過酷な任務の数々を引き受け、
それをこなしていくある機関ー。
その組織に所属する”憑依能力”を持つエージェントは
今日も任務に当たっていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”スコーピオン”と交代した
エージェント”マンティス”は、ギャングの本拠地に乗り込んで
両手をマシンガンに変形させて、次々と構成員を葬っていたー。
「ーへへへへ お前らギャング如きじゃ、俺には敵わないー」
”マンティス”はそう呟くと、自身の能力でマシンガンに変形していた両腕を
元に戻してから、すぐに両腕を交差させて、
”ガトリングガン”に変形させたー。
大型の武器に変形させるときは、片手ではなく両手を使うー。
ガトリングガンになった腕から銃弾を発射する”マンティス”ー
”モナ”が憑依されていることも知らずに
日々欲望を楽しんでいたギャングのリーダーの男は
慌てた様子で車に乗り込んで逃亡しようとするー。
がーーー
「ー逃げられねぇよ」
”マンティス”は、腕をロケットランチャーに変形させると、
それを走り出そうとする車に撃ち込んだー。
ギャングのボスが乗った車が爆発して炎上する。
戦闘のエキスパートである”マンティス”は
スコーピオンが憑依能力で情報収集を終えて
”用済み”となったギャングを一人残らず抹殺したのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーふぅーーー」
”憑依能力”を持つエージェント・スコーピオンは
ため息を吐き出しながら鏡の前に立っていたー。
「ーやっぱり、こうなるよなー」
それなりの期間、他人の身体に憑依していた状態から
抜け出して、元の身体に戻ると
何となく最初は”違和感”を感じたり、
バランス感覚が変でフラフラしたりするー。
”憑依後の身体の感覚”に慣れてしまって、
”憑依酔い”のような変な感覚になるー。
実際に吐いてしまったり、日常生活に支障があるほどではないものの、
何となく不快だー。
「ーーあらー戻ってたんですかー?
お久しぶりですー」
ちょうど通りがかったお嬢様風の雰囲気を持つ女エージェント
”シャーク”がそう言葉を口にするー。
見た目や能力とは関係ないコードネームが振り分けられるため、
”シャーク”などという呼び名がふさわしい人物には全く見えないー。
「ーーあぁ、ついさっきなー。
ギャングたちからは情報を得たし、
あとは”マンティス”が奴らを壊滅させるー」
スコーピオンがそう言うと、
「お疲れ様でしたー。わたしはこれから”次”の任務ですわー」
と、お嬢様風の”シャーク”がそう呟くー。
「ーーそうかー。死ぬなよ」
スコーピオンはそう言葉を口にすると、”シャーク”は
クスクス笑いながら「あなたもー」と、それだけ言葉を口にして
立ち去っていくー。
室内なのに日傘のようなものを常に差している彼女ー。
その”能力”は、スコーピオンも知らないー。
同じ組織のエージェントと言えども、全員の能力は知らず、
仲間の中にも、スコーピオンの”憑依”も知らないエージェントはいるー。
「ーーあのお嬢様、どんな能力を使うんだろうなー」
常に持っている”日傘”が何か関係あるのだろうかー。
そう思いつつ、スコーピオンが、
エージェントのリーダー格であるコードネーム・”アント”の元に向かうと、
”アント”は「ご苦労だったな」と、そう言葉を口にしたー。
リーダーなのに”アント”=”蟻”を名乗っているは
本人曰はく”リーダーっぽくないコードネームで気に入っている”とのことだったー。
「ーーギャングの奴らは
マフィア”ズー”と、国際犯罪組織ガルフと通じていました」
スコーピオンがそう言葉を口にすると、
「ーあぁ、先ほど報告を受けているー。
お前には、そのうちの”ズー”の方の調査を頼みたいー。
ちょうど、”ズー”の幹部の娘があるバーで働いていてなー」
と、ボスの”アント”が言葉を口にするー。
「ーこの娘に憑依すればいいのですね?」
スコーピオンが、マフィア・”ズー”に所属する幹部の男の娘、アシュリーの
