ある日ー、
未来から数名の人間が突然、現代へとやってきたー。
そして、未来からやってきた彼女たちは
恐ろしい言葉を口にしたー。
それは”未来は憑依で壊滅している”と、いう
恐るべき言葉だったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2024年ー。
いつものように、時が流れていたその日ー。
”それ”はやってきたー。
「ーーな、なんだあれはー…!?」
とある公園ー。
突如として、その中心に謎の光のようなものが出現したー。
公園に居合わせた利用者たちは、
慌ててその光の周囲から離れていくー。
やがて、光は渦巻きー、電流のようなものが流れるとー…
その中からー、3人の女性が姿を現したー。
几帳面な雰囲気のポニーテールの女性と、
眼鏡をかけた真面目そうな雰囲気の女性ー、
派手な風貌のギャルっぽい女性の三人ー。
公園の利用者たちが戸惑う中、
几帳面な雰囲気のポニーテールの女性が言ったー。
「ーわたしたちは、200年後の未来からやってきましたー。
皆さんに、大事なお話がありますー」
そう言いながら、”真桜(まお)”と名乗った彼女は、
政府との話し合いを要求したー。
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”調査の結果ー、
”未来からやってきた”と語る三人は、
本物であると断定ー、
持ち込まれた技術には、現代に存在しない技術が用いられていた他、
三名とも、存命の人物に一致する人間はおらずー”
数日後ー
ニュースでそんな報道が行われていたー。
「ー大変なことになったなー」
政府のとある危機対策チームのリーダーを務める
30代中盤の男・源口 英輔(みなぐち えいすけ)は、
戸惑いの表情を浮かべながら、その報道を見つめたー。
「ーーでも、大変なことになりましたねー
彼女たちの言っていることが本当であればー」
英輔の部下である女性がそう呟くと、
英輔は「ーそうだな」と、ため息をつくー。
未来からやってきた三人はーー
”今のままだと、200年後、世界は”壊滅状態”に陥る”と、
そう言ったのだー。
聞けばー、この先の時代で開発される”憑依薬”なる薬が
世界中に拡散し、
他人の身体への憑依が横行ー、
憑依により、勝手に身体を使われる人が続出しー、
世間は無法地帯となったー。
誰が、いつ支配されるか分からぬ状況で、
家族ですらも信用できなくなってしまい、
人々は疑心暗鬼に陥りー、
憑依薬はさらに拡散、
現在、200年後の世界は”壊滅状態”にあるのだというー。
彼女たち三人は、それを阻止するために
この時代へとやってきたようだったー。
”しかし、200年後には”憑依”で世界が壊滅状態とはなー…
とてもじゃないが、世間に発表することはできないしー”
英輔はそんなことを考えるー。
”未来から3人がやってきた”ということは、
世間に公表しているものの、
彼女たちの希望もあって、
”200年後に世界が壊滅状態にあること”は
世間には公表しておらず、伏せられているー。
”そんなことが世間に知れ渡れば、社会はパニックに陥るー”
それが、彼女たちの見解だ。
そして、
未来からやってきた三人だけではなく、
政府も、同じ見解だったー。
「ーーま、でも、お偉いさんたちが彼女たちと協力して
何とかするだろー」
英輔は、そんな風に思っていたー。
がーーー
その翌日ー。
「ーはい?今、何と?」
英輔がそう言葉を口にすると、
政府の重鎮の男は言ったー。
「ー彼女たちの”指名”だー。
君を”憑依対策チームのリーダー”として、
彼女たちと共に協力して、未来の危機の対処に当たって貰う」
政府の重鎮の男の言葉に、
英輔は「ーーで、ですが、どうして私にー?」と、
表情を歪めると、
政府の重鎮の男は、少しだけ頷いてから
「ーー戸惑う気持ちは分かるー。がー、行けば理解できるだろう」と、
そう言葉を口にしたー。
「ー政府も全力でバックアップするー。
が、現場の指揮は君に委ねたいー。」
その言葉に、英輔は戸惑いながら
「は、はぁ…」と、言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
政府主導で、
”200年後の危機”に対応するための
”特撮対策チーム”が結成されたー。
メンバーは英輔を入れて8人。
