<入れ替わり>わたしは、わたしを触りたい①~お願い~

”自分のこと”が大好きすぎる彼女ー。

ある日、そんな彼女が”入れ替わり”の存在を知り、
彼氏にとんでもないお願いをし始めた…!

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーねぇねぇ、ふと思ったんだけどさー」

同じ高校に通っている彼女の宮村 野々花(みやむら ののか)が、
ふとそんな言葉を口にするー。

「ーん?」
彼氏の藤本 尚之(ふじもと なおゆき)は、
そんな野々花の言葉に「どうかした?」と、そう言葉を返すと、
野々花は「わたしって可愛くない?」と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーーーーーー」
「ーーーーーー」
尚之は、野々花の方を見つめながら、
何度か瞬きをすると、
「ーーーーホント、自分大好きすぎるだろ?」と、
そう言葉を口にするー。

野々花は「うん!大好き!」と、笑みを浮かべると、
「ーーだって、わたしの手、綺麗過ぎない?」と、
自分の手をうっとりとした表情で見つめたー。

「ーーーはぁぁ…
 付き合う前と全然イメージが違うぞ…」
尚之がそう言うと、
野々花は「嫌いになっちゃった?」と、少し寂しそうに笑うー。

「い、いやいやいや、そういうわけじゃないけどー、
 なんかこうーギャップがー」
尚之が慌てた様子でそんなことを口にすると、
野々花は笑いながらー、
「ー尚之の前では、素でいられるからー」と、そう言葉を口にしたー。

野々花は”あまり表情を出さない”タイプの美少女で、
学校ではいつも、物静かな雰囲気を見せているー。

そんな野々花と、図書委員の活動で一緒になり、
お互いに好きな本が一致したことで意気投合、
半年前から付き合い始めているー。

がー、付き合い始めてから、
”こんな子だったんだー”と思うようなことがよくあるー。

その内のひとつが、
”自分のことを滅茶苦茶可愛いと思っていること”だったー。

「ーーもしわたしがおっさんだったら、わたしのこと
 滅茶苦茶触りまくりたい気分…!」
野々花が鏡を見つめながら言うー。

「いやいや、そりゃアウトなやつだろー」
尚之がツッコミを入れると、野々花は
「わたしが自分で自分を触るんじゃなくてー…
 わたし以外の誰かになって、わたしを触りたいんだよね~」と、
自分の太腿を触りながら微笑むー。

「ーー」
顔を赤らめながら目を背ける尚之ー。

「ーーど、どうしたの?」
野々花が自分の太腿をイヤらしい手つきで触りながら
首を傾げると、
「ーーい、いやー、そういうのーなんかエロいっていうかー」と、
戸惑いながら言うー。

「ーあはは!だよね!わたし、可愛いし、エロいもんね!」
野々花は嬉しそうにそう言うと、
「あ、尚之もわたしの綺麗な足さわる~?」と、
揶揄うようにして言葉を口にしたー。

大人しいと思っていた彼女は変態だったー。
まるで、中身は実はおっさんなんじゃないかと思うぐらいにー。

しかしー

「ーーおはようー」

翌日の朝ー、
学校で野々花と鉢合わせした尚之は、
”大人しい雰囲気の野々花”を見て、苦笑いしたー。

「ーーいやいや、猫かぶりすぎだろ!?」
尚之が、野々花の横を歩きながら言うと、
「ーー学校では、学校モードなの」と、小声で
野々花はそう言葉を口にしたー。

教室にたどり着くと、同じく物静かな性格の友人・琴葉(ことは)と、
話をしながら、穏やかに笑っている野々花ー

やがて、琴葉と話を終えた野々花は
いつものように、穏やかな表情で本を読み始めたー。

”ーー裏の顔と表の顔が違い過ぎるー…”
尚之は、野々花の方を見つめながら
そんなことを心の中で思いつつー
”いや、変態な野々花が素ってことは、こっちが裏の顔か?”などと
どうでもいいことを考え始めるー。

そうこうしているうちに、
「ーーへへへー、な~に野々花ちゃんの方を見てるんだよ」
と、尚之の友人・勝島 大輔(かつしま だいすけ)が声をかけて来たー。

「ーん?あ、いやー」
尚之がそう言うと、大輔は
「ーっていうか、野々花ちゃんって大人しいけど、
 いつもデートの時とか、どんな感じなんだ~?」と、
揶揄うような口調で、質問を口にする。