写真を手にすると、「そういうことだ」と、”アント”は頷いたー。
「ーー”ズー”の情報をできる限り探り出せ。
ただ、危険を感じた場合はすぐに中止していい。
お前の能力は貴重だ
失うわけにはいかんからな」
”アント”の言葉に、スコーピオンは頷くと
早速、その日の夜のうちに、バーで働く”アシュリー”に憑依したー
「ーーひっ!?!?!?!?」
ビクッと身体を震わせるアシュリー。
思った以上に身体が激しく震えて、声も大きく出てしまったために、
周囲がアシュリーのほうを振り返ってしまうー。
「ーーあ、ご、ごめんなさいー。虫がいてー」
アシュリーの身体で咄嗟にそう言葉を口にすると、
アシュリーに憑依したスコーピオンは内心で不満そうに
”この女…声が大きいんだよー”と、そう言葉を口にする。
「まぁいいーとにかく、”ズー”の情報を調べるために、
色々動かないとなー」
アシュリーに憑依したスコーピオンはそう言葉を口にすると、
「ーまずはー」と、静かに言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アシュリーの身体を使って、
マフィア”ズー”の幹部クラスの複数を誘惑していくー。
身体の関係を躊躇なく持って、
そのまま情報を引き出していくアシュリーに憑依した
スコーピオンー。
”これだけ美人だと、色々やりやすいよなー”
アシュリーに憑依したスコーピオンは情報を十分に入手して
笑みを浮かべると、
それを”本部”に送信するー。
データの送信には特殊な方法を用いていて、
スマホや電話、パソコンなどは利用しないー。
スコーピオンが所属する組織にいるエージェントの一人、
”エレファント”が、人間でありながら”データを受信し、保存する”力を持っており、
また、左手の人差し指がUSBメモリーのような形状になっていて
それをパソコン上にコピーすることもできる能力者だー。
無口な男で、戦闘は得意ではないものの、
データのやり取りと言う点で、欠かせない存在となっているー。
「ーーーこれで、”ズー”の動向も把握しやすくなったー」
アシュリーはそう言葉を口にしながら笑みを浮かべるー。
あとは、マフィア”ズー”のリーダーである、
”ライナス”という男の調査をもう少し進めておきたいー。
いきなりこの”ライナス”を暗殺すると、
大規模な組織である故に報復や過激な行動に走るリスクが
あるため、慎重に行動しなければいけない。
”ライナス”の弱みを握ることができるような情報が手に入ればー…
「ーー!」
そう思っていると、アシュリーに憑依しているスコーピオンが
持っている端末の振動を感じたー
”任務中の連絡”は緊急事態の証ー。
「ー俺だ」
アシュリーの身体でそう答えると、
エージェントのボス”アント”が言葉を口にしたー。
”ースコーピオン、
犯罪組織ガルフの調査に向かった”モスキート”から連絡が途絶えたー。
奴らに捕まった可能性があるー。
お前の憑依能力で状況を確認して、必要であればモスキートに憑依しても
構わないー。対処を頼むー。”
アントの言葉に「こちらの任務は一度中断で良いですか?」と、
確認するー。
”あぁー。すまないが頼む。
その身体の後始末は、暗殺専門の”ビー”を向かわせたー。
お前はすぐに犯罪組織ガルフの処理の方に向かってくれ”
「了解」
スコーピオンはそう答えると、アシュリーの身体から離脱して、
そのまま、”モスキート”が調査に向かった場所へと向かうー。
モスキートは先日も会話を交わした
”変装のエキスパート”で声を変える能力を持つ女だー。
”アイツ、捕まったのかー”
連絡が途絶えたということは、捕まった、
あるいは緊急事態が起きているということだー。
そう思いつつ、
国際犯罪組織ガルフのフランス支部長・オーレリアンが
支配する廃墟地帯へとやって来ると、
霊体の状態のままスコーピオンは表情を歪めたー。
セーラー服姿の女子高生に変装して潜入任務を
行っていた”モスキート”が、ボロボロの状態で
国際犯罪組織ガルフの面々に尋問を受けていたー。
「ーー答えたまえ。貴様らの仲間の人数は?
