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ありがとうございます!!
今回はシンリ(逆)の
数十年後のお話を書きました!
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あれから何十年経っただろう…。
彼女の雪乃がトラックに轢かれて死んだ、
あの日から…。
あの日、彼氏である吉輝も一緒にトラックに轢かれて、
彼は”臨死体験”をした。
雪乃の体に憑依して、何故だか分からないけれど、
無性にそれが心地よくて、
元々そういうのが好きだった吉輝はそのまま、欲望に
まみれてしまうところだった。
けれどー。
それは間違いだった。
雪乃の部屋はーー
”あの世への境界線”だった。
雪乃は、吉輝にそれを気づかせ、
現世に戻るように導いてくれた。
そのおかげで吉輝は、ギリギリのところで生きる力を
取り戻し、無事に、現世へと生還を果たしたのだった。
あれから、十数年が経った。
長い、
長い時が。
でも、吉輝は雪乃のことを忘れなかった。決して。
「--本当に、ありがとう」
雪乃の最後の言葉ー。
その雪乃を裏切ることなど、彼には出来なかった。
彼は、生涯独身を貫いた。
それが正しいことかは分からないけれどー。
気づくと、彼は雪乃の部屋に居た。
あのときのままの光景。
少し、”色”が抜けているような感じもする。
「----久しぶりだね」
そこには、雪乃が居た。
あのときのままー。
「---雪乃…」
吉輝が、ふと鏡を見る。
あれから何十年も経ったのに、
最後に雪乃と別れた、あの日の姿をしていた。
吉輝は笑う。
「そっか…俺も…」
そして、雪乃に向かって微笑みかけた。
「---あれから52年ーかな?
随分長生きしたよ」
吉輝の言葉に、雪乃が微笑む。
「--吉輝くんーー」
吉輝には、もう分かっていた。
自分は入院生活を送っていた。
年齢的にも、もう”そろそろ”だと思っていた。
さっきまで、いつものように、思うように動かないからだ、
思うように見えない目、耳、
そんな状態でベットに横たわっていた。
だからーー
分かる。
”2度目の臨死体験”
そして、今度はーーーー
「---今度は”扉”ないんだな」
吉輝が悲しそうに微笑む。
”あの時”雪乃に言われて、部屋から出たときは
扉があった。
でも、今度はそれがない。
それはー
”もう、戻れない”ことを意味しているー。
「---お疲れ様」
雪乃は、優しく微笑んで、吉輝にそう伝えた。
「----」
吉輝が周囲を見渡す。
色が薄れ、部屋が消え始めている。
「---はは、怖いもんだな、いざ、自分がこうなると」
吉輝が言う。
「--でも、雪乃はあのとき、一人でここに居たんだもんな」
そう言うと雪乃のほうに近づいて微笑む。
「---今度は、俺が一緒に居るよ。
だから、怖くない」
吉輝が雪乃を抱きしめる。
「---吉輝くん」
雪乃が目から涙を流す。
「--やっと、、、やっと、、、会えたねーーー」
52年も待ったー。
思えばずっと、ずっとーー。
「---あぁ、、今度は、、離さないよーー 雪乃・・・」
吉輝も、あの日からずっと
雪乃のことを追い求めていたのかも知れないー
決して届かないところに行ってしまった、雪乃のことをー。
「----雪乃、、待っててくれて、ありがとうー」
二人は、再会を喜びあいながらー
光に包まれて消えていったーーー。
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ひとつの病室で、ひとりの老人が最後の時を迎えた。
生涯独身で、家族は居ないー。
けれどー
老人は、最後の瞬間に「雪乃ー」ととても嬉しそうに微笑んだ。
担当医に、その意味は分からない。
けれども、彼にも、何か大切なものがあったのだろう。
ーー望月 吉輝ー。
彼の最後は、とても穏やかだった。
おわり
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コメント
シンリ(逆)の後日(と、言うより52年経ってる設定ですが 汗)談を
書いてみました!
個人的に独特な話の流れだったので、結構印象に残っています!
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