<憑依>消費期限切れの憑依薬①~欲望~

その憑依薬は”消費期限切れ”だったー。

しかし、”それ”を手に入れた男たちは、
”憑依”という夢を前に、
例え消費期限切れでも使わずにはいられなかったー。

これは、”消費期限切れ”の憑依薬を使ってしまった者たちの
物語…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ー憑依薬ー…マジかー」
40代の中年男性・嶋上 健吾(しまがみ けんご)は、
ネット上で”憑依薬”と呼ばれるものを見つけて、
驚きの表情を浮かべていたー

いきなりネット上に現れた怪しげな”憑依薬”なる薬の販売サイトー。

当然、ほとんどの人間は
”本当に憑依できるわけないだろ”と思って
そのままページを閉じたり、
悪質な詐欺か何かだと考えて警戒し、
面倒ごとに巻き込まれないようにしたり、
”憑依薬を真に受ける”などということはしなかったー。

けれど、中には”いかにも怪しいサイト”であっても、
飛びつく人間はいるー。

”偽物かもしれないー”と疑いつつも、
それでも”もしも本物ならー?”とリスク承知で憑依薬に飛びつく者ー。

警戒よりも欲望が勝る者ー。
仮に詐欺だったり、届いた”憑依薬”が毒だったとしても、
別に死んでも失うものは何もないと考える者ー。

そういった”一部の人間”が、
この日、突如として現れた”憑依薬販売サイト”に飛びつき、
憑依薬を購入してしまったー。

「ーへへへへー
 もし嘘でも、別にどうせ金は余ってるしー、
 失うものなんてねぇからなー」

40代のおじさんー、健吾もその一人。
家族もいないし、趣味もそれほど充実していないし、
しがみつくような社会的地位もないー。

”憑依薬”とやらが偽物であっても
彼にとっては痛くも痒くもないし、
もしも、毒入りの液体で、これを飲んで死んでしまったとしても、
”それならそれで仕方ない”と、そんなことを考えて
憑依薬を注文したー。

そしてー

その数日後ー。
注文した”憑依薬”が到着したー。

憑依薬には割としっかりとした”説明書”のようなものまで
添付されていて、
それを読んでいく健吾ー。

「ーへへへへー
 こんな凝った説明書まで用意してー…
 もしかしてこれ、”本当に憑依できる”んじゃないかー?」

健吾はそう言葉を口にしながら、
ニヤニヤと笑みを浮かべると、
”憑依薬”の容器を今一度見つめるー。

「ーーーへへへー
 もし、ホントに誰かに憑依できるならー
 人生、大逆転だよなー」

そう言葉を口にしつつ、”美少女”に憑依しようと
そんなことを思う健吾ー。

が、憑依薬の容器を満足そうに見つめていた
その時だったー。

「おいおいおいー」
健吾は呆れ顔で呟くー。

容器のキャップに記載された”憑依薬の消費期限”が
既に切れているー。

つまり、この憑依薬は”消費期限”切れー。

「マジかよー。消費期限切れてるじゃねーか…」
健吾は、憑依薬を販売している業者が
”わざと”消費期限切れの憑依薬を送って来たのか、
それとも、管理が行き渡っておらず、
憑依薬を販売している業者側も、”憑依薬”の消費期限切れに
気付かずに発送してきたのかー
そんなことを考えながら、憑依薬の容器を見つめるー。

しかしー…
消費期限切れであることを知っても、
健吾はなお、”憑依薬を飲みたい”気持ちを抑えることができなかったー。

既に、”憑依したい相手”は決めてあるー。

近所に住む女子高生・岡崎 加恋(おかざき かれん)ー。
健吾からしてみると”理想的な美少女”な雰囲気を持つ子でー、
振る舞いを見ていると、とても優しそうな感じに見える。

別に、付き纏っているわけではないものの、
近所であるために、それなりに加恋のことを見かける機会は
多いのだー。

「ーーへ…へへへへー
 ”憑依して好き放題する”ってのはー、別に犯罪じゃねぇよなー?」
ニヤニヤしながら、憑依薬の容器を手に
そう言葉を口にする健吾ー。

健吾は、昔から下心丸出しの男だー。
けれど、”ルール”は守るー。
今までも、これからも、そのつもりだったー。

”憑依薬”なら、法律と言う名のルールを破ることなく、
欲望を満たすことができるーー
そう感じた健吾にはもう、”憑依薬を飲まない”という選択肢はなかったー。

「へへへーへへへへへへ
 消費期限切れでも問題ないだろ?」

そう言葉を口にして、
憑依薬の容器を自分の口に近付ける健吾ー。

”どうせ、本当に憑依なんてできるはずはないー”
そうは思いつつも、
”もしかしたら本当に憑依できるんじゃないかー”と、
不安と期待を自分の中で織り交ぜながら
健吾は意を決して、ひと思いに一気飲みしたー

