<憑依>コンビニバイトの悲劇 ~1周年記念~

憑依空間は1年前のちょうど、今日、
始まったサイトです^^

今日で1周年。
ここまで来れたのも皆様のおかげです。
ありがとうございます。

今日は憑依空間最初の小説、
コンビニバイトの悲劇のリメイクバージョンを書きました!

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「---明日から来なくていいよ」
3か月前、店長からそう告げられた。

営業中に、レジの差異が発生したのだ。

彼は、お金を盗んでなどいない。

けれども、店長は元々、彼との折り合いが悪かった。
だから、店長は一方的に彼を犯人だと決めつけて、
彼を解雇した。

「--ゆるせねぇ」

元コンビニ店員の
塚地 卓夫(つかじ たくお)は、
無実の罪で解雇された。

濡れ衣を着せられて。

バイト先の店長は
好き嫌いが激しい店長だった。

一番のお気に入りは、女子大生バイトの雪村 朱里(ゆきむら あかり)

そして、自分は一番の嫌われ者。
その待遇の差は明らかだった。

「--ふざけやがって…」
卓夫は、この3か月で復讐の準備を整えた。

裏ルートで手に入れた薬、憑依薬。

これを使って、全てをぶち壊しにしてやる・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

深夜のコンビニ。
このコンビニでは、深夜になるとほとんど
来客もなく、正直に言えば、暇だった。

「今日も誰も来ないね…」
女子大生バイトの雪村 朱里が言う。

可愛らしい容姿で、程よい清潔感のある
スタイルの良い美人な朱里。
大学でも人気の彼女。

けれども、本人は気取ることなく、
誰にでも優しいため、周囲からも慕われていた。

バイトでもそうだった。
店長も、朱里のことは大のお気に入りで何かと
優遇している。

「--そうですね」
後輩の大学生バイト、倉野 光也(くらの みつや)が言う。
気弱な感じの男子大学生だ。

「--そろそろどっちか休憩に行く?」
朱里がほほ笑むと、
光也は顔を赤らめて「ゆ、雪村さん先にどうぞ」と
呟いた。

朱里は「私でいいの?わたしもどっちでも大丈夫だよ」

とほほ笑んだ。

「---はい、大丈夫です」
光也が言うと、朱里は、レジのお金の計算を始める。

「じゃあ、計算の時間だから
 これが終わったら休憩貰うね!」

と言いながら朱里がお金を数えていく。

店長の方針により、レジの金額確認を
数時間に1回、行うことになっていた。

朱里が、いつものようにレジのお金を数えている。

そんな朱里の横顔を見ながら
光也は思う。

「可愛いなぁ…」と。

光也は、朱里のことが好きだった。
けれどー
臆病な光也は告白もできず、無駄に時間を過ごしていた。

いや、むしろー。
告白する気はなかった。
間近で朱里を見ることができているだけでも…。

「ひっ…!?」

ガシャ!

