”入れ替わった相手が消えてしまった…”
わたしの身体はどこ!?
”真相解明後”の後日談…!
※わたしの身体はどこ?の後日談デス!
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女子大生の福里 愛優は、
ある日、サラリーマンの日比谷 晴彦と
路上で追突してしまい、
身体が入れ替わってしまったー
幸い、入れ替わってしまった相手・晴彦は
悪人ではなく、優しい感じの比較的若めの男性で、
”お互いに協力して、元に戻る方法を探す”
ことを約束したー
しかし、その翌日、晴彦からの連絡が途絶えてしまい
晴彦になった愛優は混乱ー
途方に暮れていた中ー
晴彦(愛優)は信じられないものを目にした-
それはー
”女子大生の遺体発見”
身元は、近所の大学に通うー
福里 愛優さん と判明ー
と、いうニュース…
「え……」
晴彦(愛優)は戸惑うー
「え…」
全身の震えが止まらないー
当たり前だー。
福里 愛優の遺体が発見されたー
つまりはー
愛優になった晴彦が死んだということー
そしてー
もうー”元には戻れない”
と、いうことー
「うそ…」
晴彦(愛優)は、そのまま、へなへなと座り込んだ…
「うそ…うそ…」
目から涙がこぼれて来るー
なんで??
どうして???
もう、元には戻れないー?
なんでーーー???
「---……うぅぅぅぅぅ…」
愛優になった晴彦の身に何が起きたのかは分からないー
でもー
一つだけ分かることはー
”愛優の身体は死んでしまった”ということだー。
「---」
晴彦(愛優)はその日から、
廃人のようになってしまったー
晴彦の暮らすアパートで、
呆然と座り込んだままー
何もせずに、1日を終えるー
月曜日ー
火曜日ー
水曜日ー
晴彦が無断欠勤を続けていることで
会社からも連絡が来るー
木曜日ー
金曜日ー
やがて、会社からも連絡が来なくなり、
見切りをつけられてしまったのだろうかー。
「--なんで…なんで…」
晴彦(愛優)は髭面になってー
お風呂にも入らず、呆然としていたー
食事も、喉を通らないー。
晴彦の身体がいやー、
というわけではない。
でも、
これが自分の身体になるなら、話は別ー
もう、自分の身体に戻ることができないというのなら、
話は、別ー。
愛優としての
家族もー
友達もー
全てーーー
♪~~
インターホンが鳴る
「---?」
晴彦(愛優)がぼさぼさの髪を掻きむしりながら、
ため息をついて、「はい」と来客に返事をすると
部屋の前には警察官が立っていたー
「---あ…?」
晴彦(愛優)が首をかしげるー
晴彦の髪がぼさぼさで髭を生やしー
お風呂に入っていない姿を見て、
警察官は表情を歪めたー
「先日の女子大生 福里 愛優さんの
死亡事故についてお聞きしたいことがあるのですが、
ご存じでしょうか?」
警察官が言う。
晴彦(愛優)は生気のない表情で「はい…」と呟いたー。
ご存じで当たり前だー
福里愛優は、わたしなのだからー
身体は、日比谷 晴彦だったとしてもー
わたしは愛優だからー
「現場にー」
警察官が写真を出すー
「福里愛優さんが、死亡した当時、
”あなたのスマホ”を持っていたのですがー
何かご存じでしょうか」
警察官が写真を見せながら言うー
「---!!」
晴彦(愛優)は表情を歪めたー
入れ替わったときにー
”お互いのスマホ”を持ち帰っているー
晴彦になった愛優は、”愛優のスマホ”をー
愛優になった晴彦は、”晴彦のスマホ”をー
それぞれ持ち帰ったー
入れ替わった愛優と晴彦からすれば
”普通”のことだがー
周囲から見れば
晴彦が女子大生のスマホを持っていて
愛優が、男性サラリーマンのスマホを持っているー
つまり、他人のスマホを持っているようにしか、見えないー
「あ…いえ、、、そ、、それは…」
晴彦(愛優)は、狼狽えるー
下手をすれば、
自分が自分を殺した容疑者になってしまうー
警察官がここに来たということは、
愛優(身体)の死に関して、晴彦を疑っていることになるー
確かに、死んだ女子大生が晴彦のスマホを持っていたーとなれば、
警察が晴彦を疑うのも、無理はないー
言い訳しようとしたー
でもー
晴彦(愛優)は目から涙が止まらなくなってしまったー
「--わたしが…わたしが…その、福里愛優なんです…」
泣きながらそう呟く晴彦(愛優)
髪がぼさぼさで
髭まみれの男が玄関先で急に泣き出して
死亡した女子大生は自分だと主張するー
警察官は”頭のおかしなやつ”と判断して、
「署までご同行願えますか?」と口にしたー
・・・・・・・・・・・・・・
取り調べを受ける晴彦(愛優)-
愛優の身体のまま死んだ晴彦ー。
その死に関わっているのではないかと
警察は考えていたー
「---だから…入れ替わっちゃったんです!
