魔王・ダークネスに姫・パール姫が憑依された。
しかし、王国騎士のジョナスの活躍により、
魔王は打ち倒され、姫は解放された。
…かのように見えた。
しかし…王国は次第に滅びの道を歩み始めていた…
血に染まる王国の続きのお話です!
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魔王・ダークネス…
闇より現れた魔物を統べる王。
そんな魔王が、パールホワイト王国の姫・パール姫に
憑依、王国を混乱に陥れた。
しかし、それを知った王国騎士のジョナスと、
その後輩の女性騎士、アリシアが、魔王を打ち倒し、
姫を救い出した。
…かに見えた。
しかし、そうではなかった。
後輩の女性騎士、アリシア・デュルメールは、
魔王によって送り込まれたスパイだった。
アリシアと魔王ダークネスの”芝居”
ジョナスは、姫の体から、魔王の魂を追い出し、
剣ごと破壊したーーー
だが、事実は違う。
剣に封印されたのは「パール姫」本人の魂。
ジョナスはそうとも知らずに、姫の魂を砕いてしまった。
そして、その事実を知らないまま、ジョナスは
姫と結婚し、子供まで授かってしまう。
魔王ダークネスの目的、それは…
魔族と人間のハイブリッドー、
究極の生命体を生み出すことー。
さらに、アリシアは、隣国の女王、メリウス姫に
自らの邪気を植え付け、メリウス姫を暴走させた。
暴走し、邪気に支配され、王国を襲撃する
メリウス姫。
それを迎え撃つジョナスー。
王国が血に染まる瞬間は、
確実に近づいていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇ジョナス・グレンデル
王国騎士。姫に憑依していた魔王ダークネスを
倒したかに見えたものの…。
姫と結婚し、子供を授かる。
〇パール姫
王国の姫。魔王ダークネスの憑依から解放されたかに
見えたものの、実際は現在も憑依されており、
人間と魔物のハイブリッドである赤ん坊を生もうとしている。
〇アリシア・デュルメール
後輩の女性騎士。小さい頃に両親に捨てられて、
魔王ダークネスに拾われた過去を持つ。
ダークネスの指示で、王国騎士として潜入している。
〇メリウス・クヌーデル
隣国の姫。心優しい性格だったものの、アリシアに闇を
植えつけられ、暴走してしまう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あはははははははっ!!!消えろ!
全部、全部、無くなってしまえ!」
穏やかな隣国の姫、メリウス姫が
狂気の表情で、笑う。
「---メリウス姫!
くそっ、一体これは・・・」
メリウス姫が豹変して、パールホワイト王国を襲撃するなど…
「--先輩、一度城に引き上げましょう」
後輩騎士のアリシアが言う。
「--いや、ダメだ。
それではパール姫が危険だ。
…ここで、食い止める!」
ジョナスが剣を抜く。
「・・・・・」
アリシアがジョナスに気づかれないように
冷たい目線でジョナスを見つめた。
暴走したメリウス姫が
王宮まで攻め入れば、魔王ダークネスに憑依されている
パール姫は必ず、赤ん坊を予定より早く”強制出産”する。
魔族と、人間の血の混じった、
究極の生命体をー。
けど、不完全な状態で出産すれば、パール姫の体は
酷く衰弱するー。
衰弱した姫を、魔王ダークネスごと葬り、
アリシアが、究極の赤ん坊を従え、
世界を掌握するー。
「---」
メリウス姫がジョナスに押されている。
さすが王国騎士最強とも言われるジョナス。
「--先輩、ダメですよ?
そんなに頑張っちゃ」
アリシアが小声で呟き、
邪悪な笑みを浮かべると、
更なる”闇の力”をメリウス姫に送り込んだ。
「んぐっ…ごっ…ああああああああああっ!」
メリウス姫が目を見開いて、更なる闇の力を発揮する。
「----こ、、これは!」
ジョナスが驚いて、メリウス姫を見る。
まるでマリオネットのように
力無くゆられる体。
だが、メリウス姫は不気味に笑っている。
「--これ以上は危険です先輩!
