<憑依>どう考えてもハッピーエンドにならない展開でもこの俺がいればハッピーエンドだ①

”どう考えてもハッピーエンドにならない展開”ー

”憑依”は時に、”取り返しのつかない”
結末をもたらすー。

しかし、彼は、そんな”憑依”が行われている場所に姿を現して、
”どう考えてもハッピーエンドにならない展開”を捻じ曲げて
ハッピーエンドにしていくー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「へへへへーー
 残念だったなー坂上(さかがみ)ー」

ニヤニヤしながら、
女子大生の梓(あずさ)がそう言葉を口にするー。

「ーーや、やめろ!馬鹿なことはするな!」

とあるビルの屋上ー。
女子大生の梓が、ビルの端の方に後ずさっていきー、
後を追ってやってきた男子大学生・坂上 司(さかがみ つかさ)が
そう叫ぶー。

司の彼女である梓は、
今、このビルから飛び降りようとしていたー。

「ククククー…
 今更、後戻りはできねぇよー」

梓は邪悪な笑みを浮かべながらそう言葉を口にするー。

見た目の穏やかそうな雰囲気からは
想像もつかないような言葉遣いー、
そして、自ら飛び降りようとしている割には
何かに悩んでいる様子もなく、
むしろ嬉しそうに邪悪な笑みを浮かべながら
自分の髪のニオイを嗅ぐような仕草も見せるー。

「ーあ~~~~
 梓ちゃんと、付き合いたかったなぁ~」
梓は自分で意味不明な言葉を口にするー。

そうー、梓は今、同じ大学に通う男に”憑依”されていたー。
梓に一方的に片思いをしていた男が、
梓に彼氏が出来たと知って勝手に絶望ー、
その身体を乗っ取って、梓を飛び降りさせようとしているのだー

「や、やめろ!!!ふざけるな!!!
 こんなのー、こんなのただの人殺しだぞ!」

”憑依した身体で飛び降りる”ー
それは人殺しだと必死にそう叫ぶ。

が、梓に憑依している男は、
笑みを浮かべながら言ったー。

「ーわたし、今から死んじゃいま~す♡」と、
わざと挑発的にー、楽しそうにー…。

”へへへへへー
 梓ちゃんを手に入れられないならー
 ーーこれでいいんだー”

梓に憑依している男は、
そのまま梓の身体で笑いながらビルから落下していくー。

「うあああああああああああああああっ!」
彼氏の司は、”信じられない光景”を前に
叫び声を上げながら走るー。

”憑依”がもたらすバッドエンドー。
どう考えても、ここから”ハッピーエンド”に逆転するのは不可能ー。

しかしーー
その時だったー。

猛スピードでビルの下に向かって走って来た男ー。
大柄なその男は、梓の落下地点でジャンプをすると、
邪悪な笑みを浮かべながら落下していた梓をキャッチー

「ーな、な、何だお前は?!」
憑依されている梓は、ビルの屋上から飛び降りている途中に
キャッチされるというあまりにもあり得ない展開に
表情を歪めるー。

そのまま、木を掴んで
衝撃を和らげた上で男が地上に着地すると、
無傷でビルから地上に着地する結果になってしまった梓が
怒りの形相を浮かべるー。

そしてーー
男は梓の腕を引っ張ると、そのまま路地裏に連れて行きー、
”人目につかないように”した上で、
梓の顔面を掴み、”憑依している男”を
引きずり出したー。

その場に倒れ込む梓ー。

それと同時に、梓から引きずり出された男・義春(よしはる)は、
驚いたような表情を浮かべるー。

「ーーお、お…お、お前は、いったいー…?」
梓の身体で飛び降りたはずなのに、それを阻止され、
梓からも引きずり出された義春は、呆然とした表情を浮かべるー。

そんな義春に対して、男は「馬鹿野郎!」と、そう叫ぶと、
「ー女なんて、この世にいくらでもいるんだー。
 一人に固執する必要なんてねぇー。
 お前はこの女のなんだったんだ?彼女が奪われたってんなら分かるー。
 でも、告白もしてないただの”同じ大学の子”だったんだろ?」
と、そう言い放つと、
「ーそ、それはー…」と、義春は震えながら男を見つめるー。

