謎の美少女から突然、告白された
サラリーマンの男。
妻がいる彼は当然、彼女の申し出をすぐに断るも、
その翌日、彼女は再び姿を現したー。
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「いい会社ですねー」
謎の美少女・萌奈が、会社の駐車場で突然姿を現しー、
そう言葉を口にしたー。
「ーーき、君は昨日のー…」
裕司が警戒心を露わにしながら言うー。
どこか育ちの良さそうなお嬢様のような格好をした萌奈ー。
しかし、裕司は萌奈の姿にも、名前にも見覚えがなく、戸惑うー。
「ーーーどうして、ここにいるんですかー?」
裕司がそう言葉を口にすると、萌奈は
「ー倉岡さんのことは何でも知ってますからー」と、
にっこりと微笑むー。
「ーーー…会社だけじゃなくてー、
住んでいる家もーー…
”雅美さん”のこともー」
ニヤッと笑う萌奈ー。
「ーー!」
妻である雅美の名前まで知られていることにゾッとする裕司ー。
「き、き、君はいったい誰なんだー!」
裕司がそう言うと、萌奈はクスクスと笑うー。
「宮森 萌奈ー 昨日、名乗りましたよね?」
萌奈はそれだけ言うと、裕司に近付いて来て、
裕司の手を掴むー。
「ーわたし、倉岡さんのことがだ~いすきなんです!
付き合ってください!」
昨日と同じように、そんな言葉を口にする萌奈ー。
しかしー、裕司は慌てて手を振り払うと、
「ーー…何を企んでるんだ!?」と、そう声を上げるー。
すると突然、萌奈はその場に泣き出したー
「企むだなんてー、ひどいー」と、
悲しそうにそう言葉を口にする萌奈ー。
「ーえっ…いや、ちょ、ちょっと待ってくれー」
裕司がそう声を掛けるー。
ここは”会社の駐車場”ー
これでは、裕司が少女を泣かせているようなー
そんな感じにしか見えない状況になってしまっているー。
「ちょ、や、やめてくれー…そういうのー!」
裕司がそう言うと、
萌奈は泣きながら、裕司には見えないように笑みを浮かべるー。
「ーわたしのこと、好きって言ってくれたのにー、ひどい!」
と、周囲に聞こえるように声を上げる萌奈ー。
「ーー…ーな…何を言ってるんだー!」
裕司はそう声を上げると、
うんざりした様子で、何度か咳払いしてから
「迷惑ですから、2度と俺の前に姿を現さないでください。ではー」と、
そう言いながら逃げるようにして会社の中に立ち去っていくー。
泣いていた萌奈は、裕司が会社の建物に入っていくのを見ると、
涙を流したまま、歪んだ笑みを浮かべるー。
「ーいいよなー女の身体ってー」
ボソッと呟く萌奈ー
「”こういうやり方”で、相手を追いつめることができるんだからー」
萌奈はそう言葉を口にすると、そのまま笑みを浮かべて
ゆっくりとその場を後にしたー。
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「倉岡ー」
昼休みー。
同期の英悟がやってくると、
気まずそうに、英悟が言葉を口にしたー。
「ー朝の可愛い子ー…あれ、誰だよー?」
とー。
「ーー! 杉田ー… 見てたのかー」
裕司は戸惑いながら、そう言葉を口にすると、
”素直に”見覚えのない相手に昨日から付き纏われている、と
そう説明したー。
「ーはぁ~…そういうことかー」
英悟はそう呟くと、
「いや、てっきり俺は浮気とか、なんか、若い子で遊んでるのかとー」と、
戸惑いながら言うー。
「そ、そんなわけないだろ!」
裕司は戸惑いの声を上げるー。
が、英悟によれば、部署内でも何人か今朝のことを
噂していたのだと言うー。
「ー女の子を泣かせてたってー、そう噂されてたー」
英悟がそう言うと、裕司は「くそっー」と頭を抱えるー
「なんなんだあの女ー」
裕司がそう呟くと、「ーホントに心あたりないのか?」と
英悟は言うー。
