入れ替わってしまった家族の身体。
父も、母も、兄もー
入れ替わった身体を楽しんでいる。
”元に戻さなくちゃー”
愛香は、元に戻る為の道を探るー
※表記について
吉郎(愛香)
↑身体の名前(中身の名前)デス☆
--------------------—
「---と、いうことで!」
香奈枝(吉郎)が叫ぶ。
「--元には戻らなかったわけだが」
香奈枝(吉郎)はあぐらをかきながら言う。
「--ちょっと!お母さんの身体でその格好はまずいでしょ!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。
ランニングシャツ姿で、髪もぼさぼさの母・香奈枝が、
「仕方ねぇだろ~…ずっと男として生きてきたんだから」と言う。
中身は、父親の吉郎だ。
結局ー
寝て、起きてみても、身体が元に戻ることはなかった。
「--でも、このまま月曜日になっちゃったら、
俺、愛香として学校に行くんだよな~」
愛香(誠)が笑う。
愛香(誠)は可愛らしいスカートを穿いている。
朝、愛香の部屋にやってきた、愛香(誠)が
”今日は何を着ればいいんだ?”と聞いてきたので
仕方がなく吉郎(愛香)が服を選び、
着させたのだった。
「--それにしても、困ったわね」
誠(香奈枝)が困った表情で言う。
髪がいつもよりもかっこよくセットされている。
「---…」
吉郎(愛香)は思うー。
お母さんも昨日、楽しそうにしてたよね?
とー。
「とにかく!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。
「月曜日までに元に戻らないと、
お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも、わたしも!
大変なことになるでしょ?」
吉郎(愛香)が叫ぶ。
他の3人が顔を見合わせる。
「~~う~~~ん、俺は別にこのままでも~」
太ももをかきながら、香奈枝(吉郎)が言う。
「--わたしも!わたしは愛香~♪うふふ~♡」
愛香(誠)が言う。
「--ま、、まぁまぁ」
誠(香奈枝)が言う。
3人とも全くやる気がない。
「--ふざけないで!」
吉郎(愛香)は叫ぶ。
3人とも、”そんなにムキにならなくても”みたいな
表情を浮かべている。
吉郎(愛香)は、
”絶対に元に戻る方法、探すからね!”と
叫ぶー。
「---あ~もう」
怒ったらお手洗いに行きたくなった。
吉郎(愛香)は便座に座りながら、
不慣れな手つきで、男として用を足していく。
も~…どうすればいいの…
愛香は思う。
他の家族は元に戻ることに非協力的だ。
父は、母の身体を手に入れて喜んでるし、
兄は、私の身体を手に入れて喜んでる。
母は、一見そんなそぶりはないけど、
昨日の夜、洗面台で、ニヤニヤしてたー
元に戻りたいと本気で思ってるのは自分だけ。
「--わたし、まだおじさんになんてなりたくない!」
父は38歳だ。
16歳の自分が、2倍以上の年齢に一気に
老いるなんてごめんだ。
吉郎(愛香)はお手洗いから出て、
自分の部屋に戻る。
身体が入れ替わった後も、みんな、”自分”の部屋を使っている。
つまり、吉郎になった愛香は、愛香の部屋を使っている。
ガチャ…
ーー!?
部屋の鍵が閉まっている。
「--ちょ???」
吉郎(愛香)が混乱して声を出すと、
中から声が聞こえてきた。
「--お父さん?
わたしの部屋に勝手に入って来ないで~
はぁ♡ はぁ♡」
中から愛香(誠)の声が聞こえてくる。
「--ちょ!お兄ちゃん!ふざけないで!」
吉郎(愛香)が叫んだ。
「--ねぇ、ここはわたしの部屋!
愛香の部屋だよ!
勝手に入ろうとしないで!」
愛香(誠)が言う。
誠は元に戻る気などなかった。
髪の毛をペロペロと舐めながら笑う。
「--俺が愛香になったんだよ~!
