<憑依>憑依の瞬間②~美学~(完)

憑依の瞬間に美学を
感じる男は、今日も憑依を続けていた。

憑依したそのあと、に興味があるわけではない。

彼はあくまでも
”憑依したその瞬間”に興味があるのだー。

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「---わたし…」

放課後ー
校舎裏で女子高生が、男子に告白しようとしていた。

「--…?」
呼び出された男子は、あまりモテないタイプで
校舎裏に放課後呼び出されたことで
”ボコされるのか?”だとか
”何かの罰ゲームか?”だとか
そういったマイナス方面のことばかり
考えてしまっていた。

「--わたし、龍太くんのことがすkうひぃっ!?」

言葉の途中で、告白しようとしていた女子が
変な声を出す。

「--?ど、どうしたの?」
龍太と呼ばれた男子生徒は戸惑う。

「う…へ、、へへ…だ、大丈夫大丈夫~」

女子生徒は変な表情でそう答えた。

”変な子だな”
龍太はそう思いながら
なんだか気持ち悪い気もしてきて
早く立ち去りたい気分で
いっぱいになってきた。

「--も、もういいかな?」
龍太がそう言うと、
変な声を出した女子生徒は、にっこりとほほ笑んだ。

そして
「んあぁ…」と声を出すと、
突然、その場で気を失って、
ピクピクと痙攣をし始めたー

”ふふふ…”

彼女に憑依した
”ジュピター”のコードネームで呼ばれる男は
笑みを浮かべた。

憑依の瞬間は美しいー。
告白の途中で奇声をあげた女子高生を見て
あの男子はどう思ったのだろうなー?

ジュピターは
倒れて白目を剥いている女子を見つめる。

憑依されたあとの反応も人によって異なる。

意識を失うやつもいれば、
そのまま意識を取り戻すやつもいる。
酷い場合は、今、ジュピターの眼下で
痙攣を起こしているような子みたくなる。

一人は、憑依から抜け出したあとに
そのまま死んでしまった。

憑依にも、色々あるようだ。

”ククク…奥深い世界だな”

ジュピターは、そう笑いながら
笑みを浮かべると、そのまま
別の箇所へと姿を消した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--や…やめて下さい…!」
路地裏で、仕事帰りのOLが
襲われている。
若く、美人の女性だ。

「--うへへ…いいじゃねぇか~」
金髪の明らかにヤバそういな男が
その女性の行く手を阻んでいる。

女性は慌てて
「警察呼びますよ!」と呟いて
スマホを手にした。

金髪の男が少し戸惑う。

「--もしも…しぃぁっ♡!?!?」

電話をかけていた女性が突然ビクンと
震えて、スマホを路上に落とした。

「あぁ…美しい…」
女性は落としたスマホに目もくれずに、
金髪の男の方を見た。

「--な、何がだよ…?」
金髪の男は戸惑った様子で
返事をする。

「-今の、見てただろう?
 ”憑依される瞬間”
 この女、エロい声出したよなぁ~?」

目の前の美人OLが豹変したことに
金髪男は驚く。

「---な、、な、何言ってやがる?」

”もしもし?どうされました?”
落としたスマホからは警察の声。

「うっせぇなぁ」
さっきまで目に涙を浮かべていた
美人OLが、自分の可愛らしいスマホを
ヒールで踏みつけて破壊する。

「な、な、何してんだテメェ!」
金髪男が叫ぶ。

「-乗っ取られた瞬間
 大事なものを落としちゃうのって、
 興奮するよなぁ?」

女性が、狂った目つきで金髪男の方を見て、
壁ドンする。

「ひっ!?!?」
金髪男は完全にビビっていた。

「もう1回見せてやるよ」
そう言うと、女性は、そのまま
その場に倒れてしまう。

「は!?お、おい!?」
金髪男は周囲を見渡した。

なんなんだこいつ。
これじゃ、誰かに見られたら
騒ぎになっちまうじゃねぇか。

そんな不安を感じながら
戸惑っていると
女性がビクンと震えた。

「んあぁ…♡」
甘い声を出す女性。

そして、目を開くと
再び彼女はニヤニヤしながら
立ち上がった。

「どう?乗っ取られた瞬間の
 わ・た・し?」

「--は、、はぁ…?な、、何なんだお前…!」

金髪男は
”この女、ふつうじゃない”と
思いながらも、なんとなく
目を離せずにいた。

”なんだかこの女、エロいぞ!”

