<憑依>成功率100%のボディガード③~決着~(完)

②にもどる!

依頼を受けた”護衛”は必ずこなすー…

そんな、”成功率100%”のボディガードの男。

任務中に彼が偶然再会した因縁の相手とはー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーアイツはーー…」
護衛対象のお嬢様・姫奈に憑依した
”闇の壁”の異名を持つボディガードの男は、怒りの形相を浮かべながら
窓からその男を見つめていたー。

忘れもしないー。
”闇の壁”の異名を持つボディガードである彼の”妹”
美音の命を奪った男であり、美音のストーカーだった男ー。

あの後、足取りを掴めずにいたものの、
まさか、”犯罪組織アビス”の一員となり、
しかも、幹部候補の一人と言われる”髑髏マークの男”が
ソイツ自身だったとはー…。

”闇の壁”の異名を持つ男は、姫奈の身体のまま
拳を握りしめるー。

”郷原 嶺二(さとはら れいじ)”ーー
妹の美音の命を奪った男との以外な場所での再会に、
激しい怒りの炎を燃やしながらも、
護衛対象である姫奈に憑依している状態を思い出し、
すぐに「まずは、この子を守らないとなー」と、
怒りに我を失うことなく、
”成功率100%のボディガード”としての仕事を果たそうとするー。

そうこうしているうちに、部屋の外から
”おい、変態野郎”と、そんな声が聞こえて来たー。

この屋敷の主で、護衛対象の姫奈の父である源三郎が雇った
”もう一人のボディガード”ー
”命の番人”の異名を持つジンの声だー。

”あんたはその部屋で胸でも揉んでなー。
 奴らはこの俺が片付ける”
ジンのその言葉に、
姫奈は「ーアビスの連中を甘く見ない方がいい」と、
そう言葉を口にするー。

しかし、ジンは部屋の外から
”俺は、50人の刺客から対象を守り抜いたこともあるー。
 アビスのやつらはせいぜい15人程度だー。
 問題ねぇよ”と、そう言葉を口にすると、
”いいか?部屋を出るなよ?”と、そう言葉を口にして
部屋の前から走っていく音が聞こえたー。

「ーーーー」
鏡を見つめる姫奈ー。

その雰囲気は、どことなく、姫奈に憑依している男…
”闇の壁”の異名を持つボディガードの男である彼の妹・美音に似ているー。

もちろん、この子は美音ではない。
それは分かっている。

分かってはいつつも、彼は静かに言葉を口にしたー。

「今度こそ、守り抜いてみせるー」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーよォー
 俺たちを裏切ったらどうなるか、
 思い知らせてやるって言ったよなー?」

ニヤニヤしながら、髑髏マークのペンダントをぶら下げて、
犯罪組織アビスの幹部候補の男、郷原 嶺二が
笑みを浮かべるー。

屋敷の主・源三郎は震えながら
「わ、わ、私は降りると言ったはずだ!金も払った!」と、
そう言葉を口にするー。

が、嶺二は納得する様子を見せずに「おいおい」と、
そう言葉を口にすると、
「あんただって、俺と組んで美味しい思いをしただろうが?」と、
そう続けたー。

姫奈の父・源三郎の会社は、
近年、様々なコスト増で経営状態が傾きつつあったー。

そんな中、”犯罪組織アビス”に所属する嶺二が
上にのし上がるためのビジネスとして、
輸出入のノウハウを持つ源三郎の会社に目をつけたー。

源三郎は”武器のパーツ”となる部品を海外から輸入し、
それを嶺二に提供ー、
嶺二は犯罪組織アビスの武器の調達や資金の調達源として
それを利用し、組織内でのし上がっていたー。

ただー、源三郎は次第に”直接的に違法な物品を仕入れているわけではない”とは言え、
犯罪組織アビスの武器にされるものを輸入している状況に
恐怖を覚えるようになり、
また、娘の姫奈にも”そのことを知られたくない”という思いから
嶺二に”もう降りたい”と、そう相談ー、
嶺二が反発したために会社の金も支払って
なんとか嶺二と縁を切ろうとしたのだー。

しかし、嶺二はそれを許さずに
”報復”として、娘の姫奈の命を奪ってやると
そう予告してきたのだー。

「ーー最後のチャンスをやるぜー。
 俺ともう一度手を組んで、ビジネスをやろうやー。
 そうすれば、今日は大人しく引き下がってやるー。

 がー、拒むのであればーー…」

嶺二がそう言うと、邪悪な笑みを浮かべるー。

「お前の目の前で、お前の大事なものを奪ってやる。
 じっくりといたぶってー、な」

その言葉に、源三郎は震えるー。

”闇の壁”の異名を持つボディガードに
”警察に訴えることもできるのでは?”と言われた際に
歯切れの悪い返事をしてしまったのは、
源三郎自身にも後ろめたいことがあったからー。