くくく、諦めてお前は父さんとして生きろよ!」
愛香(誠)が乱暴な口調で言う。
「ちょっと!ふざけないで!部屋を開けなさいよ!」
「--や~だね!」
愛香(誠)が髪を舐め終えると、今度は胸を揉み始めた。
胸を揉みながら部屋の外にいる
吉郎(愛香)に話しかける。
「--3人で話し合ったんだ。
父さんも母さんも、入れ替わっちゃった以上、
その身体で生きることを考えなくちゃいけない、だってさ」
愛香(誠)の声が聞こえてきて
吉郎(愛香)が叫ぶ
「ふざけないで!元に戻る方法を探すのが先でしょ!」
しかし、そんな叫び声を無視して
愛香(誠)は喘ぎ始めた。
「バカっ!」
扉を思い切りたたいて、吉郎(愛香)は
目に涙を浮かべたー
「--お父さんもお母さんも、
何を考えてるのよ!」
ふと、1階の方に目をやると、
誠(香奈枝)が、おしゃれをして、出かけようとしていた。
兄の誠が、不覚にもカッコよく見えてしまう。
「--お、お母さん!どこ行くの!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。
「あれ?父さん~」
誠(香奈枝)が笑う。
「お母さんまで!ふざけないでよ!
元に戻る方法を探すのが先でしょ!」
吉郎(愛香)が叫ぶ。
しかし、カッコ良く身だしなみを整えた
誠(香奈枝)は笑う。
「若い男の子をちょっと楽しもうかな~ってね!
愛香も、おじさま人生を味わうのもいいかもよ~?
じゃね!」
誠(香奈枝)は嬉しそうに外出してしまう。
「--も~~~!」
吉郎(愛香)は叫ぶ。
どうにか、どうにか元にー
兄も、母もダメだ。
残るは、父ー
でも・・・。
香奈枝になった父・吉郎も
母の身体を楽しんでいるー
ダメだー
誰もアテにならない。
「も、、元に戻る方法…探さなくちゃ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜ー。
吉郎(愛香)は一人で必死に
元に戻る方法を探していた。
全ての始まりは、
昨日、届いた小包ー
”一緒になろう”
と、小包に書かれていた。
「一緒になろうって…どういうこと…?」
文面からすると、
男が女に”一緒になろう”と
言ってるようにも感じる。
「・・・・」
吉郎(愛香)は誰も居ないリビングで
一人、その文字とにらめっこを続けていた。
一緒にー
ふと、2階の方を見る。
2階からは断続的に甘い声や喘ぎ声が
聞こえている。
愛香(誠)と、香奈枝(吉郎)が欲望に溺れているのだ。
「--!!」
吉郎(愛香)は思うー。
”一緒になろう”
これはー
うちの家族、誰かに対して言っているー?
吉郎(愛香)は、
荷物が送られてきた、ということは
当然、差出人は、こうなることを分かっていて
送ってきているのだろう、と考えたー。
で、あれば、目的があるはず。
”一緒になろう”とは?
母になった父かー
私になった兄かー
それとも兄になった母かー
ピンポーン
「は~い!」
声を出して吉郎(愛香)ははっとする。
今は、お父さんの身体なんだった…と。
つい可愛らしい返事をしてしまった。
この身体で、今の返事の仕方は、正直、ちょっと気味悪い。
”お届け物です~!塩野さん宛に”
女性配達員が言う。
「・・・・・」
また、我が家宛の荷物…
吉郎(愛香)は一瞬、身構える。
だがー。
差出人不明なら、
今度は開けないようにしてー
ガチャ
玄関を開けると同時に、
おしゃれな若い女性がにやりと笑った。
ーー!?
女性が何か球体のようなものを自宅内に投げ込む。
「え?」
吉郎(愛香)が驚くと同時に、
女性はそのまま走り去る
「ちょ、ちょっと!」
シュウウ~~~!
投げ込まれた球体から、謎の煙が放たれている。
「--お父さん!お兄ちゃん!」
吉郎(愛香)は、2階で喘いでいる2人に向かって叫んだ。
だがー2人の反応はなかった。
「~~愛香で~す♡ いぇい♡」
「あなた~♡ だいすき~♡」
2人の甘い声だけが聞こえてくる。
2人とも夢中で、吉郎(愛香)の言葉に気付いていない。
「ちょっと!」
2階に駆け上がる吉郎(愛香)
謎の球体から放たれる煙は、
あっという間に2階まで充満したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--お待たせ」
夜の街ー
誠(香奈枝)が、
女性に話しかける。
「あ…せんぱ~い!
