ある日、路上で衝突して入れ替わってしまったふたりー。
ふたりは、協力しながら元に戻ることを約束するも、
相手が失踪してしまって…!?
--------------------—
「あ~~!もう!やばい!」
女子大生の福里 愛優(ふくざと あゆ)は、
慌てて走っていたー
”寝坊”したのだー
遅刻してしまうー
「あぁぁぁぁ…!」
”喋らなければ美人”なんて、言われてしまう彼女は、
容姿にはとても恵まれているのだが、
とにかく”ドジ”な部分が多いー
今日、寝坊したのは、
目覚まし時計代わりに使っているスマホが
寝ている間に電池切れを起こしてしまい、
鳴らなかったからだー。
前日、充電の残りが5パーセントになっていたことに
気付いていたのに、なんとなく後回しに
しているうちに、忘れてしまったー
「---うぅぅぅぅ~!わたしは遅刻しないーーー!」
愛優は、ダッシュで大学に向かうー
そんな中-
もう、一人、早歩きをしている男がいたー
サラリーマンの日比谷 晴彦(ひびや はるひこ)。
晴彦も、遅刻しそうになっていて、慌てていたー。
一人暮らしの彼は、
出勤前に急にお腹が痛くなって
トイレに籠っていたため、
遅刻しそうになっているのだー
慌てるふたりー。
そんなふたりがー
街角で、出くわしたー
お互いが、反対側から出てきてー
出会い頭にー
「あっ!」
「!!」
接触したー
「--いたたたたた」
「--ーいてててててて」
走っていた愛優と
早歩きをしていた晴彦は
思いっきり接触してしまいー
そして、吹き飛ばされ、尻餅をついていたー
「--大丈夫ですか?」
先に立ち上がった愛優が、晴彦に手を差し伸べるー
「----あ、はい…って?」
手を差し伸べられた晴彦が、
手を差し伸べている愛優の方を見るー
”わたし”が”わたし”に手を差し伸べているー?
晴彦はそう思ったー
そして、自分の手を見るー
色白な綺麗な手ではなくー
男らしさに溢れる手ー
「へ?」
晴彦が間抜けな声を出すー
手を差し伸べていた愛優も、ハッとして
驚いた表情を浮かべるー
「--ええええええええええええええ!?!?」
「-!!!!!!!!」
愛優と晴彦が、驚きの声を上げたー
そしてー
愛優が「ちょ!ちょっと、こっちへ!」と、
周囲の人の目に付かないほうに晴彦を連れ込むー
ふたりはー
ぶつかった衝撃で”入れ替わって”しまっていたー
「--こ、こんなことって」
弱弱しい様子の晴彦(愛優)が呟くー
「そ、、そう言われても…」
愛優(晴彦)が落ち着かない様子でそわそわしているー
”この子のスカート、短すぎ…”
晴彦はそう思ったー
愛優はおしゃれ好きで、
今日はとても短いスカートに
絶対領域を晒した格好をしていたー
「---ちょ!なんで赤くなってるんですか!?」
晴彦(愛優)が言うと、
愛優(晴彦)は「あぁ、いや!その…」と、戸惑いを見せたー
特別、下心満載な男ではないのだが、
こんな状況だと、ドキドキしてしまうー
視線を下すと、胸の膨らみが見えるのも
気になってしまうー
「--あ、、え、、えっとですね」
近くにあった鞄を持つと、そこから名刺を取り出した。
愛優(晴彦)は、
「ちょっと先に支社がある会社の日比谷晴彦と申しますー」と、
名刺を渡してくるー
「--え??あ、、はい」
晴彦(愛優)は戸惑いながら
「わたしは東王大学に通っている福里 愛優です」と
自己紹介をしたー。
気まずそうなふたり。
愛優(晴彦)は、そわそわしながら呟くー
「そ、そういえば、お急ぎでしたよね?」
とー。
「--あ、はい…遅刻しちゃいそうだったので」
晴彦(愛優)が言う。
遅刻しそうだったふたりー
だが、この入れ替わってしまった状態で、
大学や職場に行くのは難しいー
「--ど、、どうしましょうか」
愛優(晴彦)は戸惑った様子で言う。
晴彦(愛優)ももちろん戸惑っているー
「--な、、なんか、こういうお話って
そのままお互いのふりをして…
っていうの見たことあるような」
晴彦(愛優)がそう呟くー。
だがー
入れ替わったばかりの二人に、
お互いのふりをすることなんて、難しいー
なんとか、
早く元に戻らなくてはー
「そうだ!」
晴彦(愛優)が叫ぶ。
「--ふふふ、わたし、元に戻る方法、思いついちゃいました!」
ドヤ顔をしている晴彦(愛優)。
” JDモードの俺…気持ち悪いなぁ…”
と愛優になった晴彦は内心で思いながらも
「え?本当ですか?」と答えるー。
晴彦(愛優)は頷くと、
「--え~っと、日比谷さんでしたっけ? は、
そっち側からこっちに向かって走ってきてください」
と、説明したー
そして、晴彦(愛優)は、「わたしはこっちから走りますから!」と言う。
元に戻るためにはー
そうー
”もう一度、同じようにぶつかればいい”
と、愛優は考えたのだった。
「なるほど」
愛優(晴彦)は頷くー。
確かに、もう一度ぶつかれば元に戻れるかもしれない、
とー。
「よし、やってみましょう」
愛優(晴彦)が言うと、
二人は反対側からお互いの方に向かって
走り始めたー
「---!」
晴彦の身体でダッシュした愛優は思うー
”うわっはやっ!”
