いじめっ子の主犯たちに
復讐を成し遂げたー。
これからは平穏な学校生活が始まるー
…はずだったー。
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「---だいぶ、みんな落ち着いてきたみたい」
生徒会副会長で幼馴染の沙夜が呟く。
あれから3日ー
いじめの主犯・亮五郎の突然の自殺に
動揺していたクラスメイトたちも、
少しずつ落ち着き始めていた。
昼休みー
沙夜と、信太が話をしている。
「---…わたしも、びっくりしちゃったけど…」
沙夜の言葉に、信太は「うん…」と、元気なさそうに答えるー
誰にもばれるはずがない。
信太は内心でそう呟くー
手に入れた憑依能力で、信太が亮五郎に憑依して、乗っ取り、
そのまま屋上から飛び降りたのだ。
美月が服を脱いで奇行に走ったのも、信太が
憑依したことによるものだー。
だがー
信太は自分で自分の力が怖くなっていたー
美月を簡単に狂わせ
亮五郎の命をいとも簡単に奪ったー
しかもー
誰も、信太の仕業だと思っていない。
この力を悪用してしまえばー
全てを支配することだってできるかもしれない。
けれどー
信太にそんなことをするつもりはなかったー。
「-ーー僕はもう、あの力を使わない」
復讐は終わった。
これからは平穏な学校生活を送ることができる。
もう僕の復讐は終わったんだー、
信太はそう自分に言い聞かせた。
「まぁ…でも、信太にとっては良かったのかもね…
こんなこと言うと、不謹慎かもだけど、
羽村さんは停学、栗松くんはもういないんだから…」
沙夜の言葉に、
信太は一瞬、疑われているのかと不安になったが
沙夜のいつものほほ笑みを見て、安心した。
「--あ、じゃあ、僕はこれで」
信太が生徒会室から出ようとする。
「---うん」
沙夜がほほ笑む。
生徒会室から立ち去る信太をー
生徒会長の舛添が廊下の角から
見つめていた。
「-------」
舛添が信太を見つめる目には
憎しみがこもっていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・
「---あ、、あいつには関わらないほうがいいぜ」
死んだ亮五郎の取り巻きの一人だった、自己がそう呟く。
「--はははははは!びびってんのか!?ははははは!」
もう一人の取り巻き・葉歯羽はいつものようにゲラゲラ笑っている。
「じ、、自己防衛だ!」
自己は、顔を赤くしながら叫ぶー
亮五郎が死んでから、取り巻きの二人・
自己と葉歯羽は、信太に手を出さなくなっていたー。
亮五郎が信太に何かされたのではないか?と
怖がっているのだー。
亮五郎が自殺したのを、間近で見たからだー
「--ふぅ…」
信太は穏やかな笑みを浮かべる。
「--ごめんな」
クラスメイトの一人・鍵田 満(かぎた みつる)が
信太に声をかけてくる。
亮五郎たちによるいじめが始まる前、
信太の数少ない友達のひとりだった生徒だ。
いじめが始まってからは”見て見ぬふり”をして、
信太と距離を置いていたが、いじめが終わったことによって
再び信太に話しかけてくれるようになった。
満と談笑する信太ー
穏やかな日常が、帰ってきたー
ガラッ
「--!」
信太の表情が歪むー
服を脱ぎ捨てて奇行に走ったことで
停学処分になっていた陰険女子・美月が
復学したー。
美月は信太のほうを睨む。
そして、信太のほうに近づいてくると、
信太に向かって呟く。
「---あんた、、、わたしに何をしたの?」
おしゃれ好きだった美月は、
髪がぼさぼさの状態で、乱れ切っている。
「な、、、何って…」
信太は慌てるー
確かに、身体中に、マジックで、反省するような言葉を
刻んでしまったし、疑われても仕方ないかもしれないー
それにー
もしかしたら”憑依されている最中の記憶”が
残っている可能性もあるー
「---あんたが立ち去った後、
急にわたしの意識が飛んで気づいたら、あんなことに…
あんた、わたしに何かしたでしょ!?」
はぁはぁ言いながら美月が言う。
額からは冷や汗が流れているー
美月は、自分が憑依されていた間にしたことを
先生や友達から聞かされて
精神的にかなり参っていた。
「---おい!やめろよ!」
信太の友人・満が止めに入る。
「---……許さない!」
美月はそう呟くと、髪をぐしゃぐしゃに掻きむしって
自分の座席に座りー
ブツブツと何かを呟き始めたー
「---だいじょうぶか?
