<入れ替わり>家庭内シャッフル②~人生~(完)

入れ替わってしまった家族の身体。

父も、母も、兄もー
入れ替わった身体を楽しんでいる。

”元に戻さなくちゃー”
愛香は、元に戻る為の道を探るー

※表記について
吉郎(愛香)
↑身体の名前(中身の名前)デス☆

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「---と、いうことで!」
香奈枝(吉郎)が叫ぶ。

「--元には戻らなかったわけだが」
香奈枝(吉郎)はあぐらをかきながら言う。

「--ちょっと!お母さんの身体でその格好はまずいでしょ!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。

ランニングシャツ姿で、髪もぼさぼさの母・香奈枝が、
「仕方ねぇだろ~…ずっと男として生きてきたんだから」と言う。

中身は、父親の吉郎だ。

結局ー
寝て、起きてみても、身体が元に戻ることはなかった。

「--でも、このまま月曜日になっちゃったら、
 俺、愛香として学校に行くんだよな~」
愛香(誠)が笑う。

愛香(誠)は可愛らしいスカートを穿いている。

朝、愛香の部屋にやってきた、愛香(誠)が
”今日は何を着ればいいんだ?”と聞いてきたので
仕方がなく吉郎(愛香)が服を選び、
着させたのだった。

「--それにしても、困ったわね」
誠(香奈枝)が困った表情で言う。

髪がいつもよりもかっこよくセットされている。

「---…」
吉郎(愛香)は思うー。

お母さんも昨日、楽しそうにしてたよね?
とー。

「とにかく!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。

「月曜日までに元に戻らないと、
 お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも、わたしも!
 大変なことになるでしょ?」

吉郎(愛香)が叫ぶ。

他の3人が顔を見合わせる。

「~~う~~~ん、俺は別にこのままでも~」
太ももをかきながら、香奈枝(吉郎)が言う。

「--わたしも!わたしは愛香~♪うふふ~♡」
愛香(誠)が言う。

「--ま、、まぁまぁ」
誠(香奈枝)が言う。

3人とも全くやる気がない。

「--ふざけないで!」
吉郎(愛香)は叫ぶ。

3人とも、”そんなにムキにならなくても”みたいな
表情を浮かべている。

吉郎(愛香)は、
”絶対に元に戻る方法、探すからね!”と
叫ぶー。

「---あ~もう」
怒ったらお手洗いに行きたくなった。

吉郎(愛香)は便座に座りながら、
不慣れな手つきで、男として用を足していく。

も~…どうすればいいの…

愛香は思う。
他の家族は元に戻ることに非協力的だ。

父は、母の身体を手に入れて喜んでるし、
兄は、私の身体を手に入れて喜んでる。
母は、一見そんなそぶりはないけど、
昨日の夜、洗面台で、ニヤニヤしてたー

元に戻りたいと本気で思ってるのは自分だけ。

「--わたし、まだおじさんになんてなりたくない!」
父は38歳だ。
16歳の自分が、2倍以上の年齢に一気に
老いるなんてごめんだ。

吉郎(愛香)はお手洗いから出て、
自分の部屋に戻る。

身体が入れ替わった後も、みんな、”自分”の部屋を使っている。
つまり、吉郎になった愛香は、愛香の部屋を使っている。

ガチャ…

ーー!?

