<憑依>異世界の憑依都市①~異常事態~

28歳無職の男ー。

そんな彼がある日、
自宅ごと異世界に飛ばされてしまったー…

しかも、そこは”憑依”が蔓延する危険な世界だったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”芳樹(よしき)くんー、
 あなたのことが、ずっとずっと、大好きでしたー”

彼は、告白されていたー。

福山 芳樹(ふくやま よしき)ー
28歳独身ー
大学卒業後、就職した会社を1年で辞めて、
現在は無職。

そんな彼は今日、美少女から告白されていたー。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
 俺も、俺も大好きだよー!
 ナナちゃん!!!」

嬉しそうに”パソコンの画面”に向かって、そう叫ぶ芳樹ー。

そうー
彼は”恋愛アドベンチャーゲーム”のキャラクターに告白されていたー。

がーー
あまりにも大声で叫び過ぎたせいか、
部屋の扉をノックする音が聞こえて、
中に妹の明日香(あすか)が、入って来たー。

「ーーーー…ちょっと…うるさいんだけど!」
スーツ姿の、いかにも”OL”という雰囲気の格好で、
部屋に入って来た明日香が、不満そうに言葉を口にするー

3歳年下の25歳の妹、明日香は、
実家から職場に通っていて、
兄の芳樹とは違い、日々忙しく働いているー。

「ーえへへへー…仕方ないだろー?
 可愛い子から告白されたんだからー」
芳樹がそう返すと、呆れ顔で明日香が
パソコンの画面の方を見つめるー。

「ーーーーはぁ…またそういうやつー?
 まぁ、別に何を楽しむのも自由だけどさー
 急に奇声あげるのやめてくれない?

 こっちは疲れてるんだから」

不満そうに呟く明日香に対して、
芳樹は「ーへへーだったらさっさと彼氏でも作って
家から出て行けばいいじゃねぇか」と、言葉を口にするー。

「ーはぁ??
 そういうデリカシーのない言い方ばっかしてるから、
 会社もクビになったんじゃないの?」
不満を露わにする明日香ー。

「ーそれにさ、あんたいつまでニートしてんの????
 せめてバイトぐらいしたらどう?
 お父さんもお母さんも、いつまでも元気でいられないんだからー」
明日香がうんざりした口調で、そう言い放つと
芳樹は頭をポリポリと掻きながら
「ーニートじゃなくて”自宅警備員”なー?」
と、訂正を求めたー。

「一緒よ!カッコつけた言い方する必要なんてないし!」
明日香は、うんざりした様子で言葉を口にするー。

「ーーーはいはいー
 ナナちゃんと違って、明日香はホント、口うるさいなぁー
 少しはほら、ナナちゃんを見習えよー」

パソコンの画面を指差しながら、清楚なヒロインを真似しろと
言う芳樹ー

明日香は「あ~あ!キモッ!話しかけなきゃよかったー」と、
不満そうに言葉を口にすると、
そのまま部屋の外に出て行くー。

「んだよーいちいちうるさいなぁ
 せっかく告白されたってのに興ざめだ」
芳樹も不満そうに言葉を口にながら、再びパソコンの画面を
見つめるー。

がー、その時だったー。

突然ーーー
”謎の音”が、響き始めたー。

「ーーー…?」
芳樹は、最初、パソコンからしている音だと思い、
パソコンの方に耳を近づけたものの、
パソコンからの音ではなかったー。

風のようなー、
何か巨大な機械音のようなー、
言葉では説明しがたい音だー。

今までの人生で”あまり聞いたことのない”音ー。

それと同時に家の中を小刻みな振動が襲うー。

一瞬、芳樹は地震かとも思ったー。
けれど、地震とは違うー。

部屋の外から妹・明日香の悲鳴が聞こえるー。

「ーー!」
芳樹がその悲鳴に気付くと同時に、
今度は”遊園地の絶叫マシンに乗っているような”
無重力感が芳樹を襲ったー。

まるで”落下”するような不気味な感覚ー。

謎の轟音がさらに激しくなりー、
芳樹が窓の外を見つめるとー、
そこはーー

”まるで、ワープゾーンでも通過しているような”
不気味な光景が広がっていたー。

「ーーど…どうなってー…!?」
そう言葉を口にすると同時に、
ジェットコースターの何倍にも感じるぐらいの
不気味な感覚を味わいー、
芳樹はその場で失神してしまったー

