いじめられっ子が、憑依能力を手に入れたー
その憑依能力で、いじめっ子たちに
彼は復讐を仕掛けていくー。
目覚めた力は、もう止まらないー
※リクエスト作品デス
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「------」
ノートがビリビリに破かれている。
男子高校生の片倉 信太(かたくら しんた)は
その光景を見てため息をついた。
彼はー
”いじめ”を受けている。
いつからだっただろうかー。
特に、思い当たることはない。
「----あっれぇ~!?
ノート、ビリビリに破けてんじゃん~!」
クラスメイトの男子・栗松 亮五郎(くりまつ りょうごろう)が笑いながら言う。
いじめの中心的人物だ。
この亮五郎と取り巻きの二人、
それと陰険な女子グループのリーダー・羽村 美月(はむら みつき)、
大人数によりいじめを信太は受けていたー。
「---大丈夫?」
昼休みー
生徒会室でクラスメイトの女子・藤村 沙夜(ふじむら さや)が、
心配そうに尋ねた。
沙夜は生徒会副会長を務める女子で、
クラスの優等生ー
そして、信太の幼馴染でもあった。
信太は、クラスで孤立している。
元々、友達は何人かいたのだが、
亮五郎たちによるいじめが始まってから、
いじめに巻き込まれたくない、と考えた友達たちは、
信太と距離を置いた。
そんな信太にとって
沙夜は、今でも信太の”味方”でいてくれる
数少ない存在だった。
「--…うん」
信太はみるみる元気を失っている。
沙夜は、心配そうに信太のほうを見る。
「ほんとうに、大丈夫?
わたしにもできることがあれば…」
沙夜の言葉に、
信太は首を振る。
「沙夜ちゃんを巻き込むことはできないよ…」
信太は、幼稚園の頃から沙夜を知っている。
その時の名残で、沙夜のことを”沙夜ちゃん”と
呼んでいる
「---……信太」
心配そうに呟く沙夜。
そこに、生徒会長で、先輩にあたる男子・
舛添(ますぞえ)が入ってくる。
「--あ、じゃあ、僕はこれで」
信太は慌てた様子で生徒会室の外に出る。
生徒会長の舛添は
優しい王子様系の男子で、
悪い人ではなさそうだが、
信太はなんとなく苦手だった。
「---」
舛添が立ち去る信太のほうを見て、
意味深な笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・
「おら!うぜぇんだよ!」
放課後ー
亮五郎が、鞄で信太の顔を叩く。
信太は、ただ、耐えていたー
”反論しなければ、早く終わるー”
そういう考えになってしまっていた。
「きゃははははははは!」
陰険女子のリーダー・美月が近くで
ゲラゲラと笑っている。
美月は、いじめの主犯・亮五郎の彼女だという
噂もある。
「あ?」
亮五郎が信太のほうを見る。
「お前、今、舌打ちしただろ?」
亮五郎が信太に因縁をつける。
信太は舌打ちなどしていない。
だがー亮五郎にはそう聞こえた。
「--信太のくせになまいきだぞ!」
亮五郎が怒鳴り声をあげる。
「そういや、てめー、この前
先生に相談したらしいなぁ」
亮五郎がさらに怒りの形相で信太を見つめる。
亮五郎の取り巻きの2人はニヤニヤしながら
その様子を見ている。
そのうちの一人が信太をからかう。
「先生なんかあてにしちゃだめ。
自己防衛…学校脱出だよね?」
独特の風貌の男子生徒が言うと、
もう一人の取り巻きの生徒は、ゲラゲラと笑っているー。
「---」
信太は、4人を心の中で睨んだー
いつか、いつか絶対仕返ししてやるー
いじめの主犯・亮五郎、
陰険な女子の美月、
取り巻きの自己と、葉歯羽…。
絶対にこいつらを、許さないー。
そう、思いながらー。
いじめが終わるー。
ボロボロになった信太は、
とぼとぼと下校を始めるー。
そんな信太の後ろ姿を
生徒会長の舛添が笑みを浮かべながら
見つめていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--はぁ…」
信太が帰宅すると、
大学生の兄・成太(せいた)と目があった。
成太は、ニートだ。
「---…」
部屋に引きこもっている。
兄に助けを求めることも考えたが
今の兄は、それどころじゃない。
「---ただいま」
信太がそれだけ言うと、
成太は何も言わずに自分の部屋に入っていった。
成太の部屋の中からは
グツグツと謎の音がいつも聞こえている。
いったい、兄は何をしているのだろう?