”未来からやってきた彼女たち”の希望で、
英輔をリーダーとした少数精鋭のチームが結成されたー。
「ーーはじめましてー」
そしてー
この日は、英輔が初めて”200年後の未来からやってきた”という
3人と対面したー。
三人のうちの二人がいる部屋に入ると、
早速挨拶を交わす英輔と二人ー。
「ーー真桜です。よろしくお願いします」
3人のリーダー格のポニーテールの几帳面な雰囲気の女性・真桜が言うと、
「ーーあたしは紗季(さき)ー。よろしく」と、
ギャルな雰囲気の女性・紗季がそう言葉を口にするー。
2人とも年齢は20代ぐらいだろうかー。
かなり若く見えるー。
「それにしても驚いたよー。
まさか、俺のような人間が君たちから指名されるなんてー。
一体、どうしてー?」
英輔が戸惑いの表情を浮かべながら椅子に座ると、
ギャルな紗季が、真桜の方を見つめるー。
そして、真桜が口を開くー。
「ー急に驚かせてしまってごめんなさいー。
ですが、ちゃんとした理由があるんです」
真桜がそう言うと、
三人のうちの最後の一人ー、
眼鏡をかけた真面目そうな女性が部屋の中に入って来たー。
「ー彼女ー…美冬(みふゆ)はあなたの遠い子孫ですー。
美冬の希望で、あなたを指名させていただきましたー」
真桜がそう言葉を口にすると、
「えっ!?お、俺のー!?」
と、英輔はそう言葉を口にするー。
美冬は恥ずかしそうにしながら
「ーはいー…源口さんのー…200年後の子孫ですー」と、
そう言葉を口にすると、
英輔は「お…驚いたー」と、言葉を口にしながら、
「ー俺、結婚できるんだなー?」と、苦笑いしたー。
美冬は「あははー…そうですねー。確か”もうすぐ”のはずですー」と、
そう言葉を口にするー。
「そっかー…それで俺がー」
三人に、”リーダー”として指名された理由を理解した英輔は頷くー。
「ーーところで、俺は何歳まで生きれるんだ?」
少し冗談めいた口調で言うと、
美冬は見たことのない光るキューブのようなものを手にして、
「今、確認しますねー」と、そう言葉を口にしたー。
「ーあ、いやいや、ごめんー待ってくれー。
やっぱ、”人生のネタバレ”はパスー」
英輔が慌ててそう言うと、美冬は少し笑いながら、
「ふふー。確かに先に分かっちゃうとつまらないかもですねー」と、
苦笑いしたー。
気を取り直して、英輔と三人が情報を交換するー
三人はおよそ200年後ー。
正式に言えば、西暦2232年からやってきたようだったー。
2232年の世界は、現在、憑依の蔓延により壊滅状態にあり、
世界はもはや無法地帯で多大な犠牲者が出ているのだというー。
彼女たち三人は、そんな状況に何とか対処するために結成された
”レジスタンス”のメンバーで、
レジスタンスが開発した”タイムマシン”の技術で、
この時代に助けを求めに来たのだというー。
その目的はーー
”将来、憑依薬の開発者となる男の祖先の排除”ー。
つまり、憑依薬の開発者を”生まれなく”することで、
憑依による世界の崩壊を阻止しよう、というのが
彼女たち三人がこの世界にやってきた目的だったー。
「なるほどー…」
英輔は頷くー。
「ーそれで、その男っていうのはー?」
英輔が確認をすると、
リーダー格の真桜が答えたー。
「ーーーこの方ですー」
真桜が差し出したのは、とある企業の跡取り
息子・長岡 晋二郎(ながおか しんじろう)だったー。
「ーーー長岡 晋二郎ー」
英輔はそう言いながら写真を確認するー。
晋二郎の父親の会社は”新技術の開発”などを中心に
業績を伸ばしている会社だー。
確かに、この会社であれば将来的に憑依薬を開発してもおかしくない気がするー。
「ーーー」
英輔は、少し考えながら表情を歪めるー。
「しかし、その長岡晋二郎って人自体には罪はないはずー。
それを排除するっていうのも気が引けるしー、
それに、今の時代で長岡晋二郎を始末すると、未来に
”他の影響”も出るんじゃないかー?」
英輔がそう言うと、
眼鏡をかけた、英輔の子孫だという美冬は、
「さすがご先祖様ー。優秀な方だと聞いてましたけど、ホントにそうなんですね」と
目を輝かせながら微笑むー
「あ、あははー」
英輔は照れ臭そうに笑うと、
三人のうちの一人、ギャルっぽい雰囲気の紗季が言ったー。
「ーー長岡晋二郎は、会社内で色々不正なこともしていて
真っ白ってわけじゃないの。
だから同情は無用よー。
それと、未来への影響だけどー