一度、城に戻り、体制を立て直しましょう!」
アリシアが言うと、
ジョナスは「くそっ…そうするしかないか」と
言って、城のほうに引き上げた。
走り去るジョナスの後姿を見て、アリシアは笑う。
「バカばっかり…うふふふふふ…
魔王も、先輩も…。
--すべて、私の思い通り!」
アリシアの横に、闇に包まれてゾンビのように
ゆらゆらしているメリウス姫が立っている。
「---もっと…もっとよ!
パール姫を追い詰めなさい!
そうすれば、必ず魔王ダークネスは
赤ん坊の出産を早める…!」
出産を早めれば、パール姫…
そう、憑依している魔王ダークネスは酷く衰弱する。
その、タイミングで…。
アリシアがメリウス姫にさらに闇の力を送り込む。
「いいいいいぎぎいぁああああああああ!」
メリウス姫が頭を抱えて悲鳴を上げる。
綺麗な髪も、ドレスも乱れきっている。
「あぁあああああああああああっ!」
メリウス姫の目から涙がこぼれるー。
それをアリシアは笑いながら見つめ、
さらに闇の力を注入していく。
目からー
鼻からー
耳からー
メリウス姫の中に闇が入り込んでいく。
「----ぐがあああああああああああ!」
メリウス姫は飢えた獣のように王宮へと走っていった。
「---さぁ、回して、運命の歯車をー。
私のために」
アリシアはそう呟くと、
いずこかへと立ち去った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「姫!」
王宮に入ったジョナスが、パール姫の下へたどり着く。
「ジョナス…!何事です?メリウス姫は?」
パール姫の表情に焦りが浮かんでいる。
「それが…溢れ出る闇の力に押され…」
ジョナスが言うと、パール姫が叫んだ。
「ーーー役立たず!」
パール姫の言葉にジョナスは違和感を感じる。
「姫…?」
「--…な、なんでもありません。
私とあなたの子を危険にさらすわけにはいきません」
魔王ダークネスは平静を取り戻して
姫の演技をする。
「--はい」
ジョナスが言ったそのときだったー。
「ひははははははははっ!あははははははは!」
メリウス姫の声がした。
「---くそっ!」
ジョナスが振り返ると、そこには、メリウス姫の姿があった。
破れかけたドレス。
キズだらけの体ー。
ここに来る前でに兵士との戦いで負った傷だろう。
もう、ぼろぼろだ。
「ぜんぶぅぅぅ、ごわしてやる!!!」
メリウス姫が言うと、ジョナスが剣を構えた。
「は…早く!そいつを斬り捨てなさい!」
パール姫が叫んだ。
「ひ、姫…?」
ジョナスはパール姫の過激な発言にも違和感を感じる。
しかし、今は目の前のメリウス姫を静めなくてはならない。
「姫…どうして!」
剣と剣がぶつかりあう。
「きぃぃぃぃぃぃぃ!壊してやるぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
もはや”女”としての美しさや気品など微塵もない
メリウス姫がただひたすらに暴走する。
「--くそっ…」
あまりの強引な攻撃に、ジョナスも押されていく。
「-------」
パール姫はイライラした様子でそれを見ていた。
魔族と人間の混成体である
究極の赤ん坊の出産を邪魔されるわけには行かない…!