「ーー…ん~~~いやぁーー
 そのーーー…意外とー」
尚之がそこまで言うと、ふとスマホが鳴るー。

尚之がチラッとスマホを確認すると、
野々花から”死”というメッセージが送られてきていたー。

これはー
”わたしの本当の素顔のこと、言っちゃだめだよ♡”という意味だー。

「ーー……意外とーーふつうー」
尚之は苦笑いしながらそう言うと、
大輔は「はは、そっかー」と、納得した様子で頷いたー。

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昼休みー。

友人の琴葉と、穏やかに話をしながら
野々花は”あ~…琴葉ちゃんの胸って程よいサイズで最高だよね~”と、
心の中で呟くー。

”でもでも、わたしの方が可愛いしーー
 琴葉ちゃん、お願いしたらわたしのこと
 触ってくれないかなぁ~”

意味不明な思考をしながら、
何食わぬ顔で琴葉と話を続ける野々花ー。

「ーーあ、野々花ちゃんーこの前借りてた本だけどー」
ふと、琴葉がそんな言葉を口にしながら、
野々花から借りていた本を返すー。

「ーーもう読み終わったの?」
頭の中では変態なことばかり考えながら
全くそれを感じさせない穏やかな表情で
そう呟くと、琴葉は「うん!わたし、読むの早いしー」と、
笑いながら、本を野々花に手渡したー。

「ならよかったー。どうだったー?」
普通の雑談を交わす野々花ー。

”ん~~いまの聞き方も可愛いよね!”
心の中では、自惚れ続けている野々花ー。

やがて、琴葉との雑談を終えて、
一人になった野々花は、昼休みの残りの時間を潰そうと
スマホを手に、ネットを眺め始めるー。

がーー
その時だったー

”大好きな彼氏と身体を交換”
そんなー”広告”が偶然目に入ったー

「ーーー!!!!!」
野々花が目を見開くー。

そして、迷わずその広告に触れると、
野々花は顔を赤らめながら
「ーーーえへへへへ…す、すごいー」と、
一人、ニヤニヤし始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日の放課後ー。

「ーーねぇねぇ尚之~!」
学校を出て、周囲に他の生徒がいなくなると、
野々花は”素”で、尚之に話しかけ始めるー。

「ーーーこんなもの見つけたんだけど
 今度やってみない?」

野々花が嬉しそうに笑いながら
スマホの画面を尚之に向けるー。

尚之は、なんとなく嫌な予感を覚えながら、
野々花が見せて来たそれに視線を向けるとー、
そこにはーー

”大好きな彼氏と身体を交換”と
書かれたサイトと”入れ替わりアプリ”なる
謎のアプリの宣伝が書かれていたー。

「ーーーーは、はぁっ!?い、い、い、入れ替わりぃ!?」
尚之が声を上げると、
野々花は「うん!わたしと、尚之の身体、交換してみない?
すぐに元に戻れるみたいだし!」と、笑いながら説明するー

「い、いやー…  えっ…??
 で、でもー」
尚之は、一瞬、自分が野々花になったことを想像してしまい、
顔を赤らめると、
「ーほら、入れ替えれば、尚之の身体で”わたし”のこといっぱいいっぱい
 触れるしー」と、自分の手を見つめながら微笑むー。

「ーーわたしの顔とか、髪とか、足とかー、胸とかー
 えへへへへへ♡」
一人で興奮した様子を見せながら、もじもじと身体を動かしている野々花ー。

「ーーー……~~~」
尚之は、あまりの彼女の変態ぶりに戸惑いつつも
「い、いやー…で、でも、いくら野々花でも
 自分の身体を俺に預けるなんて不安じゃないのか?」と、そう言うと、
野々花は「ー尚之なら大丈夫!信頼してるもん!」と、
嬉しそうに微笑むー。

こんな変態な子だとは付き合い始める前は
夢にも思っていなかったけれどー、
こうして、”信頼”されている、ということに関しては
悪い気はしないー。

「ーーーじ…じゃあ、いいけどー…
 あ、あんまり暴走しすぎるなよー?」
尚之がそんな言葉を口にするー。

”こういう時ってむしろ、彼氏の方が心配される感じじゃー?”
尚之は、そんなことを思いながら、
野々花の方を見つめると、
「大丈夫!わたしが尚之の身体でわたしをたくさん触るだけだから!」と、
嬉しそうに言葉を口にしたー。