それが息子さんの身体ですか~?」
若いおしゃれな女性が微笑む。
ミニスカート姿で、派手な装いの女性だ。
「ふふ…そうよ。どうかしら?」
誠(香奈枝)が言うと、
おしゃれな女性は笑った
「これで…わたしたち、もっともっと愛し合えますね」
「ふふふ…そうね」
・・・・
母・香奈枝は、
1年前ー職場で20代前半の後輩女性から
告白されたー
最初は断ったー
けれど、彼女は猛プッシュを仕掛けてきたー
次第に、香奈枝は彼女の事が好きになった。
性別なんて関係ないー
香奈枝は、夫の吉郎や子供たちに内緒で、
後輩女性といけない関係になったー。
彼女の家で、女同士を楽しんだー
だが、ある日、彼女は泣いたー
”わたし、先輩の子供を産みたいです”
とー。
先輩の子供ー
つまり、香奈枝の子供を後輩女性は産みたいと言った。
けれどー
女同士ではそれは、できないー
香奈枝は優しくそう伝えたー。
すると、後輩女性は笑った。
”先輩…わたしたちの子供を産むために男になってくれませんか?”
とー。
後輩女性の父が、新薬開発の研究者で、
人の身体を入れ替える薬を開発していた。
その試作品を、香奈枝に渡して、彼女は微笑んだー
「--旦那様と先輩の身体を…」
その言葉に、香奈枝はうなずいた。
この子と一緒に生きたいー
今の家族(塩野家)を捨てて、新しい家庭をー
「--わかった。一緒に生きよう。
でも…わたしは、おっさんじゃなくて、
若い男の子の身体ー
息子の誠の身体がいいわ ふふ…」
・・・
塩野家に届いた謎の球体はー
母の香奈枝自身が自宅に送ったものー
そしてー
”近くにいる人間の中で、その時一番頭の中で思い浮かべている人”の
身体に飛ばされる性質を理解していた香奈枝は、
目論み通り、息子の身体を奪うことに成功した。
「--ふふ、わたしたち、ずっといっしょよ」
誠(香奈枝)が、後輩女性を抱き寄せる。
「はいー。あ、先輩~?先輩はもう男なんですからね」
後輩女性が言うと、誠(香奈枝)が微笑んだ。
「そうね…いえ、、そうだな…さ、行こうか」
誠(香奈枝)は後輩女性にキスをして微笑んだ。
「あ…先輩の家に”アレ”放り込んできましたから!」
後輩女性はそう言うと、嬉しそうに微笑んだ…
今日から新しい”人生”がはじまるー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
煙が消えていくー
吉郎(愛香)が起き上がる。
意識を失っていたようだ。
「~~~はぁ…気を失っていたようだな」
吉郎(愛香)が立ち上がる。
「----…ん」
吉郎(愛香)は何だか、自分が慌てていたような
気がして首をかしげる。
「--お、、、俺は…
わ、、、わたしは何を…?」
吉郎(愛香)-
中身の愛香に吉郎の記憶が流れ込んでくる。
そしてー
上書きされるかのように
愛香自身の記憶が消えていく。
「え…わ、、、わたし…
わたし…いやだ…なんか…変…!
わ、、、わた…」
吉郎(愛香)が困惑するー
そしてー
「お…俺は吉郎だよな…?
ア…あぁ…そうだ。
うん。そうだ
俺…疲れてるのかな」
そう呟くと、吉郎(愛香)は自分の部屋へと戻って行くー
・・・・・・・・・・・・・・・
「あ・・あれ…愛香の記憶が…
え…あれれ…俺の記憶が…変だぞ…?」
部屋で喘いでいた愛香(誠)は混乱していた。
何故か、
自分が最初から愛香だったような感じがしてくる。
「あ……ま、、、まぁいいか…
俺は最初から愛香だって…!
