<憑依>地獄の真実②~復讐~

優しい彼女の藍那ー。

しかし、その姿は偽りだった。
彼氏の光保の死後、本性を現した彼女に、
光保は復讐を決意する。

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壊してやるー、
全て。

怨霊と化した光保は、復讐にとらわれていた。

自分をゴミのような目で見つめた藍那を
許すことはでいない。

必死に想ってくれていると思っていたのに、
彼女の愛は、優しさは全て”にせもの”だった。

そんな彼女を、許すことなど、できない。

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藍那は、裏の顔を持つ女性だった。
霊体となった光保は、藍那のことを
観察し続けて、そう確信した。

自分には見せなかった裏の顔が、藍那にはあったのだ。

光保は許せなかった。
藍那のことをー。
成仏できなくなった光保は、藍那の全てを壊してやろうと決心した。

「--おはよう!」
大学構内。

藍那が親友の女子大生・涼花(すずか)と
笑顔であいさつを交わしている。

「--まずは、脅してやるか」

「---うっ!」
ポニーテールがよく似合う涼花に
憑依したー。

ピクッと体を震わせた涼花に気付き、
藍那は「だいじょうぶ?」と不安そうに尋ねた。

「--ふふ・・・だいじょうぶ・・・よ」
自分の口から、女の声が出ていることに
光保は一瞬戸惑ったモノの、
藍那の方を見て微笑んだ。

「ねぇ、藍那、そういえば昨日の夜さ、
 ゲーセンで馬鹿さわぎしてたよね?」

涼花の言葉に、藍那は表情を少しだけ歪めた

「え?な、なんのこと?
 わたし、昨日の夜は家で・・・」

藍那は、夜の街に遊びに行くときは、
派手な格好をしている。

髪型も変え、髪を染め、
いつもと違うメイクをして・・・。

そう簡単に遠目から「あれは藍那!」なんて
気づくことのできる人はいないだろう。

「--見ちゃったの、わたし。
 なんか、悪そうな人たちと一緒に居たよね?」
涼花は言う。

その口調には、憎しみがこもっていた。
隠そうとしても、光保は藍那への憎しみを
隠すことができない。

「ーーえ・・・えっ・・・ひ、人違いだよ」
藍那が明らかに動揺している。

「----ねぇ!」
涼花は藍那を睨みつけた。

「-死んだあなたの彼氏の光保君。
 彼が知ったら、どう思うと思う?」

その言葉に、藍那は目を泳がせる。

「だ、大丈夫よ・・・!光保はもう死んじゃったから・・・!
 いつまでもクヨクヨしてたって、仕方ないでしょ!」

藍那が少し苛立った様子で言う。

「--そう?でもあなた、浮気してるよね?」
涼花はさらに、藍那を問い詰めた。

藍那は、涙を浮かべて言う。
「ね・・・ねぇ、涼花?な、なんでそんなこと知ってるの・・・?」

”隠そう”という気持ちではなく、
”何故、知られているのか”
そんな恐怖に襲われた藍那は、もはや隠すことすら忘れていた。

「---どうだっていいでしょ?
 わたし、アンタみたいな女、ゼッタイに許さない」
涼花は憎しみを込めた目で藍那を見る。

藍那は怖がって震えている。
あるいは、これも演技なのだろうか。

”許さない”
”許さない”
”許さない”

涼花の脳に、藍那への憎しみを刻み付けた。

そしてー、
光保は涼花から抜けだした。

「---ふん!」
解放されても、涼花は、刻み付けられた憎しみから、
藍那を無視して、そのまま不機嫌に立ち去ってしまった。

「---ーな、なんで」
藍那は呟いた。

「--くそっ!」
怒りの言葉を口にする藍那もまた、不機嫌そうに歩き出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー
藍那は自宅で勉強をしていた。

いつもなら、夜の街に遊びに出るのだが、
今日は大人しくしていた。涼花の件で、
藍那も警戒しているようだ。

「---」

”ごめん。今日は行けない”