「ないよー!宮森 萌奈なんて子ー…かかわった記憶もないし」
裕司がそう言うと、英悟は少しだけ表情を歪めるー。
「ー宮森 萌奈ー?」
英悟の反応に、裕司は「ん?知ってるのかー?」と、表情を曇らせると、
英悟はスマホを手に”宮森 萌奈”と、検索するー。
そしてー
「あっ」
英悟はそう声を上げると、そのままスマホに表示した画面を
裕司の方に向けて来たー。
”宮森テクノロジー”
そう書かれた会社のサイトー。
そこに、”宮森 萌奈”の写真が掲載されていたのだー。
宮森テクノロジーの社長は気さくな人物らしく、
日常的なことを書いたブログやコラムなども公式サイトに掲載されていたー。
その中で、彼…
宮森テクノロジー社長・宮森 龍之介(みやもり りゅうのすけ)の娘としてー、
”宮森 萌奈”が紹介されていたー。
「ーーーえぇ………じゃあの子、お金持ちのお嬢様ってことかー?」
裕司がそう言うと、
英悟は「宮森テクノロジーって言えば、うちの取引先の一つでもあるからなー」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーー」
だが、宮森テクノロジーと取引がある部署は別の部署ー、
裕司は宮森テクノロジーと一度も、接点を持ったことはないし、
宮森 萌奈とはやはり面識がない気がするー。
「この子、まだ高校生だってさー」
英悟が言うと、裕司は「えぇっ!?」と、声を上げるー。
これでは、社会人が高校生を泣かせたような構図になってしまうー。
しかも、相手は取引先の企業の社長の娘ー。
「ーーーーー」
裕司は不安そうに、優しそうな笑顔を浮かべている”宮森 萌奈”の写真を見つめるー。
だがーー
確かに同じ顔であるもののー
写真の萌奈と、実際に会った萌奈は、なんだか少し雰囲気が違うようなー、
そんな違和感も抱くのだったー。
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「ーー」
夜ー
会社のオフィスから出て、車に乗ろうとすると、
「お疲れ様でしたー」と、背後から声がしたー。
「ーーー!」
裕司が振り返ると、そこにはー、宮森 萌奈の姿があったー。
「ーーーーま、また君かー」
裕司がそう言うと、萌奈は裕司に身体を密着させながら微笑むー。
不意をつかれてドキッとしてしまう裕司ー。
「ーふふーわたしのこと、抱いてくれてもいいんですよー?」
萌奈の言葉に、裕司は「い、いきなり何を言い出すんだ!」と、
声を上げるー。
「ーー…あ、それともキスしますー?
ーーーーそれかー……ふふー、一緒に夜のお楽しみでもー?」
萌奈が顔を赤らめながらニヤニヤと言葉を口にするー
「き、君はまだ高校生だろー。
ふざけたこと言ってないで家に帰りなさい」
裕司はそれだけ言うと、車に乗り込もうとするー。
がーー
突然、萌奈は助手席の方に乗り込んで来て、
強引に裕司にキスをしてきたー
「ーーおいっ!な、何を!」
「ーーいいから黙ってキスされろよ」
萌奈が突然、荒い口調でそう言うと、
裕司は「おいっ!」と、声を上げるー。
車内で萌奈とキスをさせられてしまう裕司ー。
その様子をーー
同じ時間帯に会社から出てきた社員に見られてしまうー。
「ーーな、な、何が目的だー!」
裕司が叫ぶー
すると、車内で裕司にキスをしながら、
萌奈は邪悪な笑みを浮かべたー。
「ー復讐ー」
とー。
「ーー!?」
裕司が困惑の表情を浮かべるー。
「ー”俺”の人生を壊したのに、
お前だけ楽しく生きるなんて、絶対に許さないー」
萌奈の、男のような口調に、裕司は驚いたような表情を浮かべるー。
そしてーー
裕司は慌てて、萌奈を車からなんとか追い出すと、
萌奈はわざとらしく「きゃっ!」と叫んで、
その場に尻餅をついてみせたー。
まるで、”裕司に車から突き飛ばされた”みたいにー
「ーーひどいー…ひどいーー!