部屋の鍵が閉まっている。

「--ちょ???」
吉郎(愛香)が混乱して声を出すと、
中から声が聞こえてきた。

「--お父さん?
 わたしの部屋に勝手に入って来ないで~
 はぁ♡ はぁ♡」

中から愛香(誠)の声が聞こえてくる。

「--ちょ!お兄ちゃん!ふざけないで!」
吉郎(愛香)が叫んだ。

「--ねぇ、ここはわたしの部屋!
 愛香の部屋だよ!
 勝手に入ろうとしないで!」
愛香(誠)が言う。

誠は元に戻る気などなかった。
髪の毛をペロペロと舐めながら笑う。

「--俺が愛香になったんだよ~!
 くくく、諦めてお前は父さんとして生きろよ!」
愛香(誠)が乱暴な口調で言う。

「ちょっと!ふざけないで!部屋を開けなさいよ!」

「--や~だね!」

愛香(誠)が髪を舐め終えると、今度は胸を揉み始めた。
胸を揉みながら部屋の外にいる
吉郎(愛香)に話しかける。

「--3人で話し合ったんだ。
 父さんも母さんも、入れ替わっちゃった以上、
 その身体で生きることを考えなくちゃいけない、だってさ」

愛香(誠)の声が聞こえてきて
吉郎(愛香)が叫ぶ

「ふざけないで!元に戻る方法を探すのが先でしょ!」

しかし、そんな叫び声を無視して
愛香(誠)は喘ぎ始めた。

「バカっ!」
扉を思い切りたたいて、吉郎(愛香)は
目に涙を浮かべたー

「--お父さんもお母さんも、
 何を考えてるのよ!」

ふと、1階の方に目をやると、
誠(香奈枝)が、おしゃれをして、出かけようとしていた。

兄の誠が、不覚にもカッコよく見えてしまう。

「--お、お母さん!どこ行くの!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。

「あれ?父さん~」
誠(香奈枝)が笑う。

「お母さんまで!ふざけないでよ!
 元に戻る方法を探すのが先でしょ!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。

しかし、カッコ良く身だしなみを整えた
誠(香奈枝)は笑う。

「若い男の子をちょっと楽しもうかな~ってね!
 愛香も、おじさま人生を味わうのもいいかもよ~?
 じゃね!」

誠(香奈枝)は嬉しそうに外出してしまう。

「--も~~~!」
吉郎(愛香)は叫ぶ。

どうにか、どうにか元にー
兄も、母もダメだ。

残るは、父ー

でも・・・。

香奈枝になった父・吉郎も
母の身体を楽しんでいるー

ダメだー
誰もアテにならない。

「も、、元に戻る方法…探さなくちゃ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日の夜ー。

吉郎(愛香)は一人で必死に
元に戻る方法を探していた。

全ての始まりは、
昨日、届いた小包ー

”一緒になろう”

と、小包に書かれていた。

「一緒になろうって…どういうこと…?」

文面からすると、
男が女に”一緒になろう”と
言ってるようにも感じる。

「・・・・」
吉郎(愛香)は誰も居ないリビングで
一人、その文字とにらめっこを続けていた。

一緒にー

ふと、2階の方を見る。
2階からは断続的に甘い声や喘ぎ声が
聞こえている。
愛香(誠)と、香奈枝(吉郎)が欲望に溺れているのだ。

「--!!」
吉郎(愛香)は思うー。

”一緒になろう”

これはー
うちの家族、誰かに対して言っているー?

吉郎(愛香)は、
荷物が送られてきた、ということは
当然、差出人は、こうなることを分かっていて
送ってきているのだろう、と考えたー。

で、あれば、目的があるはず。

”一緒になろう”とは?

母になった父かー
私になった兄かー
それとも兄になった母かー

ピンポーン

「は~い!」

声を出して吉郎(愛香)ははっとする。
今は、お父さんの身体なんだった…と。

つい可愛らしい返事をしてしまった。
この身体で、今の返事の仕方は、正直、ちょっと気味悪い。

”お届け物です~!塩野さん宛に”
女性配達員が言う。

「・・・・・」
また、我が家宛の荷物…
吉郎(愛香)は一瞬、身構える。

だがー。
差出人不明なら、
今度は開けないようにしてー

ガチャ

玄関を開けると同時に、
おしゃれな若い女性がにやりと笑った。

ーー!?

女性が何か球体のようなものを自宅内に投げ込む。

「え?」
吉郎(愛香)が驚くと同時に、
女性はそのまま走り去る

「ちょ、ちょっと!」

シュウウ~~~!