「---……はぁぁぁ…」
ため息をつく信太。
正直、学校には行きたくない。
朝を迎えるたびに、吐き気がする。
けれども
信太は学校に通い続けたー。
逃げたくないー
そんな思いがあったのかもしれないー
そしてー
自分を支えてくれる幼馴染の沙夜のためにもーーー
逃げるわけにはいかなかったー
”力が、欲しいかー”
「---!?!?!?!?!」
信太が驚いて背後を見るー
すると、
そこにはーーー
謎のオーブのようなものを被った男がいた。
「--ひっ!?」
信太は思わず腰を抜かしてしまう。
”力が、欲しいか?”
謎の人物は、再びそう言った。
「---は、、ひ、、、ひぃぃぃぃ」
怯える信太。
”お前は、いじめを受けている、違うか?”
その言葉に、信太は怯えながらも頷く。
”お前が望むのならー
そのいじめっ子たちをやっつける力を、
お前にやろう”
謎の男の言葉に、信太は「えっ!?」と声をあげる。
”---どうする?”
謎の男の言葉に信太は迷うー
そしてー
いじめっ子のリーダー・亮五郎の顔を思い浮かべた信太は、
憎しみをたぎらせた。
「僕は、、、僕は、あいつらに仕返ししたい!」
”よかろうー”
謎の男の手が光るー
そして、そこから放たれた光が
信太を包み込む。
「うわああああ!」
驚く信太。
しかし、身体中に力がみなぎってくるのが分かるー。
”憑依”
謎の男はそう呟いたー
その力の使い方が、
信太の頭に流れ込んでくるー
”その力で、悪い奴らを、やっつけろー”
謎の男はそう告げると、
そのまま”消えたー”
「えっ!?ちょっと待って!?」
今のはいったい?
そう思いながらも信太は
”この力があれば”
と、そう思うのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
朝、登校した信太は暗い表情で
廊下を歩いていたー。
「あ、おっはよ~!」
陰険な女子のリーダー格・美月が、
信太のほうを見ていじわるそうな笑みを浮かべたー
今日も、いじめに耐える日々が始まるー
…いいや
信太の中に怒りが巻き起こるー
”憑依”なんて、本当にできるのだろうかー
”お前には、いじめっ子たちをやっつける力がある”
昨日の、謎の男の声ー
あれは、夢じゃないー
僕には、本当にー
「---また、”反省”するぅ~?」
美月がゲラゲラと笑う。
”反省”とは、美月に何回かさせられているいじめで、
服を脱がされて、上半身裸で廊下に
立たされたり、
1回はパンツ1枚で廊下に立たされたり
したこともあったー
服を脱いで反省して廊下に立ってろ、と
そういうことらしいー。
「-----…しないよ」
信太はそう呟くと、「は?」と不満そうにしている美月を
無視して、男子トイレに向かった。
そして、男子トイレの個室に入ると、
信太は、目を瞑るー。
”憑依”
僕は、あいつらを許さないー
・・・・・・・・・・・・・
「--なんなの、あいつ!」
美月は不満そうに呟く。
いじめの主犯格・亮五郎のところに向かおうとする美月。
信太の生意気な態度を報告して、
いじめの相談をしようとしていたー
その時だったー
「---うっ…」
美月がビクンと震えるー。
「-----…あ」
美月が自分の身体を見つめるー
「---あ…ほ、、、本当に…僕…」
信太が、美月に憑依したー
自分の手を見て、美月に憑依できたことを
確信する信太。
「--あ、、、ほ、、本当に…ひひ」
美月が笑みを浮かべるー
”反省”するのはお前だー
「---…ふふふ、、ぼ、、ぼくぅ…
いや、、わたしぃ…いじめをしてましたぁ~!」
急に大声で叫び出す美月。
「--!?」
いじめの主犯・亮五郎が美月のほうを見る。
他のクラスメイトも美月のほうを見ているー
「反省しますぅ~~~!」
わざとバカっぽく叫ぶと、
美月は自分の制服を引きちぎり始めた。
”こんなやつ、どうなったってかまわない”
信太はそう思いながら
憎しみを込めて制服を引きちぎり、
そのまま脱ぎ捨てたー
「--な、、何してんだおまえ!」
亮五郎が顔を赤くして叫ぶ。
「----?」
生徒会副会長で、信太の幼馴染の
沙夜も、美月のほうを見ている。
「---貸して!」
近くにいた他の女子生徒から油性ペンを
乱暴に取り上げると、
美月は自分の綺麗な身体に
「わたしはいじめっ子です」と
力強く書き込んだ。
”罪”と身体中に書き始める美月。
