小さい頃から、”女”に対して
全く興味のない男子大学生。
そんな彼が女体化してしまい、周囲の反応にうんざりすることにー。
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彼は異性に全く興味がなかったー。
別に、同性が好きというわけでもない。
恋愛感情やら、性欲が、彼には皆無だったのだー。
「ーーーー…俺のことは、知ってるだろー?
ごめん。たとえ菜々(なな)が相手でもそういう目では見れないー。」
そんな彼は今日ー、
小さい頃からお互いを良く知っている幼馴染・菜々から
告白されて、申し訳なさそうにそんな言葉を口にしていたー。
「ーーうん。分かってたー。
でも…ダメ元でー」
菜々が寂しそうに言うと、
「ごめんな」と、彼は言葉を口にするー。
幼馴染の菜々も、彼が”女に全く興味がない”ということは知っていたー。
”女嫌い”ではなく”興味がない”のだー。
友達として、幼馴染として普通に会話はできるし、
友達として、幼馴染として楽しそうにしてくれることはあるー。
けれど、彼には”男女での扱いの違い”が全くないー。
良くも悪くも、相手を異性として見ることは”全く”ないのだー。
以前、”俺、恋愛感情も性欲も何もないんだよなー”と、
彼から相談されていた菜々は、それを知った上で、
ダメ元で告白していたー。
少しだけ寂しそうに彼の手を握っていた菜々は、
ハッとして「あ、ごめんー」と、そのまま彼から離れるー。
彼は特にそのことは気にする素振りも見せずに
「もう時間も遅いしー、帰ろうかー」と、
そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・
「ーーーでも、俺は生涯独身だろうなぁ…
結婚願望もないしー」
菜々と共に帰りながら、そんな言葉を口にする彼ー。
菜々は、不思議そうに「今も、やっぱり変わらない感じ?」と、言葉を口にするー。
「ーーあぁ…恋愛感情もないし、結婚願望もないしー
性欲みたいなのも全くないしー。
もちろん、相手が女でも、男でもー」
彼はそう言うと、笑いながら、
「この前も友達からエロい動画見せられたけどさー…
全然、何も思わないんだよなー。
寒そう、とか、汚ねぇ、とか、そういう感想しか出て来ないー」
と、自虐的に呟くー。
「あははー…でもまぁ、それは人それぞれだしー」
菜々は、振られた寂しさを紛らわせようと明るく振る舞うと、
帰り道が別々の方向になる道までたどり着いて
「じゃあ、また明日」と、言葉を口にするー。
「あぁー。今日はごめんな」
彼はそう言うと、そのまま帰路についたー。
彼ー
洞口 哲雄(どうぐち てつお)はー、
結婚願望も、恋愛感情も、性欲すらもなかったー。
女に対しても、男に対しても、だー。
小さい頃からそうで、それを隠すつもりも全くないー。
女嫌いというわけではないため、
普通に”人”として接することはできるー。
が、哲雄にとっては男と接しているのと”同じ”で、
そこに何の差もないー。
AVの類を見ても何とも思わないし、
”ストーリーがつまらねぇ”とか”ストーリーが面白いな”とか、
そんな感想しか出て来ないー。
当然、リアルでもそうで、今日のように幼馴染に告白しても
恋愛対象として見ることはできないし、
仮に美人が目の前で誘惑してきたとしても
「ーー寒いだろ?服を着ろよ」と言ってしまうようなタイプだー。
ただ、彼自身、特にそのことを気にしておらず、
友達はたくさんいるし、
趣味もほどほどにあるため、特に困ることはなかったー。
「ーーさて、とー」
菜々から告白されたことも、特に気に留める様子もなく、
いつも通りの1日を終えると、
そのままベッドに横たわりー、
