地球に接近する”巨大隕石”ー
憑依人たちの力を借りることに成功した
対策本部は、
使うことのできる手を全て使い、
地球を守り抜こうとするー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”次元砲”が、巨大隕石に向かって放たれたー。
”次元砲”は対象とその周囲を
”空間ごと”異次元に飛ばしてしまうという新兵器で、
元々は敵対する相手を”地図ごと”消滅させる
恐るべき最終兵器として開発が進んでいたものだー。
他国にその存在を知られたくはないー、とは思いつつも
地球が消滅すればそれで人類は終わりであり、
その先には何も存在しないため、
止むを得ず、次元砲を準備、そして発射していたー。
エリオット大佐が固唾を飲んで見守る中、
次元砲が放った”次元転送弾”は隕石の近くで爆発ー、
隕石と、その周囲の空間ごと”別次元”へと転送されて
隕石は消滅したー。
「ーお、おぉっ…!?」
エリオット大佐が、隕石の反応がレーダー上から
消えたことを喜ぶと、
レーダーを監視していた職員も嬉しそうに
「巨大隕石、消滅を確認!」と、そう声を上げるー。
対策本部内で拍手が響き渡るー。
一方ー、
スーツ姿の男によって別室に案内された
紅葉、アビー、綾に憑依している三人の憑依人は
”作戦”の説明を受けていたー。
「つまり、俺たちが隕石に憑依して、隕石の軌道をずらせばいいんだな?」
そう言葉を口にする紅葉。
が、机に足を乗せながら、
高圧的な態度を取っているアビーが口を開くー。
「隕石は生き物じゃないー。
憑依したところで、自由に動くことができるようになるとは思えないが?」
とー。
スーツ姿の男は「確かに、君の不安も最もだー」と、そう言葉を口にすると、
「”憑依”は、同じ人間に複数の人間が憑依すると、その肉体は霊体に耐え切れず
自己崩壊することが確認されているー」と、そう続けるー。
「ー自我が強い憑依人であれば、”2人”が同じく身体に憑依すれば
人間は簡単に崩壊してしまうー。
そこで、君達のような欲望のために生きる者たちー
”自我の強い”者たちをここに集めたのだー」
スーツ姿の男はそこまで言うと、
「君達三人に、隕石に憑依して貰い、隕石を自己破壊させてほしいー。
もちろん、憑依後に”隕石”を動かすことができると判断したのであれば
それでも構わないー
とにかく、隕石を止めて欲しいのだ」と、そう言葉を付け加えたー。
が、その時だったー。
隣の指令室から歓声が上がったー。
「?」
腕組みをしながら話を聞いていた綾が表情を歪めると、
スーツ姿の男は、作戦会議室の外に出て、
「どうした?」と、周囲の者たちに確認し始めるー。
すると、エリオット大佐が「成功だ!」と、嬉しそうに叫び返したー。
「ー成功ー?」
スーツ姿の男はそう言葉を口にすると、”次元砲”によって、
隕石が跡形もなく消え去った様子が映し出されたモニターを見つめるー。
「ーおいおいー俺たちの出番はなかったってか?」
紅葉に憑依している男が、笑みを浮かべながら
少しだけ不満そうに言葉を口にすると、
アビーに憑依している男も「下らんー」と、そう言葉を口にして
立ち去ろうとするー。
残りの綾に憑依している男も、無言で立ち去ろうとすると、
スーツ姿の男は「待てー。まだ話は終わってないぞー」と、
そう言葉を口にして、紅葉らを呼び止めようとするー。
がー、その時だったー。
再び対策本部内にどよめきのような声が聞こえたー。
「ー!」
スーツ姿の男が振り返ると、
次元砲の直撃により消えたはずの隕石がー、
さらに禍々しい雰囲気になって、再び出現した様子が
モニターに映し出されていたー。
「ーなっ…ど、どうなってるー!?
