憑依されてしまった彼女の冬香ー。
省吾を愛する冬香の
異常な束縛が始まった…。
省吾の運命は…!
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その日の夜ー。
省吾のLINEに何度も何度も
彼女の冬香から連絡が来たー
”ねぇ、これから会えない?”
”ねぇ、わたしの家に来てよ”
”ねぇ”
”ねぇ”
最初は微笑ましく返事をしていた省吾だったが、
次第に”どうしたんだ?”と心配になってきてしまった。
明らかに、いつもと様子が違う。
”どうかしたのか?”
省吾が、そう返事をすると、
冬香から、数秒もせずに返事が来た
”会いたいの”
とー。
”また、明日、大学で会えるじゃないか?”
省吾がそう返すと、
10秒もしないうちに返事が来た
”いま”
”明日じゃなくて、今”
そう、返事が返ってきた。
”でも、今日はもう遅いし”
省吾がそう返事をした。
もちろん、冬香のことは好きだ。
省吾も会いたい。
だが、タイミングというものがある。
夜食のレトルトカレーを口に運びながら
省吾は、スマホを見つめていた。
冬香からの返事が途切れる。
「---う~ん」
省吾はカレーを食べ終えると、
ため息をつきながら、
一人、部屋で考え事をしていた。
実家暮らしだから、あんまり夜に出かけてくる、
ということができるような雰囲気ではない。
冬香は一人暮らしだから寂しくなることもあるのかもしれない。
だが、しかしー
♪~
LINEの通知音が響き渡った。
「--ん」
省吾がスマホを見るとー
そこには、
”さみしい さみしい”と書かれていたー
そしてー
手首にカッターを押し付けて微笑む
冬香の写真も送られてきていたー
「--お、、おいっ!」
省吾は思わず叫んでしまう
「--ちょっと~どうしたの?」
部屋の外から声が聞こえる。
妹の佐奈枝(さなえ)だ。
現在高校3年生ー
省吾があまりにも大きな声を出したせいで、
驚いたのだろう。
「あ、いや、何でもない!」
省吾が叫ぶと
「驚かさないでよ~!
こっちは勉強中なんだから~」という声が
部屋の外から聞こえた。
「わ、わりぃ!」
省吾が叫び返すと、
妹は満足したのか、そのまま自分の部屋へと
戻って行ったようだ。
”な、何してんだよ”
と、省吾が慌てて返事をすると、
冬香は
”わたしだけを見て”
”ねぇ”
”わたしをもっと見て”
と、続けてメッセージが送られてきた。
”会いたい”
”あいたいあいたいあいたいあいたい”
返事をする間もなく、
次々と送られてくるメッセージ。
ついには、イヤらしい下着の写真や、
胸を見せびらかす写真まで
送られてきた。
「あ~もう!どうしたんだよ!」
省吾はそう呟くと、慌てて家から
飛び出して、冬香の家へ向かった。
冬香の家に到着するとー
冬香は、一人、壁に頭を打ちつけていた。
ゴン、ゴンと不気味な音が
家の中に響き渡っているー
「---冬香!」
省吾が叫ぶと、
冬香は目に涙を溜めながら省吾の方を見た。
「……ねぇ、、わたしを抱いて…?」
冬香の言葉に、
省吾は「どうしたんだよ…?」と心配そうに尋ねる。
しかし、冬香は
「誤魔化さないで!」と叫んだ。
「わたし、省吾く、、、し、省吾のこと、、
こんなに好きなのに、
どうして?もっともっと、わたしを愛してよ!