満の言葉に、信太は「うん…」と答えた。
「---」
信太は、美月にもう一度憑依して
自殺させてしまおうかと思ったー
だがー
信太は首を振った。
”あの力”に溺れるのは危険だー
そう思ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後ー
「---どうして、何もしなくなったの?」
いらだった様子で問い詰められているのはー
亮五郎の取り巻きだった自己と葉歯羽のふたりー。
「---い、、いやだって、、、」
自己が口を開く。
「言い訳しない!びびってんの?」
その言葉に、二人はしゅんとしてしまう。
「今まで通り、ちゃんとやってよ。
じゃないと、つまらないでしょ?」
ふたりはそれでも、前向きな返事はしないー
亮五郎の様子が突然変わって、
亮五郎が自殺するのを見てしまったからだー。
信太に何かされた可能性もあるー。
自己と葉歯羽は怯えていた。
「--許さない…
絶対に、滅茶苦茶にしてやる…」
綺麗な手を口元に近づけて、
彼女は爪をかじり始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「----最近は、、元気そうだな」
家に帰ると、ニートの兄・成太が
声をかけてきた。
「うん」
信太は笑みを浮かべる。
そんな様子を見て、成太は、
少しだけ笑みを浮かべて
部屋の中に入っていくー
ぐつぐつと謎の音が、
今日も兄の部屋から聞こえるー
兄はー
引きこもり生活の末に
”現代の錬金術”を習得したー
その力で、
闇の使途を呼び出しー
弟の信太に憑依能力を授けたー
「--信太…よかったな」
成太は呟くー
弟の信太がいじめられていることに
兄の成太は気づいていたー
必死に錬金術を習得し、
弟に憑依能力を授けたー
学校での様子は分からないが、
信太が最近元気なのはーー
いじめっ子たちをやっつけたからなのだろうー
成太は、弟のいじめ問題が解決したことで、満足そうに
ニート生活を続けるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おらぁ!先生なんかあてにしちゃだめ!」
自己が、信太の頬をぺしぺしと叩くー
「---はははははははは!」
葉歯羽が笑うー
”いじめ”が再び始まったー
「--」
信太は教室に戻るー。
「だ、、だいじょうぶか…?」
信太の友人・満はそう言いながらも
再び信太から距離を置き始めていたー
「----」
陰険女子の美月が、信太のほうを見つめて
笑った気がしたー
おしゃれっ気が全くなくなり、
髪もぼさぼさ、一人ブツブツ呟くように
なってしまった美月ー
美月は、信太への復讐心にとらわれていたー
「---ゆるさない」
信太はそう呟くー
昼休みー
信太は”寝たふり”をして
机に伏せるとー
憑依能力を発動したー
「---あぅっ!?」
美月の身体がビクンと震えるー
「許さない許さない許さない」
美月の身体を乗っ取った信太は、
鋭いハサミを手にすると、
教室で談笑している自己と葉歯羽のほうに
近づいていくー
そしてー
「はははははははは ぐぇぇぇええええっ!?」
自己と談笑していた、葉歯羽の首筋に
ハサミを思いっきり突き刺したー
噴き出す血ー
葉歯羽がそのまま崩れ落ちるー
「な、、、み、、美月さん!?」
自己が驚いて飛び上がるー
「---あっはははははははは!
わたしぃ~!いじめは許せないのぉ~!」
美月がケラケラと笑うー。
目から涙をこぼしながら笑う美月ー
追い詰められた信太の涙かー
それとも憑依されて無理やり人の命まで奪わされた美月の涙かー
それは、誰にも分らない。
「ひぃいいいいいいっ!?」
自己は慌てて逃亡するー
「あ~~~あ!逃げられちゃったぁ!」
美月が笑う。
新しく購入したばかりの制服を再び
引きちぎる美月。
「---滅茶苦茶にしてやる…!」
こいつがいるからだー。
信太はそう思った。
いじめは一度は落ち着いていた。
美月が停学明けで戻ってきてからー
再び…いじめは始まった。
胸を力強く、怒りを込めて揉みまくる。
「んあぁぁ…♡」
美月から甘い声が漏れる。
信太は美月を屈服させているような気持ちになって
ゾクゾクしたー
いじめっ子を屈服させているー
だらしないポーズをさせてみる。
美月の身体から何か液体が垂れているー
「はははははははっ…」
美月は血のついた手をペロペロと舐めながら笑った。
「わたしはもう終わりだ…!
あはははっ、あははははははははっ!」
面白くてたまらないー
美月を乗っ取った信太は思うー
そうだー
こいつのほうが主犯だったんだーと。
亮五郎を始末して
美月が停学になって、
取り巻きの二人も落ち着いた。
そう思っていたー
だが、美月が帰ってきたタイミングで
再びいじめが始まった。
中心人物は亮五郎のほうじゃなくて
こいつだったんだー
とー。
「--あはははははははっ!」
美月は悲鳴を上げるクラスメイトたちを無視して
マジックで自分の身体に
「わたしはクズです」と力強く書き込んだ。
美月の身体が痛みを感じるのを無視してー。
そして、ハサミを持って美月は、ほぼ半裸状態で
廊下に飛び出す。
身体がぶるぶる震えているー
美月の拒否反応かー
それとも単に寒いのかー
いや、歓喜の震えかもしれないー
自分をいじめたやつらをこうしてー
”これで終わりだ”
残りは、亮五郎の取り巻きだった生徒・自己のみ。
あいつを始末すればー
自己が逃げていったほうに向かう美月。
学校の生徒たちが悲鳴を上げる。
そしてー
自己が生徒会室に入っていくのが見えたー
「---生徒会室?」
美月が不審げな表情を浮かべるー
ふと、美月に憑依している信太に
生徒会長の舛添の姿が浮かんだー
信太は知っているー
生徒会長で、2年生の舛添は、
いつも信太のことを”腫物を見るような目”で
見ていたことをー。
特に何かをしてきたわけではないが
信太も舛添に苦手意識を持っていたー
「---た、、助けて…助けて…!」
生徒会室から自己の声が聞こえる。
「----葉歯羽が美月に?」
女の声が聞こえるー
「---そ、、そうだよ…!
