絵麻を見て、
頭を掻くー。
「うちの娘を怪我させて、どういうつもりだ!
謝ったって、うちの娘の怪我は治らないんだぞ!」
「お父さん!もうやめて」
病室のベットで、満智子が叫ぶー。
満智子の父親にそう怒鳴られた絵麻は、立ち上がる。
「--治ります」
「は?」
え?」
満智子と、
満智子の父親が、そう言うと、
絵麻は突然、謎の呪文のようなものを呟き始めたー
絵麻は今、宇宙人に完全に乗っ取られているー
と、言っても、宇宙人が絵麻の身体を乗っ取っているのは
絵麻の身体でいろいろと悪さをしたりだとか
そういう理由ではない。
自分のせいで、絵麻が苦しめられている状況を
なんとか解決させたかったー。
「--この身体でも、使える」
絵麻は呟くー
宇宙人が唱えていたのはー”回復の呪術”
彼ら宇宙人は、人間よりもはるかに優れた力を持つ種族だったー
「---な、、な、、何をしてるんだ!?」
満智子の父親が叫ぶー
「--ちょ!?!?え…???な、、なにこれ・・・?」
満智子は怯えながら絵麻の方を見ているー
「--はぁっ!」
絵麻が呪文を唱え終えると、緑色のー
慈悲深く暖かい光が部屋中を満たしたー
絵麻の姿が、まるで女神のように光りー
全身が光った状態で、優しく、満智子を包み込んだー
そしてーー
満智子は、絵麻の光に包まれてーーーー
「--え…うそっ!?」
満智子が驚くー
腕の調子が嘘のように回復してー
腕をぶんぶん振り回す満智子ー
「--ま、満智子!?な、、治ったのか!?」
父親が驚くー
「--もう、大丈夫ですよ」
そう言うと、絵麻はにっこりとほほ笑んで、
そのまま病室の外に出たー
”あ、あんた何者だ!?”と
喚く父親を無視してー
病院の外に出た絵麻ー。
「--あとは」
絵麻が鋭い目つきで歩き出すー。
絵麻が向かった先は、
絵麻に何度も絡んでいたお調子者の不良・忠義の実家だー。
「---ごおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
絵麻は、忠義の両親の前で、口から炎を吐いて見せたー
これも、宇宙人の力によるものー
「ひっ!?!?」
忠義の両親が悲鳴を上げるー
「悪いのは、どう考えてもあなたの息子さんです。」
絵麻が口から炎を吐き終えると、にっこり微笑んで、
そのまま忠義の両親の家から立ち去ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----あ…あれ…?」
絵麻が目を覚ますと、
自分の部屋にいたー
「--!」
絵麻が慌ててスマホを見るー
すると、2日が経過していたー
「--え!?ちょ!??!
ま、、まさかあんた、二日間もわたしの身体を!?」
絵麻が叫ぶと、
宇宙人は答えた
”あ、すみません…
全部代わりに解決してあげようと思いまして”
とー。
「ちょっと!わたしの身体、勝手に乗っ取らないでって
約束したよね!?!?」
絵麻が怒りの形相でそう呟くと、
宇宙人は”すみません…”と答えたー
だが、宇宙人によれば
満智子の怪我も
忠義の怪我の件も解決したのだと言う。
そして、絵麻が停学処分になってしまったことで
怒っていた絵麻の両親に対しては、
事情を説明して、理解してもらった、と
説明したー
「-ちょ!?わたしのこの状況、
お父さんとお母さんに説明したの!?!?」
絵麻が驚きながら言うと、
宇宙人は”えぇ、はい”と答えたー。
”お父様とお母さまは、笑顔で納得してくださいました”
とー。
「---…はぁ~~~」
絵麻はため息をつく。