投げ込まれた球体から、謎の煙が放たれている。

「--お父さん!お兄ちゃん!」
吉郎(愛香)は、2階で喘いでいる2人に向かって叫んだ。

だがー2人の反応はなかった。

「~~愛香で~す♡ いぇい♡」
「あなた~♡ だいすき~♡」

2人の甘い声だけが聞こえてくる。
2人とも夢中で、吉郎(愛香)の言葉に気付いていない。

「ちょっと!」
2階に駆け上がる吉郎(愛香)

謎の球体から放たれる煙は、
あっという間に2階まで充満したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--お待たせ」

夜の街ー

誠(香奈枝)が、
女性に話しかける。

「あ…せんぱ~い!
 それが息子さんの身体ですか~?」

若いおしゃれな女性が微笑む。

ミニスカート姿で、派手な装いの女性だ。

「ふふ…そうよ。どうかしら?」
誠(香奈枝)が言うと、
おしゃれな女性は笑った

「これで…わたしたち、もっともっと愛し合えますね」

「ふふふ…そうね」

・・・・

母・香奈枝は、
1年前ー職場で20代前半の後輩女性から
告白されたー

最初は断ったー
けれど、彼女は猛プッシュを仕掛けてきたー

次第に、香奈枝は彼女の事が好きになった。
性別なんて関係ないー

香奈枝は、夫の吉郎や子供たちに内緒で、
後輩女性といけない関係になったー。
彼女の家で、女同士を楽しんだー

だが、ある日、彼女は泣いたー

”わたし、先輩の子供を産みたいです”

とー。

先輩の子供ー
つまり、香奈枝の子供を後輩女性は産みたいと言った。

けれどー
女同士ではそれは、できないー

香奈枝は優しくそう伝えたー。

すると、後輩女性は笑った。
”先輩…わたしたちの子供を産むために男になってくれませんか?”

とー。

後輩女性の父が、新薬開発の研究者で、
人の身体を入れ替える薬を開発していた。
その試作品を、香奈枝に渡して、彼女は微笑んだー

「--旦那様と先輩の身体を…」

その言葉に、香奈枝はうなずいた。
この子と一緒に生きたいー
今の家族(塩野家)を捨てて、新しい家庭をー

「--わかった。一緒に生きよう。
 でも…わたしは、おっさんじゃなくて、
 若い男の子の身体ー
 
 息子の誠の身体がいいわ ふふ…」

・・・

塩野家に届いた謎の球体はー
母の香奈枝自身が自宅に送ったものー

そしてー
”近くにいる人間の中で、その時一番頭の中で思い浮かべている人”の
身体に飛ばされる性質を理解していた香奈枝は、
目論み通り、息子の身体を奪うことに成功した。

「--ふふ、わたしたち、ずっといっしょよ」
誠(香奈枝)が、後輩女性を抱き寄せる。

「はいー。あ、先輩~?先輩はもう男なんですからね」
後輩女性が言うと、誠(香奈枝)が微笑んだ。

「そうね…いえ、、そうだな…さ、行こうか」
誠(香奈枝)は後輩女性にキスをして微笑んだ。

「あ…先輩の家に”アレ”放り込んできましたから!」
後輩女性はそう言うと、嬉しそうに微笑んだ…

今日から新しい”人生”がはじまるー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

煙が消えていくー

吉郎(愛香)が起き上がる。
意識を失っていたようだ。

「~~~はぁ…気を失っていたようだな」
吉郎(愛香)が立ち上がる。

「----…ん」
吉郎(愛香)は何だか、自分が慌てていたような
気がして首をかしげる。

「--お、、、俺は…
 わ、、、わたしは何を…?」

吉郎(愛香)-
中身の愛香に吉郎の記憶が流れ込んでくる。

そしてー
上書きされるかのように
愛香自身の記憶が消えていく。

「え…わ、、、わたし…
 わたし…いやだ…なんか…変…!

