コンビニ店内で暴れた朱里ー。
果たして朱里を待つ運命はー?
コンビニバイトの悲劇、最終回!
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俺は目を疑った。
今日はバイト上がりの朱里とそのままデートに行く予定になっていた。
だから、こうして30分前にコンビニやってきたのだ。
だがーーー
何だこれはーーー
コンビニの店内はまるで誰かが暴れたかのように無茶苦茶だ。
弁当は散らかり、
棚は全て倒されている。
そして、その中心に、
乱れきった朱里がいる。
髪は乱れ、
服は汚れている。
手には切り傷が出来ており、血も流れている。
「---何見てるの?」
目の前の朱里が言う
「お…おい、なんだよこれ?
大丈夫か?」
俺は問いかける。
強盗かーー?
強盗と争ううちに、手に傷を作ってしまったのか・・・?
「大丈夫~~?フフフ…
私は大丈夫よ♪
今、すっごい良い気分なの!」
朱里は満面の笑みで言う
俺は戸惑った。
何だ??
強盗ならば、こんなご機嫌そうにしているワケが無い。
ではこのコンビニのありさまは??
「おい、朱里、手から血が…」
血が床に垂れている。
とりあえず、朱里にそのことを伝える。
しかし、朱里は気にも留めず言う。
「あはは、、別にいいじゃない、
私は困らないし?」
そう言うと、服で乱暴に血をふき取った。
「お、、、おい!何してんだよ朱里!」
俺はたまらず、朱里に近づいて腕をつかんだ。
「止血しないと」
俺がそう言い、ポケットからハンカチを取り出すと、
突然、朱里が俺にキスをしてきた
「んっ…」
そのまま朱里が舌を俺の口に入れ込む。
俺はあわてて朱里を振り払った。
「おい、ここどこだと思ってるんだよ!」
だんだん俺も苛立ってきた
「どこって?コンビニじゃない
恨んでも恨んでも足りないコンビニ。
だからこうやってぶっ壊してやったの♪
凄いでしょ?」
朱里はそう言うと、俺に可愛らしくウインクした
そういえば、酒の匂いがする
「おい・・・朱里、まさか酔って?」
俺が恐る恐る聞くと、朱里は微笑んだ
「お前・・・どうしちゃったんだよ・・・おい!」
俺は朱里の肩をつかんで揺さぶった。
「・・・うっせぇんだよ!」
突然、朱里が大声で怒鳴った。
「あ・・・朱里・・・?」
うろたえる俺を見て、朱里は笑う
「お前、本当に馬鹿だな、
教えてやるよ。
今、この女はな、俺に体を乗っ取られてんだよ。
だから、こうして、コンビニをぶっ壊したりすることも
できるってことだ」
朱里が可愛らしい声で乱暴な言葉を口にする
朱里が乗っ取られている
そんな馬鹿な?
「・・・言葉もでねぇか?
信じられねぇってツラだな おい」
朱里が俺を睨みつける。
こんな朱里の顔は見たことが無い
「・・・この女も可哀想にな。
俺はこのコンビニに復讐しようと思ってた。
でよ、バイト一人になるのが今日だけだったってわけよ。
で、たまたまコイツがその一人のバイトだった。
誰でも良かったんだよ。
コンビニに復讐できればな」
そう言いながら、朱里がタバコに火をつける
「おい、やめろ!朱里を返せ!
朱里の体でたばこなんか吸うな!」
俺は必死に叫んだ。
朱里がこんなことするはずがない。
と、すれば朱里は本当に・・・
すると朱里が狂ったように笑い始めた
「安心しろよ、もう出てくよ、言われなくてもな。
もう次のバイトの子二人が店に来るころだ。
面倒ごとはごめんなんでな」
朱里はニヤついた顔で俺を見る。
俺の事を心底見下している。
あの優しい朱里がーー
こんな顔をするなんてーーー
「あ~~~楽しかった!
朱里 大満足♪」
朱里が可愛らしいしぐさで飛び跳ねる
「や・・・やめてくれ!朱里をもてあそぶな」
「あ~~~~~うぜぇ」
朱里が髪を狂ったようにかきむしる。
整っていたロングヘアーはもはやボロボロだ。
「じゃ、望み通り解放してやるけどよ・・・
この状況、どうするのか、楽しみだな!」
そう言うと、笑みを浮かべていた朱里の笑みが消え、
朱里がその場に倒れた。
こぼれているジュースの上に朱里はうつ伏せに倒れてしまう
「---ちょっと、何これ」
店の入り口の方で声がした。
次のバイトの子だ
「うっ・・・」
朱里が目を覚ます
「お、、おい朱里?」
俺が朱里を呼びかけると、
朱里が周囲を見渡す
「え・・・え??何これ・・・え??
私・・・あれ???」
朱里が混乱している。
自分の手の出血を見た朱里が悲鳴を上げる
「イヤッ・・・え??イヤッ・・・何これ!」
俺は朱里を抱きかかえた。
俺にはほかにーーーどうすることもできなかった
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翌週。
俺はあのコンビニを訪れた。
しぶとく営業してやがる
あの朱里とかいう娘を乗っ取った時、シフト表を
確認しておいた。
あのままなら、また今日もあの娘がいるはずだ。
だが、店内をのぞいても雪村朱里の姿は無かった。
俺の憎き店長と男のバイトしか見えない
「・・・朱里ちゃん、どうしちゃったんでしょうね」
男のバイトが口を開く
「・・・困った娘だよ。
あんなに暴れるなんて。
しかも、何も覚えてないなんてな・・・」
店長がそう呟く。
俺はーー
コンビニの前から立ち去った。
あの娘には恨みはないが、仕方のないことだ。
あの日いたのがあの女だった。
ただ、それだけのことだ。
だが、、思ったよりコンビニは堪えてないようだな。
また、次を考えるとするか。。。
男の手には”憑依端末”が握られていた・・・
完
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