両親の笑顔はきっと
”宇宙人に憑依された”とか言い出した娘を
憐れんで笑っていたのだろうー。
信じてもらえているはずがないー
だが、この宇宙人は
そういうことを、理解できないのだろうー
絵麻はため息をつきながら
1階に降りていくと、
母親から「宇宙人さんおはよう」と皮肉を言われたー
完全に呆れられてしまっているー
両親は
”娘が停学処分の言い訳に”宇宙人に憑依された”と
言い出している”と思っているのだー
「-あ、お父さんが昼ごはんに、って
それ、昨日買ってきてくれたわよ」
母が言う。
机の上に置かれているのは「宇宙食」
両親が、”停学処分になった挙句、
言い訳を始めた娘”に心から失望しているのが
よく伝わってきたー
「--あ、、、あ、、ありがとう」
絵麻は、首を振りながら自分の部屋に戻っていく。
「どうしてくれんのよ!」
絵麻が叫ぶー
満智子や忠義の件が解決した、というのもよく分からない。
一体何をして解決させたのか。
絵麻は、呆れながらスマホをいじるー。
なんとなくツイッターを開くと、
そこにはー
”火を噴く怪獣女”
が、トレンド入りしていたー
「---」
絵麻は気づかなかったが、
それは忠義の家で、忠義の両親に向かって
口から炎を吐いた絵麻の話題だー。
自分のことだと気づかなかったのは幸いだったかもしれないー
バキッ
「-!」
絵麻は表情を歪めたー
「---あ~~もう!」
スマホを持つ手に力が入りすぎて
スマホが折れてしまったー
あまりの怒りに、絵麻はスマホを思わず放り投げたー
「あんたのせいで、滅茶苦茶!!!」
絵麻は、怒りの形相で叫ぶー
”すみません!本当にすみません!”
宇宙人が、必死に謝るー
”力が欲しい”
そう思ったことはあったー
でも、こんな”過ぎた力”はいらないー
過ぎた力は、自らの身を、破滅させてしまうからー。
「------で…?仲間はいつ迎えに来るの」
絵麻が言うと、
宇宙人は”ちょ、ちょっと待ってください!連絡待ちですから”と叫ぶー。
この宇宙人に害意がないのは分かった。
でも、もういい加減解放されたいー
とっとと出てって欲しいー。
この宇宙人は自分の星に帰ればそれでおしまいなのだろうけど、
乗っ取られているこっちからすればたまったものではないー
停学になり、
両親に呆れられてー
もう、踏んだり蹴ったりだー
”あ!!!!!!”
宇宙人が大声で叫ぶー
”やったああああああああああああああああああああ”
嬉しそうな宇宙人ー
「やったあああああああああああああ!」
宇宙人の強すぎる感情につられて、絵麻の身体も叫んでしまうー
「--って、こらあああ!」
絵麻が叫ぶー
授業中に漫画で爆笑してしまったのと同じだー
宇宙人が絵麻の中で強い感情を抱くと、絵麻にも影響が出てしまうー
”ひ、すみません!
お迎えが、明後日来るらしいので、嬉しくて”
宇宙人の言葉に、
絵麻は「あんたは嬉しいでしょうね~わたしは、散々な目に遭ってますよ~だ!」
と、不貞腐れた様子で呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宇宙人が帰還する日がやってきたー
ちょうど、停学処分も今日まで。
「--あのさ」
絵麻が”目的地”に向かいながら呟くー。
”なんでしょうか?”
宇宙人が言うー
今の状況ー
少し力を込めると、恐ろしいバカ力が出てしまうー。
力を意図的に弱めて、優しく触るぐらいなら大丈夫だが、
それ以上の力を込めると、
あり得ない力が発揮されてしまうー。
「--わたしのこの、馬鹿力ってやつ?