男はそう思っていた。

再び倒れる女性。

「--あ…♡」
今度はピクンと少しだけ震える。

また立ち上がる女性。

「どう?」

その言葉に、いつの間にか
金髪の男は夢中になっていた。

「--す、、すげぇ…
 なんだかよくわかんねぇけど、すげぇ!」

金髪男は
何が起きているのか理解できていなかった。
当然、憑依などというものも理解できていない。

けれど、
それでも何だか興奮していた。

「--…はぁ…はぁ…♡」
女性が荒い息を出している。

何度も憑依の瞬間を味わい、
女性に憑依しているジュピターも興奮していた。
身体を完全に支配している彼が興奮するということは
女性の身体も興奮することを意味する。

彼女の身体は既に激しい興奮を覚えていた。

「んふふふふ…」
微笑むと、再び倒れる女性。

短時間で何度も憑依されたからか、
白目を剥いて、泡を吹きだしている。

「お、、おい…!」
金髪男は不安そうに
その状況を見つめる。

「あぅ…♡」
身体がビクンと跳ね上がって
再び女性が憑依される。

「---どうだ?すごいだろ?
 憑依の瞬間」

口から泡を吹きながら
女性が笑みを浮かべる。

「ひ、、憑依…?」

「あぁ、憑依さ」

金髪男は
”憑依”という言葉に
強い魅力を感じた。

そしてー
女性は倒れて、
そのまま激しく痙攣を
始めるのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ククク…まだまだ美しい瞬間を見せてもらうぜ!」

ジュピターは笑うー

己の欲求を果たすために。

テニス―。
女性プレイヤーが
真剣な表情で
相手との試合を続けているー

そんな最中にー
ジュピターが憑依した。

「んくっ!」
走っている最中だった女性が、
突然憑依されたことで、躓いて
そのまま倒れてしまう。

持っていたラケットも手から離れて
飛ばしてしまった。

「おっとと、スポーツ中の憑依
 たまんねぇなぁ…」
手についた汗を地面に這いつくばったまま
舐めると、そのままジュピターは
その女性から抜け出した。

試合は台無しだー。

すやすやと寝息を立てているー
小さな少女ー

その少女が、突然、
「ぐがっ!?」と変な声を出した。

身体がビクンと反り返るー。

「んひっ…
 おはよ~♡」
少女が不気味な笑みを浮かべる。

寝ている最中の身体に憑依するのは
比較的穏やかだ。

ジュピターは、そんな瞬間も
楽しみながら次の身体に向かうー。

彼はあくまでも”瞬間”を楽しむだけ。
その利点は、
”1日に大勢の人間に憑依できること”

他の四天王のように、
憑依した身体を存分に味わうようなことを
していると、なかなか
大人数に憑依することはできない。

生放送番組
アナウンサーに憑依するー

「--続いては… あっ♡」

周囲の出演者たちが
憑依されたアナウンサーの方を見る。

「あ、コホンコホン」
わざとらしく咳をして
可愛らしく微笑むアナウンサー。

「失礼いたしました~」

それだけ言うと、
ジュピターは抜け出す。

「えっ!?!?」
すぐに意識を取り戻した
アナウンサーは”一瞬”意識が
飛んだことを不思議に思っている様子だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

ジュピターは、四天王の会合に向かう。
定期的に行われている会合だ。

人生の破壊に美学を感じる
”ネプチューン”

憑依をビジネスとして考える
”サターン”

男を誘惑する道具にしたり、エッチに溺れる
”ヴィーナス”

