<MC>わたしの故郷の青い空①~深影村~

生まれ故郷の村で幸せな日々を送る彼女ー。

しかし、ある日…その村にやってきた謎の男は言ったー。
「どうして、こんな場所にいるんだ!?」
とー。

当たり前だと思っていた日常は”当たり前”なんかじゃなかったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

森下 久美(もりした くみ)は、
どこか寂し気な雰囲気のある田舎の村で、
今日もいつものような日常を送っていたー。

「ーあ、毛利(さん)おはようございますー」
久美が、道端で出会った村人の一人・毛利 美也子(もうり みやこ)に
挨拶をすると、「あらぁ…久美ちゃんー。今日も暑いわね」と、
雑談を口にし始めたー。

深影村(みかげむら)ー。
とある地方の辺境の地に存在する村で
外部の人間がほとんど立ち入ることのない村ー。

久美はその村の生まれで、
社会人になって一度は外に出たものの
やっぱり村のみんなの役に立ちたい、と、
こうして故郷である村に戻り、
今は村で暮らしていたー。

「ーーそれはそうと、来週の”深影祭り”楽しみねぇ」
美也子のその言葉に、
「ーふふーそうですね」と、穏やかに微笑む久美ー。

”深影祭り”とは、この村で何百年も前から
行われている祭りで、村特有の踊りを踊ったり、
”とあるもの”を捧げたり、そういった地域に根付いた
お祭りだー。

「ーーーわたしも今年は実行委員の一人に
 選ばれちゃって色々大変なのよ~」
美也子の言葉に、久美は「あははーわたしに手伝えることがあれば
わたしも手伝いますよ」と、穏やかに笑いながら
そう言葉を口にしたー。

美也子と別れ、久美は村の役場に向かうと、
「おはようございますー」と、役場の面々に挨拶したー

役場、と言っても都会のような大規模なものではなく
いかにも田舎の村、というようなかなり小規模な役場だー。

久美はここで事務員として働いていて、
村のためにと、日々熱心に働いているー。

「ーーあ、久美ちゃん!おはよ~~!」
ギャルっぽい雰囲気の同僚・浅川 紗智(あさかわ さち)が
手を振りながら近づいて来るー。

「あ!紗智!おはよ~!」
お互いに20代前半であることからか、久美と紗智は昔から仲良しで、
2人とも故郷である深影村のために、と村での暮らしを続けているー。

2人とも、楽しそうに来月の”お祭り”のことを口にするー。
楽しそうに雑談をする二人ー。

そんな二人を見て、穏やかな笑みを浮かべながら
「おはようございますー」と、村長の岩隈(いわくま)が、声をかけて来たー。

70を超えた高齢男性であるものの、未だに衰え知らずで、
肉体的にも、精神的にもしっかりとしているー。

「ーーーあ、村長!おはようございます~!」
久美がそう返すと、
となりにいた久美の親友・紗智が「岩ちゃんおはおは~!」と、
適当な挨拶を口にするー。

「ーははは おはおは」
村長の岩隈が少し恥ずかしそうに、紗智にそう返すと
久美は「村長に馴れ馴れしすぎない??」と、笑いながら
そう言葉を口にしたー。

やがてー
12時を知らせる鐘の音が村中に鳴り響くー。

「ーーー…」
久美はこの音が”好き”だー。
小さいころから、この音を聞くと
なんだか心安らぐ気持ちになるー。

12時と、夜の6時に鳴るこの鐘の音はー、
この村の村人たちにとって、とてもとても大切な存在だったー。

「ーーーーよし、午後もがんばろ!」
久美はそう言葉を口にすると、穏やかに微笑むー。

昨日もー
今日もー
明日もー

その立地から外界からほぼ隔離された状態にある
深影村では穏やかな時間が過ぎていくー

はずだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

”辺境の村”である、深影に一人の男がやってきたー。

「ーーー…珍しいなぁ、この村にお客さんなんて」
入口付近で、若い男がそう言葉を口にすると、
その男は「あぁ、いえー。ここに知り合いがいると聞いたものでー」と、
そう言葉を口にしたー。

「知り合い?へぇー?あんたもこの村の出かい?」
その男の言葉に、”村にやってきた男”は、
「あ、いえ、僕はこの村に来るのは初めてです」と、
そう言いながら、名刺を手渡して来たー。