助けて…!助けて…!みんな、みんな殺される!」
自己が叫ぶ。
「あいつが、あいつが何かしてるんだ!」
取り乱している自己。
もう、自己防衛どころではない。
「---分かったから、落ち着くのよ」
中にいる女が呟く。
「--あんなやつに、何かできるわけないでしょ。
あいつのことはわたしに任せて。」
女が自己にそう言い放つと、
自己はやっと落ち着きを取り戻す。
「--お、、俺、職員室に行くから」
自己が生徒会室から出てくるー
生徒会室の前で身を潜めていた美月ー。
美月は物影から飛び出すと、
持っていたハサミを、自己の首筋に
思いっきり突き立てたー
「---!」
「----!!」
自己が崩れ落ちるー
生徒会室の中を覗くー
そこにはーーー
副会長で幼馴染の沙夜がいたー
「--…!!」
沙夜と美月の目が合うー
「---な、、なんで…?」
美月に憑依している信太は驚くー
さっきの会話を聞く限りー
自己と沙夜がつながっていたように思えるー
沙夜は、信太にとって
幼馴染で、いじめが始まったあとも
守ってくれていた唯一の存在ー。
「--どうして…?」
美月の姿のまま、沙夜のほうを見て言う。
沙夜は、クラスメイトを刺した美月を見ても
動じる様子がないー
「---…ちょっと?何してるの?」
沙夜は、少しニヤニヤした感じで呟く。
「--あ、、、あの、幼馴染のこと…
どう思ってるの?」
美月に憑依している信太は
美月のふりをして、そう呟くー。
「---…幼馴染?信太のこと?
ふふ、今更何よ…。
あいつ、ほんっとうにキモイよね。
だから彼氏の亮五郎を使って
めっちゃくちゃに痛めつけてやってたのに」
沙夜が悪魔のような表情を浮かべる
う、、、嘘だーー
信太は美月の中で叫ぶー。
僕のことーー
そんな風にー
それにーー
いじめの主犯の亮五郎が…
沙夜ちゃんの…彼氏…?
うああああああああああ!!
美月に憑依している信太の精神が崩壊したー
「--亮五郎も、あんたも、
ほんっとうに使えないー
まるで、ごみね」
沙夜が笑うー
「--半年前ー
喫煙が見つかって、停学になりそうだった
亮五郎たちと、あんたを助けてあげたのは
誰だったか…、忘れたの?」
沙夜はくすくすと笑うー。
沙夜は、亮五郎たちの弱みに付け込んで
亮五郎たちを裏から利用し、
幼馴染の信太を痛めつけて
沙夜自身は、”信太の理解者”を装って
苦しむ信太を見て喜んでいたー
いじめの”真の主犯”だったー。
「---あ…」
美月はその場に崩れ落ちる。
信太が憑依から抜け出したのだ。
「---」
沙夜は倒れた美月を見て、
ほんと使えないクズね、と吐き捨てるように呟いたー。
教室で目を覚ました信太は
目に涙を浮かべながら笑っていたー
”みんな みんな ぶっ壊してやるー
僕は、、、、お前ら全員許さないー”
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ついに暴走…?
最終回が最終回デス~!
↑…コメント欄で教えていただいて、
後から気づいたのですが
「次回が最終回デス~」のつもりが
最終回が最終回になってました笑
(あえて消さずに残しておく無名さん)
コメント
SECRET: 1
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( ^ω^)・・・やっぱ無名さん鬼才ですわ
舛添だけはまだ謎が残るけどこう言う事だったのか
沙夜は幼馴染って事だったが昔から信太を嫌っていたのか、とか色々考えちゃうけど最期どうなるやら
後兄は良い理解者だったんですね・・・でも相変わらずな感じ案外この人が一番凄い気がする。
コレに限らず何でもだけどシリアス一辺倒じゃなくギャグ?みたいなのが挟んでたらやはり良いですね。
成太は、弟のいじめ問題が解決したことで、満足そうに・・・
で不覚にも笑っちゃいました
後どうでも良いけど最後に指摘させて
作者コメント
ついに暴走…?
最終回が最終回デス~!
コレは次回が、の間違いでは?大事な事だから2度言ったと思ってます。
次回衝撃のラスト、ぜってー見てくれよな、なんちて
SECRET: 0
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無様>
ありがとうございます~☆
会長(舛添)は、明日のお話で~!笑
作者コメント…
最終回が最終回…
うっ…笑
追記しておきました~!!!笑