異性に全く興味のない男子大学生。
彼は女体化しても、自分の身体にドキドキすることも全くなく、
只々、面倒臭そうにしていたー。
しかし、本人はそうでも、周囲が女体化した彼を放っておかなかった…!
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「ーーーへへへ…へへへへへ」
「ーん~~~~ ふふふ」
「ーーうへへへへへ…」
ニヤニヤしている親友の明憲ー。
呆れ顔の女体化した哲雄ー。
「ーーん~~~ あぁぁ~~いい… いい!!」
明憲はそんな言葉と共に、
哲雄の長い黒髪を触りながら、そのニオイを嗅いだり、
手触りを確かめていたー
「この変態が」
哲雄がそう呟くと、明憲は「あぁぁ~イイ!!」と
嬉しそうに叫んだー。
親友の明憲から、”どうせ男同士なんだし、髪を触らせてくれよ”と
頼まれた哲雄は、”好きにしろ”と、明憲に髪を
触らせてあげている最中だったー。
「ーーー…大体、女の髪なんて触って何が嬉しいんだよ?
髪は髪だろ」
女体化した哲雄は、伸びた自分の髪を触りながら
そんな言葉を口にすると同時に、大きくため息をつくー。
ただの髪に何をそんなに喜んでいるのか、
彼には全く理解できない。
「ーーへへっ…髪は髪でも”神”さー」
明憲がニヤニヤしながら、スマホに”神”と文字を入力して
それを見せ付けるー。
「ー意味分かんねぇ…
大体、ニオイ嗅いでも別に俺から”女のニオイ”はしねぇだろ?」
哲雄がそう言うと、
明憲は「それでもいいんだよ!それでも!」と、また嬉しそうに
髪を触り始めるー。
「ーまぁ、お前がそれで嬉しいなら好きにしろー」
呆れ顔でそう呟きながら、自販機で買ったばかりの
飲み物を口にするー。
”1本奢ってやるから、髪を触らせてくれよ”と、
そう言われたのだー。
「ーーー…へへへへ…えっへへへへー」
明憲は、なおも嬉しそうに髪を触り続けているー。
「ーー…ま、今のうちに触っとけよ。
元に戻れない状態が続いたら、髪バッサリ切るつもりだからさ」
女体化した哲雄はそう呟くと、
ジュースを飲み終えて「はい終わり」と、髪を触っている
明憲の手を払いのけたー
「ーくぅ~!ジュース飲み終えるまでの間、髪を触らせるだけで
ジュース1本奢って貰えるなんて、やっぱ女は羨ましいぜ!」
明憲のその言葉に、
哲雄は呆れ顔で「お前が奢るって言いだしたんだろ」と、
冷たい視線を送るー
「ふぉぉぉぉ…女の子から睨まれるこの快感!ゾクゾクするぜ!」
変態っぷりを隠そうともしない明憲ー。
哲雄は「ダメだこりゃ」と呟きながら、
首を横に振っていると、明憲が「って、お前!か、髪を切るって言ったか!?」と、
ようやく”髪を切る発言”に反応するー。
「ん?そりゃそうだろ。別に俺は女の髪になんて興味ないし、
長いと洗うのも手入れするのも大変でー
しかも何かと視界に入って邪魔くせぇからなー」
女体化した哲雄が自分の髪を触りながらそう言うと、
明憲は「い、いやいやいや、勿体ねぇ!お前、神を斬るつもりか!?」と、
オーバーリアクションで叫ぶー。
「ーー…いやいやいや、切るだろ。
何のために長い髪が必要なんだよ?」
「ーか~~!?お前は全然分かってねぇな!
ロングヘアーの魅力を何もわかっちゃいねぇ」
「別に知りたくもないな」
そんな言い合いをしながら、哲雄が立ち去ろうとすると、
別の男子が「お~~!洞口!すげぇな!ホントに女じゃん!」と、
興味深そうに近付いてくるー。
「ーはぁ…面倒くせー…」
哲雄はそう呟くと、”次の休みにもう髪をバッサリ行くか”と、
心の中でそんな言葉を口にしたー。
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「ーそれは、やめた方がいいかもしれませんねー」
再び病院で診察を受けた哲雄ー。
大学側からも、手紙を添えてもらったからか、
今度は一応”女体化”のことを信じて貰えた様子で、
それなりの対応をしてもらうことができたー。
がー…ある問題が起きた。
それはー…
「ーか、か、髪を切ってはいけないんですか?」
哲雄が戸惑いながら叫ぶと、
担当医は、苦笑いしながら続けたー。
「いえ、しばらく様子を見ましょうー
と、いうことです。
もし、今、女体化している状態で髪を切ってしまうと、
”元に戻ったとき”に影響が出るかもしれません」
担当医の言葉に、哲雄は「具体的にはー?」と、確認すると、
担当医は「ー今は女体化して”髪が長い”状態ですよね?
