彼は”憑依能力”の持ち主だったー。
その能力を駆使して過酷な任務に挑む
エージェントの物語ー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼は、ある特殊な機関に所属していたー。
その機関に所属する人間は全員、
”特殊能力”の持ち主ー。
コードネーム・”スコーピオン”も、
その機関に所属する人間の一人だったー。
彼の能力はー、”憑依”ー。
文字通り、他人に憑依する力を持っていて、
元々はその能力で好き放題していたこともあった男だったー。
しかし、その後政府の関係者にスカウトされる形で、
憑依能力を生かしたエージェントとして活動することになったー。
そして、彼は今、
その能力を使って”ある任務”に従事していたー。
「ーーーーっ…ーー」
険しい表情を浮かべながら”ひたすらに”耐えるスコーピオン。
それもそのはずー。
今、彼はとあるギャング組織のボスの”愛人”である女に
憑依していて、ギャングのボスである男に
キスをされたり、身体のあちらこちらを触られている状態だったからだー。
”オェッー”
ギャングの男は、いかにもがさつな感じで、
見た目も荒々しいー。
そんな男にキスをされている現状は、
憑依エージェントである彼、スコーピオンにとっては地獄だったー。
”くそっー。どうして俺がこんな目にー”
”ギャングのボスの女”として、気持ちよさそうな演技をしながら
ひたすら耐えるー。
今回の彼の任務は”ギャングの内部情報の収集”ー
単に暗殺するだけであれば簡単だし、
今にでも、この女の身体を使って、このギャングのボスを抹殺することは
できるものの、今回の任務はそうではなく、
”情報収集”が必要だったー。
このギャングは複数のマフィアとのつながりも噂されており、
彼が所属する組織の”本命の狙い”は、そのマフィアの方だー。
このギャングなど、いくらでも簡単につぶせるために、
始末することが目的ではなく、あくまでも情報収集が目的だったー。
甘い声を出しながら、
次第に身体が快感を感じて、
ギャングのボスの女・モナに憑依しているスコーピオンは
不本意ながら気持ちよくなっていってしまうー。
そんな自分にも嫌気が差しながら、
なんとかギャングの男の欲望の時間が終わるまで耐えると、
身なりを整えて、「あいつ、へたくそなんだよなー」と、
不満そうに呟いたー
気持ちイイところは気持ちイイけれど、
とても雑で乱暴で、正直痛いことも多いー。
「ーこの女も、あんなやつのどこがいいのかねぇ」
モナの身体で、不満そうにそう呟くスコーピオン。
が、ギャングのボスにされるがままになっている際に、
モナの”身体”はとても興奮していたし、喜んでいたー。
”憑依”していても、そういうことは伝わって来るー。
例えば、憑依した女の身体で、
”本人が嫌っていた男”と、行為に及ぼうとすると、
身体中から嫌悪感や拒否反応が出るー。
それでも強引に欲望を楽しむことはできるけれど、
酷いケースでは蕁麻疹が出たり、
嘔吐したこともあったー。
一方”本人が好きだった男”とそういうことをすると、
身体中が激しく興奮して、ドキドキするー。
今もそうだったー。
憑依している男ー、スコーピオンは嫌悪していたものの、
憑依されているモナは、ギャングの男のことを
本気で愛しているようで、身体中が喜びを感じていたのだー。
「ーーったくー」
ギャングの隠れ家から外に出ると、
そこに、物乞いのような雰囲気の女がやってくるー。
「ー酷い姿だなー」
モナの身体でスコーピオンが笑うと、
「ー黙りなさい」と、物乞い風の女は強気な口調で言ったー。
彼女はコードネーム”モスキート”ー。
”声”を自由自在に変えることができる能力を持ち、
彼女自身、変装のエキスパートでもあることから
組織のエージェントとして活躍しているー。
主に潜入捜査や、連絡役を担い、
今回の任務では連絡役を担当しているー。
そんな彼女が、物乞いのような変装で
現れたために思わず笑ってしまったモナ。
「ーー…それで、情報はー?」
”モスキート”がそう言うと、
”モナ”に憑依しているスコーピオンは
「まだ具体的な取引については追えていないー。
ただ、思ったよりギャング自体の組織の規模も大きいー
まだ俺たちが探知できてないアジトが2~3は存在する」
と、そう手短に報告するー。
「ーそう。分かったわー。
それと、これ、”ボス”からよー」
”モスキート”がそう言うと、
”新型”のスパイ道具をいくつか手渡すー。
「ーなるほどー。感謝する」
モナの身体で、スコーピオンはそれだけ返事をすると、
「ーそれにしても似合ってるな、その姿」と、
笑いながら、物乞いの変装をしたモスキートを指差すー。
「殺すわよ?」
その言葉に、モナに憑依しているスコーピオンは
「相変わらず、おっかない”蚊”だなー」
との、”モスキート”のことをそう言い放つー。
「ーーチッーわたし、そのコードネーム嫌いなのよ」
モスキートは、物乞いの姿のままそう言うと、
不満そうな表情を浮かべるー。
組織の”コードネーム”は生き物の名前が
ランダムで振り分けられるー。
そのエージェントの人物像や見た目、性別、能力とは
関係なく、完全にランダムでコードネームが
つけられる形だー。
コードネームから人物像や能力を連想できないように、
という意味もあり、
その人物とは関係のない名前がつくー。
「ーそうか?俺は気に入ってるぞー?
