藍那は、光保の思うような人間ではなかった。
さらなる真実を知った光保は、
決意するー。
藍那の人生を徹底的に、
再起不能になるまで、壊してやると。
そして、光保は”深淵”を目撃してしまうー。
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何が、海二くんだ!
光保はそう思った。
自分のことを必死に看病しているフリをしながら、
影では眞城とか言う男とー、
そして、海二とかいう男と浮気していたのか。
「--ゆるせねぇ!」
光保は再び、藍那に憑依した。
「くぁっ…」
藍那がビクンとなって、スマホを落とす。
そしてー
怒りの表情で、藍那は服をびりびりに
破きながら、
脱ぎ捨てた服を鬼の形相で壁に投げつけた。
「許せない・・・許せない!」
藍那は裸になると、
イヤらしい写真を自分のスマホで
大量に自撮りした。
そして、その写真を、LINEで、海二とか言う男に
送りつけてやった。
”わたしの全てを見て”
”365日24時間わたしのことだけを見て”
やばいメッセージを大量に
送りつけてやった。
ほどなくして、
海二からブロックされた。
「はっざまあみろ!」
そう言うと、藍那は「うっ…」と言って、
その場に倒れた。
「ーー苦しめ・・・苦しめ!」
光保は、呪いの言葉を吐き続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「近寄らないでくれる?」
大学では友人だった涼花に
蔑まれている。
涼花は、光保に憑依されて、
藍那への憎しみを刷り込まれた。
だからー、藍那のことを執拗に
避けるようになっていた。
「--あんたの本性、ばらしてやるから」
涼花が脅す発言をした。
藍那は、青ざめていた。
「--くくく・・・いいぞ、その顔!
もっと苦しめよ!藍那!!!」
光保は叫んだ。
しかしー
「--今から会える?」
藍那がスマホで誰かに電話した。
そしてー
「----どうした?藍那?」
茶髪の男が姿を現した。
光保も、同じ大学だから知っている。
こちらは、鎌塚 貞雄(かまづか さだお)。
大学でも素行不良で知られる男だ。
「--ねぇ・・貞雄・・・わたしを助けて?」
藍那が甘い声で貞雄に抱き着いた。
「--お、おぅ・・・」
貞雄は照れながらそう答えた。
「まさか、こいつ・・・!」
光保は呟く。
眞城、海二・・・
それだけでは飽き足らず・・・
なんて女だ!
「--わたしには、貞雄くんしかいないの・・・」
藍那が貞雄に抱き着きながらそう言っている。
そして、涼花をどうにかしてくれ、と
藍那は頼み込んだ。
「--この、悪魔が!」
光保の怒りは頂点に達していた。
そしてーー
怒り狂った光保は貞雄に憑依した。
「うげっ・・・!」
貞雄が声をあげる。
「--え、ど、どうしたの?」
藍那が狼狽えて、貞雄に声をかけた。
「許せねぇ…ゆるせねぇ!」
憑依され貞雄はそう言うと、
藍那を思いっきり殴りつけた。
「きゃあっ!」
吹き飛ばされる藍那。
「--このクソ女がぁ!」
貞雄はそう叫ぶと、倒れた藍那に
馬乗りになって、何度も、何度も、
殴りつけた。
「ーくそっ!くそっ!!くそぉ!」
藍那が血を流しながら悲鳴をあげる。
ほどなくして、
貞雄は警備員に取り押さえられた。
「くっそぉ!藍那!お前の人生、壊してやるからな!!!」
貞雄は憎しみを込めて叫んだ。
そしてー
気を失った。
藍那は周囲の大学生に支えられながら
笑みを浮かべている。
応急処置を受けた藍那は、少し休んだ後に、
大学から立ち去った。
不機嫌な様子でバイト先に向かう藍那。
「あ、藍那ちゃん?」
店長が、藍那の腫れた顔に驚く。
「--こ、こんな顔じゃ、お店に出るの、まずいですよね?」
藍那が言う。
確かにファミレスで、
殴られた顔で出るのはまずいだろう。
店長が少し考えたあとに言った。
「--ちょっと事務所で待ってて」
そう言うと、藍那は礼をして、事務所に入っていく。
光保はそれを見て笑う。
「バイトも出来なくなって・・・くくく・・・
苦しめ!」
しばらくして、店長が、事務所に入っていく。
藍那が「すいません・・・」と言うと、
店長は言った。
「藍那たん~!大丈夫だったかい~」
と。
だらしのない声で。
「は?」
霊体となった状態でその様子を見ていた
光保は、首をかしげた。
「僕の藍那たん~!
僕だけの藍那たん~!」
そう言われて、藍那は微笑んだ。
「大丈夫です。心配かけてごめんなさい。
ダーリン♪」
光保はぶち切れた。
こいつ、バイト先の店長まで・・・。
店長は、事務所に居るだけで時給つけとくから、
内緒だよ、と言った。
そして、藍那は「ありがとうございます~」と言うと、
店長にひざまくらをしてあげながら、
楽しそうに話し始めた。
ふざけやがってぇぇぇぇぇぇ!
