謎の美少女の手によって、
次々と陥れられていくサラリーマンの男ー。
彼女のー、
そして彼女に憑依している男の目的とはー?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーふふふふふー
もっともっと、追いつめてあげるからー!」
部屋に入り込んできた萌奈は、邪悪な笑みを浮かべながら、
裕司にキスを繰り返すー。
上着を脱ぎ捨てた萌奈の異様な行動に、
裕司は「おいっ!やめろ!何のつもりだ!」と、そう声を上げるー。
がー、萌奈は笑うー
「か弱いわたしを突き飛ばすつもりー?
そしたらわたし、怪我しちゃうかもよー?」
とー。
「ーーっっ…!」
裕司は表情を歪めるー。
萌奈のおかしな行動をやめさせるには
力づくで萌奈をどかすしかないー。
しかし、今まで起きたことを考えると、
それをすれば”どうなる”かは目に見えているー。
確実に萌奈は”暴力を振るわれた”などと騒ぎ出すだろうし、
最悪の場合、自分から部屋に入り込んでおきながら
”部屋に連れ込まれて乱暴されそうになった”とか言い出しかねないー
”くそっ!なんなんだこの女ー…!
しかも、何でこの家の鍵を持ってるんだー!?”
裕司は一瞬、”妻”の雅美を疑ってしまうー。
この家の鍵を手配できる人間は限られているー。
裕司か、妻の雅美かー…
そのぐらいしか考えられないー。
がー、すぐに”雅美はそんなことしないー”と、
自分の中で雅美への疑いを消すー。
”クククククー”
憑依されているお嬢様・萌奈は笑みを浮かべるー。
”お嬢様って立場を使えば、何だってできるんだよー
金にモノを言わせて、なー”
萌奈は自分の手を見つめながら笑うー。
”ー復讐のために使う道具としてー
この身体は最高だぜー”
とー。
そうこうしているうちに、萌奈は
裕司にさらに激しくキスをし始めるー。
「ーわたしを滅茶苦茶にしてーー♡」
萌奈の言葉に、裕司は「やめろ!!いい加減にしろ!」と叫ぶー。
しかし、裕司のそれが勃起しているのを見て、
萌奈は笑うと、
「ーふふー妻がいるのに、浮気しちゃってー」と、
ニヤニヤとし始めるー
「ふざけるな!違う!これは違う!」
裕司は、悔しそうに叫ぶー。
裕司に浮気するつもりなど、微塵もないー。
今、萌奈に抱き着かれたり、キスをされたり、触られたりしても
嬉しいなどという気持ちは全くないー。
それでも、”男”である自分の身体が自然と反応してしまう
この状況に裕司は屈辱さえ覚えていたー。
「ーーーーーーーくそっ!」
裕司は萌奈を振り払おうとするー。
がー、萌奈は「女に暴力を振るうの?」と、
挑発的に笑うー。
萌奈を追い払おうとすれば”暴力を振るった”と言われー、
このままだと”浮気”と言われー、
最悪の状況ー。
裕司は、萌奈の行動の意図が分からないままー、
「ーーい、伊藤かー!?伊藤に頼まれたのか!?」と、
そう声を発するー。
理由もなく、咄嗟に口にした言葉だったー。
先日、”俺を恨んでいる人がいるとすれば”と、
社会人になった今から、学生時代に至るまで
卒業アルバムも見ながら
”今まで関わった人たち”のことを考えていたー。
その結果ー、
小さい頃に、”伊藤 真一”という子を揶揄ったり、
いじめのようなことをしてしまっていたことを思い出したー。
萌奈に追い詰められた極限の状況の中ー、
裕司はその名を口にしたー。
「ーー!」
萌奈が表情を変えるー。
「ーー!?」
裕司も、その反応に気付くー。
が、その時だったー。
「ーーーーえ……な、何してるのー…?」
妻の雅美が帰宅してしまいー…
呆然とした表情を浮かべながら、
”裕司と萌奈”が一緒にいる光景を見て、震えていたー。
「ーま、雅美ー…こ、これはーー!」
裕司が声を上げるー。
が、雅美の帰宅に気付いた萌奈は微笑むー。
「ーふふー”裕司”の奥さんー?」
挑発的に笑う萌奈ー。
「ーーあ、あなたはー…だ、誰ー?」
呆然とする雅美に対して、萌奈は笑うー。
「ーーえへへーはじめまして!