パール姫が赤く目を光らせて、
出産を強引に早めた。
「くくくくく…仕方が無い…」
冷や汗をかきながら、ジョナスに見られないように、出産を始めるパール姫。
魔王の子ーーー。
人間の子とは違い、魔王ダークネスの指示に従い、
”自ら”外へと出始めた。
「----ぎひぃあっ!」
メリウス姫の剣が飛ばされる。
「---終わりです。メリウス姫!」
ジョナスが剣を突きつける。
「がああああ、、ああ、あああああああああっ!」
胸をかきむしるようにして、苦しみ始めたメリウス姫。
目からは赤い涙が流れている。
「---こ、、、これは一体」
あまりの光景にジョナスが言葉を失う。
「ぐぼおおおおおおおおおおっ!」
メリウス姫が口から、大量の邪気を吐き出して、
口の許容量を超えて、溢れ出た闇に、メリウス姫の
口元は無残に引きちぎられ、その場に倒れる。
「---姫!」
ジョナスが思わず駆け寄るが、既にメリウス姫は…
「ヴぉおおおおおおおおおおおおおおーーーーー」
この世のものとは思えない泣き声が聞こえた。
ジョナスが驚いて振り向くと、
そこにはーーー
「----姫…!?」
パール姫が”出産”を終えて、
苦しそうに邪悪な笑みを浮かべていた。
そこには黒き翼を持つ、赤ん坊がーー。
「----こ…これは」
ジョナスが唖然としていると
パール姫が邪悪な笑みを浮かべた。
「---愚かな人間だ」
パール姫が本性を現した。
髪飾りやアクセサリーの類を引きちぎるようにして捨てて
笑うパール姫。
「--まさかお前は!」
ジョナスが叫んだ。
「--そう、我は魔王ダークネス!」
パール姫が高らかに宣言すると、姫の目が赤く光った。
黒き翼を持つ赤ん坊が、
この世のものとは思えぬ笑い声をあげる。
「---くそっ!姫は…姫はずっと憑依されていたのか!」
ジョナスが叫ぶと、
パール姫は不気味な笑みを浮かべた。
「そうだ…
お前との行為…気持ちよかったぞジョナス・・・
くふふふふふふっっ」
笑うパール姫。
その笑い方には、気品のかけらも無かった。
「---お前がそこの無様な姫を
城の外で引き止められなかったから、
予想外の出産となったが…。
女子の出産とはなかなかつらいものだな」
パール姫が自分の体をなでながら言う。
「--姫は、姫はどうした!」
ジョナスが言うと、パール姫は笑った。
「--あのとき、お前が壊したのは、
我の心ではなく、パール姫の心。
もう、このからだは我のものだー!
パール姫の心はもう、この世にはない!」
パール姫の言葉に、膝を折るジョナス。
「-----う、嘘だ…」
「嘘ではない、これは我と
そして我が送り込んだ、忠実なるしもべ、
ア・・・・・・・・・」
突然、姫の声が止まった。
ジョナスが顔を上げると、
姫の口に、小刀が突き刺さっていた。
「ひっぐ…い、、、いぎぁやああああああああ!」
パール姫が口から血を流し、
パニックを起こしていた。
ジョナスが振り返ると、王宮の中に、
後輩騎士のアリシアが入ってきていた。
「--先輩!」
そう言うと、アリシアは、変わり果てた姿のメリウス姫を
少し見つめると、剣を抜いてパール姫のほうに向かう。
「--ぎ…ぎざ…う、、、裏切ったのか…!」
パール姫が口元を押さえながら剣を抜く。
だがー、
予測外の早期出産で体の力を使い果たしていた。
すぐに、アリシアのフェンシングスタイルの剣技が、
パール姫の体を引き裂いた。
「ぐぶっ…」
パール姫がからだを押さえながら苦しみの声をあげる。
「--ま、待てアリシア!まだ姫を助けられる可能性が!」
ジョナスが叫ぶと、
アリシアは振り返って微笑んだ。
「--甘いですよ 先輩。
姫はもう死んだんです。
あのとき、先輩は、姫の心を砕いてしまった・・・」
アリシアが悲しそうに言うと、
魔王が憑依したパール姫のほうを見た。
ジョナスから見えないその整った顔立ちはーー
邪悪な笑みでゆがみきっていた。
アリシアは小声で呟いた
「死ね…」
パール姫が、アリシアを睨む。
まるで、
”お前に力を使いこなせるのか?”とでも言いたげだった。
アリシアの剣がパール姫を切り裂く。