しかし、髪を切ると、男に戻った時にも”髪がいつもより短くなった”
状態で戻るかもしれない、ということです」と答えるー。
女体化した状態で、短い髪型にすると、
その分、男に戻った時の髪も減っている可能性がある、と、
医師はそう言うのだー。
「いやいや、男に戻る時に髪も普通の長さになるんじゃないですか?」
「ーいや、そうとは限りません。
”髪を切った”分だけ、男の状態でも髪は減るかもしれません」
医師の言葉に、女体化した哲雄は不服そうな表情を浮かべるー。
「ーまぁ、例えば明日髪を切って、明後日男に戻れたとしましょうー。
すると、洞口さんは女体化してる間に髪を切ったせいで、
男に戻った時もその分髪が減っていて、
ハゲになってるかもしれないってことですよ」
担当医の言葉に、哲雄はため息をつくと、
「ー分かりました。しばらく様子を見ればいいんですよね!?」と、
うんざりした様子で言葉を口にしたー。
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翌日ー
「洞口くんおはよ~!」
幼馴染の菜々が声をかけて来るー。
「あ、菜々ー。この前はごめんなー」
振ったことを今一度詫びる女体化した哲雄ー。
「ううん。分かってて告白してみただけだし、
スッキリしたから大丈夫。
それよりー」
菜々はそこまで言うと”女体化した哲雄”を見つめながら
「あ~…やっぱ、完全に女の子になっちゃってるね」と、
改めて驚きの言葉を口にするー。
「そうなんだよー。どうすりゃいいんだー?」
哲雄の言葉に、菜々は「そんなこと聞かれても~」と笑うー。
確かに、菜々が元に戻る方法を知っていて
あっさりと答え始めたら、それはそれで驚きだー。
そんなことを思っていると、
菜々が、女体化した哲雄の服装を見つめながら
言葉を口にするー
「ーーーその格好ー…ちょっと無理がないー?
服のサイズも合ってないしー」
菜々の言葉に、哲雄は「いや、元に戻れりゃ、今のサイズの服も必要ないし」と、
少し気まずそうに言うー。
「ーー…っていうか、その…アレ?
なにも付けてないって感じー?」
菜々は少し気まずそうに、下着をつけているかどうかを
確認するー。
が、哲雄は「いやー」と、あっさりした反応を見せるー。
菜々は少しだけ考えてから
「ねぇねぇ、わたしも一緒に選んであげるから、
ちゃんと服とか下着とか、揃えて置いた方が良くないー?」と、
言葉を口にするー。
「ーーいや…でも俺は男だしなー」
「ー今は女の子でしょ」
菜々の言葉に、哲雄は反論できず、表情を歪めるー。
「ーサイズ合う服とか、ちゃんとした下着とかー
それにーーーーー」
菜々はそこまで言いかけて、
”そういえば、女子になった洞口くんって、
どのぐらいまで女子になったんだろうー?”と、
心の中で首を傾げるー。
しかし、そこまでは菜々にも分からなかったため
「とりあえず、衣類はちゃんと揃えたほうがいいよ!」と、
そう言葉を口にすると、
哲雄は面倒臭そうにしながら「まぁ…じゃあ…」と頷くと、
「よろしくお願いしますー」と、菜々に対して
ぺこりと頭を下げたー。
「ーーふふふふ」
菜々は満足そうに微笑むながら、そんな哲雄を見つめると
”あえて可愛い服選んじゃお”と、心の中で少しだけ笑ったー。
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帰宅した哲雄は、ため息をつきながら
自分の姿を見つめるー。
「ーまぁ、多分これは”可愛い”んだろうなー」
そう思いながら、哲雄は女体化した自分の姿を
鏡で見つめるー。
しかし、相変わらず何の下心も沸いてこないし、
女体化した自分の身体にも興味がない。
彼にとっては、膨らんだ胸は邪魔でしかないし、
アレがなくなってしまったことで、
彼にとっては”今までと感覚が違ってやりにくい”としか
思えず、正直、不便だったー。
長い髪も、洗うのが面倒臭いし、手入れも面倒臭い。
何も、良いことがないー。
「はぁ…勘弁してくれよ。
女になるなら、明憲みたいにエロいやつがなるべきだろ…?