あんたがわたしの身体から出て行ったら、元に戻るの?」
絵麻が言うと、
宇宙人は”えぇ、それはもちろんです。安心してください”と
答えたー
「本当に?」
”ほ、本当ですよ”
絵麻はそう言いながら、宇宙人のUFOがやってくる”回収地点”へと向かうー
「------」
偶然ー
”強すぎる力”を身に着けた絵麻に散々な目に遭わされていた不良の忠義が、
ひとりでブツブツ言いながら歩いている絵麻の姿を見つけるー
「くそっ…俺に恥をかかせやがって」
忠義は、そう呟くと、怒りの形相で歯ぎしりをしたー
自転車置き場に吹っ飛ばされたりー
ドッジボールで盛大に吹き飛ばされたりー
校舎の壁にめり込まされたりー
もう、これ以上、許してはおけない…。
・・・・・・・・・・・・・
絵麻はー
なるべく人目につかない場所ー
ということで、近くの、廃墟地帯の一角に向かっていたー
「年頃の女の子に、こんな場所に来させるなんて」
絵麻がブツブツと文句を言いながらも
”宇宙人に早く出て行ってほしい”と思いながらー
約束の場所へと到着したー
”すみません…でも、これで本当に最後ですので”
宇宙人が言うー
絵麻は”こんうんざりな生活から解放されるならー”と
思いながら空を見つめるー
「お迎えってどこにいるの?」
絵麻がそう呟くと、
宇宙人は答えたー
”船自体は地球には降りてきませんー
地球の周囲から、私を回収します”
とー。
UFOが地球に入ってくれば確実に補足されて
騒ぎになるー。
そのため、地球の周囲までやってきて、
特殊な光で宇宙人を解放するのだというー。
”ほら、来ましたよ”
宇宙人が言うー
空から、黄色っぽい光が、絵麻たちのいる場所に向かって
伸びて来るー
”回収用のライトのようなもの”と
宇宙人は説明したー
この程度であれば、地球でも
”謎の光”と騒ぎになるかもしれないが
それ以上にはならないだろう、と宇宙人は
考えたようだー。
「--へぇ、あんたも多少は考えてるのね」
絵麻が最後に少しだけ感心するー。
”--本当に、ありがとうございましたー
恩返しー…いつか、必ずしますので”
宇宙人がそう言うと、
「恩返しなんていいよ。
困ったときはお互い様」
と、絵麻は優しく微笑んだー
本当はー
”恩返ししに来られると、またこの宇宙人トラブル起こしそうだから
来ないでほしい”
と、思いながらー
「---この野郎ぉおおおおおおおおおおおおおお!」
廃墟に声が響き渡ったー
「--!!」
絵麻が振り返るー
不良の忠義だー。
忠義の手には、
拳銃のようなものが握られているー
「--へっ!?ちょっ!?」
絵麻がさすがに驚くー
「俺を馬鹿にしやがってぇぇ!!!」
忠義は、銃を絵麻に向けたー
”な~んてな、これはただの100円ショップで買った
おもちゃの銃だぜ!
ちょっとお前を脅かしてやる!”
忠義が銃を構えて、絵麻に近づいていくー
「動くなよ。
動いたらその頭に風穴をーーーーえ???」
忠義が、口をぽかんと開けて唖然としているー
「え?????」
唖然としていたのは、忠義だけじゃなくてー
絵麻もだったーー
”え…”
いやー、
宇宙人もー
黄色いライトに照らされた絵麻ー
その絵麻の身体が宙に浮いていくー
「---は????」
忠義は、口を開けたまま、
空高くに回収されていく絵麻を見つめるー
「---ふぇ????」
絵麻も口をぽかんと開けているー
”わわわ…すみません!仲間が勘違いして、絵麻さんごと回収を!”
宇宙人が叫ぶー
「ちょ、、、ちょっとぉぉおおおおおおおお!?!?!?!?」
叫び声を上げる絵麻ー
絵麻はそのまま、
空高くに消えていきーー
地球外周に待機していた宇宙船によって回収されてしまうー
それに気づかず、地球の遥か彼方にワープする宇宙船ー
・・・・・・・・・
「----…」
ひとり残された忠義がおもちゃの銃を落とすー
そして、びびりながら呟いたー
「あ、、あいつ…宇宙人だったのかよ…」
とー。
ものすごい誤解を抱きながら、
忠義は、あまりの驚きにしばらくその場を動くことができなかったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
宇宙に旅立ってしまいましたネ~笑
お読み下さりありがとうございました!!
コメント