朱里がよろめいた。

「--雪村さん?」
光也が心配そうに尋ねる。

朱里はレジを開いたまま、
レジのお金を見つめて固まっている。

「---あ、あの…」
光也が言うと、朱里が口を開いた。

「…ゆるせねぇよなぁ…」

朱里が小声で言った。

「え?今、何て?」
光也が尋ねると、
朱里は叫んだ。

「許せねぇよなぁ!!!!!!!」
レジを力強くたたくと、
その衝撃で小銭が周囲に飛び散った。

「---ゆ、雪村さん?」

光也が唖然として朱里の方を見る。

朱里はロングヘアーの髪を乱暴に
掻き毟りながら舌打ちしている。

「--ふざけやがって…!
 こんなコンビニ…潰れてしまえ…!
 俺が…滅茶苦茶にしてやる・・・!」

朱里が怒りに満ちた表情で吐き捨てる。

朱里は、不当に解雇された卓夫に憑依
されてしまっていた。

「くくく…店長の一番お気に入りの女で、
 この店を壊してやるぜ」

光也が恐怖におびえた表情で朱里を見る。

「---」
朱里はふと思いついたように光也を無視して
レジから出ると、事務所の方に向かった。

「ゆ、雪村さん!待って!どうしたんですか!」
光也が朱里に近づくと、朱里は乱暴に
光也を振り払った

「どけ!!!」

朱里の乱暴な口調…。
普段絶対に怒らない朱里の怒声を聞いて、
光也は震え上がった。

事務所に入った朱里は
店長の机を蹴り飛ばした。

「ふざけやがって…!
 ふざけやがって!!!」

何度も何度も、可愛らしい朱里が
暴言を吐きながら机を蹴り飛ばす。

「はぁ・・・はぁ・・・」
鏡を見る。

そこにはー、
雪村 朱里の姿。

憑依している卓夫は、不覚にも興奮した。

「---俺…雪村さんに…」

卓夫は思う。
せっかくなら…
楽しみながら復讐するか、と。

「---おれ… ううん、
 わたしは雪村 朱里…
 今からこのコンビニに復讐するの♡」

わざとあざといポーズをとりながら言う朱里。

「--ふふ、わたしが
 ぜ~んぶ、メッチャクチャにしてあげる」

そう言うと、朱里はロッカーから自分の私服を取り出した。

制服を脱ぎ捨て、
自分の服に着替える。

程よい長さの清楚なスカートと
ブラウス姿だった。

「--ふ~ん・・・かわいい!」
そう言うと、朱里は、店長の机を蹴り飛ばして、
店舗に戻った。

光也がレジで不安そうな表情を浮かべている。

「---ごめんね、さっきは怖がらせて」
朱里はいつもの調子で優しく話した。

「は・・はい・・」
光也の手が震えている。
怖がっているようだ。

「---今からわたし、
 このお店に復讐するの!!」

朱里が嬉しそうに言うと、光也は
戸惑った様子を浮かべる。

「うふふ・・・アンタはそこでじっとみてなさい!」

そう言うと、朱里は弁当売場の弁当を手に取り、
床に思いっきり叩きつけた。

そして、足でそれを踏みにじる。

「くふふふふ…
 許せない…♡ ゼッタイに許せない!」

弁当の中身が飛び散るのも
お構いなしに朱里は弁当を踏みにじった。

「ちょ…雪村さん!」
光也が叫ぶ。

「うっさいわね!黙って見てなさい!」

そう言うと、朱里は次々と弁当を
取り出し、床に投げたり、壁に叩きつけたりした。

具材が朱里の清楚な服を汚していく。

けれども、朱里はお構いなしで、次々と商品を
グシャグシャにしていく。

「---うふぅ…♡」

スカートについたケチャップを指でとり、
美味しそうに舐める朱里。

ペロペロと、イヤらしくケチャップを舐めていく。

「--や、やめてください!
 どうしちゃったんですか!」
光也が朱里の腕をつかんだ。

「--離しなさい」
朱里が命令口調で言う。

「---いやです!どうしてこんなこと」
光也は思うー。

朱里は無事では済まない。
弁当を十数個ダメにした。

店長は起こるだろう、と。

「---離せ」
朱里が舌打ちして、まるで不良のように
低い声で言う。

「---い、、いやです…」
光也が言うと、
朱里は舌打ちして、足で光也を蹴り飛ばした。

「ぐあっ!」
光也があまりの痛みに倒れてしまう。

光也の手を踏みにじる朱里。

「くくくくくく…!」
グリグリと可愛らしい靴で、光也の手をいためつけていく。

その時だったー。
店内に客が入ってきた。

「ーーーーー!!」
おばあさんが驚いた表情を浮かべている。

「----」
朱里は邪悪な笑みを浮かべて振り向いた。

「おい!見せモンじゃねぇぞ!くそが!
 とっとと出て行きやがれ!」

朱里が大声で怒鳴ると、おばあさんは驚いて退散した。

「……ゆ、、、雪村さん!
 どうしちゃったんですか!」

光也が必死の形相で叫ぶ。

あり得ないー
真面目で優しい朱里がこんな…

「--どうして?
 うふふ・・・復讐よ♡
 わたし、このお店に復讐したいの!」

そう言うと、朱里は近くにあったワインを手に取り、
そのままそれを飲み始めた。

「---ちょっ!?」

朱里がワインを一気に飲み干すと、
その空き瓶を投げ捨てて「ふぃ~~~」と言いながら
顔を赤らめて微笑んだ。

「はぁ~あ、これはやばいかも♡
 明日、二日酔いじゃすまないかな…?