「友達でも恋人でもなかった女に拘って
 人生を棒に振るな。
 憑依で人の人生を奪えば、必ず後悔するし、
 お前も近いうちに、身を滅ぼすー。

 人生つまんねぇってんなら、俺が女遊びでもなんでも教えてやるー。
 だから、馬鹿なことはやめるんだ。いいな」

男はそう言うと、
「憑依能力は没収だー」と、手から光を放ち、
”義春”の憑依能力を”没収”したー。

そこにーー

「ー梓!!」
と、ビルの屋上から降りて来た彼氏・司が駆け付けると、
梓も意識を取り戻すー。

「ーー彼女は無事だー。
 これからも彼女を大事にするんだぞ」
男はそう言葉を口にしながら立ち去って行こうとするー。

「ーーあ、ありがとうございますー」
司は目に涙を浮かべながらそう言葉を口にすると、
その場にまだ残っていた梓に憑依した義春が言葉を口にするー。

「ーーあ、あんたはー…いったいー」
とー。

その言葉に男は立ち去りながら言い放ったー。

「どう考えてもハッピーエンドにならない展開を
 ハッピーエンドにする男だー」

とー。

「よかったー。本当によかったー」
「司…助けてくれたんだねー」

無事だったカップルが嬉しそうにそう言葉を口にしているー。

そんな様子を振り返って確認すると、
男は「ハッピーエンド」と、そう呟いてそのまま立ち去って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼はー、
”どう考えてもハッピーエンドにならない展開”を
ハッピーエンドにする男ー。

そのためなら、”手段”など択ばないー。
いいやー、”常識”すら捻じ曲げて見せるー。

「ーへへへへへへー遊び過ぎて”妊娠”しちまったぜー
 この身体ももう廃棄処分だなー」

ニヤニヤしながらそう言葉を口にするOL・和美(かずみ)ー

そんな和美の家の外でーーー
”憑依”を察知してやってきていた男は、
「ーー取り返しのつかないバッドエンドだな」と、
そう静かに言葉を口にしたー。

OL・和美は、男に憑依されて以降ー、
男遊びを死ぬほど繰り返して来た女ー。

会社もクビになり、本人の健康状態も人間関係も
もはや”ボロボロ”の状態だー。

明らかにこの展開からハッピーエンドにすることは
難しいー。

がーー…
ハッピーエンド男は玄関から堂々と、扉をこじ開けて
中へと侵入したー。

「ーな、な、何だお前は!?」
突然、家の中に入って来た男を見て
大きくなったお腹を面倒臭そうに動かしながら、
和美が声を荒げるー。

すると、男はしばらく和美を見つめてから言ったー。

「ー悪党には2種類あるー」
とー。

「あ?」
和美が困惑の表情を浮かべながら声を上げるー。

すると、ハッピーエンド男は言った。

「救える悪党と、救えない悪党だー。」
とー。

憑依人の中にも”救える悪党”もいるー。
そんな憑依人は救うことで改心させれば
憑依人にとってもハッピーエンドとなるー。

一方で、救えない悪党と言うのも世の中にはいるー。
救えない悪党は”生かしておく”ことで
逆にバッドエンドを呼び込んでしまうー。
だから、そういう人間は”消す”のが
全体的なハッピーエンドに繋がる。

”消すしかない邪悪”も世の中には存在するのだー。

「ーーお前は救えない悪党だー
 故に処分する」
男はそう言い放つと、
和美は困惑の表情で「な、何が目的だ!?この女の知り合いか!?」と、
そう声を上げるー。

「いいやー。別に知らない女だー」
ハッピーエンド男はそう返すー。

「ーじ、じ、じゃあ、何の用だ!?
 か、金かー?
 それとも憑依薬が欲しいのかー?」

和美はなおも動揺した様子でそう言葉を口にすると、
ハッピーエンド男は言うー。

「ーーハッピーエンドをもたらしに来た」

「ーは…はぁ!?!?」
妊娠している身体を揺らしながら和美は
裏返った声でそう叫ぶと、
「ーー…な、何者だー!?」と、改めてそう問いかけるー。

すると、男は答えたー。

「ハッピーエンド主義者だ」
とー。

「ーは…はぁ…?
 ふ、ふざけるな!!!」
和美の身体でそう叫んだ男は、
ハッピーエンド男を睨みながら困惑の表情を浮かべていたものの、
やがて、邪悪な笑みを浮かべるー

「クククー ははははっ!
 そもそもどうやってこの状況をハッピーエンドにするつもりだー!?
 この女は俺に憑依されて会社もクビになって人間関係もボロボロ
 家族とも絶縁状態だー

 男とも女ともヤリまくって、妊娠もしてる!
 こいつがハッピーエンドになる方法があるとでも言うのかぁ??