”期限切れの憑依薬”
をー。

それと同時に、自分の身体から力が抜けていくのを感じて、
一瞬”ヤバい”と、思ったものの、
すぐに、”自分の身体”が霊体のような状態に変化したことに気付くと、
「ーう、嘘だろー?まさか、このまま誰かの身体に入れば、
 本当に憑依できるんじゃー…?」と、
まだ実感が沸かない様子ながら、ニヤニヤしながらそう言葉を口にする。

「ーーへへーそうと決まったら早速ー」
健吾はそう言葉を口にすると、家を飛び出すー。

そしてー、
ちょうど”下校”してきていた加恋の姿を偶然見つけると
「ナイスタイミングー…!今日の俺はついてるぜ」と、
そのまま容赦なく、加恋の方に向かって行くー。

一瞬、”実は見えてるとかないよな?”と、躊躇したものの、
加恋の目の前まで行っても、加恋が反応しなかったために、
”見えていない”と確信ー、
そのまま加恋に手を伸ばすと、ニヤリと笑みを浮かべてから
「へへへー今日から俺の新しい身体になって貰うぜー」と、
そう言葉を口にしてーー、
その”中”へと入って行ったー

「ーーひっ!?!?」
ビクッと、身体を震わせる加恋ー。

「ーー…ぁ…… お…?うぉっ?ま、マジかー?」
ビクッと震え終わった加恋は、突然下品な笑みを浮かべると
ニヤニヤしながら、自分の手を、身体を、
愛おしそうに見つめ始めるー。

「ーう…うへへへへへーまさか、本当に、本当に憑依できるなんてー」
加恋は嬉しそうにそう言葉を口にすると、
加恋の可愛い声が自分の口から出ていることにも、
心の底から感動を覚えつつ、嬉しそうにガッツポーズをするー。

そして、周囲を見渡すと加恋に憑依した健吾は、
「ひ、憑依できたってなりゃー、これをするしかないよなー?」と、
周囲を見渡しつつ、ニヤニヤしながら
”自分のもの”になった加恋の胸を嬉しそうに
揉み始めるのだったー…。

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「ーー先生!俺の彼女はいったいー!?」
とある病院ー。

社会人2年目の男、南田 和幸(みなみだ かずゆき)が
悲痛な叫び声を上げるー。

「ー落ち着いて下さいー。
 精密検査を行いますので」
医師がそう言葉を口にすると、
和幸は心配そうに彼女である詩織(しおり)の方を見つめるー

詩織はゲラゲラと笑いながら、
まるで赤ちゃんのように騒ぎ、口元から涎をこぼしているー。

「ーー…き、き、昨日までは、普通だったんですー!」
和幸がなおもそう叫ぶと、
医師は「分かりましたー。」と、そう言葉を口にしてから、
詩織の検査をするようにスタッフに指示をするー。

「詩織ー…いったい、どうしてー」
和幸はそう言葉を口にすると、
何も分からずにただ笑っている様子の詩織を見つめながら
悲しそうに呟くー。

彼女はー、1週間ほど前に”憑依”されてしまっていたー。
ただ、詩織に憑依した男は、”詩織のフリ”をしながら
生活を続けていたため、
彼氏である和幸は、その異変に気付くことはなかった。

しかし、今朝になって詩織は急に、発狂したかのような
行動を繰り返して、何を話しかけても
意思疎通もまともにできないような、
そんな状況になってしまっていたー。

「ーーなんだこれはー…」
”詩織”の検査を行った医師は困惑するー。

「ーし、詩織はどんな状態なんですかー…?」
心底困惑した様子で彼氏の和幸が言うと、
医師は深刻そうな表情を浮かべたまま
言葉を振り絞ったー。

「今までに見たこともない状態ですー」
とー。

医師が言うには、脳が異様な免疫反応を示していて、
脳波がおかしな波形になっているほか、
MRI画像にも、異常なものが写り込んでいるのだというー。

「全体が影に覆われているようなー…これはいったいー」
医師はそれだけ言葉を口にすると、
和幸は狂ったように笑いながら拍手をしている詩織の方を見つめるー。

「ーーし、詩織は、いったい…いったいどうなってしまうんですかー?!」
和幸が青ざめた表情で叫ぶー。

すると医師は困惑の表情を浮かべながら言ったー。

「正直に申し上げれば、
 全く症例のない状態ですー。
 何が、どうなるのか、予測できません」

とー。

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一方、別の場所では、
「あれ…わたしはー…?」と、
一人の女子高生が首を傾げながら
道を歩いていたー。