ねぇ、わたしを、わたしだけを見て!」
冬香が興奮した様子で泣き叫ぶ。
「--わ、、わかったよ」
省吾は冬香の方に近寄って行って、
冬香を抱きしめる。
「あぁ…しょうご…♡」
冬香は抱きしめられただけで興奮して、
その場で狂ってしまいそうなほどドキドキしたー
冬香を乗っ取った陽奈子は、
人生で一番の幸せを味わっていた。
「--これから、ずっと、わたしを見てー
わたしだけを愛してー
わたしだけのしょうごくんでいて…」
呪文のように呟く冬香ー。
「--わ、、わかった。わかったよ」
省吾は、冬香を安心させるためにやさしく呟いた。
少ししてー
冬香がようやく落ち着いたのを見計らって、
省吾は「じゃあ、また明日」と言って
帰ろうと、冬香から離れた。
するとー
冬香は、呟いた。
「もう、帰っちゃうの?」
とー
「--え。。」
省吾が振り返ると、冬香がカッターを手に持って
コツコツと音を立てながらテーブルをつついている。
「--いや、ほら、俺、実家暮らしだし、そろそろ…
ごめんな冬香。
また、明日、ゆっくり話そう」
もう、時間も遅い。
省吾が足早に立ち去ろうとすると、
冬香は泣きだしたー
「---」
省吾は振り返って目を疑ったー
冬香が、カッターで自分の手首を切りつけていたー
リストカットー
「--ふ、冬香!何をしてるんだ!おい!」
冬香の手首から血が流れる。
「--おい!何バカなことしてんだよ!」
省吾が声を荒げながらも、持っていたハンカチで
冬香の手首を止血する。
するとー
冬香は突然、抱き着いてきた。
「いかないでー…
いかないでー…」
泣きながらそう呟く冬香。
「--だいじょうぶ…。
心配するなよ。
でも、分かってくれ。
俺は実家暮らしだから1回帰らないといけないんだよ」
省吾がそう言うと、
冬香は泣きじゃくりながら、やっとの思いで頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
1時間後ー
ようやく冬香を落ち着かせた省吾は
家へと帰宅した。
「--冬香」
付き合って1年。今までこんなことはなかった。
いったい、どうしてしまったのだろうか。
考えながら歩いていると、
妹の佐奈枝が「彼女さんの家にこんな時間に行って
何をしてたの~?」とニヤニヤしている。
「--う、、うるさいな!何でもいいだろ?」
省吾が言うと、
妹の佐奈枝は「ふ~ん」とニヤニヤしながら
自分の部屋へと入って行った。
絶対何か勘違いされている気がする…
省吾は、そう思いながら、自分の部屋へと入って行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あぁ…抱きしめられた…!」
心臓のドキドキが止まらない
「省吾…省吾…うへへ…省吾…♡」
冬香は、一人になったあとも、
ずっと顔を真っ赤にして
笑みを浮かべていたー
「はぁぁぁ~」
自分の手を舐める冬香。
「省吾くんの味がするよ~ふふ、あはは、ははは!」
冬香は大声で笑いながら、
嬉しそうに床を転がりまわったー
「省吾くんがいないと、わたし、死んじゃう~!
省吾くん~省吾くん~♡」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
「っかし、カレー好きだねぇ」
今日、一緒に昼食を食べているのは冬香ではない
冬香に連絡したが、冬香から応答が無かった。
講義か、何らかの用事か…。
忙しくてすぐに応答がないことはよくあることだから
省吾は、いつも通り、食堂に一人で来ていた。
が、偶然、友人の
高宗 勇夫(たかそう いさお)と鉢合わせになったため
一緒に昼食を食べていた。
「--カレーは、俺のガソリンだからな」
省吾が言うと、
勇夫は「に、してもラーメンとか、うどんとか、かつ丼とか、
色々あるのに毎日カレーは凄すぎだろ」
と、笑いながら言った。
「--そういえばさ」
省吾が口を開く。
「ん?」
ラーメンを食べていた勇夫が手を止める。
「--彼女の様子がおかしいときってさ、
どうすりゃいいんだ?」
省吾と勇夫は、親友と言える間柄だー。
高校時代からの付き合いで、
恋愛経験があまりない省吾とは違い、
勇夫は、これまでに4人の彼女がいたー。
「--様子がおかしい?どんな風に?」
勇夫が箸を止めて真剣な表情で尋ねる。
省吾は昨日の出来事を話した。
「--そっかそっか~。
色々な可能性があるな。
ま、手っ取り早く本音を聞きだす方法があるぜ」
勇夫が笑いながら言う。
「そういうときはさ…」
♪~
LINEの通知音が鳴る。
”ねぇ、わたしを置いて昼食?”
冬香からだった。
「あ、ちょっとごめん」
勇夫の話を遮り、省吾がLINEに返信する
”忙しそうだったから、いつも通り…”
そう送ると、数秒で返事が来た。
”寂しくて死んじゃう”
「---…おいおい」
省吾がそう呟いて、
さらに返事を送る。
”なら食堂にいるから”
とー
しかしー
”わたしは省吾くんと2人きりがいいの!
東棟の第2通路で待ってるから 早く来て!
寂しくて死んじゃう!”
”い、今、カレー食べてるから ちょっと待ってくれ
俺もガソリン補給しないと”
省吾がそう返事を返すと、
写真が送られてきたー。
カッターと腕の写真だったー
「おいおいマジかよ」
省吾が呟く。
”私のガソリンは省吾くんなの”
”ガソリンないと死んじゃう”
”死んじゃう”
”死んじゃう”
”死死”
「--ーーー」
省吾は唖然とした。
だが、昨日から様子のおかしい冬香なら
本当にやりかねないと考えて
立ち上がった。
「おい!どこへ?」
友人の勇夫が言う。
「き、急用ができた!」
まだ半分も食べてないカレーをそのままにして
省吾が走り出す。
「おぉい!カレーは!?お前のガソリンはどうする?」
勇夫が叫ぶと、
省吾は叫び返した
「お前にやるよ!
