<入れ替わり>わたしの身体はどこ?②~愛優の悩み~

”わたしの身体が消えた”

一体どこにー?

彼女は戸惑いつつも、
入れ替わったあとに”消えた相手”を探し始めるー

---------------–

晴彦(愛優)はスマホの画面を確認する。

「え!?!?え!?!?!?ちょっと!?」
LINEの既読もつかないー。

昨日、愛優は、晴彦という男と街中で
ぶつかってしまって、入れ替わってしまったー

相手は協力的な男性で、
その場で愛優の身体を楽しんだりするようなそぶりは
見せず、一緒に元に戻るための方法を考えてくれた。

けれども、結局そんなものは見つからず、
愛優と晴彦は、お互いの姿のまま、自分の家に帰宅することにしたー

しかしー
翌日ー土曜日になった今日ー
愛優になった晴彦との連絡が途絶えたー。

「--どうして…?」
昨日までは、LINEで細かい話し合いをしていたふたり。
だが、翌日になった今日ー
晴彦は何の返事もしてくれなくなった。

「ちょ!ちょ!ちょ!」
自分よりもはるかにごつい手で、
操作をミスりながらも、なんとかメッセージを送る晴彦(愛優)

「手が男の人のものだってだけで、入力しにくい!」
女子大生の愛優は、20年もの間、”自分の手”を使ってきたのだ。
急に他人の手になるだけで、あらゆることの感覚が変わるー

「--寝てるだけ…?」
晴彦(愛優)は呟くー。

身体は晴彦なのに、
晴彦の家に入ることもできないー

戸惑っていると、近所のおばさんが出てきて、
「あ~!日比谷さん!おはようございます」と、笑みを浮かべたー

当然、身体は日比谷 晴彦だが、晴彦の記憶はない。
このおばさんも誰だか分からないが、
とりあえず、「おはようございます」と返事をする。

「-それにしてもやるじゃない」
おばさんが笑う。

「え?」
晴彦(愛優)が首をかしげると、
「今朝、すっごい可愛い彼女さん、見かけたわよ」とおばさんが言う。

「-え」
晴彦(愛優)は、
一瞬戸惑ったが
”愛優になった晴彦”だと悟る。

確かに、中身は晴彦とは言え、
晴彦の部屋から愛優の姿をした晴彦が出てくれば
”彼女”と勘違いされても仕方がないかもしれない。

「--え?お出かけしたんですか?」
晴彦(愛優)が言うと、
「そうねぇ、朝早かったけど、どこかに出かけて行ったわよ」と
おばさんは答えたー

”起きてる…
 なのになんで返事をくれないの?”

焦る晴彦(愛優)-

LINEのメッセージを送るー
だが、返事はないー

おばさんに別れを告げて、
晴彦(愛優)は、
自分の家に戻りながら
何度も何度も愛優(晴彦)に連絡を入れるー

「もぉぉぉぉぉぉぉぉ」
晴彦(愛優)は頭を抱えるー

どうして、返事をしてくれないのかー

電話に出られない状況なのだろうかー

”それともー”

嫌な予感が頭をよぎるー。

だが、昨日ー。
晴彦(愛優)は昨日のことを思い出す。

入れ替わってしまったあと、
元に戻る方法が分からないため、お互いの家にとりあえず
そのままの姿で帰宅したー

帰宅した晴彦(愛優)は、
男の身体に戸惑いながらも、
LINEで、愛優になった晴彦と連絡を取り合いながら
今後について話し合った。

”ネットでいろいろ調べてみましたけど”

晴彦からのLINE-。

晴彦になった愛優も、ネットで調べてみたー

だが、
出て来るのは映画、漫画、ドラマ、アニメー
そしてTSFの小説ー
そんなものばかりだった。

”実際に入れ替わったらどうすればいいのか”
なんてことが書いてあるサイトは、なかった。

”やっぱ、こんなことってないですもんね”
晴彦がLINEでそう送って来るー

”そうですね…”
晴彦(愛優)は、晴彦の手でスマホをいじるの、
なんだか違和感があってやりにくい…と苦笑いする。

”そういえば…トイレなんですけど…”
愛優(晴彦)からのLINEに、そう書かれていて、
晴彦(愛優)ははっとするー

確かに、愛優もそろそろトイレに行きたい気分だったー

”行ってもいいですか?”
申し訳なさそうにメッセージを送って来る晴彦ー

「---あ…」
晴彦(愛優)は考え込むー

晴彦にアソコとか、いろいろなところ見られちゃう…?
恥ずかしい…
え~!どうしよう!!