”なに、この、身体の内側からエネルギーが溢れて来るような感触は!”
男性の溢れるエネルギー、とでもいうべきだろうか。
それを感じて、愛優は、”すごい!”とただただ関心していたー
「--(ドキドキ)-」
女子大生の身体で走るー
愛優になった晴彦はドキドキしていたー
髪がふわふわするし、
なんか胸が気になるしー
スカートもふわふわしてー
こんなに短いスカートだと、
もはや何も身に着けてないような感覚になるー
そんな風に思いながらー
ふたりは”元に戻るため”
正面衝突したー
「--いったあああああ…」
「--うぅぅ…」
起き上がるふたりー
ふたりは、元に戻っていなかったー
「---」
唖然とする二人。
そのあとも、いろいろと入れ替われそうなことを試してみるー
手を繋いでみたり、
頭をぶつけてみたり、
身体を密着させてみたり、
元に戻って~!と願ってみたりー
キスはさすがにちょっと…ということで
それ以外の色々なことを試してみたー。
だが、二人が元に戻ることはなかった。
ため息をつくふたり。
「とりあえず…私は今日、会社を休むことにします」
愛優(晴彦)が呟いたー
さすがに入れ替わった身体で会社・大学に行くことはできない。
例えば晴彦が愛優の身体で会社に行って、
「俺は晴彦です!」なんて言っても、相手にしてもらえないだろうし、
晴彦の身体で愛優が、大学に行ったら、最悪こっちは変態扱いだろう。
とは言え、愛優が、晴彦のふりをして会社に行けば
大変なことになるだろうし、
晴彦が愛優の身体で女子大生をやろうとしたら
恐らく上手くできないだろう。
晴彦(愛優)も頷くー
「-わ、、わたしもそうします」
とー。
お互い、相手のフリをして、大学と職場にそれぞれ
連絡を入れるー
体調不良の連絡だけなら
なんとかなったー
無事に、愛優は大学を
晴彦は会社を休むことに成功し、
ひとまず安堵するー
明日は土曜日ー
そして、その次は日曜日ー
とりあえず、連休中になんとかすれば、
被害は最小限で済むはずだー。
「--って、これ、どうすればいいんですか~?」
晴彦(愛優)があたふたしながら
騒ぎ始めるー。
「え?」
愛優(晴彦)が晴彦(愛優)の方を見ると、
晴彦の身体が、ズボンがパンパンになってしまうぐらいに
勃起していたー
「…うわっ、ずいぶん大きく…
それじゃ、俺、変態扱いだなぁ…」
愛優(晴彦)が小声でつぶやくー
と、いうか、この状況はやばいー
他人から見たら
”女子大生を前に勃起してるおっさん”状態だー
「え、っと、なんて言えばいいのかな…」
愛優(晴彦)は戸惑うー
勃起を抑える方法ー?