影響が最小限になるように色々シミュレーションした結果ー
この時代にあたしらは来てるのー。
たとえば、もうちょっと後の時代で、憑依薬の開発者が
子供の頃に排除したりもできるわけだけど、
それよりもこの時代で祖先を排除した方が未来への影響は少ないから
だからあたしたちはここにきたってわけ」
紗季が腕組みをしながら言うー。
「なるほどー」
英輔は静かに頷くと、少し間を置いてから口を開くー。
「ーー…少し失礼なことを聞くけどー、
君たちの”未来”が本当に憑依で壊滅しているという
証拠はー?」
英輔がそう言うと、
リーダー格の真桜は「ーそう思うのも当然ですねー」と
頷くとー、
部屋に予め用意されていた少し大きな機械のようなものを
指さしたー。
「ー一時的に、未来へと戻ることも可能ですー。
もちろん、あなたもー。
急に”未来から来た” ”未来は憑依でー”と言われても、
疑うのは当然ですー。
ーーもし良ければ、見に行きませんか?西暦2232年の未来をー」
その言葉に、英輔は驚くー。
どうして、各国が彼女たちの言葉を信じたのかー。
それが分からなかったー。
だが、ようやく理解したー。
彼女たちは”直接”未来の世界を見せたに違いないー。
「ーーー…分かったー。見に行こうー」
英輔が意を決して言うと、
真桜は静かに頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
西暦2232年ー。
英輔は、真桜たちに連れられて、
”時空転送装置”を用いて、
未来へとやってきたー。
「ーあはははははは♡ マジで最高ー」
「ーーぐふふふ…♡ ふふふふふー」
胸を揉んだり、キスをし合ったりー
そんな二人組の女子の姿が目に入るー。
「ーーーー」
英輔が表情を歪めると、
子孫を名乗る美冬は「ーー…あれは憑依された子たちですー」と、
そう言葉を口にするー。
街はボロボロになっていて、
見る影もなく、
約200年後の未来だと言うのに、逆に時代が逆行しているようにさえ見える。
「ー元々はそっちの時代で言う”空飛ぶ車”みたいのもあったし、
あんたたちの時代からすれば”絵に描いたような未来”だったんだけどー
今じゃこのざまー。 やばいでしょ?」
ギャル風の紗季が歩きながら言うー。
憑依が蔓延し、略奪が起きー、
今では世界は”世紀末”状態だと、紗季は説明するー。
「ーねぇねぇ、わたしと遊ばないー」
急に、色っぽい姿の女が、英輔の前に姿を現して抱き着いてくるー。
「ーーうわっ!?えっ!?」
英輔が驚くと、
「ーーちょっとー。どきなさい」と、
リーダー格の真桜がその女に声をかけて、ボソボソと注意をすると、
「いってー」と、その女を突き飛ばすー。
「ーい、今のはー?」
英輔が言うと、気を取り直して、真桜が言葉を口にするー。
「ー”女の身体”に憑依して、物乞いをしてる者ですー
ああいう、人が、結構この世界ではたくさんいてー…」
真桜の言葉に、英輔は「そ、そっかー」と頷くー。
さらにスラム街のような場所を歩くと、
白目になって、痙攣していたりー、
精神崩壊状態のように笑い続けている美少女がいたりー、
色々な光景が目に入ったー
「長い間、憑依されていたことによって
”壊れた”人たちです」
真桜が言うー。
その言葉に、英輔は恐怖すら感じながら
ゆっくりと先へと進んだー。
そしてーーー
荒れ果てた地の先に、
廃墟の建物のような場所が見えてくると
真桜は言ったー。
「ここが、わたしたちのアジトですー。
憑依から身を守りながら、
この世界を救うため、活動しています」
真桜はそう言うと、
入口を守っていた金髪の女に何やら言葉を口にしてからー、
「どうぞー」と、英輔を手招きしたー。
英輔は200年後の世界の異様な光景を前に、
気圧されながらも、深呼吸してから
彼女たちのアジトへ、足を踏み入れるのだったー…。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
憑依で壊滅状態にある未来…!
大変なことになってますネ~…!
無事に未来を変えることができるのかどうかは…
この先のお楽しみデス~!
…今日は暑い地域も多いみたいなので、
皆様も気を付けて過ごしてくださいネ~!
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