もしもあの子がイメチェンしたら…?
事故をきっかけに手に入れた変身能力で、
それを堪能していく男子高校生。
しかし、その先に待っていたのは…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
幼馴染の明美に変身して、
”ヒーロー番組に出て来るような悪女”風の格好をしながら、
亮平は嬉しそうに笑みを浮かべるー。
「ーおほほほほほほほっ」
わざとらしく悪女のような笑い声を発する明美姿の亮平ー
「す…すごい…本当に悪党みたいだー…
あぁ…ドキドキするー」
明美の姿のまま、ハイヒールの音を立てー、
ポーズを決める亮平ー。
「ーー使えない”駒”ねー」
「ーわたしがあなたを殺してあげるー」
「ーーわたしの前に跪きなさいー」
明美の姿で、悪女モード全開の振る舞いをしながら、
それをたっぷり堪能した亮平は、
あまりの興奮に、明美の姿のまま、初めて”女”としての快感を
味わってしまうー。
「ーえへ…えへへへ すごい… なんだこれ…」
あまりの気持ち良さに、頭の中がはじけるようなー、
男の自分にはあり得ない感覚を覚えながら
只々、「すごい…」と、放心状態で呟く明美姿の亮平ー。
やがてー、しばらく余韻に浸ってから”自分の姿”に戻るとー、
亮平は満足そうに笑みを浮かべるー。
変身を解除するまで着ていた、
ネットで購入した”悪女のような衣装”を見つめるー。
「ーーはは…こんな服、絶対本物は着ないだろうなぁ…」
亮平はそう思いながら拾うと、
粘り気の強いものがその周囲に散乱していることに気付くー。
「ーーん。なんだろ?」
そう思いながら、手についたそれを見つめるー。
先程、明美の姿の時に汚したところは、
変身を解除する前に掃除したはずだったけれどー、
そう思いながら、それを見つめる亮平。
「まぁ、いっかー」
そう思いながら後片付けを済ませて、
”明日は誰に変身しようかな”と、そんなことを思いながら、
静かに笑みを浮かべたー。
その先の高校生活も、亮平は”変身三昧”の日々を過ごしたー。
大人しいクラスメイト・愛花に変身しては
ギャルになったり、男装してみたり、ショートヘアーにして
スポーツ好きの女子っぽくしてみたりー、
ギャルの恵麻に変身しては大人しそうな風貌になってみたり、
真面目で融通の利かない雰囲気の生徒会長風にしてみたりー、
幼馴染の明美に変身して、妹風の雰囲気にしたり、
悪女のようになってみたりー、
憧れのクラスメイト・姫梨に変身して不良化してみたり、
大人の女のような格好をしてみたりー、
とにかく、毎日毎日変身を堪能したー。
そうこうしているうちに、亮平は高校を卒業しー、
大学に進学、一人暮らしを始めていたー。
一人暮らしを始めた理由は単純だったー。
”変身をより堪能できるから”
と、言う理由だー。
大学生活を開始すると同時に、
できるだけ”同じ大学に通う子の写真”を集めたー。
機会があれば理由をつけて集合写真を入手したりしつつ
”変身のメニュー”を増やしていくー。
今日は大学内で行われていたミスコンの時の写真を入手して、
美人の子に変身ー、”あえて”がさつな格好をして
イメチェンを堪能していたー。
今日もイメチェンを存分に楽しむと、
亮平は変身を解除して、元の姿へと戻るー。
変身を解除すると、最近は”いつも”床に飛び散っている
謎の液体を拭きとりながら、亮平はため息をつくー。
”そういや、これ、何なんだろうなー?”