そんなもの、言語化した経験はない。
「--と、、とにかく気合で!」
愛優(晴彦)の言葉に、
「え~~~!?なんですかそれ~~!?」
と、晴彦(愛優)は戸惑うー
「えいっ!この!静まって!」
晴彦(愛優)は、そう言いながら勃起したそれを、ぺしっ!と叩くー
「うぎいいいいいいいいいいいい!!!」
あまりの痛さに苦しみだす晴彦(愛優)
「--はは…叩くと痛いですよ」
愛優(晴彦)は苦笑いしながら
”痛いだろうなぁ…”と呟くー
「--ーーー」
苦しむ晴彦(愛優)を見つめながら
愛優(晴彦)は”そう言えば、どうしても送らないといけないメールがあるんだった”と
仕事のことを心配するー
それにー
なんだかさっきからドキドキが止まらないー
女子の身体でドキドキしているなんて思うと、
余計にドキドキしてきてしまうし、
なんだか、胸の感じも変だー
男では感じることのできない感覚を今、
自分は感じているー
そわそわしながら、愛優(晴彦)は口を開いたー。
「---あ、、あの…一度家に戻って
やらないといけないことが」
気まずそうに愛優(晴彦)が言うと、
晴彦(愛優)も「…って言っても、どうすれば?」と戸惑った様子で呟く。
このまま一緒にいても、
どうにもならないー
けれどー
入れ替わったまま家に帰ることなんてー
「--あ…、福里さんって、あ、、こ、こんなこと
聞くのもアレですけど、実家暮らしですか?それとも…?」
愛優(晴彦)は尋ねる。
「---あ、、、」
女子大生が、知らない男に一人暮らしかどうか教えるのは
抵抗があるー。
晴彦(愛優)は、勃起したそれを何とか抑えようとしながら
戸惑っていると、愛優(晴彦)もそれを察したのか、
「あ、いやならいいんですけど、このあとどうするか、
それによって変わってくるかなって、思いまして」
晴彦の方が年上だが、初対面のため、
愛優になった晴彦も、敬語で話を続けているー。
「---あ~~~」
晴彦(愛優)が呟く。
確かに、晴彦の言うことにも一理はある。
たぶん、愛優が実家暮らしなら、このままお互いの家に帰るのは
まずい、ということだろうし、
逆に一人暮らしなら、入れ替わったままお互いの家に帰っても、
家では一人なわけだから、ある程度なんとかなる、と、そういうことなのだろう。
「ひとりです」
晴彦(愛優)は考えた末に呟いた。
悪い人じゃなさそうだし、そのぐらいは教えても大丈夫だろう。
「-----」
愛優(晴彦)が考えるー
「-とりあえず、一旦、お互い家に帰って
いろいろ考えませんか?
寝れば治ってるかもしれませんし…
ここでいつまでも一緒にいても
元に戻りそうにありませんし…」
愛優(晴彦)が理知的な様子で言うー
いつもそそっかしい愛優は、そんな自分の姿を
見ることに違和感を感じながら
「そうですね」と呟いたー
連絡先を交換するふたりー。
愛優(晴彦)は住所も教えてくれたー
晴彦になった愛優は”住所を教えること”には
抵抗があって、戸惑っていると、
愛優(晴彦)は呟いたー
「--あ、そうですよね。住所は大丈夫ですよ。
連絡さえ取れれば」
と、笑いながらー。
お互い、連絡を取り合いながら、
なんとか元に戻る方法を探るー
晴彦は、愛優の身体のまま、晴彦の家へー。
愛優は、晴彦の身体のまま、愛優の家へー。
自宅で元に戻る方法を、連絡を取り合いつつ探すー
ちょうど二人とも明日から休みなので、
今日(金曜日)と、土曜日、日曜日の3日間猶予があるー
その間に元に戻れればー
「--あ、わたしの身体で…その変なコトはしないでくださいね」
晴彦(愛優)が言うと、
愛優(晴彦)は、「それは、俺からもお願いします」と苦笑いしたー
「あ、、え?あ、、はい」
晴彦(愛優)が戸惑いながら言うと、
「何かあったら、すぐに連絡を。俺からもすぐ連絡しますから」と、
愛優(晴彦)は呟き、
さらに「--元に戻るために一緒に頑張りましょう」
と、笑ったー
別れるふたりー
だがー
翌日ーーー
「----えっ…!?」
晴彦(愛優)は戸惑ったー
連絡がつかないー?
「--え…!?!?!?」
愛優になった晴彦はー
翌日”失踪”したー
連絡もつかずーー
教えてもらった住所に足を運ぶとー
愛優(晴彦)は留守だったーー
唖然とする晴彦(愛優)は呟くー
「わたしの身体は…どこ?」
とー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
入れ替わった相手が失踪してしまうお話デス~!
今日は失踪のところまで…!
失踪に至るまでの部分は、②で少し描きます~☆
今日もありがとうございました~!
コメント