「ひひひひひひ!クソ女…反省しろぉ…ふひひひひ」
美月が表情を歪めて笑う。
スカートを脱ぎ捨てて亮五郎たちのほうに投げると、下着姿になった
美月は、太ももや腕、あらゆる場所に
「わたしはクソ女」と書き始めたー
そして、身体中がペンで汚れた美月は、
そのまま笑いながら廊下に立ったー
「反省で~~~す!」
美月はそう呟くと、そのまま「うっ」とうめいて
その場所に倒れたー。
騒然とするクラスメイトたちー。
やがて、先生がかけつけ、悲鳴を上げる
美月は、生徒指導室に連行されたー
トイレから出てきた信太は、
そんな様子を見つめて、笑みを浮かべたー
「--僕には、力がある…」
信太は、そう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼休みに、信太は屋上に
呼び出されていたー
亮五郎と
取り巻きの自己、葉歯羽の2人がいたー。
「--やっと来たか…」
亮五郎が言う。
「--美月に、何をした?」
問い詰めるような口調。
「--…」
信太は暗い表情で亮五郎のほうを見た。
信太は、内心で笑みを浮かべるー
さっき、美月に憑依できたということは、
昨日の夜、”ローブの男”がくれた力は本物だ。
夢なんかじゃ、ない。
「飛び降りろ!飛び降りろ!飛び降りろ!」
亮五郎たちが、笑いながらコールしている。
信太は、亮五郎たちの言葉を聞いていなかったー
昨日のことばかり考えているー。
今、どういう状況なのだろうかー。
屋上のフェンスが壊れた部分を指さして笑っている
亮五郎たち3人。
おそらくはー
僕にここから飛び降りろと言っているー。
信太はそう思った。
”----力を使うのだ”
頭の中に、声が響き渡る。
「---!!」
信太は目を見開く。
そうだーーー
僕には力があるーーー。
「--飛び降りるのはお前だ」
信太は小声で呟いた。
「あ?」
楽しそうにコールしていた亮五郎が表情を歪める。
「飛び降りるのはお前だ!」
信太が大声で叫んだ。
「--あぁぁあああ???」
亮五郎が怒りの形相で叫ぶ。
「てめー!調子に乗りやがって
本当に突き落としてやるぞ! …うっ!?」
亮五郎がうめき声をあげる。
「--」
信太がその場に倒れる。
「--え?」
取り巻きの自己が唖然とする。
「--ははははははは!」
取り巻きの葉歯羽は突然、信太が
倒れたことに爆笑しているー
がーー
「---飛び降りるのは、俺だった!えへへへ」
亮五郎は頭をかきながら笑うとー
そのまま屋上からーー
笑いながら飛び降りたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
学校中が騒然とするー
1年生の亮五郎が、屋上から飛び降り自殺したのだー。
泣きじゃくる女子もいる。
男子も、放心状態の人間が何人かいる。
そしてー
信太は震えていたー
”ぼ、、、僕が…僕が…”
信太はーー
亮五郎に憑依したー
そして、亮五郎への怒りからー
亮五郎を乗っ取ったまま、
飛び降り自殺をしてしまったー
「----…ぼ、、、僕が…」
信太は震えていたー
命まで奪うつもりはなかったー
それがー
つい、勢いで…
「----」
教室を見渡す信太ー
”もう、終わりにしようー”
復讐は終わった。
美月は停学になったし、
亮五郎は死んだー。
自己と葉歯羽の二人はしょせん小物だ。
放っておけばいいー。
震えながら信太は、
自分の心を落ち着かせようと、深呼吸するのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストによるお話デス!
いじめっ子たちへの復讐は
①で終わっちゃったように見えますが…?
明日以降をお楽しみに~☆!
コメント
SECRET: 1
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
生徒会長の舛添と兄の成太が気になりますね
流石に二人が結託してる事は無いだろうけど
さて信太は落ち着いたように見えるがどうなるか
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
無様>
コメントありがとうございます~!
生徒会長もお兄ちゃんにも
ちゃんと出番がありますよ~☆
明日も楽しみにしていてください~!