俺みたいなやつが女になったところで、何も特することねぇし」
そう呟きながら、今日も”いつものように”家で
過ごし始める哲雄ー。
女体化した後も、特に生活スタイルは変わっていない。
家に帰ればラフな格好をして、のんびり自由気ままに過ごしているー。
”に、しても何で急にこんなことになってしまったんだろうなー”
哲雄は、心の中でそんなことを考えるー。
ある日の朝、起きたらいきなり女になっていたー…
などということは”普通では”あり得ないことだ。
しかし、実際にそれが起きている。
何か原因があるはずだー。
しかし、思い返してみても前日に何か特別なことを
した…あるいはされた記憶はないー。
強いて言えば、前日に幼馴染の菜々から告白
されたことぐらいだろうかー。
が、菜々の告白を断ったことが女体化に繋がるとは思えない。
告白を断るやつなど、そこら中にいるはずだー。
「ーー…くそっ…一体なんなんだー」
結局、哲雄の中で答えは見つからず、大きくため息をつく哲雄。
「ーー急に女になったんだから、明日の朝、急に男に
戻ったりしてねぇかなー」
そんな風に思いながら哲雄は、ベッドに寝転ぶと
面倒臭そうに天井を見上げたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーいやいや、何か楽しそうだなオイ
なんでスカートに拘るー!?」
女体化した哲雄がそう言うと、
幼馴染の菜々は「せっかく女の子になったんだし~」と笑うー。
数日後ー
約束していた通り、菜々と共に買い出しに出かけた哲雄ー。
菜々は嬉しそうに”これからの哲雄”の服を
アドバイスしているー
…が、やたらと可愛らしい服ばかり選んでいるー
「お、俺は男女兼用みたいなやつがいいんだけど!」
哲雄がそう言うと、
菜々は「え~~、わたしはこっちがいい~」と、笑いながら
また可愛らしい服を手にするー
「ーそれとも、もしかしてちょっとドキドキしてる?」
菜々はニヤニヤしながらそんな言葉を口にするー。
しかし、哲雄はドキッとする様子もなくー、
「いやー…着なれない服とか面倒臭いだけだろ?
スカートなんて履いたことないし、ズボンの方が
楽ってだけだよー」と、
いつもの調子で答えたー
「な~んだ…そんな理由かぁ」
菜々が少し残念そうに呟くー。
「おいっ!何で残念そうなんだー!?」
哲雄がそんなツッコミを入れると、
菜々は、メイド服を手にして「これとかどう?」と、
冗談めいた口調で微笑んだー。
「ー却下!それじゃ外を歩けない!実用性がない!」
哲雄は、いつも通りドキドキしているような様子を
全く見せないまま、そう言葉を口にすると、
シンプルな男女兼用の服を手に、
「俺は!こういうのがいい!」と、菜々に対して言い放ったー。
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「ーーーーー…」
今日も大学にやってきていた哲雄は、
周囲を見渡しながら、
”ー前より、周りのやつらが親切になったなー”と、
そんなことを心の中で呟くー。
そうー
女体化する前よりも”周りが親切”になっているのだー
男女ともに”人間”としてしか見ることのない哲雄から
すれば信じられないことだったが、
どうやら哲雄が女子大生になり、”可愛い”ために、
周囲が親切になったようだー。
「ーーーー俺にはまるで理解できない世界だ」
そんなことを口にしながら、女体化した哲雄は
今日も大学での1日を始めるー。
だがー…
哲雄はまだ知らないー。
自分が女体化した理由をー。
そして、その先に待ち受ける運命をー。
③へ続く
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コメント
明日が最終回デス~!★!
もし皆様が女体化や男体化したら、
ドキドキせずに過ごすことはできそうですか~?笑
今日もお読み下さりありがとうございました~!
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