 でも、ま、いっか!
 わたしのからだじゃないし!」

そう言うと、朱里はお菓子売り場の棚を乱暴に押し倒した。

「おらぁ!」
朱里が、可愛い声を店内に響き渡らせた。

「くそが!」
朱里が次々と棚を倒していく。

散乱するお菓子ー

「---バカにしやがって!」
朱里は棚を倒す最中に手を怪我してしまう。

けれども、朱里は止まらなかった。

復讐心に支配され、
からだも心も、支配されている朱里には
どうでも良い事だった。

手の甲に、ワインの空き瓶が刺さっている。

「---」
朱里は無言でそれを引き抜くと、
舌で自分の血をペロペロと舐めはじめた。

「--お、、お願いですから!やめてください!」

光也が叫ぶ。

朱里は「うるせぇよ」と言うと、
光也に唾を吐き捨てて、さらに店内を滅茶苦茶にしていく。

怒声の響き渡る店内。
朱里が優しい表情を憎しみに歪めて
大声で怒鳴り続けている。

まんじゅうもー
おでんもー、
ホットスナックも滅茶苦茶だ。

「はぁ~~♡ さいこう♡」

朱里は自分のからだを抱きしめて
興奮しきった様子で、叫んだ。

甲高い声を出して
「ふぅ~~~♡」と嬉しそうに叫んでいる朱里。

光也は目を疑った。
そして思った。

これは、夢だ、と。

朱里がこんなことするはずない。

「---ゆ、雪村さん…手から血が!」
光也はたまらず叫んだ。

しかし、朱里は言う。

「いいの!こんなの舐めとけば治るから…!」

そう言うと、朱里は自分の手をペロペロと
狂ったように舐めはじめた。

「ほらほらほらぁ!ペロペロ舐めとけば
 血なんか止まるのよ♡」

朱里が唾液まみれになった手をかざして笑う。

けれど、すぐにまた血が出てくる。

「面倒くせぇな!!」
朱里は白いスカートで雑に血をふくと、
汚れまみれの格好でさらに店を荒らし始めた。

「--け、警察を・・・」
光也は警察沙汰にはしたくなかったが
もう無理だと判断した。

警察に連絡しようとする光也。

しかし…。

「--おいおい、シケたことすんじゃねーよ!」
朱里が叫んだ。

「--いいのかよ!?この女、
 俺が憑依して操ってるだけだぜ?」

衝撃の事実が朱里の口から明かされて
光也は凍りつく。

「え…」

「---俺だよ。3か月前に首になった
 塚地だよ。覚えてるか?」

朱里が笑みを浮かべながら言う。

「--う…嘘だ・・・!」
光也がおびえた表情を浮かべる。

卓夫はよく、光也のことをいじめていた。
それゆえ、びびっているのだ。

「雪村さんは俺にからだを乗っ取られてこうやって
 好き勝手されてるだけさ!