わたし、裕司とお付き合いしている萌奈です!宮森 萌奈ー!」
萌奈はそう”嘘”を口にするー。
「ーーな…おいっ!!!」
裕司が叫ぶと、萌奈は振り返って言ったー
「え~~~!?いつも愛してるって言ってくれてるじゃん~!
それに、今日だってわたしを家に呼んでくれたし!」
萌奈のその言葉に、雅美は震えながら裕司を見つめるー。
「ち、ち、ち、違うんだ!」
裕司が必死に叫ぶー。
しかし、萌奈は笑ったー。
「ー違くないでしょ?
わたしが家に入っているのが何よりの証拠ー。
ねぇねぇー、早くこんな奥さんと別れて
わたしのことだけを見てよ!」
萌奈は”わざと”裕司が浮気しているかのような発言を繰り返すと、
雅美は、泣きそうになりながら
「ど、どういうことなのー?」と、困惑の表情を浮かべるー。
萌奈はニヤニヤしながら
「ーーあはっ…と、とりあえず邪魔みたいだし、わたしはこれでー
またねー裕司!」
と、”あえて”名前で裕司を呼ぶと、萌奈は笑いながら立ち去っていくー。
残された裕司は、雅美にすぐに事情を説明するー。
がーー
状況が状況だけに、雅美は”半信半疑”という様子で、
二人の間には微妙な空気が流れ始めてしまったー。
そしてーーー
「ーーーー!」
雅美が、ふと、”床に落ちているもの”に気付くー。
「これは、なにー?」
雅美が拾ったのは”生徒手帳”ーーー
そう、”憑依されている萌奈”が”わざと”落としていった
高校の生徒手帳だー。
お嬢様たちが通う名門学校の生徒手帳を見て、
雅美は「ーーーーえ…嘘ー…」と、裕司の方を見つめるー
”高校生と浮気しているー”
そんな風に、萌奈が思わせるために”わざと”生徒手帳を落としたのだー。
「ーーー……ち、違う!!だ、だから、さっき説明した通りー…」
裕司が慌てて事情を再び説明しようとするも、
雅美は混乱した様子で、
「ご、ごめんー…ちょっとー…一人にしてー」と、
部屋の中に逃げ込んでしまったー。
「ーーー」
一人残された裕司は、困惑の表情を浮かべながら
「このままじゃ、あいつに全部壊されてしまうー」と、表情を歪めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
”萌奈”は、裕司の家に電話をかけたりー、
裕司のスマホにメッセージを送ったりー、
積極的なアプローチを続けたー。
裕司は、雅美に必死に事情を説明するも、
雅美は次第に、裕司に不信感を抱き始めるー。
さらにはー、
裕司は、会社を解雇されてしまいー、
そのことも雅美に伝わってしまったー。
”何があったんですかー?”と、会社に問い合わせた雅美に、
裕司の同期の英悟が”実は取引先の社長の娘に手を出したとかでー”と、
そう答えてしまったのだー。
雅美の不信感は、確信に変わってしまったー。
「ごめんーもうむりー…」
雅美は、そう言い残して実家に帰ってしまったー。
裕司は、英悟に対して「何で雅美にあんな説明したんだ!」と、
そう問い詰めたものの、同期の英悟は
「ーいやー…っていうか、奥さんいるのに浮気とか、ナシだろー」と、
困惑の表情を浮かべながら首を横に振ったー。
「ー俺みたいに、生涯独身なら好きにすりゃいいけど、
お前はそうじゃないんだからー…」
英悟は、それだけ言うと”正直、見損なった”と、
関係を絶たれてしまったー。
絶望する裕司ー。
そんな裕司に対してーー
”萌奈”が電話をかけてきたー
”あははー、全部失った気分はどう??”
