<入れ替わり>家庭内シャッフル外伝~夢の人生~

とある家庭内で起きた入れ替わり…。
その家庭では、
父、母、長男、長女が
それぞれ入れ替わってしまった。

そんな家庭のその後を描いた物語…

※「家庭内シャッフル」の後日談デス!(カテゴリから過去作品は見れますー)
※リクエスト作品デス

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塩野家ー。
ごく普通に暮らしていた4人家族はー
ある日、突然入れ替わってしまったー

塩野 吉郎(しおの きちろう)。
塩野 香奈枝(しおの かなえ)
塩野 誠(しおの まこと)
塩野 愛香(しおの あいか)

何者かの陰謀による小包を開けた直後、
激しい光に包まれて、
4人は入れ替わってしまったのだった。

父・吉郎は、妻・香奈枝の身体に。
母・香奈枝は、長男・誠の身体に。
長男・誠は、長女・愛香の身体に。
そして長女・愛香は、父・吉郎の身体に、
それぞれ入れ替わったのだ。

吉郎になってしまった長女・愛香は、
あまり入れ替わりのことを
真剣に考えていない他の3人をよそに、
必死に元に戻る方法を探していたー

だがー
それは、できなかったー。

塩野家に謎の球体のようなものが
放たれてーーー

父・長男・長女の三人はー
入れ替わった先の人間の
記憶に飲み込まれてしまったー

吉郎(愛香)は自分のことを吉郎だと思い込み
自分が愛香であったことも忘れてしまったー^。

香奈枝(吉郎)も、
愛香(誠)もそうだー。
自分がもともと誰であったのかも忘れて
ある意味平穏な日常を取り戻していたー

そしてー
家庭内のシャッフルを仕組んだのはーーー

「ーーーーこうして、先輩と一緒に過ごせるなんて~」

マンションの一室で笑みを浮かべる
後輩女性の福里 百合子(ふくざと ゆりこ)

そしてー
一緒にいるのは、塩野家の長男・誠だったー。

誠の中身は、塩野家の母親・香奈枝だ。

「---ふふふ、わたしもうれしい」
誠(香奈枝)は笑みを浮かべながら
そう呟いたー

若い男子の身体ー
自分の息子の身体を奪った香奈枝。

その目的はー
自分に告白してきた後輩女性・百合子と
付き合うことだー

1年前にー
香奈枝は、後輩女性の百合子に告白された。

香奈枝は、最初はそれを断った。
しかし、百合子は香奈枝に猛烈なアプローチを仕掛けてきて
香奈枝も次第に百合子を好きになっていった。
性別は同じだけれどもー
香奈枝と百合子にそんなことは関係なかった。

家族に内緒で、百合子と関係を持った香奈枝は、
ある日、百合子に言われたー

”わたし、先輩の子供を産みたいです”

ーーと。

当然、女同士で子供をつくることはできない。
香奈枝は優しくそう告げたー

だがーー

”先輩…わたしたちの子供を産むために男になってくれませんか?”

後輩・百合子は、そのための手段を持っていたー

百合子と香奈枝が仕組んだことがー
家庭内のシャッフルだったー。

「も~、先輩が息子さんの身体がいいって言うから、
 すぐには結婚できないじゃないですかぁ~」
百合子がお茶を飲みながら言う。

母・香奈枝が奪った長男・誠は、
まだ高校2年生ー。

法律上結婚はできないし、
安易に小作りして騒がれてもまずい。

「--あと1年、待ってくれれば、
 小作りできるわ…ふふ」

誠(香奈枝)が
女言葉で言うと、
百合子が反応した。

「あ!先輩はもう男なんですからね!」

「--え、あ、、あぁ、ごめんごめん」
誠(香奈枝)が言うと、
百合子は「ふふふ、先輩は男なんですからね」
とほほ笑んだー。

一緒に暮らし始めてから3日ー
百合子は、誠(香奈枝)に男の子としての
仕草を徹底的に要求してきたー。

「---ほら!男の子はそんなことしませんよ~!」
百合子が言う。

「え、、あ、、あぁ、ごめんね、、じゃない…ごめんな」
誠(香奈枝)は戸惑うー。

香奈枝の思惑とは”少し”違う展開になっていたー
香奈枝は、若い男子の身体を手に入れて、
百合子と一緒に暮らすつもりだった。

だがー、
百合子は少し違う考えだった。

誠になった香奈枝に、男子として
誠として振舞うよう、そう強要してくるのだー。

「--男になりきらないとダメなの?」
誠(香奈枝)がそう言うと、
百合子は答えたー。

「男性になった先輩の子供を産みたいんです。
 だから、先輩には誠になりきってもらわないと」

百合子が笑うー。

香奈枝は、百合的なー
女同士の恋として、百合子と付き合ってきたー
百合子も同じ思いだと思っていた。
誠の身体と入れ替わって、誠として百合子と
付き合うのも、あくまでも”子供をつくるための手段”で
あると、そう考えてきた。