藍那は、彼氏の金髪男・眞城に
そうLINEを送った。

「チッ!」
藍那はイライラした様子でスマホを
ベットに投げつけた。

光保はその姿を見ながら思う。
藍那は、こんな奴だったのか。と。

本当に、許せない。

純粋で、優しい子だと想っていたのにー。

「---お前の身体で、滅茶苦茶遊んでやるよ!」
光保はそう呟くと、今度は藍那に憑依した。

「--ひぁっ!?」
藍那が声をあげるとともに、身体を硬直させた。

そして、鏡を見て、藍那は微笑んだ。

「--シンジテタノニ・・・
 信じてたのによ!」
鏡を見て怒鳴り声を上げる藍那。

そしてー
「ふざけやがって!」
藍那は自分で自分の頭を壁に打ち付けた。

「ふざけやがって!ふざけやがって!」
何度も、何度も、壁に自ら頭を打ち付ける藍那。
藍那の額から、少し血が流れている。

「--くくく・・どうだ?痛いか?痛いよな?」
藍那は自分の口で、自分に問いかける。

自分を痛めつけているのにも関わらず、
鏡の中の藍那は笑っている。

「俺を、裏切った罰を、どんどん味あわせてやるぞ!」
藍那の表情が憎しみに歪んでいる。

そして、笑みを浮かべて藍那は続けた。

「うんー私、光保を傷つけちゃった!
 だから、何されても仕方がないの!
 ゼ~ンブ、罰を受け入れるね!」

藍那は嬉しそうに微笑む。

「くくっ・・・いい気味だぜ」

そう言うと、藍那は机の方を見つめる。

”愛してる”と文字の彫られた
ペンが机の上に載っていた。

「--くそっ・・・あの野郎・・・!」

あの金髪男・眞城から贈られたペンだろう。
光保はこんなもの、送っていない。

「--そうだ。こうしてやるぜ!」
藍那はそう言うと、
そのペンを手に持ち、アソコにそれを突っ込んだ。

「ひぅっ・・・♡ あっ♡ あぁぁっ♡」
あまりの気持ちよさに、藍那は思わず声をあげた。

男では味わえないこの刺激。

「あぁん♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」
じわじわとそこが濡れだしているのが感じる。

「あぁっ♡ わ、わたし、浮気男からもらった
 ペンで感じちゃってるぅ♡」

はぁ、はぁ、と荒い息をしながら、
藍那は大切にしているであろうペンを汚しながら
激しく喘ぎまくった。

「はぁ♡ はぁっ♡ はぁぁっ♡」

身体を激しく動かしながら、
その快感を全身で味わった。

「ふぁっっ♡ あっ♡ あぁああああああああ♡」

部屋中を汚し、
絶頂に達した藍那は、汚れまみれになった
ペンを乱暴に放り投げると、放心状態のまま
その場に横たわった。

光保は、その状態のまま、藍那から
抜け出して笑う。

「--くく・・・目覚めた時が楽しみだぜ」

程なくして、藍那の悲鳴が部屋中に響き渡った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お疲れ様です」

後日、藍那はファミレスのアルバイトに
出勤していた。

「---ねぇ、気安く話しかけないでくれる?」
藍那の先輩で、同じ女子大生のアルバイト・
春子(はるこ)が、愛想なく言う。

「え・・・あ、わ、わたし、何かしましたか?」
藍那が言うと、
春子は藍那を睨んでいった。

「--あんた、浮気女なんだってね?」
普段優しい春子の、睨むような表情に
藍那は目を泳がせた。

「--あんたみたいなビッチ女、
 わたしは認めないから」

春子はそう言って、不機嫌に藍那を睨みつけて
立ち去った。

「---よし」
春子に憑依していた光保は笑う。

”お前から、全ての居場所を奪ってやるー”

春子に”藍那への憎しみ”を刻み付けて、
光保は春子の身体から離脱した。

夜―。

藍那はスマホを確認する。

母親からLINEが届いていた。

”藍那、浮気してるってほんと?
 お母さん、そんな子に育てた覚えはないんだけど”

そう、届いていた。

もちろん、これも光保の仕業だ。
光保は藍那の関係者に次々と憑依して、
藍那を次第に追い詰めていた。

”浮気するような子は、うちの子じゃありません”