なんでそんなことするのー!」
萌奈がその場で泣き出すー。
「ーーぐっ…ふ、ふざけやがってー!」
裕司はそう呟くも、騒ぎが大きくなる前にと、
咄嗟にそのまま車で逃げ出してしまうー。
どよめく周囲の社員たちー。
萌奈はニヤッ…と笑みを浮かべると、
”ホントー、こいつの身体は便利だぜー”と、邪悪な言葉を
心の中で囁いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーただいまーー」
裕司が困惑の表情を浮かべながら帰宅するー。
「ーど、どうしたのー?」
妻の雅美が戸惑いの表情を浮かべると、
裕司は「あ、いやー、大丈夫ー」と
青ざめながら部屋の方に戻っていくー
”復讐”ー
”俺はお前を許さない”ー
萌奈の言葉の意味が分からないー。
裕司は、”俺、何か誰かに恨まれるようなことしたかー?”と、
考えながら、頭を抱えるー。
少なくとも、”宮森 萌奈”本人に恨まれるようなことをした覚えはないー。
しかも、あの口調はなんだー?
裕司は、訳も分からないまま
学生時代のアルバムを確認するー。
宮森 萌奈とはそもそも世代が違うしー、
学生時代のアルバムを見ても意味はないとは思うー。
だがー
高校時代のアルバムを確認するー
”生徒会長”だった裕司の姿がそこには写し出されているー
小さい頃から、真面目にやってきた裕司ー。
がーー
ふと、”あること”を思い出すー。
いやー、”自分にも”悪ガキな頃があったー、とー。
ランドセルを背負い始めたばかりの頃ー…
そう、2年生ぐらいまでは裕司はやんちゃだったのだー。
それが、ある人助けをして、先生に褒められたことで、
3年生の頃からは心を入れ替えて真面目になり、今に至るー。
”そうなる前ー”
裕司は、ふと、小学時代の卒業アルバムを見ながら
”その顔”を探すー。
そしてーーー
「いたーーー…」
”伊藤 真一(いとう しんいち)”
ボサボサ髪の、細身の男ー。
そうー、裕司は2年生の頃まで彼をいじめていた記憶があるー。
小さい頃の、過ちー。
揶揄ったり、仲間はずれにしたり、そんなことをしたことを
今になって思い出したのだー。
確か、5年生か6年生の頃だっただろうかー
彼と図書委員で一緒になった時に言われたー
”俺は絶対にお前を許さないー”
とー。
さっき、宮森 萌奈が言ってたセリフと同じようなことを、
彼は言っていたー。
恨まれるとしたら、この伊藤 真一ぐらいしかあり得ないー。
がーー
”あの宮森って子と関係あるとは思えないしー”
すぐに裕司はそう思いながら、結局答えが見つからずに
戸惑いの表情を浮かべるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー萌奈ー
最近、執事が心配しているー。
様子がおかしい、と。
何かあったのかー?」
宮森テクノロジー社長の龍之介が
娘の萌奈を呼び出し、心配そうに言葉を口にするー
”萌奈が憑依されている”ということを、
父は知らないー。
執事たちから、最近”様子がおかしい”と複数回聞かされて、
萌奈から直接話を聞こうと、今日、こうして呼び出したのだー。
「ーーー」
萌奈は少しだけ笑みを浮かべるー
”お前の娘は、俺の復讐のための道具だー”
そう思いつつも、彼は笑うー。
お金持ちのお嬢様である萌奈に憑依した理由はいくつかあるー。
ひとつはー、
”裕司の会社の取引先の娘”であったことー。
二つ目はー、
お金持ちの娘という立場を利用して裕司の個人的な情報を調べることー
みっつめはー、
年齢的にも、容姿的にも裕司を陥れるのにぴったりであったことー
そしてーー
”父親”が萌奈を溺愛していることー