俺からのプレゼントだ!」
冗談を言いながら走り去っていく省吾。
「おいおい!…」
一人残された勇夫は呟く。
「俺にラーメンとカレー、両方食えってか」
そして、カレーを見て呟いた。
「にんじんばっか、残してんじゃねーよ…!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---冬香!」
省吾が、冬香の要る場所に駆けつけると、
冬香は、カッターで壁を切りつけていたー
「あ!省吾~!」
冬香の目には涙が浮かんでいる。
「ど…どうしたんだよ!昨日から…!」
「--省吾くんがだいすきなの!
わたしがどれだけ省吾のこと好きか、分かる?」
冬香が抱き着いてくる。
”省吾くん”という呼び方が混じっていることに
省吾は違和感を感じながらも呟いた。
「ーー俺だって好きだ。
でも…こんなことされるとさ、俺も…」
♪~~
LINEの通知音がする。
勇夫か?
急に立ち去って悪い事をした、と思い、
すぐにLINEを確認する。
「--誰?」
冬香が言う。
「--え?あ、いや」
省吾は誤魔化した。
相手は妹の佐奈枝だった。
今の冬香に見せると何を言われるか…
「-----女?」
”佐奈枝”と書かれた画面を見て
冬香が低い声を出した。
「---え」
画面を覗かれた省吾が慌てて弁明しようとすると、
冬香が叫んだ。
「浮気してるの…?ねぇ…?嘘…」
「ち、違う!妹だよ!妹の佐奈枝…!」
省吾が慌てて叫ぶ
「--妹の佐奈枝ちゃんとエッチしてるの…?うそ…?
どうして…わたしが居るのに?」
目から涙をこぼしながら後ずさって行く冬香。
「--し、、死んでやる!死んでやる!死んでやる死んでやる死んでやる!」
冬香はそう叫びながら
走り去ってしまった。
「--おい!待てよ!」
省吾はどうしてそうなるんだよ!と思いながら首を振った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
冬香に会った。
「---!!」
冬香に誤解をなんとか解いてもらって
話をしている最中、省吾は唖然とした。
冬香の手首に、痛々しい傷があったのだ
「---お前…」
省吾が言うと、
冬香は笑った。
「--省吾の愛がないと、わたし、死んじゃう!えへへ」
笑いながら言う冬香。
省吾は冬香の方を見て困り果てた表情を浮かべた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夕方ー
冬香に”いっしょに帰ろう”と
言われて待ち合わせ場所に向かっている最中、
友人の勇夫から声をかけられた。
「昨日は、にんじんカレー、ありがとな」
勇夫が言う。
「--・・・あぁ」
省吾が元気なく返事をする。
そしてー
ふと、思い出した。
「そういや、彼女の異変を聞きだす方法があるって
昨日言ってたよな?」
その言葉に、勇夫はうなずいた。
「あぁ。やるか?今からでもできるぜ」
省吾は、迷わず頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ジュウウウウウ~
肉を焼く音が響き渡る。
焼肉中心の居酒屋に、
省吾と勇夫、そして冬香がいた。
「---ほ~ら!今日は俺の驕りだ~!」
勇夫が笑う。
勇夫の作戦とはー
”酔わせて本音を聞きだすこと”だった。
”女性を襲うやつの常とう手段だな”
と省吾が冗談で言うと、
”俺たちは理性を持つ肉食動物だぜ”
と、勇夫が冗談で返してきて、
その作戦を決行することになった。
冬香はあまり飲まないはずだったが、
今日はやけに良い飲みっぷりだった。
勇夫の狙い通り、
冬香はだいぶ酔っている。
「-ーーあはははは 省吾くん~省吾くん~!」
だいぶ眠そうな冬香。
それを見た勇夫が、省吾にサインを送った。
「--あのさ、冬香。
最近、なんか変だけど、何かあったのか?」
省吾が聞くと、顔を赤らめた冬香が答えたー
「--ふゆか~?
わたしは陽奈子よ~。
あんな女と一緒にしないで~えへへ」
とー。
省吾も勇夫も、その言葉を聞いて
不思議そうな表情を浮かべたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
酔って本音を吐いてしまった冬香の中にいる陽奈子。
果たして2人はどうなるのでしょうか!
コメント
SECRET: 1
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今までにないぐらい先の気になる展開デスね…
次も楽しみにしてます‼
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憑依がバレたー!?
果たしてハッピーエンドはあるのか……結末が楽しみですね
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ありがとうございます~!
最終回もぜひお楽しみください~☆
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> 憑依がバレたー!?
> 果たしてハッピーエンドはあるのか……結末が楽しみですね
コメントありがとうございます~
ハッピーエンドに…なるのでしょうか~?ふふふ