母親からのLINEを見て、
藍那はスマホを放り投げた。

「何なのよ!もう!」
藍那は怒りを爆発させて、
ヒステリックになり、部屋中のものを
投げ飛ばして、喚き散らした。

「--はぁ・・・はぁ・・・」
藍那はその場に蹲って
一人、泣き出してしまうー。

「--泣け!」
光保は、藍那を見下しながら呟いた。

「泣け!泣け!泣け!泣け!なけぇ!」
憎しみに支配された光保は、
止まらなかったー。

”今すぐ会いたいよ”
追い詰められた愛奈は、
浮気相手の眞城に連絡を入れた。

眞城は、すぐに反応した。

そしてー
ミニスカート姿で夜の街に
繰り出した藍那ー

だがーー

「うっ…!」

その途中で光保は藍那に憑依した。

「--藍那!」
眞城が、藍那が憑依されたとは知らずにやってきた。

「---」
藍那は返事をしない。

「--藍那!藍那?」
眞城が藍那を呼ぶと、
藍那は笑った。

「--ねぇ、わたしさ・・・」
藍那が不気味にほほ笑む。

「--な、なんだよ」
眞城が言うと、藍那はさらに不気味な笑みを浮かべた。

「--妊娠、しちゃった♡」

眞城のような遊び人にとっては恐怖の発言ー。
眞城は、そのまま凍りついた。

もちろん、嘘だ。

しかしー

「そ、そか、おめでと。
 あ、そうだ、俺さ、ちょっと、しばらく
 忙しくなるんだよね
 だからさ」

明らかにパニックを起こしている眞城。

「---みなさ~ん! この男、
 わたしとエッチして、妊娠させて
 逃げようとしてるんですけどぉ~!」

夜の街で、藍那は叫んだ。

「--お、おい!ふざけんな!やめろ!」
眞城が慌てる。

「--ふふ、わたしがアンタに近づいた目的はね、
 妊娠して、お金をアンタから巻き上げるためよ」

藍那が冷たい表情で言う。
悪女にお似合いだぜ、と光保は思う。

「--ふ、ふざけっ・・・
 お前、俺のことも騙してたのか・・・!」

眞城が動揺して言う。

「そうよ。わたし、わる~い女なの・・・!ふふふ・・・!」
藍那が言うと、
眞城は「ふざけんな!二度と連絡してくるんじゃねぇ!」と
叫んで、そのまま立ち去ってしまった。

「ーーばいば~い!」
笑いながら藍那は手を振る。

そして、街中で突然始まったカップルの喧嘩に集まっていた
ギャラリーに対して、藍那は叫んだ。

「変態ビッチ女の藍那です~!きゃはっ!」
馬鹿っぽいポーズを衆目の前で晒させて、
光保は藍那の中でほほ笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--うっ…何で・・・何で・・・」
藍那は部屋で泣いていた。

眞城からLINEをブロックされ、
ツイッターをブロックされ、一切の連絡が絶たれていた。

むろん、藍那には憑依されている間の記憶がない。

「---これで分かったろ。俺の地獄が・・・」
光保は、藍那を見下しながら言った。

もちろん、霊体だから、その言葉は届かない。

「ーーー」
光保は、”苦しめ”と思いながら
成仏しようとした。

しかしー

藍那がおもむろにスマホを手に取った。

「--海二(かいじ)くん!
 ねぇ、今、時間空いてる?」

成仏しようとしていた光保は唖然とした。

「こいつーーー」

唖然とする光保が見ていることも知らずに、
藍那は言った。

「-うん、今すぐ会いたいの!うん・・・うん!」

光保は悟った。

この女ー、
2股だけじゃないのかー?

あの眞城が本命じゃないのかー?

「ーーゆるせねぇ・・・」
光保の憎しみはさらに増幅した。

「--廃人になるまで、追い詰めてやる・・・!」

光保の復讐は、さらに先に、進もうとしていた。

③へ続く

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藍那さんは、とことんどうしようもない子のようです。
果たして、その結末は・・・!

明日をお楽しみに!

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憑依<地獄の真実>

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