昔から”問題児”だった兄が家を出て半年ー
突然帰宅した”兄”は、女になっていたー。
”こいつと入れ替わっちまった”
そう、言葉を口にしながらー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー」
高校2年生の前田 修武(まえだ おさむ)は、
机の整理整頓をしていたー。
特に、深い意味はないー。
今日は日曜日で、友達と遊ぶ予定もなかったため、
”何となく”たまには机を整理するか、と、
そんなことを思いつつ、整理を始めただけだー。
「ーーあ~…懐かしいなこれー」
整理整頓をするときのお楽しみのひとつ、とでもいうべきだろうかー。
しばらく見なかった懐かしいものや、意外なお宝を発掘したりする楽しみー。
それを味わいながら、修武は机の整理を続けたー。
そんな中、ふと、机にしまい込んでいた小さい頃の写真を見つけた修武。
まだ、自分がランドセルを背負っていた頃だろうかー。
茶髪の兄、海司(かいじ)の姿がそこには映っていたー。
「ーーはは…兄貴、今、どうしてるんだろうなー」
修武は、写真に写る兄・海司を見つめながらそんな言葉を口にするー。
正直、兄のことを好きか、嫌いかで聞かれたら
”好き”とは答えられない。
兄の海司は昔から問題児で、
よく両親のことも困らせていたー。
ふとした時に助けてくれることはあったけれどー、
自分とはまるで違う性格の兄・海司のことは
正直なところ、苦手だったー
そんな海司は半年前、高校を卒業すると同時に、
”やりたいことがあるから”と、そのまま家を飛び出し、
以降、帰ってきていないー。
どうやら、有名なラーメン店に弟子入りするとか
何とか言っていたようだったものの、
その後はどうなったのか分からなかったー。
「ーー突然、大人気ラーメン店の店主になって
帰ってきたりしてなー」
修武はそう言葉を口にすると、
小さい頃の兄との写真をそのまま元々あった場所にしまって、
整理整頓を再開したー。
が、その時だったー
♪~~~
「ーん?母さんかなー?」
母親の幸恵(ゆきえ)は、先ほどから買い物に出かけているー。
その母親が帰って来たのかな?と、思いつつ
インターホンを確認すると、そこには知らない女が立っていたー。
一瞬、何かの勧誘かとも思ったものの、
勧誘でこんな感じの若い綺麗な人が来るのも
何だか珍しいような気がして、首を傾げながら
相手の用件を聞こうと「はい」と、応答したー。
するとー
”んー俺だけど”と、そんな声が聞こえて来たー。
見た目通り、可愛らしい感じの声ー。
「ーー……はい?」
修武は、困惑の表情を浮かべながら変な声で返事をするー。
”こんな可愛い子、俺の知り合いにはいないぞー?”
そう思いつつ、修武は必死に頭の中で
こういう知り合いがいたかどうかを考えるー。
自分の通う高校のクラスメイト、同級生ー、先輩後輩ー。
…と、言っても別に女友達はほとんどいないし、
まぁ、そこそこ話す子が一人いるぐらいで彼女もいないー。
中学時代の同級生まで遡って考えてみるも、
やはり今、インターホンに映し出されているような子は記憶にはないー。
親戚の顔ぶれも思い浮かべるー。
しかし、やっぱり記憶にないー。
「す、すみませんー。どちら様ですか?
兄の知り合いですか?」
修武はそんな言葉を口にするー。
見た目的には自分と同じか、兄と同年代かー、
そのぐらいに見えるー。
恐らく、兄が実家を出たのを知らずに、
しかも今、応答している修武のことを兄・海司だと思っているのだろうー。
それなら辻褄が合うー。
そう思いながら、修武が相手の返事を待っていると、
”いやーだから俺だよー。”と、相手の女がそう言葉を繰り返したー。
「ーーーーー…え?」
修武が困惑するー。
すると、女は髪を掻きむしるような仕草をしながら
”あ~…この姿じゃ分かんねぇかー”と、ボソッとそう言葉を口にすると、
”俺だよー。海司ー”と、
女は兄の名前を口にしたー。
「ーーーー…は????」
修武はさらに頭の上に「?」を浮かべると、
思わず笑ってしまうー。
「い、いやー、あの。兄は男ですけどー?