けれどー
百合子は”男になった先輩”と付き合いたいのかもしれないー

わずかなすれ違いが、そこにはあったー

・・・・・・・・・・・

翌日ー

誠(香奈枝)は高校に向かうー
百合子のマンションからー。

塩野家の3人は、
長男である誠(香奈枝)が、百合子の家にいることを
何も気にしていないー

”そういうものだと”
刻まれているー

だから、その点は何も問題はないー

「--誠さ~、最近、なんか変じゃね?」
友達の一人が言う。

「え、へ、変って…?」

「あぁ、いや、時々なんか急に女っぽくなるっていうかさ、
 な~んか違和感があるんだよな」
友達の言葉に、
誠(香奈枝)は
「そ、そんなことないよ…」
と、呟いた。

友達は「ほら!そういう仕草だよ!何かあったのか?」と
笑いながら言う

「な、なんにも、ない、、、ぜ」

男として意識するのは疲れるー。
誠(香奈枝)はそう思い始めていた。

最初は楽しかったー
若い身体を手に入れて、
百合子と同居してーー

けどー
香奈枝の理想とは、ちょっと違った。

思った以上に男子として振舞うことに疲れてしまう。

たった、たった1週間しか経過していたのにー
母・香奈枝はホームシックのような、
そんな不思議な感覚を味わっていたー

塩野家の家の前を通る。

香奈枝になった吉郎が、
ご近所の人と楽しそうに話しているー

香奈枝(吉郎)は、
もう自分が吉郎であったことを覚えていないー
完全な、香奈枝になっているのだ。

「----……」

誠(香奈枝)はその光景を見ながら思うー

香奈枝として生きてきた36年間がー
全てぽっかりと無くなってしまったようなー
まるで、自分が奪われたかのような、
そんな”虚無”の感情に襲われるー

「---ふふ…」
誠(香奈枝)は笑った。

まだ”新生活”に慣れていないだけだー。
そうに決まっている。

これから、
これから、楽しくなってくるんだ。
そうに違いない、と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---んっん~~~…」
誠(香奈枝)は、百合子とエッチなことをしていたー

「--男の人のこれって、不思議ですよねぇ~」
百合子がニヤニヤしながら、誠(香奈枝)のアレを
綺麗な手で触っているー

「も、、もう出ないよ…」
誠(香奈枝)が呟くー

「へ~、不思議ですねぇ~
 わたしなんて、連続でイケるのに~」
百合子は笑う。

誠(香奈枝)は百合子に触られて
盛大に白い液体を放ってしまったが、
何とも言えない無気力感に襲われて、
百合子にも興奮しなくなっていたー

「男の子…って、こんな不思議な感覚に…」
誠(香奈枝)は、表情をいやらしく歪めながら呟くー

賢者タイムというものは聞いたことがある。
だが、香奈枝は女性だったから
どんなものか、それを体験することはできなかった。

誠としてそれを体験することで、
不思議な気持ちになっている。

確かに、ゾクゾクするのだが
イッたあとは、どうにも、なんだかしらけてしまう。
不思議な感覚だ。

「---……ふふふふ…先輩…」
百合子が顔を赤らめながら
誠(香奈枝)にキスをする。

「先輩は、わたしだけのものですからね…♡」

百合子は、そう呟いたー

そしてー
百合子は、束縛をするようになった。

”学校で他の女子との会話を禁止”と
そう言ってきたのだったー

「えぇ…ちょっと…?
 わたしだって、元女なんだから、
 女子とおしゃべりだってしたいし」

「--めっ!先輩は男の子ですよ!
 男の子はそんな喋り方しないし、
 彼氏が他の女と喋ってたら嫉妬するのは
 彼女として当然です!」

百合子が言う。

「---そ、、そんな…
 わ、、、わかったよ…」

誠として、
返事をする誠(香奈枝)。

思っていた人生と違うー
後輩女性の百合子と
夢のような人生を過ごすことができるはずだったー

けれど、
香奈枝の思い描いていた展開と少し、違うー。

思えば、百合子は、かなり強引だった。
そんな百合子と一緒になれば
さらに百合子が強引になることも、
目に見えていた。
そのことを予想できなかったのは、香奈枝の落ち度かもしれないー。

けど…

もう、元に戻ることはできない。

なぜなら、自分の家族ー
塩野家の3人は、
入れ替わって、その身体の記憶に
取り込まれてしまったのだからー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