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーぅ……」

どのぐらい時間が経っただろうかー。

意識を取り戻した芳樹がゆっくりと目を覚ますー。

”芳樹くんー?だいじょうぶー?”
そんなメッセージが、パソコンの画面上に表示されているー。

恋愛アドベンチャーゲームをプレイ中に、
意識を失ってしまった芳樹ー。

ゲーム中にしばらく放置していると
ヒロインが心配してくれる要素があり、
それが画面に表示されていたー。

「ーえへへ…ナナちゃんー俺なら大丈夫大丈夫ー」
芳樹がニヤニヤしながら立ち上がるー。

がー…
芳樹はすぐに窓の方を見つめるー

窓の方からは、紫色のようなー、
不気味な光が照り付けているー。

「ーー…さ、さっきのはいったいー…?」
そう思いつつ、外を見つめるとー

そこはーー
”いつもの景色”ではなくー、
紫色の光が照り付ける、”謎の場所”だったー。

「ーーな……なんだこれー…」
芳樹は思わず混乱して声を上げるー。

「ーーー……そ、そうだー…明日香はー…?」
芳樹は表情を歪めながら、部屋を飛び出すー。

妹の明日香も”家の中”にいたはずー。

そして、1階には母親の凛々子(りりこ)もいるー。

父親は今日は残業でまだ帰宅していなかったから、
巻き込まれていないとは思うけれど、
母・凛々子と妹の明日香は、家の中にいたはずだー。

「ーーー…」
芳樹は明日香の部屋をノックするー。

「おい!明日香!大丈夫か!?おいっ!」
そう言葉を口にしながら、部屋をノックする芳樹ー。

がー、明日香から返事はないー。

いつもうるさい妹だし、
いつも言い合いばかりしていたけれど、
こんなことになっては、心配せずにはいられなかったー

”くそっー…アイツ、部屋の中で気を失ってるのかー?
 でも、勝手に入るとアイツ、うるさいしなー…”

そんなことを思いつつも、
「いや、今はそんなこと言ってる場合じゃないー」と、
そう言葉を口にしてから、
「お、俺は自宅警備員なんだから確認はしておかないと」と、
妹・明日香の部屋の扉を開けたー。

がー、そこには明日香の姿はなかったー。

「ーー明日香…くそっー…どこにー?」

芳樹はそう言葉を口にしながら、
家の1階の方に向かうー。

「母さん!いるか?母さん!?」
母・凛々子の姿を探すー。

しかし、母・凛々子の姿も見つからずに困惑の表情を浮かべると、
ふと、机に何か紙が置かれていることに気付いたー。

”わたしは、外の様子を見てくる 何か分かったら戻るね 明日香”