本拠地はどこだ?」
国際犯罪組織ガルフ・フランス支部長オーレリアンが
棒のようなものを手にそう言葉を口にする。
何故か、音楽家のような風貌をした男だー。
「ーーーーー」
”モスキート”は何も答えないー。
「ーー仕方がない。苦痛の音色を聞かせてやりたまえ」
そう言葉を口にすると、部下が謎のヘッドホンを装着して、
モスキートに何か”音”を聞かせ始めるー。
「ーーぁ…」
ビクビクと震えるモスキート。
彼女は持っていた”いざと言う時のために自死するための薬”を
使おうとするも、オーレリアンがそれを阻止するー。
「ー死に急ぐな」
邪悪な笑みを浮かべながら、特殊な音波で
モスキートを意のままに操り、情報を引き出そうとする
オーレリアンー。
モスキートはそれに抗おうとするも、
次第に洗脳状態へと陥っていくー。
「ーーーー」
”スコーピオン”はその様子を見つめると、
状況を本部の”アント”に報告するー
”そうかー救出は困難か。
ならば止むをえまいー。
”処理”できるか?”
その言葉に、
スコーピオンは表情を変えずに、
「連続での憑依はできませんが、モスキートを”処理”することぐらいは」
と、そう答えるー。
アントは静かにその許可を出すー。
彼らは冷徹な組織ではないー。
どのエージェントもいざと言う時は死を覚悟していて、
”処理”されることも全て理解した上で任務をこなしているー。
救出可能な時は救出するし、不可能と判断すれば”やるべきことをする”ー。
それが、過酷な任務に生きるものたちの宿命。
モスキートは自死しようとした。
それに失敗した以上、力を貸してあげるしかないー。
”できれば、奴も仕留めたいところだがー”
スコーピオンはそう思いつつ、”尋問”を担当している女に憑依するー。
ちょうど、ナイフを持ってモスキートを脅していたために、
”使いやすい”ー。
「うっー…」
女に憑依を成功させて、
正気を失いつつあるモスキートに耳打ちするー。
「ーー今、処理するーよく耐えた」
とー。
そして、モスキートの首をナイフで引き裂くと、
モスキートは少しだけ笑みを浮かべてから
「あんたなんかにー でも、ありがとうー」と、弱々しく言葉を口にして
息絶えるー。
すぐに、国際犯罪組織ガルフのフランス支部長・オーレリアンの
首筋めがけてナイフを振るおうとするー。
しかし、オーレリアンは霧のようなものに包まれると、
「ーークククク。エージェントの仲間かー。ご苦労であったなー
だが、無駄なことだー」と、そう言葉を口にするー。
そしてー、霧の中から強い衝撃波のようなものが放たれると、
スコーピオンは女の身体ごと吹き飛ばされたー。
慌てて、その身体を破棄して離脱するスコーピオンー。
「任務は完了ー。モスキートは処理したー」
スコーピオンはそう報告すると、”それ以上は危険だ。撤収しろ”という
リーダー・”アント”の指示で、撤収を始めるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー」
”スコーピオン”は今日も任務をこなしていたー。
”犯罪組織アビス”と呼ばれる組織の構成員に憑依しての
情報収集ー。
彼はその最中にふと、”モスキート”のことを思い出す。
変装の名人であった彼女とは
同じく情報収集メインのスコーピオンは
よく一緒に任務をすることもあったー。
エージェント同士、接点のない者も多いものの、
彼女はよく、共に任務をこなしたー。
「ーーーー」
任務の最中にふと、そのことを思い出すと、
スコーピオンは憑依している男の身体で笑ったー。
死んだ人間を振り返るなんて、らしくないー。
これまでにも大勢の仲間と別れて来たー。
そして、自分もいずれー
「ーーー俺は、まだ逝かねぇー」
スコーピオンは、静かにそう呟くと、
「けど、逝ったらまたお前の変装でも見せてもらうとするかなー」
と、そう言葉を口にしてから、
任務のために夜の闇へと消えていくのだったー
おわり
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コメント
憑依能力を駆使するエージェントのお話でした~!☆!
憑依できると、こういう任務にも
重宝しそうですネ~!!
お読み下さり、ありがとうございました~!☆
★作品一覧★

コメント
まだまだシャークとか気になる能力者がいますね!
続編や他の作品への出演も期待してます!
感想ありがとうございます~~!☆!
続編も書けちゃいそうな気がするので、
そのうち出て来るかもしれません~~!☆!