「ーーー」
源三郎は、嶺二を前に、
一瞬揺らぎそうになってしまうー。

がー…

”闇の壁”の異名を持つ成功率100%のボディガードに依頼したのだー。
きっと、いや、きっとではない。”必ず”大丈夫だと、
自分の中でそう言い聞かせると、
嶺二のほうを見つめたー。

「ー娘の命は奪わせないー。絶対にー」
とー。

その時だったー。

銃声が響き渡り、
嶺二の後ろにいた男が一人吹き飛ばされるー。

「なんだ!?」
驚きの表情を浮かべる嶺二ー。

すると、視界の先に、源三郎が雇ったもう一人のボディガード・ジンの姿が見えたー。

”命の番人”の異名を持つボディガードだー。

「くそっ!テメェ!ボディガードを雇ってやがったか」
嶺二がそう言うと同時に、ジンは両手に銃を持ち、それを連射しながら
源三郎の方に近付くー。

「ーーーさぁ、奥へー」
依頼は”姫奈の護衛”であったものの、源三郎も守ろうと
そう呟くと、源三郎は「すまん」と、そう言葉を口にして、
奥へと逃げていくー。

ジンはさらに銃を乱射して、一人、二人と片付けていくと、
「ーー髑髏野郎ー。ここは大人しく帰った方がいいんじゃねぇのか?」と、
そう言葉を口にするー、

が、髑髏のペンダントをぶら下げる嶺二はニヤリと笑みを浮かべると、
「ーーあんたこそ、帰らないと死ぬぜ?」と、そう言葉を口にするー。

それでも、ジンは引き下がることなく銃を放つと、
また一人、アビスの構成員が倒されていくー。

そしてーー
そこにーー

「ーーー待て」
お嬢様の姫奈が姿を現したー。

「ーあ??おい!変態野郎!部屋にいろって言っただろ?」
ボディガードのジンが叫ぶと、
姫奈は、髑髏のペンダントの男・嶺二を睨みつけたー。

「ーーククーまさか自ら出て来てくれるとはなー」
嶺二がニヤニヤしながらそう言うと、
姫奈は嶺二を真っすぐ見つめて睨みつけたー。

「ーーおぉ~~~怖い目をするじゃねぇかー
 そんな可愛い顔をしてー」
ニヤニヤしながら嶺二が言う。

姫奈に憑依している”闇の壁”の異名を持つボディガードは
少しだけ表情を歪めると、
”護衛”の任務はしっかりこなしつつ、それでいて、
”妹の仇”であるこの男を叩き潰すべく、嶺二のほうを見つめながら言ったー。

「ーこいつは、”俺”が蹴散らす」
とー。

その言葉に、もう一人のボディガード・ジンは
「あ???変態野郎ー。お前は部屋でもみもみしてりゃいいんだよ」と、
不満そうに呟くー。

しかし、姫奈に憑依している”闇の壁”は、
ジンのほうを見ると、
「ー頼む。こいつだけは俺に」と、そう言い放つー。

”闇の壁”の異名を持つ彼であれば、
”嶺二”以外の全員も仕留めることはできるー。

ただーー姫奈に憑依している”闇の壁”の異名を持つ男は
どうしても、嶺二と真っ向から対峙したかった。

護衛対象である”姫奈”に二度と手出しできないように
地獄の苦痛を味合わせてー、
さらには妹の仇であるこの男に、復讐を果たすためにー。

「ーー俺に雑魚共の掃除をさせるつもりか?」
ジンは不満そうに言うも、
姫奈は、真っすぐとジンを見つめるー。

すると、ジンは二つの銃を回すような仕草をしながら
「まぁいいー。髑髏野郎は変態野郎ー。お前に譲ってやる」と、
それだけ言葉を口にすると、
銃を乱射しながら、嶺二以外の犯罪組織アビスメンバーを引き付けるようにして、
別の方向に走っていくー。

「ーーーーお前ー誰だ?」
残された嶺二は、男口調で話すお嬢様・姫奈を見てそう言葉を口にするー。

姫奈は、そんな嶺二のほうを見つめながら、少しだけ表情を歪めるー。

”お前がかつて殺した美音の兄だー”と、
そう名乗りたかったー。

けれどー、名乗らなかったー。

「ーー”闇の壁”と言えば分かるかー?」
あくまでも”ボディガード”としての仕事に徹する嶺二ー。

「ーー闇の壁ー……」
嶺二もその名前は聞いたことがあるー。
護衛対象に憑依して、依頼人を100%守り抜くという凄腕のボディガードだ。

「ーー都市伝説だと思ってたが、実在するとはなー」
嶺二がそう言うと、姫奈を見つめるー。

”このお嬢様のハッタリかー?いやー…この目ー…”