くへへへへへ♡
わたしは愛香♡ 愛香♡ 愛かぁぁあああ♡ あはははは~♡」
誠の記憶は薄れてー
自分は愛香であるとーー
流れ込んできた愛香の記憶に誠の記憶は飲み込まれた
・・・・・・・・・・・・
「ふぉぉおお!香奈枝の記憶が流れてくるぞぉ!」
香奈枝(吉郎)も同じだったー
投げ込まれた煙の影響で、
身体の記憶に飲み込まれてー
吉郎の記憶が消えていくー
「--あぁぁあ~香奈枝~!
おまえとひとつになれる~
いや…わたしは香奈枝よ!
うふふ、わたしったら何言ってるのかしら~!」
・・・・・・・・・・・・・・
月曜日―
塩野家は3人で朝食を食べていた。
香奈枝が色っぽく身体を動かしながら
朝食を作っている。
中身は吉郎だが、もうその自覚はない。
ただ、吉郎のエロさは健在で、
香奈枝は変わってしまった。
「---あなた。いってらっしゃい!」
朝から香奈枝は、吉郎に抱き着いてディープキスをすると
吉郎は戸惑いながら「あ、あぁ…」と呟いた。
「えへへへへ~♡」
愛香になった誠は、
愛香の記憶に飲み込まれたものの、
やはり、エロさは健在だった。
スカートを短くして、太ももを触りながら玄関に向かう。
「ふ~!そうだ!メイドカフェのバイトでも
始めようかな~えへへ♡」
愛香は涎を垂らしながら学校へと向かうのだったー
「----何か…何か…忘れているような」
吉郎は職場へ向かうー
吉郎の中に居る愛香は、
何か忘れているような…と思いながらも
それを思い出すことができなかった。
「--……何か…」
吉郎の目から涙がこぼれる。
「な、、なに、泣いてんだ俺は…!
しっかりしろ!」
自分を奮い立たせるように呟くと、
吉郎は、前を向いて歩き始めたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストが元の入れ替わりモノでした!
3話構成にしてもうちょっとゆっくりと日常を
書きたかったな~とも思ったり…笑
集団入れ替わり(?)にはまた挑戦してみたいデス!
ありがとうございました~
コメント
SECRET: 0
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まさかの香奈枝が黒幕でしたか……( ˘ω˘ )
そして愛香だけが貧乏くじ……せめてダンディさを楽しんでほしいです(笑
SECRET: 0
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まさか母が黒幕だったとは……!
意外な結末でしたが、記憶に飲まれつつも元の人格の影響が残っているのは良いですな。結局妹ちゃんだけかわいそう……w
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
香奈枝は母親としてかなり最低ですね。
自分の勝手な願望のために息子の身体奪うとか……。
まあ、息子の方は妹の身体になって喜んでるのでまあ、いいのかもしれませんが、可哀想なのは妹の愛香ですね。まあ、記憶が上書きされたのがせめてもの救いですかね?
それにしても、集団入れ替わりっていいですね。キャラが多めになるので書くのは難しそうですが、単純な入れ替わり物より好きです。
SECRET: 0
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> まさかの香奈枝が黒幕でしたか……( ˘ω˘ )
> そして愛香だけが貧乏くじ……せめてダンディさを楽しんでほしいです(笑
ぺちぺち~!
コメントありがとうございます!
そうですネ~素敵なおじさまになってほしいデス!
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> まさか母が黒幕だったとは……!
> 意外な結末でしたが、記憶に飲まれつつも元の人格の影響が残っているのは良いですな。結局妹ちゃんだけかわいそう……w
コメントありがとうございます~!
妹ちゃん以外はハッピーみたいデス☆
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 香奈枝は母親としてかなり最低ですね。
> 自分の勝手な願望のために息子の身体奪うとか……。
> まあ、息子の方は妹の身体になって喜んでるのでまあ、いいのかもしれませんが、可哀想なのは妹の愛香ですね。まあ、記憶が上書きされたのがせめてもの救いですかね?
>
> それにしても、集団入れ替わりっていいですね。キャラが多めになるので書くのは難しそうですが、単純な入れ替わり物より好きです。
ありがとうございます~!
母親は、身勝手でしたネ~汗
確かに誠くんはよろこでんますけどネ…!
集団入れ替わりもまた機会があればがんばりマス!