「ーー明美(あけみ)、どうしたのー?」
隣にいた友達が不思議そうに声を掛けると、
「うー、ううんー。何でもないー」と、
明美と呼ばれた子は困惑の表情を浮かべながら首を横に振るー。

”ーーわたしー…何だか、大事なことを忘れているようなー…?”
明美は、何だかモヤモヤしたような気持ちになりながら、
戸惑いの表情を浮かべるー。

別に体調が悪いわけでもないし、
精神的に病んでいるわけでもないー。
学校でトラブルがあるわけでもないけれど、
なんだか、漠然とした不安だけが膨らんでいくー。

”ーー心配かけちゃうし、変なこと考えないようにしなくちゃ”
明美は、自分自身に”何も不安なんてないんだから”と、
そう言い聞かせると息を吐き出してからゆっくりと歩き出すー。

そう、不安なんてないー。
不安なんてー。

そう思いながら帰宅した明美は、
自分の部屋にバニーガールの衣装が隠すように置かれているのに気づくー

そしてーー

「ーーえっ……な、なにこれー…」
恥ずかしがり屋の明美は、バニーガールの服が置かれていることに
びっくりして、顔を赤らめるー。

がー、その直後、
明美はハッとしたー。

「ーい、いやー、お、俺ーー…」
明美が急に自分のことを”俺”と言い始めるー。

それもそのはずー
明美には、2週間ほど前から”男”が憑依していたー。

明美は完全に乗っ取られ、
身も心も支配されている状態ー。

明美に憑依した男の目的は
”女子高生ライフを普通の女子高生として楽しむこと”であったため、
表面上はおかしな行動はとっておらず、
明美の記憶を読み取りながら”明美”として過ごしていたために、
周囲は異変には気付いていない。

ただ、部屋ではコスプレをこっそり用意して
お楽しみをしたり、
”誰にも知られない範囲内”では欲望を楽しんでいたー。

明美の部屋に転がっているバニーガールの服も、
そんな”欲望を楽しむためのアイテム”の一つだ。

しかしー、
明美に憑依した男は、今日、途中から
自分が自分であることを忘れて、
完全に自分を明美だと思い込んでしまっていたー。

「ーーな、何だよー…お、俺は…俺だぞー」
明美に憑依している男は、自分が”元から明美”だと
思い込んで、自分が自分だということを忘れてしまっていたことに
愕然とするー。

すぐにバニーガールの格好に着替えて、欲望を楽しむ明美ー。

しかし、明美は一人で最後までお楽しみをした直後ー、
自分の格好を見て悲鳴を上げたー。

そしてーー、”明美に憑依した男”は、自分のことを二度と思い出せなくなり、
完全に、”明美”になってしまったー。

明美本人の意識は封じられたまま、憑依した男が明美になってしまったのだー。

ーー
明美に憑依した男も、詩織に憑依した男も、
健吾と同じものを使っていたー。

そうー…
”消費期限切れの憑依薬”をー。

二人を襲ったのは、いずれも消費期限切れの憑依薬を使ったことによる
未知なる副作用ー。
明美に憑依した男は、そもそも消費期限が切れていることに気付かずに使いー、
詩織に憑依した男のほうは、消費期限切れだとは理解しつつも、
健吾と同じように欲望に勝てずにそれを使用したー。

「ーーーー」
各地で、”消費期限切れ”の憑依薬を使った者たちに、
異変が起きる中、
加恋に憑依した健吾にも、少しずつ”異変”が起き始めていたー…。

②へ続く

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コメント

以前書いた「消費期限切れの入れ替わり薬」の、
憑依バージョンデス~!!
(ストーリーや登場人物は別デス~!!!
 入れ替わりを読んでなくても問題なしデス~!!)

消費期限切れの入れ替わり~の時にコメントで
”憑依バージョンも面白いかも?”と頂いたので
書いて見ました~!☆笑

続きはまた明日デス!!

続けて②をみる!

「消費期限切れの憑依薬」目次

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