名刺には、それなりに有名な企業の名前と、
”早坂 龍太(はやさか りゅうた)”という名前が
刻まれていたー。

「ははー丁寧にどうも」
村の若い男はそう言うと、「で?誰を訪ねて来たんだい?」と、
そう言葉を口にしたー。

「えぇ。森下 久美さんという方なのですがー。
 村にいらっしゃいますか?」
龍太の言葉に、若い男は「あぁ、久美ちゃんねー」と、
そう言うと、「久美ちゃんなら、役場で働いてるよ」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーーーどうも」
龍太は少しだけ表情を歪めると「役場はどちらに?」と、
そう確認し、その男に道を尋ねたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ー来週の深影祭り、本当に楽しみだよね~!」
ギャルっぽい親友・紗智が嬉しそうに言うと、
「うん!わたしも~!」と、久美は楽しそうに笑うー。

この村を守ってくれているという”守り神”に捧げるお祭りー。
年に一度の”お祭り”は村人たちにとっても
とても楽しみな行事の一つだー。

「ーーわたし、久美ちゃんには”負けない”からねー」
紗智が笑いながら言うと、久美も「ふふーわたしだって」と、
そう言葉を口にしたー。

その時だったー。

「すみませんー」
見知らぬ男がやってくるー。

先程、村の入口で若い男と会話をしていた
”外からやってきた”龍太だー。

「ーー……あ、はいーどうかされましたか~?」
紗智が応対すると、
龍太が、久美の方を見て「久美ー!」と、そう声を上げたー。

「ーーはい?」
奥にいた久美が首を傾げるー。

紗智は「え?あれ?知り合い?」と、
そう言葉を口にすると、
久美は「ううんー…知らないけど」と、小声で言葉を口にするー。

「ー少し、話があるんだーいいかな?」
龍太の馴れ馴れしい雰囲気に、紗智は
「あの…久美ちゃんとどういう関係ですか?」と、そう言葉を口にするー。

すると、龍太は「知り合いです」とだけ返事をしー、
そのまま久美の方を見つめたー。

「ーー……分かりましたー」
久美は、龍太の方を見ると、そう応じて、
龍太の方に向かうー。

「ー”外で”話せるかな?」
龍太の言葉に、久美は不安そうな表情を浮かべながらも
「ー今、仕事中ですので少しだけなら」と、
そう言葉を口にしたー。

役場の外に出る二人ー。

外に出ると同時に、龍太は言葉を口にしたー。

「ずっと探してたんだぞー…久美」
龍太のその言葉に、久美は警戒心を露わにするー。

「ーそ、それは一体、どういうことですか…?」
久美には、この男と会った記憶がないー。
その男が、”ずっと探していた”とは、
どういうことなのだろうかー。

「ーーーー…どういうことってー…
 俺こそ聞きたいよー

 どうしてこんな場所にいるんだー?」

龍太が戸惑いながら言うー。

「ど、どうしてってー…
 故郷にいたら、いけないんですか?」
久美が戸惑いながらも、少し苛立ちを露わにするー。

”深影村”を、こんな場所とはどういうつもりなのだろうかー。

「ーー…こ、故郷ー!?
 何を言ってるんだー」
龍太はさらに戸惑いの表情を露わにするとー、
「ーー花楓(かえで)ちゃんも心配してるぞー。」
と、そう言葉を口にしたー。