いつものように、哲雄は穏やかに眠りについたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー
「ーーーーーーーーーー」
いつものように目を覚まし、
スマホのアラームを止めると、
そのまま眠そうに洗面台の方に歩いていく哲雄ー。
いつものように顔を洗いー、
そして、いつものように鏡で自分の顔をー…
「ーーーー…?」
哲雄は、少し首を傾げると、
もう一度顔を洗い直すー。
どうやらまだ、寝ぼけているようだと、
そう思いながらー。
そして、もう一度鏡を見るー。
が、そこにいたのは”綺麗な雰囲気の女性”ー。
「ーーーーー……」
「ーーーーー……」
鏡に映っている女性を見ながら、哲雄は
不思議そうに考え込んでいたが、
やがて「え?」と、言葉を口にしたー。
「ーーーあ… ぁ… ぁ…」
声が”いつもの自分の声”ではなく、
女のような声になっているー。
そしてー…
自分の身体を見下ろすと、そこには胸の膨らみがー…
さらにはー自分の長い髪が手に触れるー。
そんな状況に、哲雄は困惑しながら、
もう一度鏡を見つめると、
「は?女になってんじゃんーなんだこれ?」と、
言葉を口にしたー。
女体化してしまった自分の身体ー。
がー、哲雄は特に下心を見せるような素振りも何もないまま、
冷静に自分の胸を確認したー。
別に、下心からではないー。
「は?何だよー本物じゃんー。どうなってんだこれ?」
戸惑う哲雄ー。
胸を見ても下心的なものは何も感じないー。
が、この膨らみが作りモノなのか本物なのかは
確認しておく必要があったー。
「ーーーー…マジかよ」
哲雄は困惑しながら、女体化した自分を鏡で見つめるー。
「ーいやいやいや、おかしいだろー…
…あぁ、そうか。これは夢かー」
哲雄は自分の起きている状況を”夢”だと判断して、
そのままベッドの方に戻るー。
がー…しかし、結局哲雄は元に戻ることができないまま、
再度目を覚ましてしまうー。
「嘘だろ…?ホントに女になってるー…なんだこれ?」
そう思いながらも、哲雄は「っていうか、大学どうするんだこれ?」と、
戸惑いの言葉を口にすると、
すぐに大学に連絡して事情を説明ー、このあと大学側と話をする予定を
取り付けたー。
”まだ時間があるし、病院も行ってみるかー”
そう思い立った哲雄は近くの総合病院に連絡、
”とりあえず来てほしい”と言われ、病院で診察を受けたものの、
”そもそも女体化した”なんてことは、信じてもらえなかったし、
一応、検査をしてもらったものの、ひとまず身体に異常はない、
ということになってしまったー。
続けて、大学に足を運び、事情を相談するー。
”いきなり女体化した”なんてことは簡単には
信じてもらうことはできなかったものの、
必死に事情を説明、”哲雄本人じゃないと分からないようなこと”まで、
弾丸のように次々と言葉を口にしー、
ついには大学側を押し切ることに成功したー。
”混乱を避けるために”、
一応、あまり必要以上に周囲には口外しないようにしてほしいと
大学側から言われたため、哲雄は”自分に関係のある人にしか説明しません”と
約束し、翌日から大学に復帰できることになったー。
帰宅した哲雄は
面倒臭そうに「服のサイズも合わねぇな…なんか買わなきゃダメか?」と、
そう呟くと、うんざりした様子でため息を吐き出しー、
そのままお風呂に向かうー。
”女体化した哲雄”の初めてのお風呂ー。
しかし、哲雄は特に動揺する様子も、ドキドキする様子も見せずに、
いつも通り、身体を洗い始めるー。
「ーーー…ん~…洗いにくいな」
”男”とは違う部分を洗う際には不慣れな感じで、戸惑いを見せる哲雄。
が、それでもやはり特に興奮したりする様子は見せずに、
「っていうか、ここ膨らんでると邪魔じゃね?」などと
胸に対する感想を口にするー
「ーあ~髪も長いと洗うの面倒くせぇ!