戻ろうー。

誠(香奈枝)はそう思ったー。

香奈枝として塩野家に戻ることはできなくても、
”誠”として塩野家に戻ることはできる。

若い男の子の身体になりたかったのは
本当だし、誠として生きていくことに
嫌だという感情は特にない。

ただ、束縛されるのが、ちょっと辛いだけだ。

誠(香奈枝)は、
百合子が寝ているのを確認して、
”ごめんね…百合子”とそう呟いた。

百合子のことは好きだー
だが、百合子が描く人生は、自分の描く人生とは、
違うみたいだー。

誠(香奈枝)が
百合子のマンションから抜け出す。

「--やっぱり、若い男の子の身体って
 走りやすいな!」

誠(香奈枝)は笑みを浮かべながら
自分の家へと向かう。

百合子は恐らく、何か言ってくるだろうが、
家族のみんなで立ち向かえばきっと大丈夫ー。

「--きみ!」
警察官に声をかけられた。

「--えっ!」
誠(香奈枝)は”しまった”と思うー

長男の誠はまだ高校生ー
こんな深夜に出歩いていたらー…

誠(香奈枝)は気づかないふりして
そのままダッシュして警察官を
やり過ごすー。

そして、持っていた塩野家の鍵で
塩野家の家に戻ったー

しかしーーー
「え…」

玄関先に、吉郎、香奈枝、愛香の身体が
それぞれ血まみれになって
横たわっているー

「せ~~~んぱい」
真っ暗な廊下の奥から、
後輩女性の百合子が姿を現したー

手に刃物を握ってー

ぎゃああああああああああああ!!!

「---!!!!」

誠(香奈枝)が目を覚ますー

冷や汗と荒い息ー。

「夢…か」

「--せんぱい!?!?」
百合子が、ビクッとする。
誠(香奈枝)が悲鳴を上げて
起き上がったためだ。

「--ど、どうしたんですか?」

「---ご、、ごめん…夢を見たの…」

その言葉に百合子はすかさず

「男の子はそんな言い方しませんよ!」と
叫んだー。

「---…」
誠(香奈枝)は、意を決したー

「---ごめん、百合子、ちょっと聞いて」

そして、誠(香奈枝)は
全ての気持ちを吐き出したー。

男として振舞うように無理やり強要されるのはつらいこと。
百合子の束縛に恐怖を抱き始めていることー。
でも、百合子のことは好きだし、塩野家を捨てたことは後悔していないことー。

全ての気持ちを吐き出した。

百合子がどんな反応をするのか、
びくびくしていたものの、
百合子はーー
思いのほか、穏やかだったー

「--ごめんなさい」
苦笑いしながら頭を下げる百合子。

「先輩と一緒に暮らせることがうれしくて
 その気持ちが空回りしちゃいましたー」

百合子はそう言うと、
謝りながら「先輩の気持ちもちゃんと考えなくちゃですね」と
ほほ笑んだー。

変な夢を見た直後だからかー、
誠(香奈枝)は肩の力が抜けて、
とても安心した気持ちになって、
思わず百合子を抱きしめたー。

それからー
百合子と誠(香奈枝)はさらに親密になり、
やがて数年後、百合子は望みをかなえたー。

先輩・香奈枝の子供を産みたいー
その願いを。
誠の身体になっているから
実際には誠の子供ではあるものの
百合子にとっては香奈枝の子供も同然だったー。

入籍もした。

子供関係で少し遅れた結婚式をする二人。

誠(香奈枝)と百合子の結婚。
親戚たちは男女の結婚だと思っているー。

塩野家の三人も出席したー

吉郎になった愛香
香奈枝になった吉郎。
愛香になった誠。

「--お兄ちゃん、すっご~い!年上の奥さんなんて~」
愛香(誠)が言う。
自分がもともと、目の前にいる”お兄ちゃん”であったことなど
もう、覚えていないー

「---ふふふ、おめでとう、誠!」
香奈枝(吉郎)が言う。
自分がもともと父親であったことなど、覚えていない。
そして、目の前にいる誠の中身が香奈枝であることなど
夢にも思っていないー

「--おめでとう!」
吉郎(愛香)が言うー。
シャッフルを元に戻そうと、奔走していた愛香も、もうそのことを
覚えてなどーーー

「--------------!!!!」

人間はー
時として、急に、記憶を取り戻すことがあるー

記憶喪失や
老化に伴う曖昧な記憶ー
そんな状況でも、
人は時に、記憶を一瞬、取り戻すこともあるーー

「----え…」
父・吉郎になっていた愛香が
数年ぶりに”愛香”としての記憶を取り戻す。

「----え…み、、、みんな…
 待って」

結婚式の最中ー

誠(香奈枝)と結婚相手の百合子が吉郎(愛香)のほうを見る。

そして、吉郎(愛香)は叫んだ。

「--みんな、違う!違うよ!
 わたしが愛香で、みんな、、みんな、入れ替わって…」

突如、愛香としての記憶を取り戻した
吉郎(愛香)---

幸せな結婚式はーー
一転して、混沌とした結婚式へと、向かっていくのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

過去に書いた
「家庭内シャッフル」という作品の
後日談でした!

元々後日談の予定はなかったのですが、

”> 以前の家族シャッフルの中にあった、
男の子に女性が憑依するまたは、男の子と入れ替わった
女性視点の物語をリクエストしたいです!”

というリクエストを頂いたので、
男の子と入れ替わった女性視点の物語
(たぶん、長男と入れ替わった母親視点のことだと思ったので…)
を書いてみました!!

もし、勘違いだったらすみませんですが、
こんな感じになりましたー!

お読み下さりありがとうございました!!

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