萌奈の言葉に、裕司は「ーーくそっ!俺をこんな目に遭わせてー…!」と、
怒りの声を発すると、
萌奈は言ったー
”ーーいいよねぇーこの身体ー…
俺さ、このお嬢様の身体に憑依してるんだよねー。
おかげでお前への復讐も滅茶苦茶スムーズに進んだよー”
とー。
「ーな…なに…??」
”憑依”という現実離れした言葉に、裕司は戸惑うー。
そんな裕司に、萌奈は”憑依薬”で”このお嬢様”は身体を
乗っ取られている状態だと伝えたー。
”そんな非現実的なことあり得ない”と、裕司は反論しようとするもー…
もしも、”憑依”ならー、
写真で見た”宮森 萌奈”とイメージが全然違うことや、
面識がないはずの萌奈が裕司を執拗に陥れようとしていることへの説明が
ついてしまうことに気付くー。
”言っただろー?お前への復讐だってー。
”お金持ちのお嬢様”の身体を手に入れた俺からは、逃れられない”
萌奈のその言葉に、
裕司は「くそっ!やっぱりお前ー…い、伊藤真一だな!」と、そう叫ぶー。
裕司が、小さい頃にいじめてしまった相手ー。
小さい頃の、過ちー。
”ーーーふんー”
萌奈のその言葉に、裕司は「ーー本当に悪かったと思ってるー」と、
謝罪の言葉を口にするー。
小1の頃の話とは言えー、それでも罪は罪だー。
謝罪の言葉を何度も口にし、”宮森 萌奈”を解放するように呼び掛けるー。
「不満があるなら、俺のことならいくらでも痛めつけてもいいー
でも、その子は無関係だろ!?」
と、そう叫ぶ裕司ー。
しかし、萌奈は笑いながら
”いやぁ、コイツの身体、エロいし、このまま俺のものにしちゃおうと思ってさ”と、
それだけ言い放って、そのまま電話を切ってしまったー。
「ーーくっー」
裕司は、すぐに宮森テクノロジーの本社の場所を調べると、
萌奈の父親である龍之介への接触を図ったー。
”宮森 萌奈”は憑依されているー
そのことを伝えれば、萌奈を助けることができるかもしれないし、
陥れられた自分の状況もどうにかできるかもしれないー、とー。
そしてーーー
裕司は、何とか会社に忍び込むと、宮森 龍之介に向かって
「すみません!」と叫んだー。
「ーーーー君ー、いったいどこからー!?」
戸惑いの表情を浮かべる龍之介ー。
そして、すぐにその相手が、娘の萌奈から言われた相手であることに気付くー。
そんな彼に対して
龍之介の娘・萌奈が憑依されていることを伝えー、
その犯人が”伊藤 真一”であることを伝えるー。
「ーーーー君は、うちの娘に手を出しただけではなくー、
そんな訳の分からないことまでー…」
怒りの形相を浮かべる龍之介ー。
しかし、裕司は臆せずに叫んだー。
”娘さんは憑依されていますー!どうか調べて下さいー”
とー。
あまりにしつこい裕司を前に、表情を歪める龍之介ー。
が、龍之介は警備員を呼びー、
駆け付けた警備員に取り押さえられてしまう裕司ー。
「本当なんです!どうか調べて下さい!
娘の萌奈さんは憑依されています!
伊藤 真一という男を調べて下さい!
嘘じゃありません!!」
裕司は必死に叫ぶー。
伊藤真一の出身校を、必死に伝えるー。
萌奈をどうにかしなければ、
このまま会社もクビだし、雅美とは離婚することに
なってしまうかもしれないしー、
全てが終わってしまうー。
どうにかしないとー!
その一心で、裕司は必死に叫んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーー」
警備員を振り払って、社長の龍之介に必死に
真実を伝えようとした裕司は、
警察を呼ばれて、警察に連行されてしまっていたー。
そこにー、
萌奈の父である社長の龍之介がやってきたー。
「ーー伊藤 真一を、どうか調べて下さいー!」
裕司が、再び必死に訴えかけるー。
しかしー、
萌奈の父・龍之介は首を横に振ったー。
「ーーどうして!?!?