光保は怒りを爆発させた。
店内で接客していた女子大生バイトの春子に
憑依した光保は、
接客を放り出し、そのまま厨房に向かった。
「あの・・・ちょっと!」
客が驚く。
「----」
春子はそんな客を無視して、厨房の包丁をもぎ取った。
「--は、春子ちゃん?」
他のバイトが驚いているが、
無言で睨みつけて黙らせた。
そしてー。
「にゃ~ん!」
「にゃ~ん!」
馬鹿遊びをしている店長と藍那の居る事務所に
入り込んだ。
「は・・・春子ちゃん!」
店長が驚いて跳ね上がる。
「こ・・・これはちがっ・・・、僕は春子ちゃん一筋で・・・!」
店長が意味の分からないことを言っている。
光保は思う。
こいつも浮気野郎か。
と。
「---ふざけんな!死ね!」
春子は怒鳴り声をあげて、躊躇なく店長を包丁で刺した。
そして、倒れた店長の血を手に塗りつけると、
赤くなった手で、藍那の方に近づいた。
「藍那ぁ・・・絶対に、許さないから・・・!」
歪んだ表情の春子が言う。
流石の藍那も、心から恐怖しているのか、
身体を震わせている。
「ひっ…ど、、どうして…どういうことですか!」
藍那が怯えている。
このバイト先では春子の方が先輩のようだ。
「--許さない…呪ってやる…!
ゼッタイに、、、許さないから!」
あまりの怨念が、春子の身体に伝わり、
春子の目は真っ赤に染まっていた。
「許さない…許さない…許さない!」
赤くなった手で、藍那の頬を触る。
藍那の顔に真っ赤な血が付着して、
藍那は只々、その身を震わせた。
「---や、、やめて…助けて」
藍那が懇願する。
光保はその姿を見て思う。
死んで、楽になれると思うんじゃねぇぞ。と、
まだまだ藍那に与える苦しみはここからだ。
こんなところで、楽にしてやるつもりは、ない。
「ーーうはははっ…ははははははははっ あっ…」
光保が抜け出し、春子はその場に力無く倒れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。大学で、光保は藍那に憑依した。
「--みんな~~~見て~~~!」
大学の正門前で藍那は大声で叫んだ。
そして、まるで、ショーをするかのように
身体をくねらせながら服を脱いでいく。
「うふふ♡わたしったら、こんなところで
服を脱いじゃって、変態~~!」
嬉しそうに叫ぶ藍那。
周囲の学生たちが困惑している。
大学内でも美人の部類に入る藍那の
突然のおかしな行動。
困惑しない学生は居ないだろう。
喜ぶ男子学生。
ケダモノを見るかのような目で蔑む女子大生。
そんな視線を浴びながら藍那は
喜びで体を震わせた。
「~~~っはは、どう!わたしの
身体!綺麗でしょ?ねぇ、綺麗でしょ?
ほら、もっとわたしを見て!あはははははっ!」
服を全て脱ぎ捨てたあたりで、
警備員たちがやってきた。
「~~うふふふふっ♡うふふふふふふふふ♡」
そして、そのまま藍那から抜け出し、
藍那は満面の笑みを浮かべたまま、
白目でその場に倒れた。
藍那はーーー
そのまま退学になった。
警察沙汰にしたくない大学側は通報することはしなかったが、
少なくとも、藍那はもう、大学には戻れない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
部屋で藍那が、イヤらしい格好で、
自撮りをしていた。
「壊してやる…!壊してやるっ!」
光保に憑依された藍那は、
貯金をほぼすべて使ってエロい服装を
買い漁っていた。
そして、自撮りをして、
イヤらしいポーズでそれをツイッターに、
フェイスブックに、
動画サイトに投稿した。
「くははっ!これで藍那の人生は終わりだぜ!」
大声で叫ぶ藍那。
自分の人生を滅茶苦茶にする行動をしているのにも
関わらず、藍那はとても嬉しそうだ。
「っははははは!あははははははははっ!」
大笑いしながら、藍那はその場に倒れる。
光保は離脱して、
藍那の反応を見つめる。
数分後、意識を取り戻した藍那は
泣き叫び、頭を抱えてうずくまった。
「--どうだ!この裏切り女!
まだだ、もっと追い詰めてやるぞ!」
光保が叫ぶ。
彼にはもう、復讐しか残されていなかった。
藍那は”愛してる”と書かれたペンを見つめる。
そしてー
「もう、あなたしかいない…」
と呟いて、スマホを手にした。
光保は思う。
この女、まだ他に本命が居るのか…と!
そして…
「助けて!わたし、わたし…!」と
その男に嘆願する藍那。
1時間後、その男が藍那の家へとかけつけた。
入ってきた男は、
”オジサマ”ともいえる年齢ー
40か50ぐらいの男だった。
「--藍那・・・だいじょうぶか?」
男は言う。
上から見ていた光保にはその男の顔が見えない。
「お願い…助けて…
あなたしかもう、頼れないの」
藍那が涙ながらに言うと、男は言った。
「あぁ、もちろんだよ。
藍那、わたしは君のためなら何でもする」
「--宗助(そうすけ)…大好き!」
藍那の言葉に、光保は耳を疑った。
宗助?
そして、光保は、その男の顔を見て叫んだ。
「お、、、、オヤジ…!!!!!!!!!」
藍那の本命は、光保の父親自身だった。
光保の父親は、
藍那が息子の彼女であることを知りながら、
そして、自分自身にも妻がいる身ながら、
藍那と裏で付き合っていたのだ。
「----も、、、もうダメだ…」
光保はあまりのショックに、うなだれた。
「もう、、、好きに…してくれ」
抱き合う父親と元彼女と見て、
光保は絶望した。
”もう、好きにしてくれ”
怒りも、呆れも通り越して光保は
そのまま成仏したー
信じていた彼女、
信じていた父に裏切られてー
おわり
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コメント
光保くんは、怒りも、呆れも通り越して
成仏してしまいました(汗)
相当なショックだったのでしょう…
ここまでお読み頂きありがとうございました!
コメント
SECRET: 1
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ここまで糞女だともうどうしようもないな
現実にこんなクズがいない事を祈る。
最後におやじとの仲を裂けば良かった気がするが、それでもまだ何かある感じもするなあ
どのみちこういうのは死んだあと地獄に落ちるから鬼灯さんにシバいてもらいましょ(某アニメより