その3人がいつものように
先に会場で待ち構えていた。

しかしー

”もう一人”いた。

「---そいつは?」
ジュピターは思わず顔を上げた。

「四天王交代だ」
粗暴な声でネプチューンが言う。

そこには、一人の老人が立っていた。

「ふふふ…
 新しく四天王になった”ウラヌス”じゃ。
 よろしくな」

コードネームを名乗る老人。

「な…なに?それでは5人に…」
ジュピターがそう言うと、
ビジネスマン”サターン”が呟いた。

「あなたはクビですよ。
 お役御免だ。
 あなたは四天王の中では最弱。
 我らのリーダーも、あなたには愛想を尽かしたようです」

「-そうよ。
 とっとと出ていきなさい」
高飛車な女”ヴィーナス”が言う。

「--は…?ふ、、ふざけるなよ?」
ジュピターは不満をあらわにした。

四天王追放ー。
そんなことが起きるなんて。

「---とっとと失せろ。
 これはリーダーの命令だ」

”リーダー”とは、
ジュピター含むメンバーに
憑依の力を与えてくれた謎の存在。
顔も、声も知らない。
いつも、セーラー服姿の少女が、
”リーダー”を名乗り、
コンタクトを取ってくる。
恐らくあの少女も憑依されているのだろう。

「---5人じゃなきゃいいんだよな?」
ジュピターは舌打ちしながらそう呟いた。

「あん?」
他の四天王が返事をする。

次の瞬間ー
ジュピターは笑みを浮かべると、
自分の身体を霊体にしたー

驚く他の4人。
そしてー

「ちょっと、どうなってるの?
 まさかわたしたちに、、んぁあっ!♡」

四天王唯一の女性・ヴィーナスが
声をあげた。

”憑依の瞬間
 いい声だすじゃないか”

ジュピターが、ヴィーナスに憑依した。

「ククク…これで文句ないだろぉ?」
ヴィーナスがニヤニヤしながら笑う。

「-なっ」
「まさか…!」
「!!」
残りの3人の四天王たちが驚く。

「今日から俺がジュピ…いいや、
 ヴィーナスだ。ククク
 これで四天王はちゃんと4人になったぞ?
 文句あるのか?」

ヴィーナスが胸や足を
ベタベタ触りながら言うと、
他の3人は顔を見合わせた。

そして、ビジネスマン風の”サターン”が
口を開いた。

「い、いえ、あなたに乗っ取られたということは
 最弱はその女だったということでしょう。」

「そうだな。乗っ取られる方が悪い」
”ネプチューン”もそう呟く。

「そうじゃのお」
新しく四天王になった”ウラヌス”もそう呟いた。

「ククク…これからもよろしく…ネ?」
ヴィーナスの身体を乗っ取ったまま
ジュピターは笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー

「いらっしゃいま…せぇぇん♡」

パン屋で働く女性が
突然変な声を出して
運んでいたパンを落としてしまう。

床に手をついた
女性店員を見て
周囲の利用客や店員が驚く。

「んふ…ふ…
 いい声…」

床に手をついたまま女性店員は
笑みを浮かべた。

周囲が”大丈夫ですか!?”と
叫んでいる状況に興味が
無さそうに立ち上がると、
女性店員は
周囲を見渡して
「どう?今の私の声?
 やっぱり、瞬間って美しいよねぇ?くくく」
と呟く。

唖然とする周囲。

「さ~て、今日はこのぐらいかな」

今日も憑依の瞬間を存分に楽しんだ。
もう夕方だし、あとは自分の身体で
ゆっくりしよう。

そう考えたジュピターは
女性店員の身体から抜け出した。

「…ぁ」

小さくうめくと、糸が切れたかのように
その場に倒れる女性店員。
周囲は再び騒然とした。

ジュピターは、自分の身体へと戻るー。
今はー
この高飛車だった女が自分の身体だー。

「--ふふふ…」
身体に戻った元ジュピターが笑う。

この身体の意識は眠らせてやった。
もう、完全に俺のものだ。

「さて…
 この身体で憑依の瞬間を楽しむか…」

そう呟くと、
ジュピターはヴィーナスの身体から
抜け出して、憑依して、色っぽい声を聞いては
また抜け出して、を
一晩中繰り返すのだった…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

”憑依される瞬間”に
興奮する憑依者のお話でした~!

瞬間の反応…
なんだかゾクゾクしますネ☆

お読み下さりありがとうございましたー!

憑依<憑依の瞬間>
憑依空間NEO

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