次元砲が直撃したはずではー!?」
エリオット大佐が思わずそう叫ぶと、
職員の一人は困惑した表情を浮かべながら
「分かりませんー。ただ、異次元空間から何らかの理由で
再び隕石がこの空間に戻って来たようですー」と、
そう報告するー。
「く、くそっ、どういうことだー…」
エリオット大佐は青ざめるー。
”異なる次元に物質を飛ばす”次元砲ー。
しかし、”異なる次元”がどのような場所かも分からないし、
次元砲自体、”実戦のような状況で使う”のは今回が初めてで、
どうなるかは分からない状況だったー。
結果ー、一度は隕石を別次元に葬ることができたものの
再びこの次元に戻ってくるという結果に終わってしまったー。
「ー大佐。そろそろ”憑依”を開始してもよろしいでしょうか?」
スーツ姿の男がそう確認すると、
もはや打つ手がなくなったのか、エリオット大佐は
少しイヤそうにしながらも「わ、分かったー。好きにしたまえー」と、
そう答えるー。
その言葉を聞いたスーツ姿の男は頷くと、
「ーさて、ようやく君たちの出番だー」と、
立ち去ろうとしていた紅葉ら三人に声を掛けるー。
すると、紅葉とアビー、綾の三人は
一瞬、戸惑うような表情を浮かべたものの、
「ーー俺たちに任せておきなー」と、紅葉はそう言葉を口にして、
残るアビーと綾の二人も、そんな紅葉に続く姿勢を見せたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーしかし、隕石に憑依することになるとはなー」
紅葉が、別室に移動して、そう言葉を口にすると
アビーは「確かにな」と、そう言葉を口にする。
部屋の入口の鍵を閉めて、対策本部の職員が用意した、
”暗証番号を入力しないと脱出できない拘束危惧”で
自らの身体を固定する紅葉たち三人。
部屋の入口の鍵を閉めたのは、
自分たちが”隕石に憑依している間”に、
紅葉たちが救出されないようにするためー。
そして、紅葉たちを拘束しているのは、
”隕石に憑依しに行っている間”に、紅葉たちが
正気を取り戻して、その間に逃げ出さないようにするためー。
どちらも、紅葉ら三人が、
”隕石対策本部”のメンバーに”協力する条件”として
用意させたものだー。
「ーーま、頑張ろうぜー
この身体でこれからもエロいことするためにさー」
紅葉がそう言うと、綾は「黙れ。俺に話しかけるな」と、
そう言葉を口にするー。
「~~~~」
先程から付き合いの悪い綾に対して、紅葉は
苦笑いしながら首を横に振ると、
「まぁいいー…そろそろ行くか」と、そう言葉を口にしてから、
”紅葉”の身体から幽体離脱を行うー。
アビーに憑依している男と、綾に憑依している男も幽体離脱をすると、
そのまま空高くまで上がっていくー。
”まさか、霊体のままとは言え、宇宙にやってくることになるとはなー”
紅葉に憑依していた男は、そう言葉を口にすると、
宇宙空間を見つめるー。
”隕石が迫っている方角”を、
小型の宇宙ドローンで案内する、と、スーツ姿の男が
打ち合わせしていた通り、
すぐにドローンがやってくると、
”聞こえているかー?私の操作するドローンについて来い”と、
そう言葉を口にしたー。
”へへへー聞こえてるけどー、こっちの存在は
向こうには見えてないだろうからなー”
紅葉はそう思いつつ、ドローンについていくと、
やがて、数時間後に”隕石”が見えて来たー
”予想より大きいなー”
アビーに憑依していた男がそう言うと、
”ー他の2人も、ちゃんとついて来てるのだろうかー”
と、表情を歪めるー。
”霊体同士”意思疎通はできないし、
お互いに相手の姿を確認することもできないー。
それぞれ、残りの二人がついて来ていることを信じて、
任務を達成するしかないー。
”よしー、では君達の出番だー”
遠隔操作宇宙ドローンから、スーツ姿の男の言葉が聞こえて来るー。
秘密裏に開発されていた”宇宙でも響く音声”を使って、
言葉を伝達する対策本部ー。
”3人で隕石に憑依し、隕石の軌道をずらすか、
あるいは隕石の自己破壊を発生させてほしい”
スーツ姿の男の言葉がドローンから発されるー。
その言葉を聞いて、紅葉に憑依していた男は
霊体のまま笑みを浮かべると、
”ーーしかし、隕石に憑依するなんて、憑依薬を手に入れた時には
夢にも思わなかったぜー”と、内心でそう呟くー。
”ーークククー。まぁ、地球がなくなってしまえば
憑依どころじゃねぇからなー”
アビーに憑依していた男も、内心でそんな風に考えると、
何とかして、隕石を排除しようと考えるー。
ここで、”憑依のおかげで世界は救われた”となれば
そこから先の世界では、さらに”好き放題”しやすくなるー。
”俺たちが憑依で世界を救った”という実績は何者にも代えがたいー。
”ーーーーー”
残る、綾に憑依していた男は、相変わらず何を考えているのか
分からない様子のまま、
そのまま”巨大隕石”に3人は憑依を行ったー。
”ーーーぐ…隕石の動かし方が分からねぇ”
紅葉に憑依していた男は内心でそう呟くー。
”そもそも、”隕石”なんて自分で動くとかできるのかー?”