そう思いつつも、大学生活を楽しんでいく亮平ー。
やがてー、大学を卒業し、
社会人になりー…
社会人として働き始めて3年が経過したー。
社会人になってからも、亮平は”変身”を堪能していたー。
特に激務が続くタイミングでは、ストレスからか、
変身した後に過激なことを楽しむことが多くなったー。
そして、近いうちに、会社の気に入らない女上司の姿に変身して
夜の町で遊び回って”男遊びの噂”を立ててやろうと、
そんな悪意に満ちたことまで、楽しもうと目論んでいたー。
がーー…
社会人になってから、亮平は徐々に体調を崩しがちに
なり始めていて、
最近では”急に身体に力が入らなくなる”
謎の現象に苛まれていたー。
それでも
まだ仕事ができなくなるだとか、外出できなくなるレベルではなかったため、
亮平はそこまでそのことを気にしていなかったー。
少しずつ、ジワジワと悪くなっていく体調ー。
やがて、20後半に差し掛かったあたりで、
久しぶりに高校時代の同窓会が行われて、
そんなに友人が多い方ではなかったものの、
亮平は同窓会に出席していたー。
がー…
同窓会の会場で、気になることが起きたー。
「あれ~?森川くん、”全然”変わらないね」
幼馴染の明美がやってきて、亮平を見て笑うー。
「え、そ、そうかなぁ?」
亮平が照れ臭そうに言うと、
明美は「亮平ってば、”そのまんま”じゃんー」と、
そんな言葉を口にしたー
「ーー!」
既に、亮平は28歳ー。
ここにいる全員が、28歳か29歳であるはずだー。
高校時代から約10年ー。
みんなそれなりに年を重ねて、変化しているー。
だが、亮平はー…
「ーーー…そ、そういえばー…」
亮平は、”言われてみれば”と、
自分が高校時代から”全く変わっていない”ことに気付くー。
「ーーー…まぁ、若いっていいことだよねー」
明美が笑いながら言うー。
けれどー、亮平は”あること”を、考えたー。
”変身する”時には、他人の姿を見つめながら、
目を閉じてその人になりたいと念じることで、その姿になれるー。
その”他人の姿”は実在する人物なら、写真でも問題ないー。
そして、変身を解除する時には、亮平の姿ー…
そう、写真を見つめながら念じることで、亮平の姿に戻ることができるー。
「ーーー!」
”変身する”時も”変身を解除する”時も、していることは全く同じ。
亮平は今まで、”自分の姿”に戻る時のことを”変身を解除している”と、
認識していたー。
だがー。
”ーーま、まさかー…”
亮平は戸惑うー。
”自分だけ高校時代と何も変わっていない”
もしかするとー、
亮平は”変身を解除している”のではなくて、
”自分の姿に変身している”のではないかー。
過去の自分の写真を見ながら、念じるー。
やっていることは、他の人の姿に変身している時と同じだー。
つまり、”写真に写る亮平に変身しているだけ”で、”変身を解除しているのではない”
のではないか、と、そんな考えにたどり着いてしまったー。
高校時代に初めて他人に変身した亮平ー。
それ以降、亮平は”ずっと変身したまま”の状態ー。
元に戻ることは出来ておらず、自分の姿に戻っているのも、
あくまでも”写真に写る自分自身に変身”しているだけー。
だから、いつまで経っても”高校時代の亮平”の姿でしかないし、
年老いることもないー。
亮平は、そのことを確信したー。
そうだー”服”もー、写真の自分が着ている服が、
他の子に変身するときと同じように、セットになって出現していたー。
僕は、一度も”変身を解除できていない”とー、
そんなことに亮平は気付かされたのだったー。
変身状態では、”老化”はしないー。
永遠に変身した時の状態のままー。
だから、亮平は10年が経過しても”そのまま”だったのだー。
「ーーまぁ…ずっと若いままなのは、悪いことじゃないしー」
亮平は同窓会を終えて帰宅すると、
そう呟きながら、笑みを浮かべたー。
そして、今日撮影したばかりの”同窓会の集合写真”を手に、
「久しぶりにみんなに変身してみるかー」と、
高校時代の同級生たちに変身しようとしたー。
がー、その時だったー
「ーーー…!?」
急激に身体から力が抜けて、”謎の液体”を口から大量に吐き出した亮平ー。
「ーー…ぁ…????」
驚いて鏡を見つめると、”身体半分”が、ぶよぶよした銀色のスライムのような
状態になっていたー。
「ーーぅ…????」
亮平は、困惑するー。
「ーーな…なんだ…これ…?」
戸惑う亮平ー。
がーー…やがて、高校時代の同級生の一人・愛花の姿への変身を終えて、
愛花の姿のまま、亮平は表情を歪めたー。
今まで、”変身する瞬間”の自分を見たことがなかった亮平ー。
変身する方法が、実在する人間を写真でも良いので、見つめた上で
目を閉じて念じることだったため、自分の変身している最中を
見たことがないのは当然だー。
しかしー…
亮平が変身するときには、一度、”銀色の液体人間”のような状態になり、
完全に人間ではなくなってー…その後、相手の姿に変化しているー。
その光景は、あまりにも異様で、不気味な光景ー。
亮平が変身能力を手にしたきっかけとなったトラック事故ー
あの時、漏れ出した”謎の煙”は、開発中の新薬が事故により変異を起こし、
漏れだしたものー。
人間の身体を一度崩壊させ、1から作り直すという効能を持った
研究段階の新薬で、