「ー花楓?」
久美が表情を歪めるー。

「ーーーーー」
龍太はそんな久美の反応を、
おかしなものを見るような目で見つめているー。

そしてー、
久美は再び口を開いたー。

「ーー…あの…そもそも、どちら様ですかー?
 さっきから、わたしのことを知ってるような口ぶりですけど」

とー。

「ー!?」
龍太が驚いたような表情を浮かべるー。

「ーーど…どういう意味だー?」
龍太の言葉に、久美の方も、
「ーそ、それはわたしが聞きたいですよ!一体何なんですか?」
と、そう言葉を返すー。

「ーーーーーー…」
龍太は、困惑の表情を浮かべたまま、
久美の方を見つめるー。

久美の顔には”心底困り果てたような”そんな表情が
浮かんでいたー。

それを見た龍太は、ため息を吐き出すと、
「本当に、分からないのかー…?」と、そう言葉を口にするー。

「ーーそ、それはどういうー…?」
久美は戸惑いながら言うー。

村の庁舎として使われている建物の方を見つめながら
龍太は、何とか冷静に振る舞いながら、
言葉を続けたー。

「ーー俺のこと、本当に分からないのかー?
 花楓ちゃんのこともー?」

龍太のその言葉に、久美は
龍太の方を見つめつつ、”この人が誰なのか”を
思い出そうとするー。

しかし、どんなに思い出そうとしても
目の前にいる人が誰なのか、それを思い出すことはできなかったー。

「ーー申し訳ありません。
 言いにくいのですがー…”人違い”をされていませんか?」
久美が龍太にそう確認するー。

しかし、龍太は食い下がったー。

「人違いなんかじゃない!俺は、久美をー
 森下 久美を探しに来たんだー」

龍太のその言葉に、久美は怯えの色も見せながら
「ーー……でも、わたしはあなたのことーー」と、
改めて”知らない”と、言葉を口にするー。

龍太はショックを受けながらも言うー。

「ーー”花楓ちゃん”ってのは、君の親友で、幼馴染の子だー。
 いつも一緒だったー。

 そしてー」

龍太はそこまで言うと、
「俺はーーー…ーー…記憶がない相手に自分で言うのもアレだけどー…
 俺は、君と付き合ってたー」
と、そう言い放ったー。

「ーーーー…え??」
久美は表情を浮かべると、
「あはー…あはははははっ!」と、突然笑いだすー。

笑いを堪え切れない、という様子で笑いながら
久美は言うー。

「ーーやっぱり人違いですよ~!
 わたしの”彼氏”は、啓太郎(けいたろう)さんですしー」

久美のその言葉に、龍太は「え…」と、強いショックを受けるー。
別の男の名前を口にする”彼女”を前に
ショックを隠せなかったー

「け、啓太郎さんって…?」
龍太が聞き返すと、
久美は笑ったー。

「ーこの村に住む、職人さんですー」

久美は何も悪びれる様子もなく言ったー。

「ーーーー……」
龍太は表情を歪めながら久美の方を見つめるー。

「ーそれと、”幼馴染”の子に、花楓ちゃんって名前の子はいませんー
 わたし、この村の出身ですし、村を出たのはー…」

久美のその言葉に、
龍太は表情を歪めながら「す、すみませんー。どうやら、人違いだったようです」と、
そう言葉を口にして、頭を下げるー。

「ーーふふー、そうですよねー。
 誤解が解けて良かったです」
久美はそう言うと、
「ーせっかくこの村にいらしたのですし、ゆっくりしていって下さいね」と、
そう言葉を付け加えて、庁舎の中へと戻って行ったー。

「ーー久美ーー」
龍太は、悲しそうに呟くー。

久美はーー
龍太のことを本当に覚えていないー。

何故ならー
久美は、”この村”に洗脳されているからー…
都合よく記憶を書き換えられて、
この村出身であると信じ込まされているー。

いやー、
久美だけではないー。
久美の親友を名乗る紗智も、久美と会話したおばさん・美也子も、
龍太が村の入口で会った男も、みんなー…

「ーーーー…大丈夫だったかい?」
村長の岩隈の言葉に、
久美は「はいー!人違いだったみたいです」と、笑いながら
自分が仕事をしている机に座ると、
久美の親友の紗智も「あははー。な~んだ、久美ちゃんの知り合いかと
思っちゃった~!」と、そんな言葉を口にしたー。

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「ーどうぞどうぞ。こちらへー」

役場の前で考え事をしていた龍太は、
岩隈村長から”せっかくですし、村一番の宿をご用意しましょう”と
提案されて、宿にやってきていたー。

村の人間たちはみんな親切だー。
しかしー…

「ーーー」
龍太は、宿の部屋に入ると、
久美との写真を見つめるー。

龍太と久美は恋人同士だったー。
しかしー、久美が突然音信不通になり、
調べた結果、この”深影村”にいることが分かり、
今日、こうしてここに来たのだー。

「ーーーーどうしてなんだー…?何があったんだー」
龍太は一人呟くー。

久美は、大学卒業後、夢を叶えて
アパレル業界で働いていたー。
日々、大変だったけれど、充実した日々を送っていた久美ー。

龍太とはやがて結婚する、と、そんな話も出ていたー。

しかし、その久美が全てを投げだして姿を消したのだー。
一体、どうしてー…?

龍太が宿の中で考え事をしているとー、
この村で”1日2回”ー、お昼の12時と夜の6時に鳴る鐘の音が
鳴り響いたー。

「ーーー!!!!」
その音を聞いた龍太の目からーー
”光”が消えていくーーー

やがてーー
鐘が鳴り終わると、龍太は静かに呟くー。

「そういや、来週は深影祭りだったなー
 楽しみだなぁ…」

とー。

②へ続く

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恐怖の村”深影村”の
洗脳物語デス~!☆

なんだか、不穏な気配でいっぱいですネ~!

続きはまた明日デス~!!

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