 興奮するだろ!?いつも真面目でおしとやかな
 雪村さんがこんなことしてるんだ!
 いや、俺にさせられてるんだ!」

朱里が狂ったように笑う。

「---…許せない」
光也が叫んだ。

そして、朱里に突進する。

けれど、朱里は、素早い身のこなしで
光也を逆に抑え込んだ。

「うふふ・・・もしかして、
 わたしのことが好きなの?」
朱里が見下しながら言う。

「----ふ、、、ふざけるな…
 雪村さんに……なんてことを!」

気弱な光也が、怒りのまなざしで
朱里を見る。

「ふぅん…そんなにわたしが好きなんだ。
 ムキになっちゃって…

 でも、、、そういうの…うざい!」

朱里が叫ぶと、
朱里はその場で服を引きちぎり始めた。

「--あんたの目の前でわたし、
 ぶっ壊れちゃうことにしたわ!
 うふふふ・・・
 好きな子が、一人で狂っていく姿
 みせてあげる♡」

朱里が嬉しそうにからだをくねらせながら、
服を引きちぎっていく。

そして下着姿になった朱里が、その状態で
コンビニのカウンターに座って足を組み、
タバコ売り場から煙草を取り出し、
ライターで火をつけた。

「うふふ・・・
 どう、下着姿でタバコ吸ってるわたし…
 そそるでしょ?」

朱里が言う。

朱里は下着姿で、その綺麗な肌を晒し、
足を組んでカウンターに座りながら
美味しそうに煙草を吸っている。

「んは~~♡」

「---…ふざけるなぁ!」
光也が叫ぶと、朱里は、タバコを投げ捨てて、
今度は売り場のタイツのパッケージを無理やりこじ開けた。

そして、タイツを身に着けると、
腰に手を当てて、光也を挑発した。

「ホラ、下着姿でタイツだけ穿いたわたし。
 こ~んな変態なこと、させることができちゃうの。
 うふふ・・・♡

 わたし、こんなことしたくないのにさせられちゃってる~~!
 あはははははっ♡」

朱里がその姿のまま、さらに店内を破壊していく。

菓子パンの袋をこじ開け、汚らしくそれを口に頬張る朱里。
タイツを頭からかぶり、クスクスクスと笑う朱里。

朱里が、朱里で無くなっていく。

「---やめろぉぉぉぉぉぉ!」
光也が大声で叫ぶと、
朱里は時計を見た。

既に朱里は、何の衣類も身に着けていなかった。

からだには、ケチャップや具材が飛散していて、
その姿で朱里はアイスクリームを食べている。

「---おっと、そろそろ時間かな」

そう言うと、朱里は、フライヤーの油に手を突っ込んで、
やけどしながら狂ったように笑う。

「---ふへへへ!
 店長のお気に入りもぶっ壊してやったぜ!
 くくくくく… 
 あはははははははははは~♡」

朱里が嬉しそうに、光也の方に近寄ってきて
光也にキスをする。

「---く…くそっ!」
光也が怒りに震えながら朱里を見つめる。

「---ふふ、そんな顔しないでよ!
 もう、出てくからさぁ!」

朱里が言うと、
光也は「雪村さんを何だと思ってるんだ…!」と叫ぶ。

朱里は笑った。
「なにって?
 わたし、復讐のためのおもちゃになったの!
 うふふ♡
 
 わたしはおもちゃ!
 だから、どうなってもいいの!

 こんな女、どうなったって俺には関係ねーし!
 あはははっ!」

朱里が自分のからだをこすりながら
大笑いする。

「さぁて、復讐も終わったし俺は帰るぜ!
 あとはよろしく!

 あははははっ
 あ~はははははははははははh・・・」

朱里は突然糸が切れたかのように、
その場で力を失って、頭から倒れてしまう。

汁物が飛散した床の上で、
意識を失ってしまった朱里。

「---ゆ、雪村さん!」
光也が駆け寄る。

けれど、
もう遅かったーーー

早朝シフトの他のバイト二人がやってきてーーー
コンビニは悲鳴に包まれた…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

初日に書いたコンビニバイトの悲劇を
1話でリメイクしてみました!
あの時は、ここまで続けられるとは思ってもいませんでした(笑)
皆様のご声援のおかげです!
ありがとうございます。

2年目も引き続き頑張ります!

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
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    1周年おめでとうございます!これからも作品楽しみに待ってます

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 1周年おめでとうございます!これからも作品楽しみに待ってます

    ありがとうございます!2年目も頑張ります!