もしこの状況が続くなら切らないとだめだなー」
そんな愚痴を呟きながら、1ミリも興奮することなく、
お風呂を終えると、今一度大きくため息をついたー。
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翌日ー。
女体化した状態で大学にやってきた哲雄ー
相変わらず、面倒臭そうな表情を浮かべていてー、
服装も家にあった”女の身体”でも着れそうな普段着を着て
大学にやってきていたー。
特に、周囲が反応する様子はないー。
高校時代までだったら、すぐに誰かしら反応したかもしれないが、
大学ともなると、高校よりも生徒の数は多いー。
”知らないやつ”が周囲を歩いていることは珍しくなく、
”女体化した哲雄”が歩いていても、特に誰も不思議そうな顔を
する人間はいないー。
「ーまぁ、顔も変わったのは幸いだったかー」
哲雄はそんな風に思うー。
”誰から見ても哲雄の女版”みたいな顔になってしまっていた場合、
すぐに周囲に気付かれて何かと面倒だったかもしれないがー、
幸い、顔立ちは”言わなければ絶対に分からない”ぐらいに変わっていて、
「お!哲雄!」なんて声をかけて来る人間はいないはずだー。
「ーーお!哲雄!」
「ーーー…は?」
哲雄は思わず表情を歪めたー。
たった今、”女体化した自分を俺だと気付くやつはいない”と
心の中で呟いたばかりだと言うのにー
「ーーー」
哲雄が、その声のした方向を振り向くと、
そこには親友の明憲(あきのり)の姿があったー。
「ーーへへへ…女になったって噂、マジだったんだなー?」
ニヤニヤしながら近づいてくる明憲ー。
明憲は、先日、告白してきた幼馴染の菜々との会話でも出て来た
”エロイ動画を見せて来た”友達だー。
その明憲が近付いてきて、
女体化した哲雄のことを、”哲雄”と決めつけて近付いてきているー
”あぁー…こいつは下心の塊だからなー
気付かれると色々面倒臭そうだ”
哲雄は心の中でそんな風に言葉を口にすると、
「ーーあ、あの…何のことですかー?」と、
”見知らぬ女のフリ”を咄嗟にしたー。
「ーーはっはっはっはー!そんな下手な芝居をしても誤魔化されないぞ!」
明憲はそう言い放つと、
哲雄のほうを見つめるー。
「ーいや、おしゃべりな教授がいてなー。
もう、お前が女になったって噂、広まってるぞー?」
明憲はそう言いながらスマホを手に、”女体化した哲雄”の写真を
見せ付けたー。
「ーー……」
”知らない女子生徒”を装い戸惑いの表情を浮かべていた
女体化した哲雄は一転、「はぁ」と、ため息をつくと、
「あぁそうだよー。俺だよ」と腕組みしながら言葉を口にするー
「うへへー 女の声で”俺”しか、いいねぇ!」
明憲がなおもニヤニヤしながらそう言葉を口にするー
「ーってかさ、それ本物?」
明憲は、女体化した哲雄の胸を指差しながら笑うー。
「ーーー…」
哲雄は呆れ顔で明憲のほうを見ると、
「ーー触りたいんだろ?」と、また、ため息をつくー。
「おぉ!さすがは俺の親友!よく分かってる!
どうせ、男同士なんだし、な?」
明憲の言葉に、女体化した哲雄は周囲を見回しながら
「ーこんなもん揉んで、何が楽しいんだよ」と、
人目につかないほうを指差して移動すると、
そのまま明憲に胸を揉ませたー。
女体化した哲雄の胸を揉みながら
「すっげぇ…!」とか、「やっべぇ」とか、
語学力を失った言葉を吐き出している明憲は、
やがて、「ってかお前、自分で揉んだりしなかったのか?」と驚くー。
「ーいやだから、俺は女にはー
ーーーんっ…」
胸を揉まれて感じてしまったのか、少し変な声を出すと、
「あぁ、もうやめろ 十分揉んだだろ」と、
明憲を遠ざけるー。
「ーーーへへ、今、興奮したんだろ?」
明憲は揶揄うようにして、そんな哲雄に言葉を掛けると、
哲雄はなおも呆れ顔で首を横に振ったー。
「ーいや、俺、女に興味ねぇしー。」
女体化した哲雄の言葉に、明憲は「マジかよー…
女になったのに、おっぱいも揉まねぇのかよー」と、
驚きの表情を浮かべるー。
「ー胸なんて邪魔なだけだし」
女体化した哲雄はそれだけ言うと、
「ーあぁ、そうそう、あんま俺のこと広めるなよ?」とだけ、釘を刺すと
そのまま立ち去っていくー。
一人残された明憲はまだ、
”女体化したのに何もしなかった”という哲雄のことが
信じられないのか「マジかよー」と、今一度呟いたー。
「ーーーーーー」
そんな様子を少し離れた場所から幼馴染の菜々が見つめていたー。
「ーー洞口くんー」
女体化した哲雄のほうを見つめながらそう呟くと、
菜々は、心配そうにため息をついて、そのままその場を後にしたー…。
②へ続く
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コメント
全く異性に興味がない男子大学生が女体化…!
”どっちでもいいや”という感じの彼が、
この先どんな風に過ごしていくのか、
ぜひ見届けて下さいネ~!★!
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