「ーーお!いたいたー」
そこに、尚之の親友の大輔がやってくると、
途端に野々花は大人しくなって、
「ーーあ、勝島くんー」と、穏やかな表情で微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

「今日は、親が留守だから、
 たっぷり、触れるから♪」

野々花が、そう言いながら
嬉しそうに尚之を家の中に招き入れるー。

「お、お邪魔しま~す」
野々花以外、誰も家の中にはいないにも関わらず、
野々花の家の中に入りながらそんな言葉を口にするー。

「ーーー…あ、入れ替わりアプリはもう
 インストールしておいた?」
野々花にそう確認される尚之ー。

尚之は「あ、うんー。言われた通りに入れておいたけど」と、
そう呟きながらスマホを手にするー。

「ーーよかったー!
 じゃあ、早速入れ替わろ!」
野々花はもう我慢できない、という様子で、
「さっきから、ドキドキしちゃってーえへへ」と、
下心丸出しの表情を浮かべるー。

”ーまさか、こんな子だったとはなぁ”と、
尚之は改めて思いながら、
野々花の方を見ると、野々花はもう入れ替わりアプリを
起動していたー。

「ーーはやくはやく!」
野々花がワクワクしながら言うー。

「ーははー」
尚之は苦笑いしながらスマホを手に、
入れ替わりアプリを起動するとー、
今まで感じたことのないような、得体の知れない違和感を
身体に感じたー。

「ーだ、大丈夫なのかこれ?」
尚之がそう確認すると同時に、
ぐらっとするような感触がしてー、
次の瞬間、ふわっとするようなー、
まるで魂が抜けるかのような不思議な感触がしたー。

野々花からの返事を聞く前に、
”何か”が起こってしまい、
その状況を飲み込むことができないままー、
気付けば、尚之は野々花のスマホを手に持っていたー。

「ーーえ…」
いや、”尚之が野々花のスマホを手に持っていた”わけではないー。

いつの間にか、
”自分の手”は、色白な綺麗な手に変わっていたー。

「ーー!!!」
慌てて目の前を見ると、そこには”尚之”の姿ー…
自分自身の姿があったー。

「ーー大丈夫だよ」
尚之になった野々花は笑うー。

入れ替わり直前に尚之がした質問に
今になって答えた尚之(野々花)は、
入れ替わったことに驚く野々花(尚之)を見て笑うー。

「ーーえ………い、いや、これーちょっとー…」
野々花(尚之)は、どうしていいか分からずに
顔を赤らめるー。

「ーーー…」
口元を気にする素振りを見せながら
「え…ほ、ホントに野々花の声が出てるじゃんー」と、
さらに戸惑う様子を見せる野々花(尚之)ー。

”っていうかー、何で休みの日なのに制服姿ー?”
野々花(尚之)は心の中で戸惑っていると、
尚之(野々花)は「ーーじゃあ、早速ー」と、
嬉しそうに、”元自分”の身体の胸を何の迷いもなく触ったー。

「ー!?!?!?!?!?!?!?」
彼女と入れ替わった状態に、
何の心の準備もできていないまま、いきなり胸を触られた
野々花(尚之)は、思わず変な声を出してしまい、
顔を真っ赤にするー。

「ーあはは、わたしってば可愛い声~!」
尚之(野々花)はそう言いながらー、
尚之の身体で、”元自分”の髪を触ってニオイを嗅いだりー、
手をべたべたと触ったりー、
やがて、「あ、ちょっとそのまま立ってて!」と、
言い放つと、野々花(尚之)のスカートを下から覗きながら
ニヤニヤと笑い始めたー。

「~~~~~~~~~~」
野々花(尚之)は、スカートを下から覗いている
尚之(野々花)を見て、
”ー絶対、野々花の前世、おっさんだろー…”と、
心の中でそう呟きながら、苦笑いすることしかできなかったー。

②へ続く

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コメント

とっても変態な彼女と入れ替わった彼氏…!

戸惑いの入れ替わりは、まだまだ続きます~!☆

明日もぜひ楽しんでくださいネ~!

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