 わ、、、わた…」

吉郎(愛香)が困惑するー

そしてー

「お…俺は吉郎だよな…?
 ア…あぁ…そうだ。
 うん。そうだ

 俺…疲れてるのかな」

そう呟くと、吉郎(愛香)は自分の部屋へと戻って行くー

・・・・・・・・・・・・・・・

「あ・・あれ…愛香の記憶が…
 え…あれれ…俺の記憶が…変だぞ…?」

部屋で喘いでいた愛香(誠)は混乱していた。

何故か、
自分が最初から愛香だったような感じがしてくる。

「あ……ま、、、まぁいいか…
 俺は最初から愛香だって…!
 くへへへへへ♡

 わたしは愛香♡ 愛香♡ 愛かぁぁあああ♡ あはははは~♡」

誠の記憶は薄れてー
自分は愛香であるとーー
流れ込んできた愛香の記憶に誠の記憶は飲み込まれた

・・・・・・・・・・・・

「ふぉぉおお!香奈枝の記憶が流れてくるぞぉ!」
香奈枝(吉郎)も同じだったー

投げ込まれた煙の影響で、
身体の記憶に飲み込まれてー
吉郎の記憶が消えていくー

「--あぁぁあ~香奈枝~!
 おまえとひとつになれる~

 いや…わたしは香奈枝よ!
 うふふ、わたしったら何言ってるのかしら~!」

・・・・・・・・・・・・・・

月曜日―

塩野家は3人で朝食を食べていた。

香奈枝が色っぽく身体を動かしながら
朝食を作っている。
中身は吉郎だが、もうその自覚はない。

ただ、吉郎のエロさは健在で、
香奈枝は変わってしまった。

「---あなた。いってらっしゃい!」
朝から香奈枝は、吉郎に抱き着いてディープキスをすると
吉郎は戸惑いながら「あ、あぁ…」と呟いた。

「えへへへへ~♡」
愛香になった誠は、
愛香の記憶に飲み込まれたものの、
やはり、エロさは健在だった。

スカートを短くして、太ももを触りながら玄関に向かう。

「ふ~!そうだ!メイドカフェのバイトでも
 始めようかな~えへへ♡」
愛香は涎を垂らしながら学校へと向かうのだったー

「----何か…何か…忘れているような」
吉郎は職場へ向かうー

吉郎の中に居る愛香は、
何か忘れているような…と思いながらも
それを思い出すことができなかった。

「--……何か…」
吉郎の目から涙がこぼれる。

「な、、なに、泣いてんだ俺は…!
 しっかりしろ!」

自分を奮い立たせるように呟くと、
吉郎は、前を向いて歩き始めたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

リクエストが元の入れ替わりモノでした!
3話構成にしてもうちょっとゆっくりと日常を
書きたかったな~とも思ったり…笑

集団入れ替わり(?)にはまた挑戦してみたいデス!
ありがとうございました~

コメント

  1. 望月すすき より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    まさかの香奈枝が黒幕でしたか……( ˘ω˘ )
    そして愛香だけが貧乏くじ……せめてダンディさを楽しんでほしいです(笑

  2. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    まさか母が黒幕だったとは……!
    意外な結末でしたが、記憶に飲まれつつも元の人格の影響が残っているのは良いですな。結局妹ちゃんだけかわいそう……w

  3. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    香奈枝は母親としてかなり最低ですね。
    自分の勝手な願望のために息子の身体奪うとか……。
    まあ、息子の方は妹の身体になって喜んでるのでまあ、いいのかもしれませんが、可哀想なのは妹の愛香ですね。まあ、記憶が上書きされたのがせめてもの救いですかね? 

    それにしても、集団入れ替わりっていいですね。キャラが多めになるので書くのは難しそうですが、単純な入れ替わり物より好きです。

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > まさかの香奈枝が黒幕でしたか……( ˘ω˘ )
    > そして愛香だけが貧乏くじ……せめてダンディさを楽しんでほしいです(笑

    ぺちぺち~!
    コメントありがとうございます!

    そうですネ~素敵なおじさまになってほしいデス!

  5. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > まさか母が黒幕だったとは……!
    > 意外な結末でしたが、記憶に飲まれつつも元の人格の影響が残っているのは良いですな。結局妹ちゃんだけかわいそう……w

    コメントありがとうございます~!
    妹ちゃん以外はハッピーみたいデス☆

  6. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 香奈枝は母親としてかなり最低ですね。
    > 自分の勝手な願望のために息子の身体奪うとか……。
    > まあ、息子の方は妹の身体になって喜んでるのでまあ、いいのかもしれませんが、可哀想なのは妹の愛香ですね。まあ、記憶が上書きされたのがせめてもの救いですかね? 
    >
    > それにしても、集団入れ替わりっていいですね。キャラが多めになるので書くのは難しそうですが、単純な入れ替わり物より好きです。

    ありがとうございます~!
    母親は、身勝手でしたネ~汗
    確かに誠くんはよろこでんますけどネ…!

    集団入れ替わりもまた機会があればがんばりマス!