「ーーわたしー、男の人に脅されてるのー」
萌奈がそう言葉を口にするー。
「ーーえっ…?」
父・龍之介が心底、戸惑ったような表情を浮かべるー。
「ーお父様の取引先の会社の人から、”好きだ”って何度も言われてー」
萌奈が、嘘泣きをしながらそう言葉を口にすると、
父・龍之介は「そ、それは誰なんだー!?」と、
驚きと怒りと、心配が混ざったような表情で言葉を口にするー。
「ーーーー…お父様の会社の取引先のー…」
萌奈はそう言いながら、嘘泣きしつつ、心の中で笑うーー
”ーーお嬢様の身体は、色々な使い道があるぜー…”
と、そう思いながらー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーえ…」
翌朝ー。
上司に呼び出された裕司は、突然自宅謹慎を告げられたー
「え…ど、どうしてですかー!?」
慌てて声を上げる裕司ー。
が、上司は「君が一番よく分かっているはずだー」と、
呆れ顔で言うー。
「昨日も、帰り際に君と相手の子が揉めているのを見た社員が
何人もいるぞー」
と、そう言葉を口にしながらー
「ーーち、ちがっー…そ、それはー!」
裕司は慌てた様子で釈明しようとするー。
しかし、「とにかく、しばらく自宅で待機してなさいー」と、
上司は、聞く耳を持たなかったー。
「ーーーー…」
茫然として会社を出る裕司ー。
そこにーー
”また”ー、萌奈が姿を現したー。
「ーー自宅謹慎になったんですねーー」
とー、嬉しそうに笑いながらー。
「ーーー……ふざけるなー…!何でこんなことをー…!」
裕司が怒りの形相で言うー。
しかし、萌奈はクスクスと笑いながら、
「ーどうー?”お金持ちのお嬢様”に追い詰められていく気分はー!?」
と、嬉しそうに両手を広げながら勝ち誇った表情を浮かべるー。
「ーーーーーーーっーー」
裕司はそのまま、相手にしないようにして足早に立ち去ろうとするー。
まともに話を聞けば、この子の思うつぼー。
昨日のようにまた”騒がれて”、疑いの目を周囲から向けられるかもしれないー。
裕司は、萌奈を無視してそのまま立ち去るー。
「ーーー…」
がー、そんな様子を見ていた萌奈はクスッと笑うと、
「ーーー逃がさねぇよー」と、そう言葉を口にしながら
ゆっくりと歩き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した裕司は、大きくため息をつくー。
午前中に謹慎を告げられたために、
妻の雅美はパートのために外出中ー。
一人で、大きくため息をつくー。
がーーー
その時だったー
突然、鍵が開きー、
玄関から、”萌奈”が入って来たー。
「ーなっ!?!?!?」
裕司は思わず変な声を出してしまうー。
なんで、この子が俺の家の鍵を持ってるんだー!?
と、そう思わずにはいられないー。
しかもーー
部屋に入ってきた萌奈は、邪悪な笑みを浮かべながら言ったー。
「ーさぁ、わたしと”浮気”しましょー?」
とー。
「ーーな…なにを言ってー?」
戸惑う裕司ー。
しかし、萌奈は有無を言わさずに上着を脱ぎ捨てると、
そのまま裕司に向かっていきなりキスをし始めたーー
「ー!?!?!?」
困惑する裕司ーー…
裕司は、”謎の美少女”によって
さらに、追い詰められようとしていたー…
③へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!!
どんどん追い詰められてますネ~…!
結末は、明日のお楽しみデス~!!!
今日もありがとうございました~~!
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