そう書かれた紙ー。

「この字…明日香の字だー…」
芳樹は表情を曇らせるー。

ひとまず、明日香は無事のようだー。

が、母親である凛々子の安否が分からないし、
そもそも、何が起きているのかも、ここがどこなのかも分からないー。

「ーーーー」
芳樹は部屋に戻ってスマホを手にするー。

SNSで”何が起きているのか”
情報を収集しようと考えたのだー。

しかし、ネットには繋がらず、
SNSの情報を見ることはできなかったー。

「くそっ!どういうことなんだー」
そう思いつつ、妹の明日香と母親の凛々子、そして父親に
順番に電話を掛けるー。

けれど、いずれも繋がる様子はなく
電話は完全に使用できない状態だったー。

「ーーあ~~~くそっ…」
芳樹は、困惑しながら家を飛び出すと、
そこはー広々とした高台のような場所だったー。

そこに、芳樹たちの家だけがポツンとある状態ー。

「ーな、なんなんだここー…」
空は紫色に染まり、少し離れた場所からは
天に向かって照らされているライトが見えるー。

「ーあっちに、何かあるのかー…?」
芳樹がそんな言葉を口にしながら光の方に向かっていくとー
そこにはーー
見たこともない”都市”のような場所が広がっていたー。

高台の上から都市を見つめて、呆然とする芳樹ー。

見たこともない形状の建物ー
いつもとは違う違和感を感じる空に、不気味な光ー。

「ーーここは…いったいー…?」
芳樹がそう呟くと、その直後ーーー

「こ、来ないで!!!」
と、そんな声が聞こえたー。

「ーー!?」
芳樹は驚くー。

その声は、母親の凛々子の声だったからだー。

「ーーか、母さんー!?」
高台から都市に向かう階段の先から聞えた母・凛々子の悲鳴ー。

「ーーー…くそっ…な、何が起きてるんだよー!
 せっかく、ナナちゃんから告白されたってのに!」

不満そうにゲームのヒロインから告白されたことを
口にしながら、悲鳴がした方向に向かっていくと、
そこにはーー…

”光る人間”がいたー。

”人型のシルエットのような光る何か”というべきだろうかー。

そして、
その人型の光る何かに追い詰められているのはー…
母親の凛々子だったー。

「ーーーこ、こ、来ないでください!」
凛々子がそう言葉を口にしているー。

だが、人型の光る物体は返事をせずに、
そのまま凛々子の方に向かっていくー。

その様子を見た芳樹はーー

”母さん…!”と、叫んだー。
そして、人型の光る何かに向かって”母さんから離れろ!”と、
そう叫んだー

ーーーーと、いう”妄想”をしたー。

実際にはー…
ビビッて何も言えなかったー…。

自分の母親に向かっていく謎の”光る人間のようなもの”を前に、
何も言えなかったー。

彼は、正義のヒーローではないし、
漫画やアニメの中の主人公のような勇敢な人間でもないー。
ただの自宅警備員…つまりニートだ。

「ーーーぁ…ぁ…」
芳樹は、声にならない声を上げながら、
その場で呆然とその光景を見つめるー。

「やめて… ぁっ…」
母親の凛々子が苦しそうな声を上げる中、
その”光る人間”はズブズブと母・凛々子の中へと入っていくー。

やがてー
母・凛々子の中に完全に入っていき、
その光る人間が姿を消すと、母の凛々子はニヤリと笑みを浮かべて、
自分の胸を触り始めたー

「ーーー…な……」
芳樹は、急に笑みを浮かべながら胸を揉み始めた凛々子を見て、
唖然とするー。

目の前にいる”母さん”が、”母さん”ではなくなった瞬間ー。
それを目の当たりにしたような気がしたー。

やがてー、呆然と立ち尽くす芳樹の存在に気付いた
母・凛々子がニヤッと笑いながら芳樹の方を見つめるー。

芳樹は直感的に”身の危険”を感じて、
慌てて移動を始めるー。

「くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!」
芳樹は、母・凛々子から必死に逃げたー。

やがて、謎の”都市”のような場所に入り込むと、
そこにはー、さっきと同じ”光る人間”のようなものが
たくさんいたー。

シルエットは人型ー
だが、人間とは違い、全身が光っていて
シルエットだけの存在ー。
顔のようなものは存在せず、
”人の形をした光るなにか”としか
表現できないような、そんな存在が
そこら中を徘徊していたー。

シルエットを見ると、男のような形をしているものと、
女のような形をしているものがいるー。

「なんなんだあいつらー…」
芳樹は震えながら、身を隠しつつ、
そのまま街の中を進んでいくー。

「ーーーー」
そして、しばらく進むと
見知らぬ男女の姿が目に入ったー。

「ーーへへーこの”人間”の身体は最高だぜー」
女の方が笑みを浮かべながら男にそう言葉を口にすると、
男の方は「ねぇ、わたしたち”憑依するべき身体”逆だったんじゃない?」と、
そんな言葉を口にするー。

が、女の方は「へへー異性の方が興奮するだろ?」と、
ニヤニヤしながらそう言葉を口にしているのが見えたー。

「ーーひ…憑依…?憑依ってなんだー…?」
芳樹は戸惑いながら、その様子を物陰から見つめるー。

周囲を歩いているのは”光る人型のシルエット”の者たちばかりー。
が、たまに”人間”が紛れ込んでいるー。

「ーーーー」
先程、母・凛々子の身に起きたことを思い出す芳樹ー

「まさか、母さんも憑依されてー…?」
そんなことを思いながら、身を隠すために移動する芳樹ー。

がーー
ふと、OL姿の明日香に文句を言われた”ここに来る直前の光景”を
思い出してハッとしたー。

「そ、そういえば明日香はー!?」

”異世界”に飛ばされた家の中に、
明日香の書置きが残されていたのを思い出すー。

”外の様子を見て来る”
と、そう書かれたメモー。

「ーー……く、くそっ…」
芳樹は歯ぎしりをするー。

生意気で口うるさい妹ー。
しかし、こんな訳の分からない場所で、訳の分からないやつらに
”憑依”された妹なんて見たくないー。

そう思いつつ、芳樹は妹・明日香の無事を祈りながら
移動を始めるのだったー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

家ごと異世界に飛ばされてしまった…!
そんなお話デス~!

憑依が蔓延する異様な異世界での物語を
楽しんでくださいネ~!

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