大事故により寝たきりになってしまったり、
”身体に深刻なダメージを受けた人間”の、身体を一度破壊し、
即時、一から作り返ることで再生させることを目的とした
未来の医療を担う開発段階の薬ー。
それが事故により漏れ出し、その煙を少なからず吸った亮平が、
その力を、本来の用途とは違う形で、手に入れてしまったのだったー。
が、その薬は研究段階。
しかも、亮平は事故で変異を起こしたその薬の煙を吸っているー。
”変身”する度に、亮平は自分の身体を崩壊させ、
その場で再生ー…を繰り返して来たー。
最初にその力を使ってしまった時点で、元の亮平の身体はもう失われているー。
その後、”変身解除”をしていたと思い込んでいるのも、
”写真の亮平”に変身しているだけに過ぎないー。
そしてーーー
ついに、度重なる変身は、亮平の身体にジワジワとダメージを与え続け、
”病院に行くほどではない体調不良”も、限界を迎えていたー。
「ーーぁ… …ぁれ…?」
愛花の姿になった亮平ー。
しかし、その形態を維持できずに、身体半分が銀色の液状になって崩れ落ちるー。
「ーな…なんだこれ… く、くそっー…早く元に戻らないとー」
亮平は、慌てて自分の写真を手にすると、
いつものように、”自分”の姿に戻ろうとしたー。
だがー…
「ーーー!?!?!?!?」
変身が終わり、鏡を見て驚く亮平ー。
そこには、亮平が半分、愛花が半分になってー、
しかも、顔の一部が銀色の液体のままという
奇妙な状態の自分がいたー。
「ーー…ぁ… くそっ… 元に…元に戻れ!」
亮平は自分の写真をもう一度見て、さらに強く念じるー。
ようやく、ギリギリのところで元に戻れた亮平は、
激しい倦怠感を感じながら、
苦痛に耐え、やむを得ず救急車を呼んだのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーあり得ないー…」
医師が困惑するー。
亮平は”あまり病院に行かないタイプ”で、
変身能力を使い始めてから10年以上ー、
体調不良も”病院に行くほどではない”と、
会社の健康診断だけで済ませていたー。
健康診断も年齢のせいか、まだ簡素なものばかりで、
亮平の中で起きている”異変”には気付かれなかったー
「ーーーせ、先生、僕はー?」
苦しそうにベッドの上からそう言葉を口にすると、
医師は困惑した表情を浮かべたー。
亮平は、意を決して言葉を吐き出すー。
「ーーー教えてくださいー…どんな状況でもー」
とー。
すると、医師は言葉を口にしたー。
「ーー君の身体は…もう…
”人間”と呼べる状況にはないー。
身体の90パーセントが、謎の成分…君がここに運び込まれた時に
吐き出した”銀色の液体”と同じ成分で構成されていてー…
もうー…本来の”心臓”も、存在しないー」
医師が呆然とした様子で言うー。
「ー何か、心当たりはー?」
医師は、そう言葉を口にすると、
亮平は、変身能力を手に入れたあの事故を思い出して、
その言葉を口にしたー。
「ーー…」
医師は、当時の事件を調べて、
関係者に連絡してみる、と言って、その場を立ち去っていくー。
亮平は、自虐的な笑みを浮かべながら天井を見上げたー。
「ーー僕がーー…人の姿を勝手に使って好き勝手やってたからー
罰が当たったのかもなー…」
亮平は、そう呟きながら天井を見上げるー。
これから、僕はどうなるのだろうー。
ただー…いずれにせよー…
亮平は、自分の手を見つめながら笑うー。
手がドロドロになって、銀色の液状になっているー。
いずれにせよー
もう、普通の生活はできないかもしれないー。
色々な姿に変身を繰り返した亮平は、
いつしか”亮平”ですらなくなってしまったのかもしれないー。
「僕はもう亮平じゃなくてー…ただの、化け物なんだなー…」
亮平は寂しそうにそう呟いて、銀色の液状になった手を
悲しそうに見つめたー…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
もう、これまでのように変身三昧の人生を送ることは
難しそうデス…!
得体の知れない力の使い過ぎには
注意しないといけませんネ~!!
お読み下さりありがとうございました~!!
コメント
確かに人の姿で好き勝手やってますけど、亮平はあくまで個人的に楽しむだけで、別に人の人生壊したりとかしてる訳でもないのに、随分と悲惨な結末になってしまいましたね。
一回変身するだけに留めておけば、身体への負担も最小限で安全に美少女ライフを送ることも出来た気もしますね。
コメントありがとうございます~!★
やってること自体は、私の作品の変身モノの中でも
控えめな部類でしたネ~…!
変身する度に負担が…なタイプだったので、
確かに最初の1回に留めておけば、
充実の変身ライフが送れたかもしれませんネ~★!
他者変身の醍醐味って、その人が普段しないことをやるってことですよね。
亮平くんは家の中で楽しんでいるようでしたけど、自分ならもっと外に出て色々やりたいなぁと妄想してしまいました。
最後はバットエンドでしたけど、非常に楽しかったです。
ありがとうございます~!★★!
変身の力を手に入れた人によって、
しちゃうことが全然違うのも面白いですネ~★!
今回は元々奥手な感じの子だったので、
表立って悪さはしない感じにしてみました~!★!