本当なんです!」
晴彦(愛優)が叫ぶー。
「入れ替わり…ねぇ。」
取り調べを担当している刑事がため息をつくー。
入れ替わりなど、信じてもらえるわけがないー
しかも、最悪なことに
入れ替わった相手の晴彦は既に死んでしまっているー
これではーー
どうすることもー
晴彦(愛優)は表情を曇らせたー
”絶望”しかないー
自分の身体を失いー
しかも、自分の身体を殺したと疑われてしまっているー
「-----……もう…いや…」
そう呟いて、晴彦(愛優)はふさぎ込んでしまったー
・・・・・・・・・・・・
結局ー
証言は怪しいものの”証拠不十分”として
晴彦(愛優)は解放されたー
解放されても、
愛優の心は不貞腐れたままー
持ち前の元気は、すっかり失われてしまったー
「はぁぁぁ」
部屋でため息をつく晴彦(愛優)-
何もやる気が起きないー
髪はさらにぼさぼさになり
髭だらけの顔になった晴彦(愛優)は、
所持金もつきかけていたー
やがてー
電気やガスが止まりー
晴彦の家から、晴彦(愛優)は
家賃滞納で追い出されたー
「---……」
涙をこぼす晴彦(愛優)
なんで、自分が、こんな目にー
「---愛優がいたらなぁ~」
ふと、声が聞こえたー
「--!」
愛優と同じ大学だった3人組が、雑談しながら
大学から帰っている最中だったー
「--愛優…何の事件に巻き込まれちゃったんだろうね…?
犯人も見つかってないみたいだし」
「--せっかく、愛優の好きなアレも届いたのに、
愛優がいなくなっちゃうなんて」
愛優の”元”友達がー
そう話しながら、歩いていくー
”みんな”と、叫ぼうとしてー
晴彦(愛優)は、足を止めるー
叫んだところでー
届きやしないー
わたしは、愛優なのにー
この世界から、愛優は死んでいるー。
「----…うぅ」
晴彦(愛優)はいつしか、そのまま
川辺にやってきていたー
なんとなく橋の下の方が、雨風をしのげると、
そう、思ったからだー
”もう、このまま眠ってしまいたい”
晴彦(愛優)はそんな風にも思ったー
それからー
しばらくの間ー
晴彦(愛優)は、橋の下で過ごしたー
どうして、こんなことにー?
入れ替わってしまってー
一緒に元に戻る約束をしてー
別れたはずなのにー
愛優になった晴彦は遺体として発見されたー
もう、愛優に戻ることはできないー
そしてー
”同じ事情を知る”人間もいないー。
晴彦が死んでしまった今ー。
入れ替わりのことを知る人間は、
晴彦になった愛優本人しかいないー
”誰にも、信じてもらえるはずがないー”
この先に、待つのは、絶望ー
「---晴彦!?」
ふと、声がしたー
晴彦(愛優)が顔を上げるー
ボロボロになった状態のままー
「--!」
その顔を見て、晴彦(愛優)に声をかけた男は困惑したー
「---おいおい、酷い有様だな…?