っていうか、女の人は”兄”にはなれませんけどー」
修武が、思わずそんな言葉を口にすると、
”ーーうるせぇなーいいから開けろよー俺だって言ってんだろ。修武ー”
と、女は可愛い声で乱暴な言葉を口にしたー。
「ーーは…はぁ…!?あ、新手の強盗か何かー?」
修武は、なおも疑いの目を向けるー。
当たり前と言えば当たり前だー。
知らない女が兄を名乗って玄関の扉を開けさせようとしているのだから、
疑わざるを得ないー。
”ーーっ…わ~ったよー。
お前、小さい頃、遊園地の観覧車の中でお漏らししたことあったよな”
女がニヤリと笑いながら、インターホン越しにそう呟くー。
「ーえっ!?なんでそれをー!?」
修武が青ざめるー。
とても、”外部の人間が調べて、分かること”ではないー。
年齢や身長体重ぐらいならまだしもー、
そんな黒歴史を知っているのは両親と、兄、あの時応対した
遊園地のスタッフぐらいだろうー。
”ーあとはーー
あぁ、お前、小さい頃、サンタに
”おっきなお城が欲しいです”って書いたら
ブロックのお城セットが届いてたよな”
女が笑うー。
「ーーー!!」
”この人、なんでここまで知ってー?”
そう思いつつも、少なくとも”兄”と何らかの接点があって、
兄の海司から話を聞いたのだろう、と
そう考えて玄関の扉を開けたー。
ピンク色のズボンのポケットに手を突っ込みながら
立っていた兄を名乗る女は
「ーーおせーよ開けるの。」と、それだけ言うと、
「元気にしてたか、修武ー」と、修武の頭をポンポンと叩いたー。
可愛い雰囲気の女にポンポンされてドキッとしてしまう修武ー。
「ん?何、顔赤くしてるんだよー?
彼女いない歴=年齢みたいな反応だなーはは」
女の言葉に、修武は「わ、悪かったですね!」と、それだけ言うと、
「ーでーー…兄の彼女さんか何かですか?」と修武はそう確認したー。
「いや、ちげーよ!だから俺なんだって」
あくまでも兄の海司を名乗る女ー。
家のソファーに腰かけて、
だらしなく座ると、
「ーーこんな姿になっちまったけど、俺なんだよ。修武」と、
改めて、自分は兄の海司であるとそう言葉を口にしたー。
「ーーーーーー」
修武は困惑した様子で何度か瞬きを繰り返すと、
やがて、「ーーーえ……兄貴、女装はじめたの?」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーはぁ?ち、ちげーよ!女装趣味なんて俺にはねぇし!」
海司を名乗る女はそう言うと、
「ーーーー…いやー…じゃあなんでそんな姿にー」と、
修武は戸惑いの言葉を口にするー。
「ーーーーーもし、兄貴本人だって言うんなら
女装にしか見えないんだけど」
修武はさらにそう言い放つと、
海司を名乗る女は、自分のズボンのアソコのあたりを指差しながら
「だったら、触って見ろよー。ついてねぇから」
と、そう言葉を口にしたー。
「ーーは??? え、いやいやいやいやー」
顔を真っ赤にする修武ー。
「ーーんだよー?じゃあ、今ここで証明してやるー」と、
そう言いながら、突然ズボンを脱ぎだす海司を名乗る女ー
「ーいやっ!?はっ!?えっ!?待って!?」
修武が困惑しながら叫ぶー。
が、海司を名乗る女はお構いなしに下着も脱ぐと、
”ついてない”ことを証明したー。
顔を真っ赤にしながら
”やっぱり相手は兄貴じゃない”と思ったのかー、
「わ、分かりましたから履いて下さいー」と、そう言葉を口にしたー。
ズボンを履き終えると、
「ーこういう姿になりたくてなってるんじゃねぇんだよー」と、
海司を名乗る女は、うんざりした様子で言葉を口にしてから、
少し間をおいて、言葉を続けたー。
「ーーーこいつとー、この女と身体が入れ替わっちまったんだー」と、
とー。
「ーーー…な…何…?い、入れ替わりー?」
戸惑う修武ー。
「そうそうー。街中でこいつとぶつかっちまってさー。
それで、入れ替わっちまったんだー」
海司を名乗る女は、そう言うと、
「ーおいおい、何だよその目はー?嘘じゃねえってー
さっき、俺しか知らないようなこと言ったろ?」と、
だらしなくソファーに腰かけたまま言うー。
「ーーー……え…???え…?
じ、じゃあ本当に兄貴なの?」
修武がそう言うと、海司を名乗る女は
「だからそうだって言ってるだろ?まぁ、身体はJKだけどー」と、
うんざりした様子でそう言葉を口にしたー。
「え、え、え、!?女子高生ー!?」
修武がそう言うと、
「なんだよ?まさかお前、エロイことでも考えてるのか?」
と、海司を名乗る女がニヤニヤして言うー。
「ち、ち、違うし!