「----アリシア!」
ジョナスが叫んだ。
だがー、
アリシアはもう本性を隠そうともしなかった。
「ふふふふふふっ!先輩!ついにこのときが来ましたよ!」
アリシアが表情を歪める。
「--アリシア… きみは一体?」
ジョナスが唖然とした様子で言うと、
アリシアは自分が、両親に捨てられ、魔王に拾われたこと。
魔王に育てられ、スパイとしてパールホワイト王国の騎士に
なったこと、
けれども魔王に従うつもりはなく、
魔王が生もうとしていた究極の子の力を奪って
自分が世界を支配するつもりであることを明かした。
「ーーそんな!アリシア!嘘だと言ってくれ!」
目にかけていた後輩騎士の裏切り。
ジョナスは悲痛な叫びを上げた。
姫のなきがらの側で、
何が起きたのか分からない様子でウロウロしている
赤ん坊ー。
魔王と人間のハイブリッドー。
その力を得れば・・・
「--先輩、わたし、あなたのこと、
好きでした。
---先輩騎士としての憧れ
---そして、女として…。」
アリシアがジョナスを真剣な目で見つめる。
「--先輩、わたしと2人で、
世界を変えましょう。
わたしは、魔王ダークネスとは違う。
あの赤ん坊の力を手に入れて、
世界を”統制”したいんです。
…より良い形にね」
アリシアが言うと、
ジョナスは反論した。
「--統制?聞こえはいいかもしれないけど、
魔王と同じじゃないか!」
ジョナスの言葉にアリシアは首を振る。
「違う!人間は愚かなのよ!
分からないの?
先輩!
わたしは”不適合”な人間を消して、
”優れた人間”だけを残すのー。
ーー正しいことにこの力を使うんですよ!」
アリシアの言葉に、
ジョナスは叫んだ。
「---正しいこと?それは君の勝手な正義だ!」
ジョナスがアリシアに剣を向ける。
アリシアが舌打ちして、フェンシングの構えをする。
「----!!」
アリシアはジョナスの予想以上に早かった。
「先輩、わたしがいつも本気を出していたと
お思いでしたか?クスクス…」
ジョナスはアリシアの素早い剣技に翻弄され、
成すすべもなく、剣をはじき飛ばされた。
「---先輩は、そこで黙ってみててください」
そう言うと、アリシアは剣をしまって
赤ん坊のほうを見た。
「---さぁ、私に力を与えなさい!」
アリシアが言う。
魔族に残る伝承ー。
赤ん坊に”親”と認識されれば
その力を分け与えられるー
というもの。
「---!?」
アリシアは驚いて自分の体を見る。
赤ん坊から、突如現れた触手のようなものに貫かれていた。
「----な…」
アリシアが驚いて、苦痛の表情を浮かべる。
「うまそうだぁああああぁああああああああ!」
赤ん坊がこの世のものとは思えぬ不気味な声で
叫ぶと、
アリシアのからだから”養分”を全て吸い取りー、
巨大な悪鬼へと変貌した。
恐怖に目を見開いたまま、アリシアだった、
ボロ切れのようなものが床に横たわる。
「---こ、、、これは」
赤ん坊だったものが、王宮の天井を突き破り、
巨大化していく。
「--くそっ、化け物め!」
ジョナスはバケモノに剣を向けた。
残っていた王国騎士たちもジョナスに続くーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現代にも、
わずかながら、パールホワイト王国に関する
記述が残っている。
そこには、
こう記されていた。
”繁栄した王国は一夜にして”血に染まった” ”
ーーーと。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
血に染まる王国、の物語が中途半端だったので
しっかりと完結させてみました!
バケモノとの戦いは、憑依が全く関係ないので、
あえて触れませんでした^^
コメント
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RPGものですね!!!
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> RPGものですね!!!
そうです!そんな感じです!!