アビーに憑依していた男が内心で続けて呟くー。
が、”同じ器”の中に憑依した紅葉・アビー・綾に憑依していた男3人は
隕石の中で”意思の疎通”が可能になっていたー。
”これからどうする?”
紅葉に憑依していた男が言うと、
アビーに憑依していた男は
”とにかく、隕石を逸らせー”と、
そう言葉を口にするー。
”しかし、隕石を移動させるって言ったって、
隕石は生き物じゃねぇー。
憑依したって、人間みたいに移動することなんかできねぇぞ?”
紅葉に憑依している男は、少し慌てた様子でそう言葉を口にすると、
”このまま、俺たちだけ隕石として永遠に宇宙を漂うなんてごめんだぞ??”と、
そう言葉を付け加えるー。
”慌てるなよー。言われた通り、”憑依の拒否反応”を起こして
隕石を崩壊させりゃいいー。
人間の身体だって拒絶反応が起きるんだー。
隕石だって内側で俺たちが好き放題やればー…”
アビーに憑依していたその男の言葉に、
綾に憑依していた男も”そうだなー”と、だけ呟くと、
3人は”隕石の中”で、好き放題暴れ回り始めたー。
”この身体は俺の身体だ”と言わんばかりに
隕石の中で激しい争いを繰り広げていくー。
それを続けること数分ー。
やがて、”隕石”に異変が起きたー。
ピキッと隕石の表面に亀裂が入り始めるー。
”おぉっ!?す、すげぇー…これならいけそうだぜ”
紅葉に憑依していた男が叫ぶー。
”ークククーよし、もっと暴れてやろうぜ”
アビーに憑依していた男もそう呟くー。
綾に憑依していた男も、隕石に憑依した状態のまま
隕石の中で暴れ回るー。
するとー、ついに隕石に入っていた亀裂が
広がっていきー、
隕石が、砕け散ったー。
その衝撃で、
隕石に憑依していた三人の男たちは
隕石からはじき出されて、隕石の方を見つめるー。
”へへへーやったぜーこれで俺たちは英雄だな”
紅葉に憑依していた男が嬉しそうに叫ぶー。
同時刻ー
地球の対策本部上では、隕石の”破壊”が確認されて、
歓声が上がっていたー。
スーツ姿の男も、満足そうに頷くと、
「ーー大佐、”奴らの処理”をー」と、そう言葉を口にするー。
エリオット大佐も「ウム」と頷くー。
最初から彼らは、
地球を救ったあとに”用済み”になった、憑依人たちを
始末するつもりでいたー。
地球周辺に待機させている衛星から”妨害電波”を発することで
霊体を地球に戻らせずに、
そのまま消滅させる準備をしてあるー。
それを使えばー…
「いや、待て!」
エリオット大佐が叫ぶー。
「ー!?」
スーツ姿の男が振り返ると、
”粉々になった隕石”がそれぞれ地球に向かっているのが
レーダー上で見えたー。
元々、あまりにも大きすぎた隕石ー。
バラバラになろうとも、その一つ一つのサイズは
”まだ”地球を崩壊させるには十分すぎる大きさを
維持していたのだー。
「ーーーこ、このままではー」
エリオット大佐は慌てて、
「ーくそっ!用意していた”磁気シールド”を展開しろ!」
と、そう叫ぶー。
まだ用意してあった”最終手段”ー。
しかし、隕石の破片たちは、それを簡単に突破してしまいー、
地球に”バラバラになっても十分巨大な隕石たち”が
降り注いだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”おいおいー…”
呆然とする紅葉に憑依していた男ー
”おい!返事をしろ!!おいっ!”
アビーに憑依していた男は、通信用のドローンに向かって叫ぶも
返事はないー。
”ーーーー”
綾に憑依していた男は、砕け散った隕石が直撃して、
真っ赤に染まった地球を宇宙空間から霊体の状態で見つめながら
呆然とすることしかできなかったー
おわり
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コメント
世界が救われる…と、思いきや
滅亡してしまう結末でした~笑
憑依人3人だけは、霊体ですケド、
生き延びちゃいましたネ~…★!
お読み下さり、ありがとうございました~!
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