”スコーピオン”ってコードネーム」
モナに憑依している”スコーピオン”が
自分のコードネームのことを気に入っていると
そう呟くと、
”モスキート”は少し不満そうにしつつ
「あんたはどちらかと言うと”ゴースト”って感じだけど」と、
そう呟くー。
「はは、確かになー他人の身体に憑依できるなんてー、
言われて見りゃゴーストそのものだー」
モナの身体で少しだけ笑うと、
「さて、俺はまたギャングのボスの女に戻るとするかなー」と、
そう言葉を口にしながら背を向けるー。
無論、”憑依している”などとバレればタダでは済まないー。
モナの身体から引きずり出されるかもしれないし、
仮にギャングたちがそれができなかったとしても、
モナの身体ごと殺される可能性も十分にあるー。
それだけ、相手も”危険な”連中であるために
注意をしなくてはならない。
「ーーさて、とー、
このあと、夜もきっとヤるんだよなー…?」
モナはそう呟きながらため息をつくと、
”この女の気持ちになりきって楽しみながら耐えるしかねぇな”と、
モナに憑依しているスコーピオンは、そう言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからも、スコーピオンは”モナ”として潜入捜査を続けー、
ギャングのボスが、”マフィア”と繋がっている証拠を手に入れたー。
一つは、このあたりの地域で暗躍している
マフィア…”ズー”と呼ばれる謎の集団ー、
そしてもう一つは、国際的に暗躍する組織・国際犯罪組織ガルフとの
繋がりも判明したー。
世界規模で犯罪を企て、実行している組織で
その組織のフランス支部長・オーレリアンと
何か取引をしている様子だったー。
「ーーーガルフかー…」
モナに憑依しているスコーピオンは少しだけ表情を歪めるー。
スコーピオンが所属している”機関”は、世界規模で
エージェントたちが任務を行っているー。
当然、同じく世界規模で犯罪を繰り広げるガルフのことは知っているー。
以前、スコーピオンの同僚だった
”ベアー”と”センチュリオン”が、国際犯罪組織ガルフが絡む事件の際に
殉職したことがあり、スコーピオンも負傷しているー。
”奴らは手ごわかったー。奴らが絡んでいるとなると、
上に報告が必要だなー”
モナに憑依しているスコーピオンはそう言葉を口にすると、
周囲を見渡すー。
「さてー、このギャングたちから得られる情報は
もうないだろうー
そろそろ潮時だなー」
そう呟くと、そのまま”脱出”しようとするー。
ギャングのリーダーである男を毎日のように満足させる生活にももう飽きた。
ずっと、あの男のことが好きなモナの身体で、
あの男と交わっていると、
自分までモナの身体に引っ張られてあの男のことが
好きになってしまいそうなー、そんな危うさも時に感じるー。
もちろん、”スコーピオン”は訓練をしているために
そのようなことに陥ってしまうことはないものの、
以前、別の能力で潜入捜査をしていたエージェント”タイガー”が、
相手にほれ込んで帰って来なかったことがあるー。
「ーーー」
モナに憑依しているスコーピオンは、そんなことを思いながら
専用の通信機で「こちらスコーピオン、情報の入手は完了したー」と、
そう言葉を口にすると、”了解”と、そんな返事が戻って来たー。
明日、スコーピオンはその任務から離脱するー。
この”ギャング”を壊滅させるのは別の人間の役目だー。
彼自身はそこまで”戦闘”自体は得意ではないー。
もちろん、”それなりに”戦うことはできるものの、
ギャングを一人で壊滅させるほどの力はないー。
そもそも、他人の身体で”戦う”というのは
それなりに難しく、
身体の動きも、手足の長さも、色々なところが違うために、