 あぁ?」

和美のその言葉に
「ある」と、ハッピーエンド男はそう言葉を口にすると、
突然、和美の膨らんだお腹に手をかざしたー。

「ーな、な、な、何をしてやがる!?」
和美がそう叫ぶと、
膨らんでいたお腹が急速にしぼんでいくー。

「ーぉ…おぉぉぃ!?!?なんだこれ!?」
和美が心底驚いた表情を浮かべると、
ハッピーエンド男は「胎児を消した。それだけのことだ」と、
そう言い放つー

「な、な、何だと!?」
心底驚いた声を上げる和美ー。

妊娠していたはずの身体が、
妊娠前の状態に戻ってしまったことに驚くと同時に、
ハッピーエンド男のほうを見つめると、
続けてハッピーエンド男は、
紫色の手錠のようなものを取り出したー。

「ーま、まさかお前ー警察!?」
和美に憑依している男がそう叫ぶと、
「ー警察なわけないだろう。ただのハッピーエンド主義者だと言ったはずだ」と、
そう言葉を口にした上で、
紫色の手錠を、憑依されている和美の方に投げつけるー。

すると手錠は勝手に空中を舞いー、
そのまま和美の方に向かって来て、
和美を勝手に拘束したー。

”く、く、くそっー何なんだコイツはー?”
和美に憑依している男が呆然とするー。

「ー次にお前のせいでズタボロになった人間関係の修復だー」
そう言葉を口にすると、ハッピーエンド男は
「今回は”記憶”を調整しよう」と、そう言葉を口にする

「ーな、な、何を言ってる!?」
和美が拘束された状態のまま叫ぶと、
ハッピーエンド男は、男が和美に憑依したせいで、
人間関係が壊れてしまった友達、家族の一覧のような画面を
突然、空中に表示させると、
そのまま”記憶の修正”と入力し始めたー。

「ー何をしてるんだ!?おいっ!」
拘束された和美が叫ぶー。

するとハッピーエンド男は答えたー。

「ーお前に憑依されたその被害者の女は、
 事故で1年以上、昏睡状態になっていたことにするー。
 友達、家族、会社、その記憶をそう書き換えてるー」

ハッピーエンド男はそこまで言うと、
「書き換え完了だー。これで、その女を知る人間は
 ”事故で1年以上昏睡状態だった”と、そう認識している状態になったー」
と、堂々とそう言い放つー。

その言葉に、和美に憑依している男は、展開について行けずに困惑するー。

そんな和美を無視して、ハッピーエンド男は
今度はどこかへと電話をかけ始めるー。

「ーもしもしー?
 梶原(かじわら)院長ー。
 
 あぁ、いつもすまないなー
 今回は1年以上事故で昏睡状態だったということで頼むー」

どうやら、病院に電話をかけているようだー。

そしてー

「ーーもしもし?
 あぁ、志田(しだ)警視ー。どうもー。
 ”事件”を一つ、付け加えておいてもらいたいー。
 1年以上前に起きた事故ということで、一つ、
 ”起きたこと”にしておいてくれー

 あぁ、あぁー。分かったー。振り込んでおくー」

と、もう一人、誰かに電話をすると、
「これで準備完了だー」と、ハッピーエンド男は
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー和美ーーーよかったー」

数日後ー。
”憑依されていた”和美は、
病院で意識を取り戻したー

「ーあなたは事故に遭って
 ずっと昏睡状態でしたー
 目を覚ましたのは奇跡ですー」
医師がそう説明するー。

駆け付けた親友や家族らが
和美が意識を取り戻したことを心底喜びながら、
目に涙を浮かべるー。

「ーーみんなー…心配かけてごめんねー」
和美は状況を理解すると、穏やかに微笑むー。

その様子を、”モニター”で離れた場所から
確認しながら、
ハッピーエンド男は笑うー。

”会社”も調整し、復職できるようにしてあるー。

和美が、友達や家族と嬉しそうに抱き合っている姿を確認しながら
ハッピーエンド男は「ハッピーエンド」と、静かにそう呟くと、
拘束した”和美に憑依していた男”のほうを見つめたー

「ーあ、あ、あんたは…いったいー…?」
あまりにも強引な”ハッピーエンド”を前に
和美に憑依していた男がそう尋ねると、
「ー何度も聞くな。ハッピーエンド主義者と言ったはずだー」と、
そう言葉を口にした上で、
和美に憑依していた男を”消滅”させたー。

どう考えてもハッピーエンドにならない展開でも
ハッピーエンドに捻じ曲げていく男ー。

彼はまた”次の憑依”が起きている場所に向かって
歩み出すのだったー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

あまりにも強引なハッピーエンド男の到来…!?

②以降でも、
バッドエンド一直線な展開を、ハッピーエンドに
捻じ曲げていきます~★笑

今日もありがとうございました~!★!

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