とにかく、俺の家に来いよ」
晴彦の中身が愛優だと知らずにー
声をかけた男ー
晴彦の悪友・磯野ー。
磯野は晴彦(愛優)に手を差し伸べると、
そのまま晴彦(愛優)を自宅に連れ込んだー
「---っくせぇなぁ…まず、シャワー浴びてこいよ。
ゆっくりしてきていいから」
磯野の言葉に、晴彦(愛優)は「ありがとう…」と返事をする。
相手は晴彦の友人だろうかー。
でも、今の晴彦の中身は愛優ー
そして、愛優には晴彦の記憶がないー
だから、この人も誰だかわからないー
表札に「磯野」と書いてあったことから、
苗字だけは分かったが、
それ以上のことは、分からないー
シャワーを浴びながらー
身体を流すー
鏡に映るのはー
愛優の姿ではなくー
晴彦の姿ー
「もう…いや…
わたしの身体…返してよ」
晴彦(愛優)は泣きながら
鏡に映る人物に対してそう呟いたー
鏡に映る晴彦に対してー
けれどもー
本当の晴彦は、もういないー
愛優の身体のまま、死んでしまったからー
”返してよ”という問いに
返事は帰って来ないー。
もう、晴彦はいないからー
シャワーから上がり、
磯野から髭剃りを借りて、
慣れない手つきで、髭剃りをするー
上手くいかずに少し髭のあったあたりを
赤くしながら部屋に戻ると、
磯野は「お疲れさん」とだけ言って
考える仕草をしたー
何か、気まずそうにしているー
「---残念だったなー…
彼女さんのこと」
磯野がふいに口にしたー
「え?」
晴彦(愛優)が首をかしげるー
磯野はーー
中身が晴彦の愛優を殺した張本人だー。
愛優になった晴彦が
”彼女ナシ”と磯野にからかわれていたことで、
腹を立てて、
入れ替わっている自分の身体ー
愛優を彼女だと言い放ち、
愛優の身体のまま晴彦は、磯野と会ったのだったー。
だが、磯野は愛優の身体の晴彦を見て
愛優を自分のものにしたいという欲望を
押さえられなくなり、愛優に襲い掛かったところ、
愛優が頭を打ち付けてしまいー
愛優はそのまま死んでしまったー
中身の晴彦もろともー。
しかし、すぐに磯野は現場から逃走し、
目撃者もいなかったことからー
磯野は、容疑者としてすら
疑われていなかったのだー。
「--あ、いや…」
磯野が気まずそうな表情を浮かべるー
磯野が気まずそうにしているのは、
”晴彦の彼女・愛優を殺してしまった”からだー。
中身が晴彦とは知らないし、
今、目の前にいる晴彦の中身が愛優だとも知らないー
「--え、、えっと、彼女?」
晴彦(愛優)が尋ねるー
晴彦と磯野の関係を愛優は知らないー
そもそも、晴彦のことを何も知らないまま、
晴彦は愛優の身体で、そのまま死んでしまったー。
当然、磯野がその犯人だとも、愛優は知らないー
「---え?ほら……この前、会わせてくれたー」
磯野が言うー
「--???」
晴彦(愛優)が首をかしげるー。
話がかみ合っていないー
入れ替わりのことを知らない磯野と、
入れ替わった晴彦(愛優)の話は、すれ違ったままー
当たり前だー
磯野は、目の前にいるのが晴彦本人だと思っているし、
晴彦の嘘により、晴彦の彼女は愛優だと思っていて、
しかも、その愛優を自分が殺してしまったと思っているー
一方、晴彦になった愛優は、何もしらないー
晴彦が、見栄を張って、愛優のことを”彼女”と磯野に紹介して、
愛優の身体のまま磯野に会いに行った挙句、
殺されてしまったことなど、何も知らないー
「-----」
磯野が戸惑うー
だが、愛優を殺してしまった後ろめたさから、
それ以上は何も言わなかったー
「ま、、ほ、ほら、あれだよ。
気持ちの整理がつくまで、俺の家にいていいからさ」
磯野が言うー
磯野は晴彦(愛優)が、
”彼女を失ったショックで絶望している”と
勘違いしているー
晴彦(愛優)がショックを受けているのはー
”自分の身体を失ってしまったこと”によるものだー。
お互いが、相手のことを勘違いしたままー
晴彦になった愛優はー
”自分の身体になった晴彦”を殺した磯野と
共同生活をすることになってしまったー
”未来編”に続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
「わたしの身体はどこ?」の後日談デス~!
次回の「未来編」で完結になります!
毎週火曜日だけは、私がリアルタイムで書けない日
(他の曜日は、更新直前に書いています)なのと、
更新スケジュールの都合上で、続きは来週の火曜日に
なってしまいますが、お待ちください!
今日もありがとうございました!
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