憑依した状態での戦いは十分に力を発揮できないー。
そして、”憑依”で、次から次へと身体を乗り換えて
相手を攪乱したりすることは難しいーー。
連続して使用すると、自分の自我が飲み込まれてしまったり、
精神的に錯乱してしまう可能性があるため、
連続で乗り換えることはできないー。
一つの身体に留まり続けることは可能であるものの、
例えばギャング一人一人に次から次へと憑依して、
自死させるようなことはできないのだー。
「ーーーーしかし、どうしてこんないい女が
ギャングのボスに付き従っていたのかー」
モナに憑依しているスコーピオンは、
間もなく離脱するモナの身体を見つめながら
少しだけ惜しいと言わんばかりの表情を浮かべたものの、
「まぁ、誰が誰を想おうと、俺の知ったことではないか」と、
そう言葉を口にして、歩き始めたー。
少し先に進むと、
反対側から、うすら笑みを浮かべた男がやってきたー。
同じ組織に所属するエージェント、コードネーム・”マンティス”だー。
マンティスは戦闘のエキスパートで、
実力行使をする際に、活躍するー。
「ーーへへー。”モナ”ちゃんー」
マンティスがニヤニヤしながら言うと、
「ー憑依した身体の名前で呼ぶなよー」と、
スコーピオンは苦笑いしながら、モナの身体でそう返すー。
「ーその方が、より周囲に正体を探られにくいだろ?」
マンティスはそう言葉を口にすると、
「ーアジトに何人ぐらいいた?」と、そう確認するー。
「ー常に50以上はいるー。日によって前後するが、
今日は特別多い感じはなかったー」
モナがそう返すと、マンティスは「なら余裕だな」と、
そう言葉を口にするー。
「ーしかし、お前の”その能力”で、”マンティス”とはなー」
とー、モナは呆れ顔で笑うー。
「へへー。まぁ、いいじゃねぇかー
相手だって俺のコードネームを知れば、
”名前にふさわしい”能力を予想するかもしれねぇー
油断を誘えるって意味じゃ、最高のコードネームだぜ」
マンティスはそう言うと、
”能力”を発動してみせるー。
”マンティス”とは”カマキリ”ー。
その名を聞けば、刃のような能力を予想するかもしれない。
けれど、彼の能力は
”己の腕をあらゆる銃に変化させる”能力ー。
己の体内で銃弾を作り出し、リロードも弾薬も”∞”の状態で
銃を放つことができるー。
「ーー今回は”これ”だなー」
両手をそれぞれマシンガンに変形させたマンティスが笑みを浮かべると、
「ーゾッとするよーお前とは戦いたくない」
と、モナに憑依しているスコーピオンは笑うー。
「ーへへー。謙遜すんなよ。
相手が俺一人なら、お前が俺に憑依すりゃ、即俺の負けだろ」
マンティスがそう言うと、
モナに憑依しているスコーピオンは少しだけ笑うー。
そして「後は任せたぞ」と、そう呟くと、
モナは、うっ…とうめいてその場に倒れ込むー
スコーピオンが抜けて、霊体のようなものが
その場から去っていくと、
マンティスは「よぉ」と、意識を失ったモナに声をかけるー
「え…?」
憑依されていたモナが目を覚ますと、
マンティスは何も言わずにモナに対してマシンガンを放つと、
「ーギャングの殲滅は、俺に任せておきなー」と、
そのままギャングのアジトに向かって歩き始めたー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
この前も書いた気がしますケド、
最近、偶然〇〇ポゼッションという題名の作品が
増えちゃってますネ~笑
でも、これでしばらくなかったハズ…(土曜日のアルマゲドンポゼッションの後編まで…!)デス~!!
特に深い意味はないので、
気にしないでくださいネ~★笑
続きはまた明日デス~~!!

コメント