戸惑う晴彦(愛優)ー

「はっ!」
気付けば顔を真っ赤にしてもじもじしている
晴彦の姿が鏡に映っていたー

”似合わない~”と、思いながら、
愛優は冷静に考えるー

”トイレは行かないでください”
って言ったらー?

愛優になった晴彦は真面目そうだし、従うかもしれないー

でも、ずっと我慢するなんて無理ー

つまり、晴彦は漏らすしかない。
愛優の身体でー。

”え、、、えっと…仕方ないので、いいです”

そう返事を送る晴彦(愛優)

そんなやり取りをし終えると、
愛優も晴彦の身体でトイレに行くー

男性は立ってすると聞いたが、
愛優からしてみると違和感がありまくりで
ちょっとできなかったので、
座ってすることにしたー

「はぁ…なんか、、変な感じ」
晴彦(愛優)は戸惑いながらも、なんとかトイレを終わらせるー。

とりあえず、ずっと座ってするしかー

「---!」
そんな風に思っていると、今度はお風呂が目に入ったー

「---」
ドキドキドキドキドキドキ

晴彦の身体がドキドキしてしまうー

自分が、男の裸を見るー?

いやー
それ以上にーー

晴彦が、わたしの身体を見るー?

「ええええええええ 無理!」
晴彦(愛優)は顔を真っ赤にしながら叫ぶー

「むりむりむりむりむりむり!」
慌ててLINEを送って
”お風呂は勘弁してください”と送るー

すぐに愛優(晴彦)から返事があってー
”あ、、え??あ、、はい…じゃあ…入らないです”
と、言ってきたー

「ふ~~~」
晴彦(愛優)がため息をついていると

”あ、福里さんは別に入ってもいいですよ”と、
メッセージが送られてきたー

”入らないと、臭くなりますし”と、
苦笑いするような顔文字つきでー。

「---たしかに…」
晴彦(愛優)は呟くー

身体を見られるのは、いろいろ葛藤はあるけれど…
でもーー
確かにお風呂に入らないと
それはそれで色々ー

晴彦のことを思い出して、愛優はようやく決心したー

”日比谷さんも、お風呂どうぞ。
 でも、わたしの身体はあんまり見ないでくださいね”

そうLINEを送ると”もちろんです”と返事が来たー

そうこうしているうちに、夜になりー
疲れ果てた晴彦(愛優)は、ベットの上で
LINEを送るー

”今日は疲れました…
 寝て、起きたら元に戻ってるといいですね

 おやすみなさい”

とー。

晴彦からも”おやすみなさい”と返事が来てーー

・・・・・・

「---」
昨日のことを思い出し終えた晴彦(愛優)は戸惑うー。

「---なんで??」
昨日はあんなに返事をくれていたのに、
どうして、返事をくれないのかー。

「まさかー!」
晴彦(愛優)は表情を歪めるー

そんなことはないと信じたいけど、
実はあの人、変態でー…!

「---」

愛優は変な想像をしてしまうー

笑いながら胸を揉みまくっている自分の姿ー
AVのような恰好をして、あんあん声を出している自分の姿ー
知らないおじさんと抱き合ってエッチしてる自分の姿ー

「--い、、いやいやいや!無理無理無理!」
叫ぶ晴彦(愛優)

そんなことに体を使われてたら死ぬー
ほんとむり!