いや、そのー、もしも本当に兄貴だって言うんなら
”入れ替わった相手”は、どうしてるのかなーって心配しただけだよ」
修武の言葉に、「あ~~~~こいつ?」と、自分を指差しながら、
海司を名乗る女は言ったー。
「この身体の名前はー
園崎 愛梨(そのざき あいり)って子でー…
何か、親に勉強勉強ばっか言われて
暗い子だったんだけどさー、
でも今はほら、明るい感じになっただろ?
俺のおかげでさー」
愛梨(海司)がそう言うと、
「ーーで…そ、その園崎さんって子は今、どうしてるんだよー?」
と、修武は戸惑いながら言うー。
「ーーあ?
あ~こいつは今、俺の身体で俺が元々暮らしてたアパートにいるよー。
親から勉強勉強ばっかり言われて家に帰りたくなかったみたいだしー」
愛梨(海司)はそう言いながら笑ったー
「こいつの親、俺が”愛梨”になってから
戸惑いっぱなしでさぁ
笑っちまうよなー」
その言葉に、修武は「そ…そ、そっかー」と、戸惑いながら頷くー。
「ーーーーー…で…
き、今日は何で急に帰って来たんだよー?」
修武は、”目の前にいるこの人が本当に兄貴なのか”ということは
まだ半信半疑ながら、そう尋ねるー。
こんな、別人の身体になった状態で実家に帰って来るということは
何か理由があるはずだからだー。
「ーへへー
修武さぁ、お前、まだ童貞だろ?
この身体で卒業させてあげようと思ってな」
愛梨(海司)がニヤリと笑いながら、
突然身体を密着させてくるー
「ーわたしが、卒業させてあげる♡」
甘い声で囁く愛梨(海司)ー
修武は思わず顔を真っ赤にしながら「~~~~~~」と、
言葉すら失っていると、
愛梨(海司)は「ははははは!冗談だよ冗談!何マジになってやがるんだよ」と
ゲラゲラと笑いだしたー。
「~~~っ!ふ、ふ、ふざけんな!そ、その姿で
そういうこと言うなよ!」
修武が顔を真っ赤にしながら言うと、
愛梨(海司)は「ーーへへへ~今、中身が俺なのにドキッとしてたよな?な?」と、
心底楽しそうに、揶揄うような言葉を口にするー。
「~~~~やっぱ兄貴のこと好きにはなれねぇ」
修武が不貞腐れた様子でそう言うと、
「まぁまぁ、今度お前の好きなコスプレぐらいはしてやるよ」と、
愛梨(海司)はふざけた口調で言ったー。
「ーえぇっ!?い、いいよー。興味ないし!」
修武が目を逸らしながら言うー。
「ーーーーと、それで、本題なんだけどよー」
愛梨(海司)はひと息おいてから真面目な表情で
言葉を口にしたー。
「ー”俺の身体になった”こいつを、ここで面倒見てほしいんだー」
とー。
「え?」
修武は戸惑うー。
海司と入れ替わって、
今は海司の身体で生活している愛梨ー。
それを、実家に戻したいと言うのだー。
「いや、だってな?
俺、ラーメン屋に弟子入りして働いてたけどさー
入れ替わったから仕事できなくなっちまってなー。
俺の身体はJKだし、バイトするにしても稼ぎには限度があって
俺が住んでたアパートの家賃が払えねぇんだよー。
俺はーー…愛梨ちゃんの家で暮らしてるからいいけど、
俺になった愛梨ちゃんの住む場所がなくなっちまうからー、
どうにか、頼めないかと思ってな」
愛梨(海司)はそう言うと、
「ーまぁ…断られたら俺がこの身体で稼ぐしかねぇなー」と、
そう言葉を付け加えたー
「えっ!?ちょっ!?身体で稼ぐって何をー」
修武が戸惑いながらそこまで言うとー、
ちょうど買い物に出かけていた母・幸恵が帰って来たー。
「あら?いらっしゃいー
修武の彼女さん?」
母・幸恵のその言葉に、修武は「いやっ!?ちがっーこの人はー」と
事情を説明しようとすると、
愛梨(海司)はニヤッと笑いながら、
「ーはい!修武くんの彼女です!」と、
母親の幸恵に対して、そう言葉を口にしたー。
「えっ!?!?ち、ちがっ!?えっ!?」
また”兄”に揶揄われてしまった修武は、
顔を真っ赤にしながら、兄が喜ぶような反応をしてしまうのだったー
②へ続く
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コメント
知らない間に入れ替わっていたお兄ちゃんが
帰って来たお話デス~!
入れ替わり相手の方も、②から登場するので
楽しみに(?)していて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!

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