娘さんは、伊藤真一に憑依されてー…!」
裕司が、そう叫ぶと、
龍之介は「ー君は、自己保身のためにそんな嘘をつくんだなー」と、
呆れた表情を口にしたー。
「ー君があまりにも言うから、調べたよー。
その、伊藤真一という男をなー」
龍之介はそう言うと、裕司は「だったらー!」と、声を上げるー。
しかしーーー
「ー君は、私の娘が憑依されていると言ったな?
その伊藤 真一という男にー」
龍之介はそう言うと、裕司は「間違いありません!」と、声を上げるー。
がーーー
「ーもうちょっとマシな嘘をつくんだなー。
憑依などあるわけがないし、
その伊藤 真一という男はーーーーーー」
龍之介から伝えられた言葉に
裕司は呆然とすることしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーありがとうございました~!」
裕司が、小さい頃にいじめてしまった伊藤 真一は、
妻と共に、小さな洋菓子店をやっていたー。
小さい頃はいじめを受けたり、揶揄われたりしがちだった真一。
しかし、今の彼はそんな面影はなく、
高校時代に出会った彼女と結婚ー、幸せな生活を送っているー。
そもそも彼は、既にー小さい頃に揶揄われたことなど
ほとんど忘れていて、
裕司のことすら、覚えていないぐらい”過去のこと”になっていたー。
”萌奈”への憑依と
この伊藤 真一は”何の関係もなかったのだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーククククーーー
お前の身体は、ホント、使えるぜー」
萌奈は、自分の部屋で
ニヤリと笑みを浮かべると
鏡を見つめながら邪悪な笑みを浮かべたー。
「ーーおかげで、アイツへの復讐も捗るぜー」
萌奈はそう言葉を口にすると、
「さて、とー」と、嬉しそうに自分の胸を揉み始めるー。
”お前、伊藤 真一だなー?”と、言われた時には驚いたー。
笑いをこらえるのに大変だったー。
「ーー伊藤 真一って誰だよー ははっ」
胸を揉みながら思い出し笑いをする萌奈ー。
だがー、
裕司が何か勘違いをしている様子だったのを見て、
萌奈に憑依しているこの男は”あえて”憑依を暴露したー。
その結果、裕司は萌奈の父親に必死にそのことを伝えようとして、
空回りしー、結果的に今は警察の留置場にいるー。
「ーはははっ!最高だぜー!」
萌奈は嬉しそうに笑うと、
”ーー俺は、伊藤 真一とかいうやつじゃねぇよー”
とー、笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人はーー
どこで恨みを買うか分からないー。
自分が悪いと思っていないことでもー
いいや、世間から見て悪いことでなかったとしてもー、
恨みを買うこともあるー。
「ーーー」
高校時代、生徒会長だった裕司は、
”同じ生徒会に所属する書記だった男子生徒”の喫煙を目撃して、注意ー、
先生にそのことを伝えたー。
その結果ー、その男子は停学処分になりー、
親にもそのことが発覚ー、
最終的に学校を退学することになって、
その人生は狂ったー。
萌奈に憑依して、裕司をつけ狙っているのは、
そのためー。
内海 一治(うつみ かずはる)ー
それが、萌奈に憑依している男の名前ー。
裕司は、高校時代、そんな一治の喫煙を知り、
それを注意、先生に報告したー。
それが、恨みの理由ー。
しかし、裕司は”正しいこと”をしただけだし、
そのようなこと、裕司はもう、ほとんど覚えてもいなかったー。
人は、どこで恨みを買うか分からないー。
そして、その身に覚えのない”恨み”で理不尽に人生を壊されるーー
そんなことが、今日もどこかで起こっているのかもしれないー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
最終回でした~!
裕司くんは破滅…
萌奈ちゃんは乗っ取られたまま…
最悪のバッドエンドなのデス…!
お読み下さりありがとうございました~!

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