嶺二は姫奈の目を見つめるー。
可愛らしいお嬢様の浮かべるような目つきじゃないー。

と、なれば実際にー…

「ーーククク…面白いー
 だったら俺がテメェの成功率100%とやらを
 終わりにしてやるぜ」
嶺二はそう言葉を口にすると、
牙のような形状の特殊なナイフを手に襲い掛かって来たー。

「ーーそんな華奢な身体じゃ、元のアンタがどんなに強かったとしても
 俺には敵わねぇぜ!」

嶺二はそう言いながらナイフを振るうー。

しかし、姫奈は身軽な身体でそれを全て回避すると、
嶺二の急所を蹴り飛ばしたー

「ーはぅっ…!?」
急所を蹴られた嶺二はうめき声を上げて、
ナイフを落としそうになるー。

しかし、それを握りしめて前を見据えるー。

がー、姫奈はもう前にはいなかったー。

髪を揺らしながら、背後に回った姫奈が
嶺二の急所を再度蹴りつけると、
嶺二は飛び跳ねながらナイフを落とすー。

「テメェ…ひ、卑怯だぞー」
嶺二がそう言葉を口にするも、
姫奈は素早い動きと体術で嶺二を翻弄しー、
嶺二は戦闘不能の状態になって倒れ込んだー。

「ーー変態野郎ーやるじゃねぇかー」
他の構成員を倒したもう一人のボディガード・ジンが
そう言いながら戻ってくると、
倒れているアビス構成員たちを見つめながら姫奈は言うー。

「ー全員殺したのか?」
姫奈が言うと、ジンは「まさか」と、そう言いながら
銃を見つめるー。

「これは”あえて音がする”麻酔銃だー」
相手に対する威嚇とハッタリにもなるー、と、
そう説明しながら銃を見つめたー。

ジンが警察に連絡をし始めるー。

姫奈の父・源三郎は自身が嶺二と以前組んでいた件が
発覚してしまうかもしれないと、思いつつも
もう、”警察に通報するしかない”と、観念して
首を横に振るー。

やがてー、
警察が駆け付けて、倒れていた構成員たちは連行されていったー。

がー、その中に嶺二の姿はなかったー。
倒れていた嶺二は隙をついて、どさくさに紛れて逃亡したのだー。

「ーーー”これでいい”」
姫奈に憑依している”闇の壁”はそう言うと、
もう一人のボディガード・ジンは少し表情を歪めながらも、
「ーーお前のこと”噛ませ犬”だと思ってたがー」と、少しだけ冗談を口にするー。

”闇の壁”は、ジンのことを”口だけであっさりやられるやつ”だと
そう思っていたようで、そう言葉を口にすると、
ジンは「ほざくな変態野郎ー。俺だって死線を潜り抜けてるんだー」と、
そう言葉を口にしつつ、
「ー依頼は達成したー。俺は先に失礼するぜ」と、
そのまま立ち去って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「本当に、ありがとうございましたーーー」

”憑依”から解放され、護衛が完了したことを知らされた姫奈は
心からの感謝を、”闇の壁”に述べたー。

”闇の壁”は少しだけ笑うと、
「ーー言ったろ?成功率100%だって」と、
そう言葉を返すのだったー。

そして、”仕事”を終えて
”闇の壁”は帰路につくー。

また、守れたー。

どんなに守っても、守ってもー、
本当に、一番守りたい存在は、もう守れないー。

けれどー…
それでもー…

これからも、依頼があればその人間を守り抜く。
絶対に…。

彼はそう思いつつ、再び闇の中へと姿を消したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーークククー地獄に行けば本物の髑髏が見れるかもしれないぜ?」

笑いながら”しくじった”
幹部候補の男・髑髏マークのペンダントがトレードマークの嶺二を
”拷問”する犯罪組織アビスのリーダー・魔崎(まざき)ー

”闇の壁”の異名を持つボディガードが
”あえて”嶺二を逃がしたのは、
ビジネスに失敗、報復にも失敗して部下を失い、
逃げ帰った嶺二は”リーダーに処分される”と、そう読んでいたからだー。

ボディガードである以上、直接命を奪うことはできないー。
が、”わざと逃がせば”、妹の仇を間接的に地獄に送ることができるー
そう、思ったのだー

「ひ…ま、魔崎さんーもう一度チャンスを!」
泣きながらそう叫ぶ嶺二ー。

しかし、犯罪組織アビスのリーダー・魔崎は
邪悪な笑みを浮かべながら嶺二を見つめると、
「ーチャンスってのは、握りつぶす覚悟で掴まなきゃならねぇ。
 お前はそれを掴めなかった」と、そう言葉を口にすると、
嶺二を”処刑”してみせるのだったー…

おわり

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コメント

無事に護衛に成功する結末でした~!★★

護衛対象のお父さんは、このあと
自ら自首をして、
罪を償うことに決めたようデス~!!

お読み下さり、ありがとうございました~!★!

「成功率100%のボディガード」目次

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