そんな風に思いながら、
「あ~~~!もう!寝なさい!」と、
晴彦の勃起したあれに向かって叫ぶー

晴彦の身体で、
入れ替わった愛優のエッチな姿を想像したため、
身体が反応してしまったのだったー。

「-ーーと、とにかく!」
晴彦(愛優)は顔を赤くしながら
スマホを手に取り、
”連絡できるようになったら連絡下さい!
 不安です!”と、
正直な気持ちを送り付けたー

ふと鏡を見る晴彦(愛優)-

鏡に映る晴彦は、髭が濃くなっていたー

「あ…毎日剃らないといけないんだったっけ」

面倒臭いなぁ、と思いながら
髭剃りなんてないよぉ、うちには と
苦笑いするー

ようやく剃刀で適当に処理した晴彦(愛優)は
スマホを確認してはため息をついたー

晴彦から、返事がないー

一体、どうして?
愛優の身体でおたのしみ中なのだろうかー

そんなことする人だとは、信じたくないー

でも、”早朝に出かけて行った”
なんてー
一体…!?

「とにかく」
晴彦(愛優)は呟くー

やれることは、全部やらなくてはいけないー。

晴彦からの返事を待っている間も、行動しないとー。

晴彦(愛優)は、愛優のスマホを手に、
友達に連絡するー。

内容は、何気ない雑談ー。

もしー
もしも、友達の誰かが、”愛優の姿をした晴彦”を
見かけていれば、
何か会話の中で言ってくるだろう。

いきなりー
”わたしのこと見かけなかった?”なんて
連絡するのはおかしいー。

だから、何気ない雑談をしながら、
友達から情報を探ろうとしたー

LINEのやり取りならー
姿を見せる必要もないし、
声を聞かせる必要もない。

「---はぁ~」

しかしー
”良い情報”は得られなかった。

友達の反応は、あくまでも”普通”だ。
愛優の姿をしている晴彦を見かけた様子はない。

晴彦からも返事は来ないままー

「本当、どうすればいいの??」
座りながらトイレを済ませてー
アレを拭くー。

少し下着が濡れてしまうー

「--う~ん、よくわかんない…」
男の人のし終ったあと、どうすれば良いのかが
イマイチよく分からないー

振っているのを、ドラマとかで見たことが
ある気がするが、やり方がよく分からない。
どのぐらいやればいいのかもわからないー

「あ~~~むり」
女子っぽい仕草をしながらお菓子を食べる晴彦(愛優)

「--んんっ…」
大好きなチョコレートが、気持ち悪い味に感じるー

「あぁ…味覚も違うの!?」
晴彦(愛優)がチョコレートの箱を見つめながら呟くー

身体がこの人のってことはー
味覚もこの人のってことー?

ネットで、”入れ替わり 元に戻る方法”と調べたりー
晴彦からの連絡を待ったりー
友達と雑談したりー

とにかく、いろいろなことをしたー

しかしー
晴彦からの連絡はないままー
夜になったーーー

「ううううううう!わたしの身体~~~!」
じたばたする晴彦(愛優)

流石に苛立ってくるー

どうして晴彦は、返事をくれないのだろうか。
昨日の振る舞いから、晴彦という男は
悪い男じゃない気がする。

名刺も渡してきたし、
こっちが住所を教えるのをためらっていても、
あっちは住所を教えてくれたー

今日の午前中、晴彦の家を訪ねた限り、
住所も、偽物ではないー

「---持ち逃げ!?」
晴彦(愛優)が、がばっ!と立ち上がるー

「---わたしの身体、持ち逃げされたなんてこと、ないよね…?」

不安になるー

そうなったら、自分は晴彦という男として
生きていくことになってしまうー

「そんなのやだぁぁぁぁぁあ!」
じたばたする晴彦(愛優)-

別に晴彦は、ごく普通の容姿なのだがー
そういう問題ではないー
晴彦として生きることはー
愛優としての人生は終わることを意味している。

だから…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつの間にか、寝ていたー

朝になるー

日曜日ー

「も~…明日、大学だよぉ」
晴彦(愛優)はそう呟きながら、
スマホを手にするー

そしてー

「------------!!!」

愛優は、信じられないものを目にした。

③へ続く

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入れ替わった相手がいなくなってしまいました…!

果たして…!?
続きは明日デス~!

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